印ノ印

球天 コア

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堕天

〈7話〉 「試験〜壱〜」

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……あの騒動から日が経ち、その週の日曜日。

AM9:42…










僕は充さんの言われた場所……
東京都千代田区にある、警視庁前に来ていた。


どうして僕がこんなとこに呼ばれているのか?


それは事件の日。
僕と充さんの会話の続きから始まる……










『…えっと、どこに行けば良いんですか?』
『千代田の警視庁本部』

『なるほ……えっ、け、警視庁!?』
『一応、現代の言士って警視庁所属の特殊部隊
的な扱いなんだよな。もちろん、政府公認』








……とのことであった。


なるほど、充さんが学校で警察の人々に命令を
していたのはそうゆう事か。
……とんでもない組織なのだろう、言士とは。

そんなわけで千代田区の方へ来てみたものの、
最寄駅からたった4分で着いてしまった。
やっぱり東京の交通網って便利だな。


すると。





「……来たみたいだな」

「あっ、充さん!!」



警視庁本部の入り口前で、充さんと合流した。
充さんは初めて会った時と変わらない服装で、
僕を出迎えてくれた。


「時間通りだな。早速だが、俺に着いて来い。
言士の活動場所まで案内してやる」

「よ、よろしくお願いします…!」


僕は早歩きで進んで行く充さんに着いて行く。

途中、僕だけ受付に止められたが、充さんの
権限とやらで通してもらった。


なんか……特別な人になった気分だ。
語彙の欠落である。






しばらくして、充さんは非常階段通路の中へ
入ると、下の方へ素早く降りていく。

ここに来るまでもそうだったが、もしかして
充さんってせっかちなタイプなんだろうか?





と、そうこう考えてる内に……


「ほら、ここだ」



階段を何階分降っただろうか。
非常階段で行ける一番下の階に到着した。



……のだが、部屋らしき部屋は見当たらない。
あるのは鉄格子の手すりだけだ。

手すりだけが目の前に立てられているだけで
そこで行き止まりのような形になっている。


「えっと……これって……」


僕が充さんに問いかけようとした、その時。

充さんは目の前の手すりを掴み、ふすまのように
横へスライドする。


すると、ガラガラと巨大なカラクリが動いた
ような大きな音と共に、目の前にあったはずの
壁が動き、一本の道が現れた。



「……ほら、こっちだ」


言われるがままに充さんに着いて行く。
進むに連れて暗い道が徐々に明るくなってく。



道を抜けたその先には、なんともメカメカしい
巨大な部屋が待ち受けていた。

充さんの纏う和装とは似つかないが、近未来に
でもタイムスリップしたような景色だ。
圧巻である。



そして、ここは何処か。
僕は改めて充さんに告げられる。








「…魔言霊掃討係 言士特別組合委員会」

「………」

















「ようこそ、通称「霊言会れいげんかい」へ」



























5分後。


「……さて、逹畄。お前が言士になるためには
いくつか試験を受けてもらう必要がある」

「は、はぁ…」



「そんじゃ、まずは逹畄が言士に向いているか
適正審査だ。そこの部屋で献血してこい」

「えっ、献血?」



…………献血?(二回目である)

何故いきなり献血など始めるのだろうか?
疑問に思う僕を前に、充さんが補足する。


「言士ってのは血が大きく関わる仕事なんだ。
まぁ、細かい事はまた後で説明する。とにかく
早いとこ取ってこい」

「は、はい……」


ぶっちゃけた話、今すぐに教えてもらいたいが
充さんがそう急かすので、乗らぬ気分のままに
指された部屋に入った。


………やっぱり充さんってせっかちだよね?






「おっ、君が逹畄くんか」

「……!」


部屋に入ると早速、白衣を着た中年と思われる
男性が目の前に座っていた。


「…悪いね、充くんに急かされただろう?彼は
ああゆう性格でね」


あっ、やっぱりせっかち認定されている。


「おっと、自己紹介をしてなかったか……私は
墓柳はかやなぎ こがね。よろしく頼むね」


墓柳………聞いたことのある名前だ。
確か数日前のあの騒動があった時に、充さんが
口にしていたのを覚えている。




「それじゃ、早速、血を取らせてもらうよ」
「お、お願いします……」














数十分後……



「……戻ってきたな」
「………はい」

「……なんか元気なさそうだな、大丈夫か?」
「いえ、別に……」

「……なら良いけどよ」


……正直に言おう。
今の僕に元気はあまりない。


まさか注射器4本分も血を抜かれるだなんて、
誰が予想できようか。

気のせいだろうか、頭がくらっとする。
そもそも献血を受けるの自体が何年ぶりか。




「……とにかく、献血を終わらせて来たなら、
さっさと次の方へ行くか」


「次…?」



まだ続くのか。血を大量に抜かれた直後に。

…と、内心僕は絶句する。


「またそんな絶句すんなって、次が一番大事な
内容なんだからな」

「大事な……内容…?」


その肝心の内容とは……



































「……魔言を祓う技、『印』の実践だ」
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