虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する

あかのゆりこ

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【第二部】魔王覚醒編

7)崩れゆく平穏

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「――というわけなのだ」
「ほー、なるほどな」

 王城にある貴賓室にて。ベッドにぐったりと寝転んだグレンは、至って健全な全身マッサージをドーヴィにして貰いながら会談の内容を説明していた。

 ……本当は、地方を人外の急ぎ足で巡回してきたドーヴィの方が、大きい報告があったのだが。部屋に戻ってドーヴィが帰ってくるや否や、グレンが飛びついてきて話を聞いてくれ! と言わんばかりに甘え始めたので、ドーヴィはこうしてグレンをベッドに転がして多少は肉が付き始めた体をもみもみしているわけだ。

 本来はクランストン辺境伯のタウンハウスに返ってゆっくりとしている時間帯だが、この緊急事態にグレンは王城へ泊まり込む事を決めた。何かあればいつでも呼び出しに応じると周囲には通達してある。

 グレンは寝そべったままに頭だけを上げてドーヴィを見上げる。

「ドーヴィ、そういう事をする悪魔について何か知らないか? 病をばら撒くような……」
「あー……それはあれだな……まあ、なんだ、コレだコレ」

 グレンの問いに、ドーヴィは言葉を濁して首元の首輪を指でトントンと叩いた。天使に着けられた懲罰用の首輪。

 その仕草でグレンはいわゆる『喋ってはいけない悪魔のルール』に当たるのだと理解し、顔を顰める。

 以前ならドーヴィも可愛い契約主のために、とペラペラ様々な情報を教えたものだが、それも教え過ぎだと怒られた。主に魔術方面の話だが。いやあれは、グレンが天才過ぎるのが悪い、とドーヴィは内心で思っている。まさかあの程度のヒントで、全てを理解する人間が存在するとは……。

「……仕方ない。これ以上ドーヴィの力を制限されては困るからな」
「お、なんだなんだ、俺の力だけが目当てってか」
「そういう話ではない!」

 ドーヴィの揶揄うような言い方にグレンはむっとした顔をしてがばりと起き上がった。そしてその勢いのまま、ドーヴィに突進してぎゅうと抱き着く。

「確かにドーヴィを召喚したのはその力が目当てであったし、契約したのもそれが目当てなのは間違いないが……今でもそのままだと思ってもらっては困る」
「おお、熱烈な愛の告白」
「茶化すな!」

 怒っているグレンがドーヴィに抱き着いたままに手でドーヴィの大きな背中をぺちぺちと叩く。この可愛らしい契約主は今、自分の愛情を疑われて非常に怒っているらしい。怒っているのにぎゅうぎゅう体を密着させてくるのだから本当に、実に可愛い契約主だ。

 はいはい、とドーヴィはしがみついてくるグレンを抱きしめ返しながら「悪かったって」と囁いて機嫌を直して貰う事に終始する。

 ……ここ数日。疫病が発生したという報告までは良かった、その後に坂を転がるように事態が悪化していったことで、グレンは本人も気づかぬうちに酷い緊張と不安を抱えるようになってしまった。

 最近は平和な時が続き、グレンも健やかに眠れるようになったというのに。昨日あたりから、また寝入りが悪く、時折魘されるような寝言を口に出すこともあった。

 この極端なスキンシップも、恐らくそれの表れだろうとドーヴィは睨んでいる。

(明日からはしばらく側を離れない方がいいな……)

 クランストン宰相の懐刀ということで、ドーヴィはあちこち飛び回る事が多かった。どちらかと言えば、最近は秘書官や護衛というよりもグレン直轄の一人隠密部隊の様な状態だったのだ。

 それができていたのも、周囲の人間がグレンを守り支え、甘やかすと言ったことができていたから。そういう人間だけを集め、グレンの世界を幸せだけで満たせるようにドーヴィが悪しき人間を駆逐して間引いていたから。

 それがここに来て新たな敵が現れ、揺らぎ始めた。グレンを囲う幸せな世界に、またヒビが入ってしまった。

「ドーヴィ?」
「ん? 許せねえよな、そういうことするヤツ」
「……ああ。罪なき民を傷つけようなどと、とんでもない悪党だ。しかも貴族の可能性が高いというのだから……」

 ぶつぶつ、グレンはドーヴィの分厚い胸に頭をぐりぐり押し付けながら姿かたちも見えぬ犯人に呪詛を呟く。

 それを耳にしながら、ドーヴィは再度「許せねえよな」と口に出した。

 ドーヴィが本当に許せないのは、こうしてグレンを不安がらせて苛立たせていることだ。

 別に人間が疫病で死のうが、その辺で他の悪魔が国を壊そうが、ドーヴィには関係ない。だが、今回の契約主はそう言う事をされると酷く嘆き悲しみ、絶望した顔でぽろぽろと苦しそうに血の涙を流すのだ。

 契約主のそういう姿は、ドーヴィの趣味ではない。せめて、全てドーヴィの手によってもたらされたものでなければ、到底容認できないものだ。

 しばらく、ドーヴィは荒れ狂う感情を自分にぶつけて発散しているグレンの相手をした。グレンの悪い我慢癖が再発したようで、ここ数日の不安と苛立ちと緊張その他を全て溜め込んでいたらしい。他の人間に相談するなり、愚痴るなりすれば良いのに……また、「自分がどうにかしないと」と思い詰め始めているようだ。

(まあ俺にぶつけてくれるようになっただけマシか)

 ドーヴィだけは特別、と思ってこうしてくれるのだから、それに対してある種の喜びをドーヴィも感じない事もない。まあ、それがグレンにとってあまり健全な行為ではないから、ドーヴィの眉間に皺が寄ることになるのだが。

「……で、俺の巡回の報告は?」
「はっ! そうだった、それも聞かねば!」

 ようやく落ち着いてきたところで、ドーヴィが話を切り出す。グレンはドーヴィの腕の中からがばりと上半身を起こして、目をきりりと吊り上げていた。甘えん坊モードは終わったらしい。……それはそれで寂しいものだ、とも思う強欲なドーヴィである。

 いそいそと姿勢を正すグレンを眺めつつ、ドーヴィは巡回中に見つけたある物を取り出した。

「……ネズミ?」
「ああ」

 小さな籠に入れられているのは、真っ黒な小動物。ネズミの姿をしたその動物はカゴの中でキィキィと鳴き声を上げて暴れ回っている。

「疫病の発生している村や町を見てきたんだけどな。そこにこいつがいたから捕まえてきた。……グレン、よく観察してみろ」
「観察……?」
「お前ならわかるはずだ」

 ドーヴィの意味ありげな言い方に、グレンは首を傾げながらカゴの中にいるネズミをよく観察する。

 しばらくのち、グレンは「あっ!」と声を上げ、みるみるうちに表情を変えた。

「これは……生き物ではないな!?」
「正解。こいつ、使い魔の一種だ」

 グレンの答えに、ドーヴィは満足げに頷く。普通の人間ならわからないだろうが、グレンの実力ならわかると信じていた。さすが隻眼の大魔術師だ。

 ぱっと見ただけではわからないし、魔力検知の魔道具を使ってもわからないほどに、生物に酷似したつくりになっている。それでもグレンが見破れたのは、やはりその実力のおかげであり。生物なら誰もが持っている微量な魔力の流れを、正確に目で追えたからだ。

 普通の人間なら、こんな小さな動物の魔力の流れなんて見えないだろう。魔力があるかどうかすらもわからない人間がほとんどだ。

「こんな精巧なものを……誰が……」

 グレンが怪訝そうな顔をしてカゴを手に取り、ネズミの観察を続ける。

――誰が。その答えを、ドーヴィは知っている。それどころか、何故、の部分まで知っている。

 だが、それを話すことはできない。それは悪魔によってもたらされた異なる世界の知識であるから。

 疫病の症状を聞いた時、ドーヴィの脳裏にはある病名が浮かび上がっていた。そして実際に現地に向かい、患者を診て確信。

 あれは、この世界にはない致死性の病気、ペストだ。

 この世界は創造神が作った、人間を繁殖させるための牧場だ。そこにペストの様な致死率が高く、流行れば一瞬で人口が減ってしまうような病気を入れては牧場の意味が無い。だから、世界を作る際にペストを筆頭とした流行り病が発生しないように創造神は調整を入れた。

 そのはずなのに、ペストが流行っているのだからそれはもう犯人が異なる世界から訪れた者としか考えられない。

 さらに、致死性の病気であるはずのペストで今のところ死者が出ていないという事実。これもまた、ドーヴィの中で犯人が悪魔であることに確信を持つ一端となった。

 もし、ペストで大量の死者が出たら、真っ先に天使が動くだろう。牧場の家畜が殺されれば、天使も黙ってはいない。

 わざわざ、ペストから致死性という大きな要素を抜いているのだから……天使に目を付けられたくない、悪魔の仕業である可能性が非常に高かった。

 ……などという背景を、ただの人間であるグレンに話せるわけもなく。

「グレン。このネズミに関してだが……それもコレ、だ」
「!」

 先ほどと同じように、ドーヴィが自らの首元を指で示す。だが、それは実質答えのようなものだ。

――ドーヴィが話せない内容が関わっている

 それすなわち、悪魔の関与があるということ。

 グレンはカゴの中のネズミを睨みつけて、口を開いた。

「ドーヴィの言いたいことは、わかった。……このネズミは兄上に依頼して、腕のいい魔術師に分析して貰おう」
「そうしろ」

 ドーヴィは短くそう言った後に、口を引き結んで少し唸った。腕組みをして天井を睨んだ後、グレンに視線を戻す。

「……俺がギリギリ言えるのは、このネズミが今回の疫病に関連している、ということだけだ」
「いや、それだけでも重要な情報だ。それも合わせて、保健部にも共同依頼を出そう」

 果たしてグレン以外の魔術師にどこまで分析ができるものなのか。あまり良い結果にはならないだろうが、少しでもヒントが出てくればそれをとっかかりに、ある程度はドーヴィがグレンを導けるかもしれない。

 話せないと言うのがこれほどまでにストレスだとは。

 別に、懲罰用の首輪と言ったってドーヴィが本気を出せばこの程度は引きちぎって投げ捨てられるし、天使の指示なんて全て無視して襲って来た天使を返り討ちにすればよいだけ。

 ドーヴィがそれをしないのは、グレンが騒乱を望まないから。ドーヴィが天使と戦うことになれば、どうしても契約主のグレンにもその波は及んでしまう。

 そうならないように、ドーヴィは仕方なく天使どもの言う事を聞いてやっているだけだ。大人しく聞いていれば、ここでグレンと生活することを見逃すという取引だと考えるしかない。

 やれやれ、とドーヴィが人知れず面倒な事を抱えているそばで、グレンはネズミとにらめっこしながら今回の事件について考えを巡らせていた。

「それにしても、犯人は何が目的なのだろう。このネズミが手段だとして、国中にばらまいて……やはり軍の兵士を分散させることが狙い? 徴兵をできなくさせて軍の力を低下させることか? ……だとしても、それだけで兄上が立て直した軍に勝てる領地があるとは思えないし……また連合軍か……?」
「おいグレン、その辺にしておけ」

 ドーヴィはグレンからひょいとカゴを取り上げて、謎の空間へぽいと投げ込んだ。人間が絶対に手を出せない、悪魔だけの秘密の空間だ。

「あっ何をする!」
「もう良い子は寝る時間だって言うんだよ」
「子供ではない! 私はもう大人だぞ!」
「なんか久々に聞いたなそれ」

 キャンキャン吠える子犬を思い出しつつも、ドーヴィは速やかにグレンをベッドに転がして寝かしつけた。

 ……グレンも癖になっているのか、そうやって毛布を肩まで掛けられると、急に大人しくなる。まだ頬は少し不満げに膨れているが。

「明日、またお前の兄と相談してみればいいだろ」
「……それも、そうだな。一人で考え込んでいても埒が明かん」
「そういうことだ。それより早く寝て、頭を休めた方がいい」

 うむ、と頷いて目を瞑り、寝返りを打ったグレンだが……数十秒も経たないうちにぱちりと目を開けてドーヴィを見上げた。

「……ドーヴィ」
「なんだ?」
「眠れそうにないから、睡眠魔法をかけて欲しい」

 ここ最近は不要となった睡眠魔法。そう言えば久しく掛けてなかったな、と今更にドーヴィは思い出した。

 これもまた、グレンの不調であり、甘えの一つなのだろう。以前使っていたものよりも非常に微弱で、ほぼおまじない程度のものをグレンに掛けてやる。

「さあこれで朝までぐっすりだろうよ。おやすみグレン、良い夢を」

 日中、ずっと強張っていたグレンの顔が、ようやく解ける。ふわりと穏やかに微笑んだグレンも「おやすみ、ドーヴィ」と小さく囁いてすぐに眠りの国へと足を踏み入れて行った。




---



たぶんドーヴィはグレンくんの事、ぽかぽか陽気の日差しとともにお花に囲まれて小鳥のさえずりを聞きながら木陰の下のハンモックでスヤスヤ眠ればいいぐらいに思ってそう
うーんファンシー(あれインキュバス要素は……
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