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堕天
〈25話〉「影」
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………黒印…?
どうして、あの人は黒印を持って………
いや、疑うのは良くない。
きっと応援に駆け付けた言士だろう。
でなきゃここにいないはずだ。
「あ、あの…!初めまして…!」
とりあえず、声をかけてみる。
積極的にコミュニケーションをとってあげる。
そうすることで、自然と距離も近付くはずだ。
「数ヶ月前に言士になった古紙 逹畄です!」
「………あぁ、知ってるよ」
えっ?僕を知ってるのか…?
ここが東京ならまだしも、山梨にまで僕の名前
が広まってるなんてことあるのか…?
「入隊早々、数々の任務をこなしたらしいな。
お前は言士界隈じゃ知名度はまぁまぁ高いぞ」
は、はへぇ………
そんな知らないところで有名人になってたとは
自分でもビックリだ………
……うむ、この感じからして悪い人ではないと
見ても良さそうだ。
とにかく、今はこの現状を片付けることを優先
しなくてはならない。
「あ、あの!僕はここ一帯の魔言を相手します
ので、あなたはまだ手の届いてないところへの
対処をお願いできますか!?」
……やばい、ちょいと日本語が崩れた。
「……あぁ、いいぜ。気を付けろよ」
「…ありがとうございます!!」
ああ……通じて良かった。
とにかく仲間は1人でも多い方が良い。
これから充さんも来るし、この勢いのまま魔言
を一掃できるかもしれない…!
よし、頑張ろう!!
………と、意気込んだのも束の間。
『ギャァァアッ』
『ギャァァアッ!ギャァァアッ!』
「…!?」
僕が通る道に、大量の魔言がいた。
しかも、さっきみたいな数ではない。
道の真ん中、塀の上、電柱。
至る所に猿の如くぶら下がっている。
(実際に猿の形をしているからだろうけど)
……悩んでたってしょうがない。
というか、ここの通りに居る魔言を倒したら、
かなりの戦略を削げるだろうし、こうなったら
トコトンやってろうじゃないか。
「『印』、『断』!!」
『断』の黒印を四方にばら撒き、一斉に発動。
8体の魔言をまとめて倒すことができた。
……でも、まだまだ数が多い。
「『印』、『斬』!!」
地面に貼り付けた『斬』の黒印は道路の中心を
ズバッと縦に切り裂き、その軌道上にいた魔言
を巻き込んだ。
でもこれで倒せたのは4体くらいだろうか…?
クソッ、キリがない……!!
その時、横の道から黒い車がドリフトしながら
僕の目の前で急停車。
車の中から充さんが飛び出してきた。
「大丈夫か、逹畄!!」
「充さん…!はい、僕は大丈夫です!!」
「さぁて、さっさと片付けんぞ…!!」
「…はい!!」
僕と充さんは黒印を構え、戦闘体制に入った。
すると、魔言の放っていた殺気が一斉にこちら
を向く。
「逹畄、お前の印って"斬撃"だったよな?」
「は、はい……そうですけど………」
「……これ使え」
「……!」
すると、充さんは僕に『崩』と書かれた黒印を
渡してきた。
おそらく複印を使えという意味だろうが……
「俺が一箇所に魔言をまとめる!そこにソレを
ぶっ込んでやれ!!」
「えっ、ちょ……」
充さんは魔言の群れの中に突撃していった。
……「崩」……と……組み合わせる斬撃関係の
字って……なんだ…?
一応、「壊」を考えていたのだが……あの字は
果たして斬撃と言えるのだろうか…?
……………。
……そうだ、アレなら……いけるか?
「おい、逹畄!行けるか!!」
「……!?」
気付いた頃には充さんが大量の魔言を引き連れ
僕のところへと走ってきていた。
だがこちらはまだハッキリしていない。
……やってみるか…?一か八か………
「今だ!やれぇっ!!」
……やっぱ直前になって不安になってきた!
こうなりゃもうヤケクソだ…ッ!!!
「……『複印』、『崩解』!!」
僕は目の前からやってくる魔言の群れの先頭の
一体に、その複印を貼り付けた。
………刹那、群れの中の魔言一匹一匹が地面に
落下した泥団子のようにバラバラになってく。
魔言は断末魔を上げ、爆ぜるように消えた。
「……ふぅ……な、なんとかなった………」
『壊』ではなく『解』を選んだ。
なんかそっちの方が文字的に切れそうだから。
だなんて半分テキトーな理由で決めたのだが、
結果良ければ全て良しだ。
「……さて」
充さんが周囲を見渡す。
僕も辺りを見渡してみる。
……魔言はいない。
本当に充さんが全部引きつけてくれたのか。
あの数秒で……すごいな、充さんは。
「懇切丁寧に黒印書いた甲斐があったぜ。印は
字が綺麗なほど効果が上がるからな」
「えっ、なんですかそれ、初耳……」
…気になるが、それは後で聞くこととしよう。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
……チッ。
明星 充……アイツまで来たのか。
どうして、あの人は黒印を持って………
いや、疑うのは良くない。
きっと応援に駆け付けた言士だろう。
でなきゃここにいないはずだ。
「あ、あの…!初めまして…!」
とりあえず、声をかけてみる。
積極的にコミュニケーションをとってあげる。
そうすることで、自然と距離も近付くはずだ。
「数ヶ月前に言士になった古紙 逹畄です!」
「………あぁ、知ってるよ」
えっ?僕を知ってるのか…?
ここが東京ならまだしも、山梨にまで僕の名前
が広まってるなんてことあるのか…?
「入隊早々、数々の任務をこなしたらしいな。
お前は言士界隈じゃ知名度はまぁまぁ高いぞ」
は、はへぇ………
そんな知らないところで有名人になってたとは
自分でもビックリだ………
……うむ、この感じからして悪い人ではないと
見ても良さそうだ。
とにかく、今はこの現状を片付けることを優先
しなくてはならない。
「あ、あの!僕はここ一帯の魔言を相手します
ので、あなたはまだ手の届いてないところへの
対処をお願いできますか!?」
……やばい、ちょいと日本語が崩れた。
「……あぁ、いいぜ。気を付けろよ」
「…ありがとうございます!!」
ああ……通じて良かった。
とにかく仲間は1人でも多い方が良い。
これから充さんも来るし、この勢いのまま魔言
を一掃できるかもしれない…!
よし、頑張ろう!!
………と、意気込んだのも束の間。
『ギャァァアッ』
『ギャァァアッ!ギャァァアッ!』
「…!?」
僕が通る道に、大量の魔言がいた。
しかも、さっきみたいな数ではない。
道の真ん中、塀の上、電柱。
至る所に猿の如くぶら下がっている。
(実際に猿の形をしているからだろうけど)
……悩んでたってしょうがない。
というか、ここの通りに居る魔言を倒したら、
かなりの戦略を削げるだろうし、こうなったら
トコトンやってろうじゃないか。
「『印』、『断』!!」
『断』の黒印を四方にばら撒き、一斉に発動。
8体の魔言をまとめて倒すことができた。
……でも、まだまだ数が多い。
「『印』、『斬』!!」
地面に貼り付けた『斬』の黒印は道路の中心を
ズバッと縦に切り裂き、その軌道上にいた魔言
を巻き込んだ。
でもこれで倒せたのは4体くらいだろうか…?
クソッ、キリがない……!!
その時、横の道から黒い車がドリフトしながら
僕の目の前で急停車。
車の中から充さんが飛び出してきた。
「大丈夫か、逹畄!!」
「充さん…!はい、僕は大丈夫です!!」
「さぁて、さっさと片付けんぞ…!!」
「…はい!!」
僕と充さんは黒印を構え、戦闘体制に入った。
すると、魔言の放っていた殺気が一斉にこちら
を向く。
「逹畄、お前の印って"斬撃"だったよな?」
「は、はい……そうですけど………」
「……これ使え」
「……!」
すると、充さんは僕に『崩』と書かれた黒印を
渡してきた。
おそらく複印を使えという意味だろうが……
「俺が一箇所に魔言をまとめる!そこにソレを
ぶっ込んでやれ!!」
「えっ、ちょ……」
充さんは魔言の群れの中に突撃していった。
……「崩」……と……組み合わせる斬撃関係の
字って……なんだ…?
一応、「壊」を考えていたのだが……あの字は
果たして斬撃と言えるのだろうか…?
……………。
……そうだ、アレなら……いけるか?
「おい、逹畄!行けるか!!」
「……!?」
気付いた頃には充さんが大量の魔言を引き連れ
僕のところへと走ってきていた。
だがこちらはまだハッキリしていない。
……やってみるか…?一か八か………
「今だ!やれぇっ!!」
……やっぱ直前になって不安になってきた!
こうなりゃもうヤケクソだ…ッ!!!
「……『複印』、『崩解』!!」
僕は目の前からやってくる魔言の群れの先頭の
一体に、その複印を貼り付けた。
………刹那、群れの中の魔言一匹一匹が地面に
落下した泥団子のようにバラバラになってく。
魔言は断末魔を上げ、爆ぜるように消えた。
「……ふぅ……な、なんとかなった………」
『壊』ではなく『解』を選んだ。
なんかそっちの方が文字的に切れそうだから。
だなんて半分テキトーな理由で決めたのだが、
結果良ければ全て良しだ。
「……さて」
充さんが周囲を見渡す。
僕も辺りを見渡してみる。
……魔言はいない。
本当に充さんが全部引きつけてくれたのか。
あの数秒で……すごいな、充さんは。
「懇切丁寧に黒印書いた甲斐があったぜ。印は
字が綺麗なほど効果が上がるからな」
「えっ、なんですかそれ、初耳……」
…気になるが、それは後で聞くこととしよう。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
……チッ。
明星 充……アイツまで来たのか。
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