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本編
54)グレン、はじめての……
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ふーむ、と悩みながらドーヴィはグレンの全身を観察する。観察と言ってもインキュバスとしての固有能力を使った特殊な観察だ。
何しろ、歪な形で精通を迎え、それ以降そういった物事を全て遠ざけてきた上に、栄養不足やら過労やらで十分に成長しきれなかった未成熟な体だ。
このままドーヴィが人外のテクニックで快楽漬けにしたとして、その先を自然に迎えられるかはわからない。
「ぁ……? どーう゛ぃ……?」
ドーヴィの責めが止まった事を不審に思ったグレンがぐすりと鼻を鳴らしながら舌っ足らずにドーヴィの名前を呼んだ。縋るような視線を受け、ドーヴィは柔らかくグレンに笑いかける。
「ちょいとお前の体の様子を確認していたんだ」
「ぅ……ぼ、ぼくは……」
グレンも既に自分の体が健康的な成人男性の体とは違う事を知っている。ドーヴィはいつでも、ゆっくりでいい、俺は気にしない、とグレンに語り掛けてくれるが……グレンとしては、忸怩たる思いを抱えていた。
グレンがドーヴィにたくさん世話をして貰って、良い物を食べさせて貰って。だったら、ドーヴィにもたくさん良い物を食べて貰いたいし、美味しい物を楽しんで欲しい。なのに、それが自分の体のせいで……不出来で不味い物を我慢して食べているのではないかと……グレンは常々そう思っているのだ。
不安そうに瞳を揺らして、グレンはドーヴィの顔を見る。ドーヴィは相変わらず、優しい顔をしていた。ドーヴィはどこまでいっても自分の事を信じて支えてくれるのに、グレンはやっぱりドーヴィに何も返せていない。
「ドーヴィ、僕の体は……」
「ん、まあ今の状況じゃここから出すのはまだ難しそうだな」
ドーヴィはそう言って固くなっていたグレンの股間に手を伸ばし、さわさわと撫でる。……先ほどまでは元気に固くなっていたのに、グレンの精神が揺らいだことであっという間に硬さを失って、柔らかくなってしまっていた。
すっかり萎れた状態のものをドーヴィは内心でだけ面白く思いつつ、グレンの体を抱え上げる。
「ドーヴィ……その、ドーヴィは……」
「なんだ?」
「ドーヴィは、僕のこと、ちゃんと美味しく食べられているのか? やっぱり、僕の変な体じゃ、不味くて……無理して我慢して食べてるんじゃないかって……」
膝に乗せたグレンが、ドーヴィに抱き着いて涙声のままに、思いの丈を訴えた。ドーヴィはそれを聞き入れ、グレンの顔を覗き込む。涙に濡れた赤紫の片目に、室内の明かりが小さくきらめいていた。
「そんなこと心配してたのかよ」
「だ、だって……僕、ドーヴィが他の人と……他の人と、僕としてることみたいなのやるの、嫌だって言ったけど……本当はドーヴィが僕のこと不味いって思ってて、もっと美味しい人の事食べたかったのかもって……今、思って……」
普段の、大人びた貴族らしい堂々とした喋り方からは考えられないほどにたどたどしく、幼い口調でグレンは必死に自分が感じたこと、思ったことをドーヴィに伝えようとする。
……グレンは、幼き頃からあまり対人環境に恵まれてこなかった。それどころか、多感な時期には何を話しても全て頭ごなしに否定され、嘲笑され、踏み躙られ続けてきた。
貴族としての、どこか一歩引いた立場からのコミュニケーションはできる。グレン個人となって、他人に赤裸々に自らの欲望を曝け出すことや、自分がやりたいように誰かに甘えることなどとなると、一気に苦手になるようだった。
それは反乱の前からドーヴィも重々わかっていたこと。あの時から、多少改善されたとはいえ……いや、改善されたからこそ、今、こうやってドーヴィに一生懸命、自分の事を話そうとしているのだろう。
「グレン」
ドーヴィはそんな不器用で可愛らしい契約主を強く抱きしめ、静かに名前を呼んだ。グレンの肩がびくりと跳ねたのは、きっと恐怖だ。
ドーヴィは優しく、そして絶対にグレンを腕の中から逃がさないようにと抱きしめる力を強める。
「何回でも言うが、俺にとっちゃお前が一番、世界で一番美味い人間なんだよ」
「う……でも……」
「そうだな。お前の体はちっと不健康で……その点で言えば、味はいいんだが摂取効率はかなり悪いんだよなぁ」
「ううっ」
ズバリ、とドーヴィに欠点を言われ、グレンは小さく呻いた。そしてまるでドーヴィから隠れるかのように、身を丸めてきゅうとドーヴィの分厚い胸板に顔を埋めている。隠れる先が自分の胸と言うのも、悪くないものだ、とドーヴィは思う。
ドーヴィはそんなグレンの頭を撫でながら、クックックと笑う。
「で、そうなると、俺がいくら『気にしてない』と言ってもお前は申し訳ない気持ちが強くなって、にっちもさっちもいかなくなるわけだ」
「ぐぅ」
グレンが言語化できなかったことを、ドーヴィは的確に言葉にして表した。改めてそう言われて、グレンは変な呻き声を上げて顔を歪ませる。
申し訳ないと思っている、ドーヴィを解放して美味しい人間を自由に食べられるようにするべきだと思っている。
だけれども。
だけれども、同時に、グレンはドーヴィが自分以外の誰かとこういった事をするのは嫌だ。そういう事をしてるかも、と思うだけでも、グレンはなんだかイライラしてくるし、魔力も乱れてしまう。
相反する二つの思い、理性と本能の間で、グレンはドーヴィが言ったとおりにいつも『にっちもさっちも』いかなくなってしまうのだ。
ドーヴィが笑っている振動がグレンに伝わってくる。自分の子供っぽさを笑われているのだろうが……この笑いは嫌いではなかった。まるで「そんなことで悩んでるのかよ」と笑い飛ばしてくれているようで。他の大人たちの、あのグレンを見下した嘲笑とは全然違うものだ。
「さて、そんな契約主様の悩みを解決するいい方法があるんだが、どうだ?」
「いい方法?」
グレンの背中を撫でながら、ドーヴィは面白がるような口調で言った。グレンは、と言えば、唐突に降って湧いた話に目をぱちくりとさせている。
ドーヴィはグレンを抱いたまま片手を宙に突き出し、手のひらを天井へと向けた。すると、その手のひらにふわりとピンク色の光を放つ小さな球が浮かぶ。……ピンク色、と言っても、なんだかいかがわしい方の色だ、可愛くない方の色だ。
「これは魔力じゃなくて、インキュバス固有の能力……を、人間の目にも見えるようにしたものだ」
「……うん」
「さっき、お前は体が熱くて変になるって泣きべそかいてただろ?」
泣きべそ、と言われてグレンは少しだけ頬を膨らませたが、半泣きだったのは本当の事なので文句は言わずに黙っておく。
グレンの妙な拗ね方に気づいたドーヴィはまたしても声を上げて笑い、たまらず可愛すぎる契約主の尖った唇を軽く啄んだ。唇を触れ合わせるささやかな口づけに、グレンの曲がりかけていたへそも真っ直ぐに戻り始める。
「話を戻すぞ。あの熱くて変になるっていう……あれのもう少しだけ先に、とても気持ちいいものが待ってる。ちょっと説明したが射精の女版のようなヤツ」
「う、む……」
ドーヴィの説明に耳を傾けつつ、グレンは頬を恥ずかしそうに赤くして、視線をうろうろと彷徨わせていた。まだまだ恥じらいの強い思春期の少年だった。
「本当はそのまま続けてりゃ自然と絶頂に辿り着くんだが、お前の体じゃ俺のテクニックをもってしても厳しくてな」
「ぅ……すまない……」
「おう、それで、これだ。この光の球をお前が飲み込んでくれりゃ……そうだな、わかりやすく言えば、一時的に大人の体になれる」
グレンにもわかるように、とドーヴィは言葉を選んだが身も蓋もない言い方をすれば単に性感度を爆上げしてイキやすくなる敏感な体にするだけだ。それこそ、処女でも童貞でも一発でイケるような体に。
グレンは言葉を咀嚼して顔を真っ赤にしてから、ドーヴィの手のひらに浮かぶ光の球とドーヴィの顔と自分の体を見比べて、目をまん丸に見開いた。何かを言おうと口を開くが、言葉が出てこない様で酸欠の金魚のごとく、口をぱくぱくとさせている。
「一応お前、天使基準で未成年だからよ。同意を取ってから使おうかと思って」
正直、同意を取ったところで怒られるときは怒られるものだが。まあいきなり手籠めにするよりは、まだマシだろう。
グレンは顔を赤くしたり青くしたり、妙に眉を寄せたり唇を引き結んだり。散々に百面相をした後に、おずおずとドーヴィを見上げて、言った。
「……これを飲んだら、ドーヴィは……僕の事を、美味しく食べてくれるのか?」
「んぐ、言い方がいちいち煽るなお前ってやつは……っ! ああ、そうだとも。美味しく、と言うより、さっき指摘した『摂取効率』が格段に改善される」
「お、おお……!」
ドーヴィはグレンの精力を主食としている。その中でも特に悦びに満ちた快楽によってグレンの体内から沸き起こる精力が一番の好みなのだ。
残念ながら、今のグレンとの乳繰り合い程度ではほんのつまみ程度しか摂取できていない。せめて弱くとも絶頂ぐらい迎えてくれれば、食パン一枚分ぐらいにはなる目算だ。
「グレン、飲んでくれるか?」
わざと。わざと、グレンが答えやすくなるように、ドーヴィは自ら尋ねる。グレンはこういう事を率先して手を出していくタイプではないから。ドーヴィが支え、導いて、ようやくおずおずと手を出すのだ。
「……うん。ちょっとでも、ドーヴィが美味しいって思ってくれるなら……」
グレンはそっと小さな手を差し出し、ドーヴィの手のひらに浮かぶ光の球を両手で包み込んだ。ふわふわと浮かぶその光の球は、グレンの両手の中に移動してくる。不思議と暖かさを感じ、グレンは胸をどきどきさせながら、その光の球をじっと見た。
「これ、飲めばいい?」
「ああ。口に入れれば、自然と吸収される」
……本来は、そういう使い方をするものではないのだが。しかし、グレンには『飲む』という過程をやらせた方が、よりわかりやすいだろうというドーヴィの無駄な配慮だ。ちなみに、歴代の契約主なら問答無用で直接体にぶち込んでいる。こんなささやかな優しい物ではなくてもっと激しくて荒々しい物を。
グレンはごくり、と喉仏の出ていないつるりとした喉を動かしてから、その光の球をゆっくりと口に運んだ。小さな口の中に光が消えていき、そしてまた喉が上下する。
「んっ……」
「ちゃんと飲めたな」
薬でもないのだから。胃に落ちる必要も無く――ドーヴィのインキュバスとしての力は、あっという間にグレンの体を駆け巡って、一瞬にして体を作り変えていく。
「ぁっ……あついっ……」
飲んだ瞬間から、味わった事がないほどに全身が一気に高められてグレンは思わず悲鳴をあげた。何も触られていないはずなのに、さきほどドーヴィからもたらされた様々な快感が再現されていく。
念のために、とグレンの様子を少しばかり観察していたドーヴィは、特に問題がないという事を確認してからグレンをベッドの上に転がした。
それだけで服の生地が擦れて感じたのか、グレンが小さく喘ぐ。見れば股間はすでにテントを張っており、胸の小さな飾りも薄い生地を押し上げてぷくりと膨らんでいる。
「大人のエッチな体、どうだ?」
「どう、って……あっ、や、ドーヴィっ! んっ!」
欲しがっているあちこちの膨らみをドーヴィは順に触りつつ、ドーヴィの後ろの穴へと指を這わせた。
ドーヴィの予想通り、そこは服の上からでもわかるほどに柔らかくなっており、ドーヴィの爪先程度を緩く飲み込んでくれる。
「ひゃっ! どこ触って……あぁっ! ひっ!」
緩慢にドーヴィの手から逃げようとするグレンの腰をドーヴィはがっしりと掴み、くちくちと後ろの穴の縁を弄り倒す。どんどん柔らかくなっていく魅惑の穴は、このまま指すら飲み込んでしまいそうでー―と言ったところで、ドーヴィは首を振った。
(あぶねえ、さすがにこれ突っ込んだらやべえわ)
インキュバスをも夢中にさせるグレンの体は実に恐ろしい。危うく、我を失って本当に大人の階段を上らせるところだった。
「んぅ……ぁ……ふぁ、あ……」
引き続き、後ろをほどほどに弄りつつ、ドーヴィは胸の飾りに手を伸ばす。この後はもう股間は触らない。
グレンの射精はある意味で、トラウマの再現であり……それは、本当にグレンが精神的に立ち直ってから、自らの力で過去と決別するべきだとドーヴィは思うのだ。ある種、儀式めいたものだろう。
だから、そっちはまたそのうち。今日はドーヴィがもたらした力で、人工的に気持ち良く高みに昇って貰おう。
「や、あっ……ぅ……どーう゛ぃ、へんに、なるぅ……っ!」
上と下を同時に弄られ、さらにドーヴィの力で強制的に高められた体は、早くも悲鳴を上げ始めていた。グレンは太ももをにじり合わせつつ、快楽に耐えるようにシーツをぎゅうと掴んで時折体をびくつかせる。
「変、じゃなくて気持ちいい、な」
きゅっ、とドーヴィの左手がグレンの胸にある突起物を強くひねった。その瞬間、グレンは背中を反らせてベッドの上で跳ねる。さすがに今ので至りはしなかったが、その時は近そうだ。
ドーヴィは舌なめずりをして、熱心にグレンの弱いところを的確に愛撫する。悪魔の、それもインキュバスのテクニックだ。その辺の人間が愛撫するのとはわけが違う。
「あ、あぁ……き、もち、いいっ……や、んっ……ふぁ……」
「いいだろ、気持ちいいだろ。そうだ、我慢はしなくていい、ゆっくりその気持ちいいに体を預ければいい」
「ん、や、ぁ……おかし、くなるっ……ぁっ……」
「おかしなる、じゃなくて」
ドーヴィは身を乗り出して、グレンの耳元に口を寄せた。そして、息を吹きかけるようにして低く艶のある声で囁く。
「イく、って言うんだ。グレン」
「ひぃっ!」
名前を呼ばれ、グレンは目をぎゅっとつぶって甲高く喘いだ。
弱い耳に、大好きなドーヴィの声。上半身も下半身も、ドーヴィに好きなようにされて、何も力が入らない。ぞくぞくするものは止まらなくて、どこまでもグレンを絡めとって怖いものに沈めようとしてくる。
「ぁ……どーう゛ぃ……っ! や、あっ……んぅっ!」
「いいぞ、イくのは怖い事じゃない。ちゃんと俺が一緒にいる。俺がお前をイカせるんだから……何も怖い事はねえだろ」
「ふぁ、あっ、は、はぁっ!」
何も怖い事はない、ドーヴィが一緒にいる。それを何度も繰り返され、グレンは……生理的に涙をぽろぽろと流しながらも、抵抗するように強張っていた全身の力を徐々に抜き始めた。
「うっ、ぁ……ふ、ぅ……」
何度も喘ぎ、酸素を欲し。ドーヴィが触ってくれる場所から湧き上がってくる『気持ちいい』を、今度は自分から拾い集め。
「ぁ……イ、イくっ……!」
自然と、グレンの口から言葉が出た。そのタイミングに合わせて、ドーヴィはグレンの胸にある敏感な飾りを強く捻り摘まんだ。
「あ、あぁぁっ!!」
大きな嬌声と共にグレンの体が激しく痙攣する。ぎゅっと瞑られた目からは涙が滴り落ち、開いた口の端からは唾液が垂れた。
びくつくグレンの体からドーヴィは手を離し、これ以上刺激を与えないようにしつつグレンの様子を見守った。……しばらくして、グレンが全身を脱力させてしゃくりあげながらベッドの上に大の字になる。
「……ん、上手にイケたな」
「ふぁ……」
ドーヴィの声に、グレンはまぶたを上げてとろんと蕩けきった瞳で返した。どこか焦点の合っていない視線を受け、ドーヴィは苦笑しながら頑張った契約主を労うように、そっと前髪を掴んで口づけをする。
「ん、ぐ……ぁ……」
「ゆっくり深呼吸をしろ。そうだ、大丈夫だ……もうちょっと落ち着いたら、水を飲むといい」
「ん、んん……」
くたりとしたグレンが、ドーヴィに向かって手を伸ばす。……どうやら、契約主様はベッドがお好みではなく、この悪魔めの膝をご所望らしい。
ドーヴィは喉奥で笑いながら、そっとグレンを抱え上げた。ふわりと立ち上る汗ばんだグレンの体臭が、ドーヴィの鼻をくすぐる。インキュバスであるドーヴィにとっては、何よりも好ましい性の香りだ。
思わず、胸いっぱいに吸い込むドーヴィ。食パン一枚分の精力では全く足りないのだから、これぐらいは添え物として許して欲しい。
「んぁ……どーう゛ぃ……へん、なった……」
「ククク、変、じゃなくてイッた、だ。気持ち良かっただろう?」
回らない舌で話しかけてくるグレンに、ドーヴィはここぞとばかりに性教育を施す。こうでもしなければ、いつまで経ってもグレンは性行為を「変な事」としか認識できないだろう。貴族としてそれで良くても、ドーヴィとしてはそれでは困るのだ。
「きもち、よかった……すごかった……」
「そりゃあ良かった。どうだ、前と違って、ぼんやりはするだろうけどすっきりした感じもあるか?」
うん、とグレンは小さく頷いた。初めての射精を伴わない絶頂で、疲労感は強いだろうがいつものモヤモヤとした寸止めからは解放されてすっきりしたはず。ドーヴィのその予想はしっかりと当たっていた。
ぐず、と鼻を鳴らしつつ、グレンは緩慢に頭を動かしてドーヴィの肩口に頭を預ける。全くもって大きな赤ちゃんだ、と思いながらもドーヴィはそんなグレンを抱え直して背中をゆっくりと落ち着かせるように摩った。
「どーう゛ぃ……」
「なんだ?」
「おいしかった?」
「くっ、それかよ……もちろん、美味しかったさ。最高だ」
くふん、とグレンが満足げに鼻を鳴らす音がドーヴィの耳に届く。これで少しはグレンの自尊心のようなものが元気になるなら、安いものだ。むしろドーヴィとしては美味しい精力も摂取できて一石二鳥だとも。
「おなか、いっぱいになった?」
どこか弾んだ声で、グレンがドーヴィに尋ねる。
……言えない、全然足りないとは言えない。かといって嘘でもつけば今のグレンには見破られそうだし、本当の事を言えばそれはそれでショックを受けるだろうし。
ドーヴィは全力で頭を働かせる。そして導き出した答えは。
「おう、健康的な分量でいい感じだったぜ。大満足だ」
満腹とは、言っていない。腹一分目ぐらいだが、まあ……まあ、おやつを食べたと思えば、ちょうど良い分量なのだ、うん。そして大満足なのは本当の事。
「ふふ……よかった……」
そうむにゃむにゃと言ったグレンからは、すぐにすぅすぅと寝息が聞こえ始めた。
「……いいんだけどよ、別に……」
そんなに体力を使ったのだろうかと思いつつも、初めての体験であり、やはり悪魔の力で体を作り変えた分の反動が来たのだろう、とドーヴィは思っておくことにした。
ぱちん、と指を鳴らしてドーヴィはグレンの汗やら体液やらを魔法できれいさっぱり洗浄し、ベッドに改めて転がす。
「グレン、いい夢を。せっかくだから、最高にエロい夢でも見てくれよな」
毛布を掛け、穏やかな顔で眠るグレンの額にドーヴィはおやすみのキスを落とした。
---
アンケにまさかの票が入っていたので!
ここは女の子で!
いちゃえちした!!!
メスイキ気持ち良すぎてそのまま寝落ちするグレンくん可愛いですよ可愛すぎますしとんでもエロエロボディだ
(そろそろR15で済まされなくなってきた気が……)
文字数的に実は2話分ぐらいあるんだけど切れ目もわからんし大ボリュームいちゃえちしたかったのでガツンと投稿しました
長くてすみません
明日は用事があるので更新ないと思います
何しろ、歪な形で精通を迎え、それ以降そういった物事を全て遠ざけてきた上に、栄養不足やら過労やらで十分に成長しきれなかった未成熟な体だ。
このままドーヴィが人外のテクニックで快楽漬けにしたとして、その先を自然に迎えられるかはわからない。
「ぁ……? どーう゛ぃ……?」
ドーヴィの責めが止まった事を不審に思ったグレンがぐすりと鼻を鳴らしながら舌っ足らずにドーヴィの名前を呼んだ。縋るような視線を受け、ドーヴィは柔らかくグレンに笑いかける。
「ちょいとお前の体の様子を確認していたんだ」
「ぅ……ぼ、ぼくは……」
グレンも既に自分の体が健康的な成人男性の体とは違う事を知っている。ドーヴィはいつでも、ゆっくりでいい、俺は気にしない、とグレンに語り掛けてくれるが……グレンとしては、忸怩たる思いを抱えていた。
グレンがドーヴィにたくさん世話をして貰って、良い物を食べさせて貰って。だったら、ドーヴィにもたくさん良い物を食べて貰いたいし、美味しい物を楽しんで欲しい。なのに、それが自分の体のせいで……不出来で不味い物を我慢して食べているのではないかと……グレンは常々そう思っているのだ。
不安そうに瞳を揺らして、グレンはドーヴィの顔を見る。ドーヴィは相変わらず、優しい顔をしていた。ドーヴィはどこまでいっても自分の事を信じて支えてくれるのに、グレンはやっぱりドーヴィに何も返せていない。
「ドーヴィ、僕の体は……」
「ん、まあ今の状況じゃここから出すのはまだ難しそうだな」
ドーヴィはそう言って固くなっていたグレンの股間に手を伸ばし、さわさわと撫でる。……先ほどまでは元気に固くなっていたのに、グレンの精神が揺らいだことであっという間に硬さを失って、柔らかくなってしまっていた。
すっかり萎れた状態のものをドーヴィは内心でだけ面白く思いつつ、グレンの体を抱え上げる。
「ドーヴィ……その、ドーヴィは……」
「なんだ?」
「ドーヴィは、僕のこと、ちゃんと美味しく食べられているのか? やっぱり、僕の変な体じゃ、不味くて……無理して我慢して食べてるんじゃないかって……」
膝に乗せたグレンが、ドーヴィに抱き着いて涙声のままに、思いの丈を訴えた。ドーヴィはそれを聞き入れ、グレンの顔を覗き込む。涙に濡れた赤紫の片目に、室内の明かりが小さくきらめいていた。
「そんなこと心配してたのかよ」
「だ、だって……僕、ドーヴィが他の人と……他の人と、僕としてることみたいなのやるの、嫌だって言ったけど……本当はドーヴィが僕のこと不味いって思ってて、もっと美味しい人の事食べたかったのかもって……今、思って……」
普段の、大人びた貴族らしい堂々とした喋り方からは考えられないほどにたどたどしく、幼い口調でグレンは必死に自分が感じたこと、思ったことをドーヴィに伝えようとする。
……グレンは、幼き頃からあまり対人環境に恵まれてこなかった。それどころか、多感な時期には何を話しても全て頭ごなしに否定され、嘲笑され、踏み躙られ続けてきた。
貴族としての、どこか一歩引いた立場からのコミュニケーションはできる。グレン個人となって、他人に赤裸々に自らの欲望を曝け出すことや、自分がやりたいように誰かに甘えることなどとなると、一気に苦手になるようだった。
それは反乱の前からドーヴィも重々わかっていたこと。あの時から、多少改善されたとはいえ……いや、改善されたからこそ、今、こうやってドーヴィに一生懸命、自分の事を話そうとしているのだろう。
「グレン」
ドーヴィはそんな不器用で可愛らしい契約主を強く抱きしめ、静かに名前を呼んだ。グレンの肩がびくりと跳ねたのは、きっと恐怖だ。
ドーヴィは優しく、そして絶対にグレンを腕の中から逃がさないようにと抱きしめる力を強める。
「何回でも言うが、俺にとっちゃお前が一番、世界で一番美味い人間なんだよ」
「う……でも……」
「そうだな。お前の体はちっと不健康で……その点で言えば、味はいいんだが摂取効率はかなり悪いんだよなぁ」
「ううっ」
ズバリ、とドーヴィに欠点を言われ、グレンは小さく呻いた。そしてまるでドーヴィから隠れるかのように、身を丸めてきゅうとドーヴィの分厚い胸板に顔を埋めている。隠れる先が自分の胸と言うのも、悪くないものだ、とドーヴィは思う。
ドーヴィはそんなグレンの頭を撫でながら、クックックと笑う。
「で、そうなると、俺がいくら『気にしてない』と言ってもお前は申し訳ない気持ちが強くなって、にっちもさっちもいかなくなるわけだ」
「ぐぅ」
グレンが言語化できなかったことを、ドーヴィは的確に言葉にして表した。改めてそう言われて、グレンは変な呻き声を上げて顔を歪ませる。
申し訳ないと思っている、ドーヴィを解放して美味しい人間を自由に食べられるようにするべきだと思っている。
だけれども。
だけれども、同時に、グレンはドーヴィが自分以外の誰かとこういった事をするのは嫌だ。そういう事をしてるかも、と思うだけでも、グレンはなんだかイライラしてくるし、魔力も乱れてしまう。
相反する二つの思い、理性と本能の間で、グレンはドーヴィが言ったとおりにいつも『にっちもさっちも』いかなくなってしまうのだ。
ドーヴィが笑っている振動がグレンに伝わってくる。自分の子供っぽさを笑われているのだろうが……この笑いは嫌いではなかった。まるで「そんなことで悩んでるのかよ」と笑い飛ばしてくれているようで。他の大人たちの、あのグレンを見下した嘲笑とは全然違うものだ。
「さて、そんな契約主様の悩みを解決するいい方法があるんだが、どうだ?」
「いい方法?」
グレンの背中を撫でながら、ドーヴィは面白がるような口調で言った。グレンは、と言えば、唐突に降って湧いた話に目をぱちくりとさせている。
ドーヴィはグレンを抱いたまま片手を宙に突き出し、手のひらを天井へと向けた。すると、その手のひらにふわりとピンク色の光を放つ小さな球が浮かぶ。……ピンク色、と言っても、なんだかいかがわしい方の色だ、可愛くない方の色だ。
「これは魔力じゃなくて、インキュバス固有の能力……を、人間の目にも見えるようにしたものだ」
「……うん」
「さっき、お前は体が熱くて変になるって泣きべそかいてただろ?」
泣きべそ、と言われてグレンは少しだけ頬を膨らませたが、半泣きだったのは本当の事なので文句は言わずに黙っておく。
グレンの妙な拗ね方に気づいたドーヴィはまたしても声を上げて笑い、たまらず可愛すぎる契約主の尖った唇を軽く啄んだ。唇を触れ合わせるささやかな口づけに、グレンの曲がりかけていたへそも真っ直ぐに戻り始める。
「話を戻すぞ。あの熱くて変になるっていう……あれのもう少しだけ先に、とても気持ちいいものが待ってる。ちょっと説明したが射精の女版のようなヤツ」
「う、む……」
ドーヴィの説明に耳を傾けつつ、グレンは頬を恥ずかしそうに赤くして、視線をうろうろと彷徨わせていた。まだまだ恥じらいの強い思春期の少年だった。
「本当はそのまま続けてりゃ自然と絶頂に辿り着くんだが、お前の体じゃ俺のテクニックをもってしても厳しくてな」
「ぅ……すまない……」
「おう、それで、これだ。この光の球をお前が飲み込んでくれりゃ……そうだな、わかりやすく言えば、一時的に大人の体になれる」
グレンにもわかるように、とドーヴィは言葉を選んだが身も蓋もない言い方をすれば単に性感度を爆上げしてイキやすくなる敏感な体にするだけだ。それこそ、処女でも童貞でも一発でイケるような体に。
グレンは言葉を咀嚼して顔を真っ赤にしてから、ドーヴィの手のひらに浮かぶ光の球とドーヴィの顔と自分の体を見比べて、目をまん丸に見開いた。何かを言おうと口を開くが、言葉が出てこない様で酸欠の金魚のごとく、口をぱくぱくとさせている。
「一応お前、天使基準で未成年だからよ。同意を取ってから使おうかと思って」
正直、同意を取ったところで怒られるときは怒られるものだが。まあいきなり手籠めにするよりは、まだマシだろう。
グレンは顔を赤くしたり青くしたり、妙に眉を寄せたり唇を引き結んだり。散々に百面相をした後に、おずおずとドーヴィを見上げて、言った。
「……これを飲んだら、ドーヴィは……僕の事を、美味しく食べてくれるのか?」
「んぐ、言い方がいちいち煽るなお前ってやつは……っ! ああ、そうだとも。美味しく、と言うより、さっき指摘した『摂取効率』が格段に改善される」
「お、おお……!」
ドーヴィはグレンの精力を主食としている。その中でも特に悦びに満ちた快楽によってグレンの体内から沸き起こる精力が一番の好みなのだ。
残念ながら、今のグレンとの乳繰り合い程度ではほんのつまみ程度しか摂取できていない。せめて弱くとも絶頂ぐらい迎えてくれれば、食パン一枚分ぐらいにはなる目算だ。
「グレン、飲んでくれるか?」
わざと。わざと、グレンが答えやすくなるように、ドーヴィは自ら尋ねる。グレンはこういう事を率先して手を出していくタイプではないから。ドーヴィが支え、導いて、ようやくおずおずと手を出すのだ。
「……うん。ちょっとでも、ドーヴィが美味しいって思ってくれるなら……」
グレンはそっと小さな手を差し出し、ドーヴィの手のひらに浮かぶ光の球を両手で包み込んだ。ふわふわと浮かぶその光の球は、グレンの両手の中に移動してくる。不思議と暖かさを感じ、グレンは胸をどきどきさせながら、その光の球をじっと見た。
「これ、飲めばいい?」
「ああ。口に入れれば、自然と吸収される」
……本来は、そういう使い方をするものではないのだが。しかし、グレンには『飲む』という過程をやらせた方が、よりわかりやすいだろうというドーヴィの無駄な配慮だ。ちなみに、歴代の契約主なら問答無用で直接体にぶち込んでいる。こんなささやかな優しい物ではなくてもっと激しくて荒々しい物を。
グレンはごくり、と喉仏の出ていないつるりとした喉を動かしてから、その光の球をゆっくりと口に運んだ。小さな口の中に光が消えていき、そしてまた喉が上下する。
「んっ……」
「ちゃんと飲めたな」
薬でもないのだから。胃に落ちる必要も無く――ドーヴィのインキュバスとしての力は、あっという間にグレンの体を駆け巡って、一瞬にして体を作り変えていく。
「ぁっ……あついっ……」
飲んだ瞬間から、味わった事がないほどに全身が一気に高められてグレンは思わず悲鳴をあげた。何も触られていないはずなのに、さきほどドーヴィからもたらされた様々な快感が再現されていく。
念のために、とグレンの様子を少しばかり観察していたドーヴィは、特に問題がないという事を確認してからグレンをベッドの上に転がした。
それだけで服の生地が擦れて感じたのか、グレンが小さく喘ぐ。見れば股間はすでにテントを張っており、胸の小さな飾りも薄い生地を押し上げてぷくりと膨らんでいる。
「大人のエッチな体、どうだ?」
「どう、って……あっ、や、ドーヴィっ! んっ!」
欲しがっているあちこちの膨らみをドーヴィは順に触りつつ、ドーヴィの後ろの穴へと指を這わせた。
ドーヴィの予想通り、そこは服の上からでもわかるほどに柔らかくなっており、ドーヴィの爪先程度を緩く飲み込んでくれる。
「ひゃっ! どこ触って……あぁっ! ひっ!」
緩慢にドーヴィの手から逃げようとするグレンの腰をドーヴィはがっしりと掴み、くちくちと後ろの穴の縁を弄り倒す。どんどん柔らかくなっていく魅惑の穴は、このまま指すら飲み込んでしまいそうでー―と言ったところで、ドーヴィは首を振った。
(あぶねえ、さすがにこれ突っ込んだらやべえわ)
インキュバスをも夢中にさせるグレンの体は実に恐ろしい。危うく、我を失って本当に大人の階段を上らせるところだった。
「んぅ……ぁ……ふぁ、あ……」
引き続き、後ろをほどほどに弄りつつ、ドーヴィは胸の飾りに手を伸ばす。この後はもう股間は触らない。
グレンの射精はある意味で、トラウマの再現であり……それは、本当にグレンが精神的に立ち直ってから、自らの力で過去と決別するべきだとドーヴィは思うのだ。ある種、儀式めいたものだろう。
だから、そっちはまたそのうち。今日はドーヴィがもたらした力で、人工的に気持ち良く高みに昇って貰おう。
「や、あっ……ぅ……どーう゛ぃ、へんに、なるぅ……っ!」
上と下を同時に弄られ、さらにドーヴィの力で強制的に高められた体は、早くも悲鳴を上げ始めていた。グレンは太ももをにじり合わせつつ、快楽に耐えるようにシーツをぎゅうと掴んで時折体をびくつかせる。
「変、じゃなくて気持ちいい、な」
きゅっ、とドーヴィの左手がグレンの胸にある突起物を強くひねった。その瞬間、グレンは背中を反らせてベッドの上で跳ねる。さすがに今ので至りはしなかったが、その時は近そうだ。
ドーヴィは舌なめずりをして、熱心にグレンの弱いところを的確に愛撫する。悪魔の、それもインキュバスのテクニックだ。その辺の人間が愛撫するのとはわけが違う。
「あ、あぁ……き、もち、いいっ……や、んっ……ふぁ……」
「いいだろ、気持ちいいだろ。そうだ、我慢はしなくていい、ゆっくりその気持ちいいに体を預ければいい」
「ん、や、ぁ……おかし、くなるっ……ぁっ……」
「おかしなる、じゃなくて」
ドーヴィは身を乗り出して、グレンの耳元に口を寄せた。そして、息を吹きかけるようにして低く艶のある声で囁く。
「イく、って言うんだ。グレン」
「ひぃっ!」
名前を呼ばれ、グレンは目をぎゅっとつぶって甲高く喘いだ。
弱い耳に、大好きなドーヴィの声。上半身も下半身も、ドーヴィに好きなようにされて、何も力が入らない。ぞくぞくするものは止まらなくて、どこまでもグレンを絡めとって怖いものに沈めようとしてくる。
「ぁ……どーう゛ぃ……っ! や、あっ……んぅっ!」
「いいぞ、イくのは怖い事じゃない。ちゃんと俺が一緒にいる。俺がお前をイカせるんだから……何も怖い事はねえだろ」
「ふぁ、あっ、は、はぁっ!」
何も怖い事はない、ドーヴィが一緒にいる。それを何度も繰り返され、グレンは……生理的に涙をぽろぽろと流しながらも、抵抗するように強張っていた全身の力を徐々に抜き始めた。
「うっ、ぁ……ふ、ぅ……」
何度も喘ぎ、酸素を欲し。ドーヴィが触ってくれる場所から湧き上がってくる『気持ちいい』を、今度は自分から拾い集め。
「ぁ……イ、イくっ……!」
自然と、グレンの口から言葉が出た。そのタイミングに合わせて、ドーヴィはグレンの胸にある敏感な飾りを強く捻り摘まんだ。
「あ、あぁぁっ!!」
大きな嬌声と共にグレンの体が激しく痙攣する。ぎゅっと瞑られた目からは涙が滴り落ち、開いた口の端からは唾液が垂れた。
びくつくグレンの体からドーヴィは手を離し、これ以上刺激を与えないようにしつつグレンの様子を見守った。……しばらくして、グレンが全身を脱力させてしゃくりあげながらベッドの上に大の字になる。
「……ん、上手にイケたな」
「ふぁ……」
ドーヴィの声に、グレンはまぶたを上げてとろんと蕩けきった瞳で返した。どこか焦点の合っていない視線を受け、ドーヴィは苦笑しながら頑張った契約主を労うように、そっと前髪を掴んで口づけをする。
「ん、ぐ……ぁ……」
「ゆっくり深呼吸をしろ。そうだ、大丈夫だ……もうちょっと落ち着いたら、水を飲むといい」
「ん、んん……」
くたりとしたグレンが、ドーヴィに向かって手を伸ばす。……どうやら、契約主様はベッドがお好みではなく、この悪魔めの膝をご所望らしい。
ドーヴィは喉奥で笑いながら、そっとグレンを抱え上げた。ふわりと立ち上る汗ばんだグレンの体臭が、ドーヴィの鼻をくすぐる。インキュバスであるドーヴィにとっては、何よりも好ましい性の香りだ。
思わず、胸いっぱいに吸い込むドーヴィ。食パン一枚分の精力では全く足りないのだから、これぐらいは添え物として許して欲しい。
「んぁ……どーう゛ぃ……へん、なった……」
「ククク、変、じゃなくてイッた、だ。気持ち良かっただろう?」
回らない舌で話しかけてくるグレンに、ドーヴィはここぞとばかりに性教育を施す。こうでもしなければ、いつまで経ってもグレンは性行為を「変な事」としか認識できないだろう。貴族としてそれで良くても、ドーヴィとしてはそれでは困るのだ。
「きもち、よかった……すごかった……」
「そりゃあ良かった。どうだ、前と違って、ぼんやりはするだろうけどすっきりした感じもあるか?」
うん、とグレンは小さく頷いた。初めての射精を伴わない絶頂で、疲労感は強いだろうがいつものモヤモヤとした寸止めからは解放されてすっきりしたはず。ドーヴィのその予想はしっかりと当たっていた。
ぐず、と鼻を鳴らしつつ、グレンは緩慢に頭を動かしてドーヴィの肩口に頭を預ける。全くもって大きな赤ちゃんだ、と思いながらもドーヴィはそんなグレンを抱え直して背中をゆっくりと落ち着かせるように摩った。
「どーう゛ぃ……」
「なんだ?」
「おいしかった?」
「くっ、それかよ……もちろん、美味しかったさ。最高だ」
くふん、とグレンが満足げに鼻を鳴らす音がドーヴィの耳に届く。これで少しはグレンの自尊心のようなものが元気になるなら、安いものだ。むしろドーヴィとしては美味しい精力も摂取できて一石二鳥だとも。
「おなか、いっぱいになった?」
どこか弾んだ声で、グレンがドーヴィに尋ねる。
……言えない、全然足りないとは言えない。かといって嘘でもつけば今のグレンには見破られそうだし、本当の事を言えばそれはそれでショックを受けるだろうし。
ドーヴィは全力で頭を働かせる。そして導き出した答えは。
「おう、健康的な分量でいい感じだったぜ。大満足だ」
満腹とは、言っていない。腹一分目ぐらいだが、まあ……まあ、おやつを食べたと思えば、ちょうど良い分量なのだ、うん。そして大満足なのは本当の事。
「ふふ……よかった……」
そうむにゃむにゃと言ったグレンからは、すぐにすぅすぅと寝息が聞こえ始めた。
「……いいんだけどよ、別に……」
そんなに体力を使ったのだろうかと思いつつも、初めての体験であり、やはり悪魔の力で体を作り変えた分の反動が来たのだろう、とドーヴィは思っておくことにした。
ぱちん、と指を鳴らしてドーヴィはグレンの汗やら体液やらを魔法できれいさっぱり洗浄し、ベッドに改めて転がす。
「グレン、いい夢を。せっかくだから、最高にエロい夢でも見てくれよな」
毛布を掛け、穏やかな顔で眠るグレンの額にドーヴィはおやすみのキスを落とした。
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アンケにまさかの票が入っていたので!
ここは女の子で!
いちゃえちした!!!
メスイキ気持ち良すぎてそのまま寝落ちするグレンくん可愛いですよ可愛すぎますしとんでもエロエロボディだ
(そろそろR15で済まされなくなってきた気が……)
文字数的に実は2話分ぐらいあるんだけど切れ目もわからんし大ボリュームいちゃえちしたかったのでガツンと投稿しました
長くてすみません
明日は用事があるので更新ないと思います
応援ありがとうございます!
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