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堕天
〈21話〉「魔言の山」
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魔言がガラガラと喉を鳴らしながら、茂みから
その長い胴体と顔を出した。
形状は僕が初めて倒した蛇型の魔言に近しいが
あちらはコブラのような形だったのに対して、
目の前のはガラガラヘビと言ったところか?
…実はガラガラヘビなど微塵も知らないのだが
今はそうゆう事にしておこう。
「最初の獲物としては、ちょーっとだけだけど
大きすぎるかなぁ……よし、ここはちゃちゃっ
と僕が………」
「いや、僕にやらせてください!」
僕は、あえてそれに買って出た。
「……え、マジ?あの魔言、結構上位の部類に
入ると思うんだけど……」
「大丈夫です!前に同じ感じの魔言を倒した事
ありますんで!!」
僕は黒印に筆で文字をササッと書き込み、一同
より一歩前へと踏み込む。
すると、魔言は舌を内へ巻きつつこちらへ牙を
突き立てて突撃して来た。
僕はジャンプし、相手の上顎を踏み台にして、
攻撃を躱しつつ背後は回る。
なるほど、攻撃パターンはあのコブラと大して
変わりはしないようだ。
せいぜい尻尾を振り回して、こちらに叩きつけ
たりするくらいの動作が増えた程度か。
……いや、そんなはずはない。
住む場所が変われば、生態も伴って変わるのが
世のことわり。必然であろう。
もっと裏があるかもしれない。
……と、思ったその瞬間。
「……っ!逹畄!そっから離れろ!!」
「……!!」
魔言の長い身体が、僕の体へと巻き付いた。
同時、僕の身体は強い力で締め上げられてく。
「ったく、あの野郎…!」
充さんが焦りが八割、呆れが二割の表情になり
ながらこちらへ来る。
……でも。
敵がこんな蛇の形をしている時点で、締め付け
攻撃をしてくる事は大体察しがついてた…!
「充さん、離れて!巻き込まれますよ!!」
「…!?」
「『印』、『散』!!」
あらかじめ仕込んでおいた印を内側から魔言へ
貼り付け、発動した。
僕に巻き付けていた身体は裂け、大体4等分に
切り分けられて、崩れ、灰になった。
「おー、思ったよりやるじゃん」
「はぁ……ヒヤヒヤさせやがって……」
「逹畄さん、すごいです!!」
「えっ、ええ……そうかなぁ……」
「うわ、アイツあからさまに照れてやがる」
「初々しいねえ……さて、逹畄くんの準備運動
も終わったところで、"本題"に戻ろうか」
本題……あっ、複印のことか。
と思った、次の瞬間。
今度は頭上の方から声が聞こえた。
上を見てみると、そこには手の長い猿みたいな
魔言が1匹……いや2匹、3匹、4匹、5匹……
……えっ、ちょっと多くない?
「なるほど、魔言の群れか……」
「こ、この山、いくらなんでも、魔言が多過ぎ
じゃないですか!?」
今は昼だからか魔言の行動が落ち着いていると
言えども、流石に8匹の魔言が群れを成してる
のはちょっとヤバいんじゃなかろうか?
と思ったら、充さんの疑問の声。
「……確か猿の群れって、もっといたよな?」
そう。相手は猿型の魔言だ。
本物の猿は約40~50体ほどの群れで生活して
いる。だから、おそらくここにいるのが群れの
一部に過ぎない可能性だってあるのだ。
「ま、どっちみち駆除はするんだけどね。さて
逹畄くん。さっき使ってた『散』って印、一枚
僕にくれないかな?」
「え?えっと……はい、どうぞ」
「どうも。じゃ、まずは普通の印から……」
すると、忍野先輩は『弾』と書かれた黒印を、
クシャクシャに小さく丸め、人差し指と親指の
上に乗せて構える。
姿勢的にはコイントスのそれに近い。
……そして。
「……『印』、『弾』!!」
親指を弾き放った黒印は、火薬が爆発した様な
爆音と共に高速で打ち出され、さながら弾丸の
ように魔言1匹の脳天を貫き、枝から落ちた。
「はい、これがまず僕の"普通の"印ね」
「なるほど……弾丸ですか……」
「ちょ、みなさん…!上!上!!」
「…ん?…うわぁ!?」
見上げてみると他の魔言がキィだのキャアだの
騒ぎ散らかしている。
どうやら仲間をやられてご立腹らしい。
「まだまだ…!ここからだよ!」
忍野先輩はキレてる魔言など一切気にせずに、
僕があげた印と、もう一枚の「弾」の印を重ね
合わせて、丸め、再び構える。
……すると。
「……『複印』、『散弾』!!」
再び弾いた黒印の弾丸はまっすぐ飛ばずに空中
で勢いよく爆散。
更に小さくなった破片が、散弾銃の弾のように
四方八方へと飛び、そこにいた残りの魔言を、
根こそぎ駆除してしまった。
……二つの力を組み合わせる。
「これが……複印……」
「そう。よーく覚えておいてね。じゃ、今日は
もう帰ろうか」
「えっ、もう帰るんですか?」
「今のに怒った他の魔言が一斉に押し寄せたら
僕達だけじゃ処理できないからね。それに……
…ね?充くん」
「ああ……
……ついさっき、墓柳から連絡が来た。
鈴里の字属が判明したそうだ」
その長い胴体と顔を出した。
形状は僕が初めて倒した蛇型の魔言に近しいが
あちらはコブラのような形だったのに対して、
目の前のはガラガラヘビと言ったところか?
…実はガラガラヘビなど微塵も知らないのだが
今はそうゆう事にしておこう。
「最初の獲物としては、ちょーっとだけだけど
大きすぎるかなぁ……よし、ここはちゃちゃっ
と僕が………」
「いや、僕にやらせてください!」
僕は、あえてそれに買って出た。
「……え、マジ?あの魔言、結構上位の部類に
入ると思うんだけど……」
「大丈夫です!前に同じ感じの魔言を倒した事
ありますんで!!」
僕は黒印に筆で文字をササッと書き込み、一同
より一歩前へと踏み込む。
すると、魔言は舌を内へ巻きつつこちらへ牙を
突き立てて突撃して来た。
僕はジャンプし、相手の上顎を踏み台にして、
攻撃を躱しつつ背後は回る。
なるほど、攻撃パターンはあのコブラと大して
変わりはしないようだ。
せいぜい尻尾を振り回して、こちらに叩きつけ
たりするくらいの動作が増えた程度か。
……いや、そんなはずはない。
住む場所が変われば、生態も伴って変わるのが
世のことわり。必然であろう。
もっと裏があるかもしれない。
……と、思ったその瞬間。
「……っ!逹畄!そっから離れろ!!」
「……!!」
魔言の長い身体が、僕の体へと巻き付いた。
同時、僕の身体は強い力で締め上げられてく。
「ったく、あの野郎…!」
充さんが焦りが八割、呆れが二割の表情になり
ながらこちらへ来る。
……でも。
敵がこんな蛇の形をしている時点で、締め付け
攻撃をしてくる事は大体察しがついてた…!
「充さん、離れて!巻き込まれますよ!!」
「…!?」
「『印』、『散』!!」
あらかじめ仕込んでおいた印を内側から魔言へ
貼り付け、発動した。
僕に巻き付けていた身体は裂け、大体4等分に
切り分けられて、崩れ、灰になった。
「おー、思ったよりやるじゃん」
「はぁ……ヒヤヒヤさせやがって……」
「逹畄さん、すごいです!!」
「えっ、ええ……そうかなぁ……」
「うわ、アイツあからさまに照れてやがる」
「初々しいねえ……さて、逹畄くんの準備運動
も終わったところで、"本題"に戻ろうか」
本題……あっ、複印のことか。
と思った、次の瞬間。
今度は頭上の方から声が聞こえた。
上を見てみると、そこには手の長い猿みたいな
魔言が1匹……いや2匹、3匹、4匹、5匹……
……えっ、ちょっと多くない?
「なるほど、魔言の群れか……」
「こ、この山、いくらなんでも、魔言が多過ぎ
じゃないですか!?」
今は昼だからか魔言の行動が落ち着いていると
言えども、流石に8匹の魔言が群れを成してる
のはちょっとヤバいんじゃなかろうか?
と思ったら、充さんの疑問の声。
「……確か猿の群れって、もっといたよな?」
そう。相手は猿型の魔言だ。
本物の猿は約40~50体ほどの群れで生活して
いる。だから、おそらくここにいるのが群れの
一部に過ぎない可能性だってあるのだ。
「ま、どっちみち駆除はするんだけどね。さて
逹畄くん。さっき使ってた『散』って印、一枚
僕にくれないかな?」
「え?えっと……はい、どうぞ」
「どうも。じゃ、まずは普通の印から……」
すると、忍野先輩は『弾』と書かれた黒印を、
クシャクシャに小さく丸め、人差し指と親指の
上に乗せて構える。
姿勢的にはコイントスのそれに近い。
……そして。
「……『印』、『弾』!!」
親指を弾き放った黒印は、火薬が爆発した様な
爆音と共に高速で打ち出され、さながら弾丸の
ように魔言1匹の脳天を貫き、枝から落ちた。
「はい、これがまず僕の"普通の"印ね」
「なるほど……弾丸ですか……」
「ちょ、みなさん…!上!上!!」
「…ん?…うわぁ!?」
見上げてみると他の魔言がキィだのキャアだの
騒ぎ散らかしている。
どうやら仲間をやられてご立腹らしい。
「まだまだ…!ここからだよ!」
忍野先輩はキレてる魔言など一切気にせずに、
僕があげた印と、もう一枚の「弾」の印を重ね
合わせて、丸め、再び構える。
……すると。
「……『複印』、『散弾』!!」
再び弾いた黒印の弾丸はまっすぐ飛ばずに空中
で勢いよく爆散。
更に小さくなった破片が、散弾銃の弾のように
四方八方へと飛び、そこにいた残りの魔言を、
根こそぎ駆除してしまった。
……二つの力を組み合わせる。
「これが……複印……」
「そう。よーく覚えておいてね。じゃ、今日は
もう帰ろうか」
「えっ、もう帰るんですか?」
「今のに怒った他の魔言が一斉に押し寄せたら
僕達だけじゃ処理できないからね。それに……
…ね?充くん」
「ああ……
……ついさっき、墓柳から連絡が来た。
鈴里の字属が判明したそうだ」
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