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【第一部】国家転覆編
26)リハビリと書いてデートと読むのもたぶん鉄板
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※11/29 本日2話更新です。前話からお読みください。
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クランストン辺境城内にある庭園にて。グレンはドーヴィの手を借りながら、ゆっくりと散歩をしていた。太陽の光が気持ちよい。ばあやお手製の眼帯は右目全体を覆い隠し、太陽の光もしっかりと遮っている。
グレンが目覚めたのは、昏睡状態に陥ってから1か月が経過しようと言う頃だった。その間に落ちた体力を取り戻すべく、ベッドの上で執務をある程度こなしたらこうしてドーヴィを伴って庭園を散歩するのが日課になっている。
「よいしょっと」
小さな段差でも、今のグレンにはなかなかに大変だ。しかし、その苦労もそれはそれで、自分の足で立っている自覚が湧いて面白い、とグレンは思っている。……あの時、どうしてあれだけ自分の体を異形のものに作り変えて楽しんでいたのか、今となっては不思議な気分だ。
庭園にある小さな東屋、先にメイド達が休憩用の茶菓子を用意してくれてあった。ドーヴィとグレンが到着したのを見て、メイド達は頭を小さく下げてから東屋を後にする。
ドーヴィが椅子を引き、グレンは腰を下ろした。そして大きく息を吐く。
「はぁー疲れた」
「この距離で疲れるようじゃまだまだだな」
「先生が無理しない程度に散歩をしなさいと言う理由がよくわかるよ。なるべく早く、体力を戻したいところだ」
「まあそう焦んなよ」
ドーヴィはそう言ってぽんぽん、とグレンの頭を撫でてからグレンの向かい側の椅子に座った。本来、護衛は主の後ろに立つもの。しかし、グレンたっての希望でドーヴィは同席を許されていた。
(ぶっちゃけ、鋭いやつらにはもう関係もバレてんだよな……)
幸いにしてここガゼッタ王国では同性の恋愛も禁忌ではない。他の国では許されないところもあるが……貴族当主のスキャンダル、とはならないことに執事のじいやもホッと安堵しているだろう。
「今日は……おお、くるみのクッキーとミルクティーか!」
グレンは顔を綻ばせてさっそくミルクティーを一口、口を湿らせた後はくるみのクッキーをさくりと。甘めのミルクティーと、香ばしいくるみのクッキーが舌を楽しませてくれる。
元から食事量が少なかったグレンは、床に臥せってからますます胃に物が入らなくなってしまった。そこで、1回の食事量を減らして間食を増やす作戦にばあやと料理長は切り替えたらしい。ちなみに、ニンジンはグレンのささやかなおねだりをばあやが聞き入れ、当面の間は免除されている。
「ドーヴィも食べるか?」
「いや、俺はいい。お前が満腹で入らないって言うなら貰うが」
「ん、これぐらいなら入るから大丈夫だ」
大き目のクッキー3枚、さくさくとグレンは口に運ぶ。ドーヴィの分は不要だと伝えてあるから、最初からグレン一人分である。その分、ドーヴィは用意して貰ったストレートティーを楽しんだ。
「……ドーヴィ、最近、僕の魔力を取らないけど、いいのか?」
2枚目のクッキーを食べ終えたところで、グレンは少しばかりの不安を滲ませて、ドーヴィの顔色を伺うように問うた。すでに、グレンには自身の体に起きた変化について伝えてある。何しろ、変化前の感覚で魔法を使われたら大事故になってしまうからだ。
他の人間には「まだ魔力が不安定なため」という理由でグレンに魔法を使わせないように伝達してある。
「いやあ、お前の魔力の根源って、まだ俺の魔力なワケよ。さすがに自分の魔力はいらねえかな……」
「な、なるほど」
「そのうち馴染めばお前本来の魔力に取って代わるはずだから……まあ、食うのはそうなってから。だな」
「う、うむ……」
どうやら納得したらしいグレンを横目に、ドーヴィはカップを口に運んだ。クランストン辺境伯の食器と言えば、下手をすればそれだけで平民が一生食うに困らないだろう高級品。言い換えれば、困窮するクランストン辺境伯家に残された貴重な財産でもある。
割ったら大変だよなあ、とドーヴィはのんびり思いながらストレートティーを口に含んだ。……それを人はフラグと言う。
「じゃ、じゃあ! 魔力じゃなくて、僕の、せ、精力はどうだ!?」
「ぶふぉっっ!!」
ドーヴィは盛大に噴いた。盛大にフラグを回収……しそうになったものの、片手から飛び出したカップをもう片方の手で光速でキャッチして事なきを得た。代わりに料理長が丹精込めて用意したストレートティーは芝生に散って行った。
「うわあぁ!?」
盛大に噴きっぷりに驚いたグレンが悲鳴を上げて立ち上がり、その様子を異常だと判断したメイドと護衛がわらわらと集まってくる。ドーヴィの世間体も散った。
会話自体はドーヴィが事前に魔法を貼ってあったから聞かれてはいないが……とりあえずドーヴィはゲホゲホと咽ながらも「少し虫に驚いただけ」とかなり苦しい言い訳をしておいた。周囲の目がどことなく生ぬるいのは気のせいだと信じたい。
メイドや護衛が元の場所に戻って行き、東屋にはまたドーヴィとグレンの二人だけになる。
「グレン、お前な……お前、なんつーことを……」
「だ、だって! 前に言ってたじゃないか、魔力があるから精力はいらないって! だから、魔力がないなら精力が必要かなって!」
顔を赤くして、グレンは勢いよく言い放った。確かに、確かにその通りである。が、ドーヴィは別に、両方なくても死にはしないし、グレンの元を離れるつもりもない。空腹が100年単位で続けばさすがに辟易とはするが、数か月程度なら全く影響はないのだ。
「……もしかしてドーヴィ、どこかで僕以外の人から魔力貰うか、精力貰ってる……?」
「貰ってねえよ!? 俺はお前だけだって言っただろうが!」
「むぅ」
なぜ自分が浮気男のような言い訳を口に出さなければならないのか。ドーヴィがそう思えども、グレンが『浮気男』を見る目つきでドーヴィを見るのは終わらない。
「あのな、人間は食事を毎日するだろうが、悪魔は数十年程度なら食べなくても全然平気なんだよ」
「へー……?」
「嘘じゃねえって! つまみ食いもしてねえからな!?」
「ふーん?」
じーっとグレンはドーヴィを見ていたが……そのうちドーヴィの必死な様子にようやく満足したのか、うん、と一つ頷いてくるみクッキーに手を伸ばした。
「冗談だ」
「嘘つけ本気だっただろ」
「……うん、ちょっと本気だった」
グレンは面白そうに肩を震わせて笑い、ミルクティーが無くなったカップに視線を落とす。
「疑ってすまない。なんだか、不安になってしまって」
急にしょぼくれたグレンを見て、ドーヴィはなるほどとようやく合点がいった。精神体で触れ合っていた頃は、お互いに一切の混じりけ無く直接気持ちを交わすことができた。それが、こうして肉体を持ってしまうと……相手の気持ちが急に見えなくなって不安になったのだろう。
それに、グレンの精神が持ち直したとは言え、致命傷を負って休息を必要としたのも事実。体だけでなく、そちらのリハビリも、必要そうだった。
「まあ、不安になって一人で抱え込まれるより、そうやって聞いてもらえた方が俺はありがたいし、お前もすっきりするだろ?」
ドーヴィはそっと周囲に幻惑の魔法を張る。体を流れる魔力の質が変異したことで敏感になったグレンもすぐに魔法の発動に気が付いた。
「気にすんな」
「……ありがとう」
椅子から立ち上がったドーヴィは、不安そうに瞳を揺らすグレンのそばへ回り込み、すっかり痩せてしまった細い肩を抱き寄せた。そのまま、つむじから鼻先から、あちこちに口づけの雨を降らせる。グレンはくすぐったそうに身を捩らせている。
ちゅ、と唇にリップ音を立てて口づければ、今度はグレンがドーヴィの首に手を回して自ら唇を押し付けた。ドーヴィに比べれば、ずいぶんと下手で拙い口づけだが……それもまた、可愛らしく、愛らしい。
「お前が18歳になったら、覚えてろよ」
「!」
「こんだけ俺の事を誘いまくって、タダで済ませるわけねえだろ」
ドーヴィが獰猛に笑ってグレンの鼻先を甘噛みした。顔を離せば、グレンは耳まで真っ赤に染めてふるふると震えている。……この程度で真っ赤になるのに、どうしてあんなにも上手くドーヴィを煽るのだろう。
(やっぱりもう襲ってもいいんじゃないかな天使どもも俺らの存在を見逃すって言ってたしな)
煽られたドーヴィは難しい話を全部頭から飛ばして、今すぐここでグレンを押し倒すか迷い――ギリギリで理性が勝って、何とか踏み止まった。
こほん、と咳払いしてドーヴィは煩悩を振り払った。そろそろ二つ名から性が取れて愛の悪魔になってしまうかもしれない。……それより先に子守の悪魔になりそうだがそれはそれとして。
グレンは照れているのか嬉しかったのか、頬を可愛らしい桃色に染めつつ、残ったクッキーを口に入れている。
(……とは言え、こう言う事に気が回る様になって、歩く方も距離が伸びて、となれば……そろそろ、話した方が良さそうだな)
例の計画を。
既に、執事のアーノルドとメイド長のフローレンスには詳細を。そして、信頼のおける元騎士団長や筆頭補佐官には、アーノルドから概要の説明が済んでいる。
ケチャが書かせると言っていたマスティリ帝国第五王子・アルチェロからの親書も届いた。
あとは、グレンをその気にさせるだけ。
ケチャの言ったとおりに、ドーヴィの説得に全てがかかっている状況であった。
----
だからこの作品ははラブコメなの!!!!(主人公死んでますが????
前話が少な目だったのとお気に入り30件突破で調子に乗りました。
今週どっかで更新なかったらこいつ力尽きたなと思ってください。
お気に入りありがとうございます!とても嬉しいです!
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クランストン辺境城内にある庭園にて。グレンはドーヴィの手を借りながら、ゆっくりと散歩をしていた。太陽の光が気持ちよい。ばあやお手製の眼帯は右目全体を覆い隠し、太陽の光もしっかりと遮っている。
グレンが目覚めたのは、昏睡状態に陥ってから1か月が経過しようと言う頃だった。その間に落ちた体力を取り戻すべく、ベッドの上で執務をある程度こなしたらこうしてドーヴィを伴って庭園を散歩するのが日課になっている。
「よいしょっと」
小さな段差でも、今のグレンにはなかなかに大変だ。しかし、その苦労もそれはそれで、自分の足で立っている自覚が湧いて面白い、とグレンは思っている。……あの時、どうしてあれだけ自分の体を異形のものに作り変えて楽しんでいたのか、今となっては不思議な気分だ。
庭園にある小さな東屋、先にメイド達が休憩用の茶菓子を用意してくれてあった。ドーヴィとグレンが到着したのを見て、メイド達は頭を小さく下げてから東屋を後にする。
ドーヴィが椅子を引き、グレンは腰を下ろした。そして大きく息を吐く。
「はぁー疲れた」
「この距離で疲れるようじゃまだまだだな」
「先生が無理しない程度に散歩をしなさいと言う理由がよくわかるよ。なるべく早く、体力を戻したいところだ」
「まあそう焦んなよ」
ドーヴィはそう言ってぽんぽん、とグレンの頭を撫でてからグレンの向かい側の椅子に座った。本来、護衛は主の後ろに立つもの。しかし、グレンたっての希望でドーヴィは同席を許されていた。
(ぶっちゃけ、鋭いやつらにはもう関係もバレてんだよな……)
幸いにしてここガゼッタ王国では同性の恋愛も禁忌ではない。他の国では許されないところもあるが……貴族当主のスキャンダル、とはならないことに執事のじいやもホッと安堵しているだろう。
「今日は……おお、くるみのクッキーとミルクティーか!」
グレンは顔を綻ばせてさっそくミルクティーを一口、口を湿らせた後はくるみのクッキーをさくりと。甘めのミルクティーと、香ばしいくるみのクッキーが舌を楽しませてくれる。
元から食事量が少なかったグレンは、床に臥せってからますます胃に物が入らなくなってしまった。そこで、1回の食事量を減らして間食を増やす作戦にばあやと料理長は切り替えたらしい。ちなみに、ニンジンはグレンのささやかなおねだりをばあやが聞き入れ、当面の間は免除されている。
「ドーヴィも食べるか?」
「いや、俺はいい。お前が満腹で入らないって言うなら貰うが」
「ん、これぐらいなら入るから大丈夫だ」
大き目のクッキー3枚、さくさくとグレンは口に運ぶ。ドーヴィの分は不要だと伝えてあるから、最初からグレン一人分である。その分、ドーヴィは用意して貰ったストレートティーを楽しんだ。
「……ドーヴィ、最近、僕の魔力を取らないけど、いいのか?」
2枚目のクッキーを食べ終えたところで、グレンは少しばかりの不安を滲ませて、ドーヴィの顔色を伺うように問うた。すでに、グレンには自身の体に起きた変化について伝えてある。何しろ、変化前の感覚で魔法を使われたら大事故になってしまうからだ。
他の人間には「まだ魔力が不安定なため」という理由でグレンに魔法を使わせないように伝達してある。
「いやあ、お前の魔力の根源って、まだ俺の魔力なワケよ。さすがに自分の魔力はいらねえかな……」
「な、なるほど」
「そのうち馴染めばお前本来の魔力に取って代わるはずだから……まあ、食うのはそうなってから。だな」
「う、うむ……」
どうやら納得したらしいグレンを横目に、ドーヴィはカップを口に運んだ。クランストン辺境伯の食器と言えば、下手をすればそれだけで平民が一生食うに困らないだろう高級品。言い換えれば、困窮するクランストン辺境伯家に残された貴重な財産でもある。
割ったら大変だよなあ、とドーヴィはのんびり思いながらストレートティーを口に含んだ。……それを人はフラグと言う。
「じゃ、じゃあ! 魔力じゃなくて、僕の、せ、精力はどうだ!?」
「ぶふぉっっ!!」
ドーヴィは盛大に噴いた。盛大にフラグを回収……しそうになったものの、片手から飛び出したカップをもう片方の手で光速でキャッチして事なきを得た。代わりに料理長が丹精込めて用意したストレートティーは芝生に散って行った。
「うわあぁ!?」
盛大に噴きっぷりに驚いたグレンが悲鳴を上げて立ち上がり、その様子を異常だと判断したメイドと護衛がわらわらと集まってくる。ドーヴィの世間体も散った。
会話自体はドーヴィが事前に魔法を貼ってあったから聞かれてはいないが……とりあえずドーヴィはゲホゲホと咽ながらも「少し虫に驚いただけ」とかなり苦しい言い訳をしておいた。周囲の目がどことなく生ぬるいのは気のせいだと信じたい。
メイドや護衛が元の場所に戻って行き、東屋にはまたドーヴィとグレンの二人だけになる。
「グレン、お前な……お前、なんつーことを……」
「だ、だって! 前に言ってたじゃないか、魔力があるから精力はいらないって! だから、魔力がないなら精力が必要かなって!」
顔を赤くして、グレンは勢いよく言い放った。確かに、確かにその通りである。が、ドーヴィは別に、両方なくても死にはしないし、グレンの元を離れるつもりもない。空腹が100年単位で続けばさすがに辟易とはするが、数か月程度なら全く影響はないのだ。
「……もしかしてドーヴィ、どこかで僕以外の人から魔力貰うか、精力貰ってる……?」
「貰ってねえよ!? 俺はお前だけだって言っただろうが!」
「むぅ」
なぜ自分が浮気男のような言い訳を口に出さなければならないのか。ドーヴィがそう思えども、グレンが『浮気男』を見る目つきでドーヴィを見るのは終わらない。
「あのな、人間は食事を毎日するだろうが、悪魔は数十年程度なら食べなくても全然平気なんだよ」
「へー……?」
「嘘じゃねえって! つまみ食いもしてねえからな!?」
「ふーん?」
じーっとグレンはドーヴィを見ていたが……そのうちドーヴィの必死な様子にようやく満足したのか、うん、と一つ頷いてくるみクッキーに手を伸ばした。
「冗談だ」
「嘘つけ本気だっただろ」
「……うん、ちょっと本気だった」
グレンは面白そうに肩を震わせて笑い、ミルクティーが無くなったカップに視線を落とす。
「疑ってすまない。なんだか、不安になってしまって」
急にしょぼくれたグレンを見て、ドーヴィはなるほどとようやく合点がいった。精神体で触れ合っていた頃は、お互いに一切の混じりけ無く直接気持ちを交わすことができた。それが、こうして肉体を持ってしまうと……相手の気持ちが急に見えなくなって不安になったのだろう。
それに、グレンの精神が持ち直したとは言え、致命傷を負って休息を必要としたのも事実。体だけでなく、そちらのリハビリも、必要そうだった。
「まあ、不安になって一人で抱え込まれるより、そうやって聞いてもらえた方が俺はありがたいし、お前もすっきりするだろ?」
ドーヴィはそっと周囲に幻惑の魔法を張る。体を流れる魔力の質が変異したことで敏感になったグレンもすぐに魔法の発動に気が付いた。
「気にすんな」
「……ありがとう」
椅子から立ち上がったドーヴィは、不安そうに瞳を揺らすグレンのそばへ回り込み、すっかり痩せてしまった細い肩を抱き寄せた。そのまま、つむじから鼻先から、あちこちに口づけの雨を降らせる。グレンはくすぐったそうに身を捩らせている。
ちゅ、と唇にリップ音を立てて口づければ、今度はグレンがドーヴィの首に手を回して自ら唇を押し付けた。ドーヴィに比べれば、ずいぶんと下手で拙い口づけだが……それもまた、可愛らしく、愛らしい。
「お前が18歳になったら、覚えてろよ」
「!」
「こんだけ俺の事を誘いまくって、タダで済ませるわけねえだろ」
ドーヴィが獰猛に笑ってグレンの鼻先を甘噛みした。顔を離せば、グレンは耳まで真っ赤に染めてふるふると震えている。……この程度で真っ赤になるのに、どうしてあんなにも上手くドーヴィを煽るのだろう。
(やっぱりもう襲ってもいいんじゃないかな天使どもも俺らの存在を見逃すって言ってたしな)
煽られたドーヴィは難しい話を全部頭から飛ばして、今すぐここでグレンを押し倒すか迷い――ギリギリで理性が勝って、何とか踏み止まった。
こほん、と咳払いしてドーヴィは煩悩を振り払った。そろそろ二つ名から性が取れて愛の悪魔になってしまうかもしれない。……それより先に子守の悪魔になりそうだがそれはそれとして。
グレンは照れているのか嬉しかったのか、頬を可愛らしい桃色に染めつつ、残ったクッキーを口に入れている。
(……とは言え、こう言う事に気が回る様になって、歩く方も距離が伸びて、となれば……そろそろ、話した方が良さそうだな)
例の計画を。
既に、執事のアーノルドとメイド長のフローレンスには詳細を。そして、信頼のおける元騎士団長や筆頭補佐官には、アーノルドから概要の説明が済んでいる。
ケチャが書かせると言っていたマスティリ帝国第五王子・アルチェロからの親書も届いた。
あとは、グレンをその気にさせるだけ。
ケチャの言ったとおりに、ドーヴィの説得に全てがかかっている状況であった。
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