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【第二部】魔王覚醒編
33)悪魔の最期
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一連の事件は、様々なタイミングが紙一重で繋がってきた。ドーヴィが滑り込みでグレンの保護に間に合ったのも、レオン達を助けに入ったのも、天使マルコがこのタイミングで教会騎士達に待ったをかけたのも、上位大天使から通信が入ってギリギリで魔王討伐任務の撤回が間に合ったのも。
全て、ほんの僅かなズレも許されない、間一髪だった。
――しかし。ドーヴィだけは、間に合わなかった。
木の根元、グレンを抱えたまま血だらけになっているドーヴィの元に、天使マルコは急いでしゃがみ込む。
「……おせーよ、クソ天使……」
いつもの悪態に、マルコはいつもの通りに返そうとして……何も言葉が浮かばず、口を噤んだ。
その悪態が、あまりにも、弱々しい物であったから。
「グレン君を」
絞り出すようにマルコが言えば、ドーヴィはゆっくりとグレンを腕の中から解き放つ。マルコはそれを受け取り、グレンを地面へと寝かせた。開いたままの片目、紫がかった赤色の眼球がぐるりと動いてマルコを見据える。薄く開いた口からは、飲み込めていない唾液が漏れていた。
動かしているのが魔獣だとわかっているからこそ、その様相にマルコは憤りを覚える。よくも心優しき少年に、これほどの仕打ちができるものだ。マルコはそっとグレンの片目を閉ざしてやる。
「貴方、移動できますか」
ドーヴィに背を向けたまま尋ねる。グレンの解呪……憑りついている魔獣を討伐する際には、例の光玉を使う事になる。当然、近くにいる悪魔であるドーヴィにも、大いに影響が出るはずだ。
「いい」
「……」
「もう助からねえのはわかってんだ。最後ぐらい、グレンの顔を見せてくれ」
妙にクリアになった声に、マルコが後ろを振り返れば。ドーヴィのブーツが地面を転がり、血に濡れたズボンが主を失くして地面に項垂れていた。両足、膝から下を消してその分の魔力を上半身に集約させたらしい。
あくまでも魔力を下半身から上半身に集約しただけであって、総量が回復したわけではない。対悪魔特効の力を持つ天使の矢は、悪魔の肉体を大きく傷つけ、その魔力を削り続ける。
今もなお、ドーヴィの体からは人間にとっての生命とほぼ同義である魔力が、刺さったままの天使の矢によって減り続けていた。もう、両足を復活させることは無理だろう。
マルコの目の前で、ドーヴィがごぽりと血を吐く。苦しそうに咽ていても、もはや手でその血を拭う力も残っていないようだ。
「……馬鹿な男ですよ、貴方は」
立ち止まって、その手で天使の矢を抜けば、助かったかもしれないのに。
ドーヴィはそうしなかった。立ち止まれば、グレンに危害が及ぶ。自分の手を天使の矢に向けるのは、大切な存在を両腕から取りこぼすことになる。だから、ドーヴィはそうしなかった。
マルコはため息をついた後に、自身の胸に手を突き入れ、預かっていた光玉を出す。そして小さな声で創造神へ祝詞を捧げ、光玉をゆっくりとグレンの胸へと埋め込んだ。
周囲を神々しいほどの光が照らし、血生臭さに淀んでいた空気が、あっという間に浄化されていく。
「……きれい、だ……グレン……」
その浄化の光に、自身の肌をじゅうじゅうと焼かれながら。ドーヴィは光に包まれ、穏やかな表情を取り戻したグレンを見つめていた。
グレン保護の為に遣わしていた分身体とのリンクが切れ、あの精神空間にまでこの浄化の光が及んだことをドーヴィは察する。分身体の魔力が回収できれば、もう少し……もう少しだけ、グレンと一緒にいられただろうが。残念ながら、分身体も浄化されてしまったのかもしれない。
「五分」
「あ?」
光が徐々に収まっていく中、天使マルコが吐き捨てるようにそう言った。ドーヴィは思わず聞き返す、何の五分だ。
「全界共通時間で五分だけ、貴方の存在を延長して貰いました」
そっとグレンの髪を直してから、マルコは立ち上がり、ドーヴィを振り返った。木に背中を預けたままのドーヴィは薄く目を見開いてマルコを見上げる。天使マルコは悔しそうに目を伏せ、唇を噛み締めていた。
その顔に、思わずドーヴィはふっと笑いを零す。
「……悪いな」
「……何もなしでは、グレン君も心の整理がつかないでしょうから」
私情を挟むと宣言したマルコの精一杯の私情なのだろう。ドーヴィはありがたく、その私情を受け取ることにする。
マルコが姿を消してすぐ。横たわっていたグレンが目を開き、ゆっくりと体を起こした。まだ意識がはっきりしていないのか、こめかみを抑えて目をぱちぱちと瞬かせている。
「グレン、起きたか」
「!」
グレンはハッとしたように目を大きく開いて、声のする方へ顔を向けた。
――そこには、血を垂れ流しながら、木に凭れ掛かっているドーヴィが、いた。
「ドーヴィ!? どうして……いや、助けを……」
「いい、グレン。悪いが、俺はここまでなんだ」
「っ!」
ドーヴィに駆け寄ったグレンは、静かにそう言われ、息を飲んだ。
真っ赤に濡れた口元、存在が無くなった足先、肩から生えている矢の数々。何より、漂う血の匂いと……ドーヴィの、衰弱した瞳が全てを物語っていた。
「あんま時間ねえからな。グレン、お前と過ごした日々は最高だったぜ」
「待って、ドーヴィ、なんでそんなことを、やめてくれ、聞きたくない……っ!」
「……そんな寂しいこと、言わねえでくれよ」
困ったように笑うドーヴィが、グレンの頭を撫でようとして腕を上げる――が、その腕はグレンに届く前に、指先からさらさらと崩れて消えて行った。
「あらら」
もう触ることもできねえのな、と笑うドーヴィ。腕が無くなったことでバランスを崩し、どさりと地面に倒れこむ。
「っ! ドーヴィ、僕の魔力を……!」
倒れたドーヴィにしがみつくように覆いかぶさり、グレンは魔力譲渡をしようとする。……しかし、いくら流しても、まるで底の抜けたバケツに水を入れるような感触で……手応えが全くなかった。その事実にグレンはさらに恐怖を覚える。
そんなグレンに、ドーヴィは優しく微笑みかけた。
「気持ちだけで十分だ。もうこの肉体は回復できねえ。朽ちるしかないんだ」
「あ……ぁ……そんな……ドーヴィ、どうして……」
ぽろ、とグレンの片目から涙が零れる。その量はどんどんと増え続け、ドーヴィが吐いた血よりも、多くなる。
いつもならその涙を指先で拭って、抱きしめて、胸元で好きなだけ泣かせてやれるのに。今のドーヴィには、もうそれすらできなかった。
「泣くなよグレン、最後に泣き顔じゃあ、いい思い出にならねえよ」
「そんなこと言ったって! 笑えるわけないだろう! ドーヴィ、死なないで、いやだ、なんで」
ドーヴィに取り縋り、グレンは子供の様に、運命に対して大いに嘆く。
……ドーヴィは少し悩んだ後に口を開いた。
「……グレン、俺は死ぬわけじゃない。この世界から、元の悪魔の世界に戻るだけだ」
「!!」
人間に対する別世界の示唆は、処罰対象である。だが、悪魔の世界、と言う程度ならこれまでやんわりとグレンに示唆してきたこともあったし……いまさら、処罰対象になったところで、どうでもいいだろう、とドーヴィは腹を括ったのだ。
何より、いざとなればその辺で監視している天使どもが何とかするだろう、と。
「じゃ、じゃあ、ドーヴィ、もう一度、この世界へ……」
それは、難しい相談だ。天使が管理する世界は無数にある。それこそ、牧場として作られた養殖世界だけでなく、自然発生した天然物の世界まで含めれば、宇宙に煌めく星の数よりも。
その中から、ドーヴィがもう一度、グレンのいる世界を探し当てるのは――ほぼ、不可能だった。
……そう説明できるわけもなく。ドーヴィはただ、困り顔をグレンへ向けるだけ。
それで、グレンは全てを察した。死にはしないが、ドーヴィとはもう二度と会えない事に。
全て、ほんの僅かなズレも許されない、間一髪だった。
――しかし。ドーヴィだけは、間に合わなかった。
木の根元、グレンを抱えたまま血だらけになっているドーヴィの元に、天使マルコは急いでしゃがみ込む。
「……おせーよ、クソ天使……」
いつもの悪態に、マルコはいつもの通りに返そうとして……何も言葉が浮かばず、口を噤んだ。
その悪態が、あまりにも、弱々しい物であったから。
「グレン君を」
絞り出すようにマルコが言えば、ドーヴィはゆっくりとグレンを腕の中から解き放つ。マルコはそれを受け取り、グレンを地面へと寝かせた。開いたままの片目、紫がかった赤色の眼球がぐるりと動いてマルコを見据える。薄く開いた口からは、飲み込めていない唾液が漏れていた。
動かしているのが魔獣だとわかっているからこそ、その様相にマルコは憤りを覚える。よくも心優しき少年に、これほどの仕打ちができるものだ。マルコはそっとグレンの片目を閉ざしてやる。
「貴方、移動できますか」
ドーヴィに背を向けたまま尋ねる。グレンの解呪……憑りついている魔獣を討伐する際には、例の光玉を使う事になる。当然、近くにいる悪魔であるドーヴィにも、大いに影響が出るはずだ。
「いい」
「……」
「もう助からねえのはわかってんだ。最後ぐらい、グレンの顔を見せてくれ」
妙にクリアになった声に、マルコが後ろを振り返れば。ドーヴィのブーツが地面を転がり、血に濡れたズボンが主を失くして地面に項垂れていた。両足、膝から下を消してその分の魔力を上半身に集約させたらしい。
あくまでも魔力を下半身から上半身に集約しただけであって、総量が回復したわけではない。対悪魔特効の力を持つ天使の矢は、悪魔の肉体を大きく傷つけ、その魔力を削り続ける。
今もなお、ドーヴィの体からは人間にとっての生命とほぼ同義である魔力が、刺さったままの天使の矢によって減り続けていた。もう、両足を復活させることは無理だろう。
マルコの目の前で、ドーヴィがごぽりと血を吐く。苦しそうに咽ていても、もはや手でその血を拭う力も残っていないようだ。
「……馬鹿な男ですよ、貴方は」
立ち止まって、その手で天使の矢を抜けば、助かったかもしれないのに。
ドーヴィはそうしなかった。立ち止まれば、グレンに危害が及ぶ。自分の手を天使の矢に向けるのは、大切な存在を両腕から取りこぼすことになる。だから、ドーヴィはそうしなかった。
マルコはため息をついた後に、自身の胸に手を突き入れ、預かっていた光玉を出す。そして小さな声で創造神へ祝詞を捧げ、光玉をゆっくりとグレンの胸へと埋め込んだ。
周囲を神々しいほどの光が照らし、血生臭さに淀んでいた空気が、あっという間に浄化されていく。
「……きれい、だ……グレン……」
その浄化の光に、自身の肌をじゅうじゅうと焼かれながら。ドーヴィは光に包まれ、穏やかな表情を取り戻したグレンを見つめていた。
グレン保護の為に遣わしていた分身体とのリンクが切れ、あの精神空間にまでこの浄化の光が及んだことをドーヴィは察する。分身体の魔力が回収できれば、もう少し……もう少しだけ、グレンと一緒にいられただろうが。残念ながら、分身体も浄化されてしまったのかもしれない。
「五分」
「あ?」
光が徐々に収まっていく中、天使マルコが吐き捨てるようにそう言った。ドーヴィは思わず聞き返す、何の五分だ。
「全界共通時間で五分だけ、貴方の存在を延長して貰いました」
そっとグレンの髪を直してから、マルコは立ち上がり、ドーヴィを振り返った。木に背中を預けたままのドーヴィは薄く目を見開いてマルコを見上げる。天使マルコは悔しそうに目を伏せ、唇を噛み締めていた。
その顔に、思わずドーヴィはふっと笑いを零す。
「……悪いな」
「……何もなしでは、グレン君も心の整理がつかないでしょうから」
私情を挟むと宣言したマルコの精一杯の私情なのだろう。ドーヴィはありがたく、その私情を受け取ることにする。
マルコが姿を消してすぐ。横たわっていたグレンが目を開き、ゆっくりと体を起こした。まだ意識がはっきりしていないのか、こめかみを抑えて目をぱちぱちと瞬かせている。
「グレン、起きたか」
「!」
グレンはハッとしたように目を大きく開いて、声のする方へ顔を向けた。
――そこには、血を垂れ流しながら、木に凭れ掛かっているドーヴィが、いた。
「ドーヴィ!? どうして……いや、助けを……」
「いい、グレン。悪いが、俺はここまでなんだ」
「っ!」
ドーヴィに駆け寄ったグレンは、静かにそう言われ、息を飲んだ。
真っ赤に濡れた口元、存在が無くなった足先、肩から生えている矢の数々。何より、漂う血の匂いと……ドーヴィの、衰弱した瞳が全てを物語っていた。
「あんま時間ねえからな。グレン、お前と過ごした日々は最高だったぜ」
「待って、ドーヴィ、なんでそんなことを、やめてくれ、聞きたくない……っ!」
「……そんな寂しいこと、言わねえでくれよ」
困ったように笑うドーヴィが、グレンの頭を撫でようとして腕を上げる――が、その腕はグレンに届く前に、指先からさらさらと崩れて消えて行った。
「あらら」
もう触ることもできねえのな、と笑うドーヴィ。腕が無くなったことでバランスを崩し、どさりと地面に倒れこむ。
「っ! ドーヴィ、僕の魔力を……!」
倒れたドーヴィにしがみつくように覆いかぶさり、グレンは魔力譲渡をしようとする。……しかし、いくら流しても、まるで底の抜けたバケツに水を入れるような感触で……手応えが全くなかった。その事実にグレンはさらに恐怖を覚える。
そんなグレンに、ドーヴィは優しく微笑みかけた。
「気持ちだけで十分だ。もうこの肉体は回復できねえ。朽ちるしかないんだ」
「あ……ぁ……そんな……ドーヴィ、どうして……」
ぽろ、とグレンの片目から涙が零れる。その量はどんどんと増え続け、ドーヴィが吐いた血よりも、多くなる。
いつもならその涙を指先で拭って、抱きしめて、胸元で好きなだけ泣かせてやれるのに。今のドーヴィには、もうそれすらできなかった。
「泣くなよグレン、最後に泣き顔じゃあ、いい思い出にならねえよ」
「そんなこと言ったって! 笑えるわけないだろう! ドーヴィ、死なないで、いやだ、なんで」
ドーヴィに取り縋り、グレンは子供の様に、運命に対して大いに嘆く。
……ドーヴィは少し悩んだ後に口を開いた。
「……グレン、俺は死ぬわけじゃない。この世界から、元の悪魔の世界に戻るだけだ」
「!!」
人間に対する別世界の示唆は、処罰対象である。だが、悪魔の世界、と言う程度ならこれまでやんわりとグレンに示唆してきたこともあったし……いまさら、処罰対象になったところで、どうでもいいだろう、とドーヴィは腹を括ったのだ。
何より、いざとなればその辺で監視している天使どもが何とかするだろう、と。
「じゃ、じゃあ、ドーヴィ、もう一度、この世界へ……」
それは、難しい相談だ。天使が管理する世界は無数にある。それこそ、牧場として作られた養殖世界だけでなく、自然発生した天然物の世界まで含めれば、宇宙に煌めく星の数よりも。
その中から、ドーヴィがもう一度、グレンのいる世界を探し当てるのは――ほぼ、不可能だった。
……そう説明できるわけもなく。ドーヴィはただ、困り顔をグレンへ向けるだけ。
それで、グレンは全てを察した。死にはしないが、ドーヴィとはもう二度と会えない事に。
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