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本編
18)黒幕、あっさりと判明
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男爵の屋敷に戻ってから、また長く……はならなかった。
そう、早馬で連絡を受けていたアンドリューとマリアンヌが屋敷内の使用人に目を光らせたこと。そして、ガルシア達の賊への尋問が非常にスムーズに進んだこと。
そして何より、グレンから密命を受けたドーヴィがひっそりと背後関係を洗ったことにより、あっさりと襲撃事件の黒幕は判明したのだった。
「……バカか?」
屋敷にある談話室にて。報告を受けたグレンは、その少年のような見た目と声変りも済ませていないままの喉からは信じられないほどにドスの効いた声で吐き捨てた。
同席していたタバフ男爵は顔を真っ白にして昇天寸前であるし、尋問した結果を持ってきたガルシアはそっと視線を明後日の方向へ向けている。アンドリューとマリアンヌは、呆れた様に大きなため息をついていた。
ドーヴィはと言えば、グレンの怒り加減を見て今夜はどうやって宥めてやろうかと違う方向へ思考を飛ばしている。まあ、人間の諍いは悪魔にとってどうでもいいのだ。大切なのは、契約主の健康的で幸福な性活のみ。
「コサコレ男爵と言えば、明日、訪問予定の領地の代官ですね」
「ああ。……大方、襲撃によって視察を中止に追い込みたかったのだろう。くだらん目論見だ」
コサコレ男爵。タバフ男爵同様に、前公爵から代官に任命されて領地を治めている下位貴族だ。
……タバフ男爵と同様なのは、その立場程度なもので。事前調査では、前公爵に媚びへつらい平民を虐げ、私腹を肥やし領地を痩せさせるまさに悪徳代官といったところであった。タバフ男爵とは全くもって正反対の代官である。今回の視察でも要注意人物に挙げられていた。
「今頃、必死になって悪事の証拠を隠滅してるんですかね」
はぁ、とこれ見よがしなため息をつきながらアンドリューは言った。マリアンヌは薄っすらと笑いを浮かべ「数日の時間稼ぎ程度で消せるほどの量ではないでしょうに」とアンドリューの隣で呟く。
「アンドリュー」
「はい。宰相閣下、いかがいたしましたか」
「コサコレ男爵を問答無用で討ったらまずいだろうか」
「……宰相閣下であれば、許されるかもしれませんが……貴族の規律を正すと言う面では推奨できません」
アンドリューはやんわりとグレンの提案を却下した。グレンはイライラとした雰囲気を隠さずに、厳しい顔をしている……が、アンドリューの返事を聞いて、息を大きく吐き出した。椅子の背もたれに背を預け、片目を伏せる。
グレンとて、わかっていてアンドリューに聞いたのだ。ダロンギア伯爵達のように、現場を直接抑えたわけではない、あくまでも証言のみによる断定。その上で、裁判を通さずに死刑を執行したとなると、さすがに横暴と謗りを受ける可能性もあった。
特に、アルチェロが王になってからは「法律を重んじよ、貴族の私罰は控えよ」と全貴族に通達が出ている。グレンが宰相という立場ではなく、ただの一貴族であればまた許されたかもしれないが、法律を守るべき立場のクランストン宰相が率先して破っていてはアルチェロ陛下の政治に影を落としかねない。
「……仕方あるまい、コサコレ男爵には然るべき裁判を受けて貰うとしよう」
「それがよろしいですね」
どのみち、クランストン宰相とタバフ男爵を暗殺しようと計画したとなれば、コサコレ男爵の死刑は免れないだろうが。
「全く、こんな杜撰な計画で上手くいくと思ったのか、以前のようにお目こぼしして貰えると思ったのか……」
グレンは片手でこめかみを抑えつつ、呆れた様に言った。そしてすぐに背もたれに預けていた体を起こし、背筋を伸ばす。
「こうなったら時間との戦いだな。コサコレ男爵がこれ以上の証拠隠滅を行う前に、叩くぞ」
そのグレンの一言で、談話室の空気が引き締まった。それぞれがグレンと同じように姿勢を正し、次の指示を待つ。
「タバフ男爵での作業は全て切り上げ、直ちにコサコレ男爵の元へ向かう」
予想できただろう計画の変更に、タバフ男爵本人を除く全ての人間が了承の返事をそれぞれに口にした。グレンは全員の顔を見渡してから、話を続ける。
「マリアンヌ、君にはここの作業の後始末を任せる。出発までにできる限りまとめ上げてくれ」
「了解しました」
「コサコレ男爵の元に着いたら、真っ先に身柄を抑える予定だ。ガルシア、その方向で護衛騎士達の編成を」
「はっ」
次にグレンはアンドリューへ視線を向けた。
「アンドリュー、今後の視察スケジュールの変更と調整、それから……コサコレ男爵をどう扱うべきか、草案を作ってくれ」
「了解です。漁港の倉庫にいる賊、タバフ男爵家でスパイ活動を行った使用人についても、一任して頂いて良いでしょうか」
自分の名前が出たタバフ男爵はびくりと肩を跳ねさせた。室内の視線が一斉に自分に集まり、タバフ男爵は今にも消えそうなほどに体を小さくする。
襲撃を受けたグレンがタバフ男爵の屋敷へ早馬を飛ばした結果。アンドリューとマリアンヌが見事に、コサコレ男爵と繋がっていた使用人を炙りだすことに成功していた。
襲撃の報を聞いて慌てふためく使用人たちの中で一人だけ冷静な反応を示し、さらに仕事を放棄し持ち場を離れ、勝手に自室へ戻ったのだという。
怪しんだ二人が部屋に踏み込んだところ、なんとタバフ男爵家のものではない足環をつけた伝書鳩の足に『襲撃成功』の一報を取り付けており、その場で身柄拘束の運びとなった。文官でありながら体を鍛えていたアンドリューの大活躍でもある。
後は、その伝書鳩の足環がコサコレ男爵家のものと一致すれば、かなり有力な証拠になるはずだ。
「タバフ男爵、使用人の身柄はこちらが預かる。よろしいな?」
「はっ……はいっ……ほ、本人だけでなく、その家族においても全員、私の方で一旦身柄を拘束いたします」
「うむ。そうしてくれ。……アンドリュー」
「はい」
手帳に何やら書き込んでいたアンドリューはグレンに声を掛けられて顔を上げた。グレンは迷うように眉間を指で揉んでいる。何事か、とアンドリューは宰相閣下の言葉を静かに待った。
「……使用人について、過度な尋問等は控えるように。平民であれば、貴族から脅されてやむを得ず悪事に手を染めたのかもしれん」
「……それは」
「情状酌量の余地があるかどうかも、しっかり調べろという事だ。金銭授受等、本人の私腹の為だけであったと確定したのであれば、容赦しなくて良い」
「なるほど、了解しました」
途中、アンドリューは言葉を挟みそうになったが、その後に続くクランストン宰相閣下の指示に納得して頷いた。確かに、アンドリューとしては使用人を完全に『敵』だと見なしていた。
しかし、グレンの言う通り、立場の弱い平民であれば何かしらの理由があって強制されたのかもしれない。
(さすが宰相閣下だ……!)
またしてもアンドリューから尊敬の念がぐーんと高まった事に気づかず、グレンは次の指示を出す。
「ドーヴィ、お前は私の元で護衛に専念しろ。まだ二の矢が飛んでくるかもしれん」
「かしこまりました」
と言いつつ、半分は甘えも含んでるだろうなぁと思うドーヴィだ。まあどちらにしても、グレンはちょっとでも目を離すとすぐに死んでしまいそうな薄幸の少年である。実際に死んだのが1回、死にかけたのが数知れず。
「他、何かあるか? ……なければそれぞれ、行動を開始しろ」
「グレン閣下にはこの談話室にて待機して頂きたく。用意された客室については、相手側に漏れている可能性が高いと考えられます」
「ふむ、ドーヴィの言う通りだな……では、私はこのままここに残ろう。私が使っていた客室については、放置するように」
下手に荷物の移動をしてグレン自体の移動を悟られても困るし、万が一にも使用人が襲撃に巻き込まれるのも困るし、と言ったところ。タバフ男爵家に侵入したスパイが拘束した使用人一人とは限らないのだ。
アンドリューにマリアンヌ、ガルシアと退室して行き。残ったタバフ男爵が土下座をもってグレンに謝罪を繰り返した後。
ようやく、ドーヴィと二人きりになったクランストン宰相閣下は――姿勢を崩して椅子にだらしなく座り込んだ。
「本当に、どうなってるんだこの国の貴族は……」
「さすがの俺も驚きだよ。あんな手勢程度で王都の騎士をどうにかできると思ってんのか、そのコサコレ男爵とやらは……」
ぐったりしているグレンの頭をドーヴィは撫でてやりながら、大きなため息をつく。タバフ男爵のまともさにグレンが感動した理由もわかるというもの。もはやまともな貴族を探す方が難しい。
「恐らく、領地から出たことがないのだろうな。そして練度の高い騎士と言うのも、知らないのだろう」
「あー、あれか、前公爵のところの騎士もまともに鍛えてない堕落したやつらばっかりだってことか?」
「そういうことだ。訓練もせずに平民にちょっかいを出しては遊び惚けていたのだろう、公爵の騎士団は」
そのような情けない騎士しか見ていないコサコレ男爵だからこそ、あの程度の賊で視察団を壊滅させようと企んだのだろう。……だとしても、あまりにも短絡すぎるが。
「はぁ……タバフ男爵家の夕食と温泉……楽しみにしてたのに……」
半べそをかきながらグレンが頭を抱える。準備ができ次第出発、という事はそれらも全てキャンセル。
「……アルチェロに言って、長い休みでも貰うか」
せっかくの休養をかねた視察だったのに、とんでもないことになってしまった。これはアルチェロも本意ではないだろう、とドーヴィは苦笑するのだった。
---
土日は更新ありません
真面目なグレンくんも大好きです!
そう、早馬で連絡を受けていたアンドリューとマリアンヌが屋敷内の使用人に目を光らせたこと。そして、ガルシア達の賊への尋問が非常にスムーズに進んだこと。
そして何より、グレンから密命を受けたドーヴィがひっそりと背後関係を洗ったことにより、あっさりと襲撃事件の黒幕は判明したのだった。
「……バカか?」
屋敷にある談話室にて。報告を受けたグレンは、その少年のような見た目と声変りも済ませていないままの喉からは信じられないほどにドスの効いた声で吐き捨てた。
同席していたタバフ男爵は顔を真っ白にして昇天寸前であるし、尋問した結果を持ってきたガルシアはそっと視線を明後日の方向へ向けている。アンドリューとマリアンヌは、呆れた様に大きなため息をついていた。
ドーヴィはと言えば、グレンの怒り加減を見て今夜はどうやって宥めてやろうかと違う方向へ思考を飛ばしている。まあ、人間の諍いは悪魔にとってどうでもいいのだ。大切なのは、契約主の健康的で幸福な性活のみ。
「コサコレ男爵と言えば、明日、訪問予定の領地の代官ですね」
「ああ。……大方、襲撃によって視察を中止に追い込みたかったのだろう。くだらん目論見だ」
コサコレ男爵。タバフ男爵同様に、前公爵から代官に任命されて領地を治めている下位貴族だ。
……タバフ男爵と同様なのは、その立場程度なもので。事前調査では、前公爵に媚びへつらい平民を虐げ、私腹を肥やし領地を痩せさせるまさに悪徳代官といったところであった。タバフ男爵とは全くもって正反対の代官である。今回の視察でも要注意人物に挙げられていた。
「今頃、必死になって悪事の証拠を隠滅してるんですかね」
はぁ、とこれ見よがしなため息をつきながらアンドリューは言った。マリアンヌは薄っすらと笑いを浮かべ「数日の時間稼ぎ程度で消せるほどの量ではないでしょうに」とアンドリューの隣で呟く。
「アンドリュー」
「はい。宰相閣下、いかがいたしましたか」
「コサコレ男爵を問答無用で討ったらまずいだろうか」
「……宰相閣下であれば、許されるかもしれませんが……貴族の規律を正すと言う面では推奨できません」
アンドリューはやんわりとグレンの提案を却下した。グレンはイライラとした雰囲気を隠さずに、厳しい顔をしている……が、アンドリューの返事を聞いて、息を大きく吐き出した。椅子の背もたれに背を預け、片目を伏せる。
グレンとて、わかっていてアンドリューに聞いたのだ。ダロンギア伯爵達のように、現場を直接抑えたわけではない、あくまでも証言のみによる断定。その上で、裁判を通さずに死刑を執行したとなると、さすがに横暴と謗りを受ける可能性もあった。
特に、アルチェロが王になってからは「法律を重んじよ、貴族の私罰は控えよ」と全貴族に通達が出ている。グレンが宰相という立場ではなく、ただの一貴族であればまた許されたかもしれないが、法律を守るべき立場のクランストン宰相が率先して破っていてはアルチェロ陛下の政治に影を落としかねない。
「……仕方あるまい、コサコレ男爵には然るべき裁判を受けて貰うとしよう」
「それがよろしいですね」
どのみち、クランストン宰相とタバフ男爵を暗殺しようと計画したとなれば、コサコレ男爵の死刑は免れないだろうが。
「全く、こんな杜撰な計画で上手くいくと思ったのか、以前のようにお目こぼしして貰えると思ったのか……」
グレンは片手でこめかみを抑えつつ、呆れた様に言った。そしてすぐに背もたれに預けていた体を起こし、背筋を伸ばす。
「こうなったら時間との戦いだな。コサコレ男爵がこれ以上の証拠隠滅を行う前に、叩くぞ」
そのグレンの一言で、談話室の空気が引き締まった。それぞれがグレンと同じように姿勢を正し、次の指示を待つ。
「タバフ男爵での作業は全て切り上げ、直ちにコサコレ男爵の元へ向かう」
予想できただろう計画の変更に、タバフ男爵本人を除く全ての人間が了承の返事をそれぞれに口にした。グレンは全員の顔を見渡してから、話を続ける。
「マリアンヌ、君にはここの作業の後始末を任せる。出発までにできる限りまとめ上げてくれ」
「了解しました」
「コサコレ男爵の元に着いたら、真っ先に身柄を抑える予定だ。ガルシア、その方向で護衛騎士達の編成を」
「はっ」
次にグレンはアンドリューへ視線を向けた。
「アンドリュー、今後の視察スケジュールの変更と調整、それから……コサコレ男爵をどう扱うべきか、草案を作ってくれ」
「了解です。漁港の倉庫にいる賊、タバフ男爵家でスパイ活動を行った使用人についても、一任して頂いて良いでしょうか」
自分の名前が出たタバフ男爵はびくりと肩を跳ねさせた。室内の視線が一斉に自分に集まり、タバフ男爵は今にも消えそうなほどに体を小さくする。
襲撃を受けたグレンがタバフ男爵の屋敷へ早馬を飛ばした結果。アンドリューとマリアンヌが見事に、コサコレ男爵と繋がっていた使用人を炙りだすことに成功していた。
襲撃の報を聞いて慌てふためく使用人たちの中で一人だけ冷静な反応を示し、さらに仕事を放棄し持ち場を離れ、勝手に自室へ戻ったのだという。
怪しんだ二人が部屋に踏み込んだところ、なんとタバフ男爵家のものではない足環をつけた伝書鳩の足に『襲撃成功』の一報を取り付けており、その場で身柄拘束の運びとなった。文官でありながら体を鍛えていたアンドリューの大活躍でもある。
後は、その伝書鳩の足環がコサコレ男爵家のものと一致すれば、かなり有力な証拠になるはずだ。
「タバフ男爵、使用人の身柄はこちらが預かる。よろしいな?」
「はっ……はいっ……ほ、本人だけでなく、その家族においても全員、私の方で一旦身柄を拘束いたします」
「うむ。そうしてくれ。……アンドリュー」
「はい」
手帳に何やら書き込んでいたアンドリューはグレンに声を掛けられて顔を上げた。グレンは迷うように眉間を指で揉んでいる。何事か、とアンドリューは宰相閣下の言葉を静かに待った。
「……使用人について、過度な尋問等は控えるように。平民であれば、貴族から脅されてやむを得ず悪事に手を染めたのかもしれん」
「……それは」
「情状酌量の余地があるかどうかも、しっかり調べろという事だ。金銭授受等、本人の私腹の為だけであったと確定したのであれば、容赦しなくて良い」
「なるほど、了解しました」
途中、アンドリューは言葉を挟みそうになったが、その後に続くクランストン宰相閣下の指示に納得して頷いた。確かに、アンドリューとしては使用人を完全に『敵』だと見なしていた。
しかし、グレンの言う通り、立場の弱い平民であれば何かしらの理由があって強制されたのかもしれない。
(さすが宰相閣下だ……!)
またしてもアンドリューから尊敬の念がぐーんと高まった事に気づかず、グレンは次の指示を出す。
「ドーヴィ、お前は私の元で護衛に専念しろ。まだ二の矢が飛んでくるかもしれん」
「かしこまりました」
と言いつつ、半分は甘えも含んでるだろうなぁと思うドーヴィだ。まあどちらにしても、グレンはちょっとでも目を離すとすぐに死んでしまいそうな薄幸の少年である。実際に死んだのが1回、死にかけたのが数知れず。
「他、何かあるか? ……なければそれぞれ、行動を開始しろ」
「グレン閣下にはこの談話室にて待機して頂きたく。用意された客室については、相手側に漏れている可能性が高いと考えられます」
「ふむ、ドーヴィの言う通りだな……では、私はこのままここに残ろう。私が使っていた客室については、放置するように」
下手に荷物の移動をしてグレン自体の移動を悟られても困るし、万が一にも使用人が襲撃に巻き込まれるのも困るし、と言ったところ。タバフ男爵家に侵入したスパイが拘束した使用人一人とは限らないのだ。
アンドリューにマリアンヌ、ガルシアと退室して行き。残ったタバフ男爵が土下座をもってグレンに謝罪を繰り返した後。
ようやく、ドーヴィと二人きりになったクランストン宰相閣下は――姿勢を崩して椅子にだらしなく座り込んだ。
「本当に、どうなってるんだこの国の貴族は……」
「さすがの俺も驚きだよ。あんな手勢程度で王都の騎士をどうにかできると思ってんのか、そのコサコレ男爵とやらは……」
ぐったりしているグレンの頭をドーヴィは撫でてやりながら、大きなため息をつく。タバフ男爵のまともさにグレンが感動した理由もわかるというもの。もはやまともな貴族を探す方が難しい。
「恐らく、領地から出たことがないのだろうな。そして練度の高い騎士と言うのも、知らないのだろう」
「あー、あれか、前公爵のところの騎士もまともに鍛えてない堕落したやつらばっかりだってことか?」
「そういうことだ。訓練もせずに平民にちょっかいを出しては遊び惚けていたのだろう、公爵の騎士団は」
そのような情けない騎士しか見ていないコサコレ男爵だからこそ、あの程度の賊で視察団を壊滅させようと企んだのだろう。……だとしても、あまりにも短絡すぎるが。
「はぁ……タバフ男爵家の夕食と温泉……楽しみにしてたのに……」
半べそをかきながらグレンが頭を抱える。準備ができ次第出発、という事はそれらも全てキャンセル。
「……アルチェロに言って、長い休みでも貰うか」
せっかくの休養をかねた視察だったのに、とんでもないことになってしまった。これはアルチェロも本意ではないだろう、とドーヴィは苦笑するのだった。
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真面目なグレンくんも大好きです!
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