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本編
9)下半身の知られざる過去
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※昔話としてモブ×グレン(挿入なし)ネタがちょっとあるので苦手な方は覚悟して読んでください
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ドーヴィの膝上に座ったまま、グレンは視線を下ろした。その視線の先には、先ほど問題になった自分の下半身と、問題にならなかったドーヴィの下半身がある。
少し見比べて……グレンは首を捻った。
「ドーヴィも反応が鈍い、のではないか?」
興味本位でグレンはそうっとドーヴィの股間に手を伸ばす。ドーヴィは男らしく両足を開いて座席にどっかりと座っており、グレンはその片膝にちょこんと座っているだけだ。
……ドーヴィは吠えそうになるのをぐっと耐えて、グレンの動きを見守っている。
なんだ、この可愛くてエロい生き物は。歴代の契約主と言えば、ドーヴィのイチモツを見るだけでよだれを垂らして手を伸ばして頬ずりすらしてきたというのに。ドーヴィのそれに愛して貰おうと、服の上からいやらしく愛撫して必死に誘っていたと言うのに。
今の契約主であるグレンは……ドーヴィの股間を、さわさわと撫でている。それは到底、性的な愛撫とは言えず。純粋に、興味を持った子供が恐れ知らずに触っているようなものだ。
しかし。それでいながら、グレンの頬はわずかながらに桃色に染まっており。自分が触っているモノが何なのかは、しっかりと認識していた。
(そういうギャップがあぶねえんだよマジで)
子供と大人の狭間という生き物は、こうまでドーヴィを楽しませてくれるものなのか。
「……あのな、俺はインキュバスだから」
「?」
「そういうのは、自分の意思にで簡単に操作できんだよ」
そう言ってドーヴィはグレンの手を上から押さえつけ離せないようにしてから、グッと力を入れた。グッと。
それだけでドーヴィの股間はあっという間に固くなり、歴代契約主が大満足してくれた大きさへと成長する。
「わっ!」
グレンは小さく驚きの声をあげ、手を引こうとしてドーヴィに妨げられた。触っている箇所が、信じられないほどに固く、厚みを持ち、そして熱くなっている。
……男のアレが、こうなることをグレンは知らなかった。初めて目の当たりにし、体の内からドキドキとした感情が膨れ上がってくる。
「触ってみろ」
目が離せなくなっているグレンにドーヴィは内心で苦笑しながら囁いた。グレンはこっくりと頷くと、おずおずと手を伸ばす。
「か、固い……!」
「だろ? 普通の……健康的な男だったら、こうなるはずなんだ」
そう言って逆にドーヴィはグレンの股間に手を伸ばす。そこはやはり、ドーヴィのモノとは違って柔らかみを残したままで。それもまた、可愛いものかとドーヴィが思い直すほどには到底、「大人の」とは言えない様子だ。
「大きくて熱いし……僕のと、全然違う……」
どこか恍惚とした色を含ませながら、グレンが呟いた。相変わらず、さわさわと撫でる手はあまりにも力なく。それじゃあ出るモンも出ねえぞ、とドーヴィは思いながらも、黙っていた。それはそのうち、またいつか。
「……っていうか、なんで俺が性教育してんだよ! これだから『子守の悪魔』になっちまうんだって!」
ぐあ! とドーヴィは天を仰いだ。『性』を取り戻す前に『子守』の定着度がますます高まりそうで……。
それを聞いたグレンがへんにゃりと眉を下げる。
「う、すまない、閨教育は本で読んだきりで……」
あくまでもグレンの性知識は閨教育の教科書を読んだきり。実物は見たことも触ったこともない。それどころか、速やかに子作りを終えるための男女の営みと、結婚の契りの証としての同性同士の営みしか知らないのだ。あとはせいぜいが健康維持のための自慰のやり方程度。それ以外の、娯楽としての性行為については何一つ知らない。
「いやまあ、そりゃあ環境が許さなかったとは思うんだけどな……精通した時は、それなりに気持ち良かったんじゃないのか」
ドーヴィの指摘に、グレンはぱたりと手を止めた。そして、ドーヴィの胸に顔を埋める。
「お? どうした?」
「……精通、した時のことを、聞いてくれるか」
「……ああ」
何だか風向きがおかしいぞ、と気づいたドーヴィは、グレンの体を抱え直して悪夢に震える幼子をあやすように背中をぽんぽんと叩いた。グレンはしばらく、口を噤んで気持ちを整えている様だった。
「……兄上が亡くなって、クランストン辺境家の男子が僕しかいなくなってしまった頃」
「おう」
「僕はまだ精通していなくて……だけど、クランストン一族の血を守るためには、僕の……その、種が必要で」
一生懸命に話すグレンの肩が小さく震えている。グレンの兄が戦死した頃と言えば、グレン本人はまだ10歳になるかならないか、ぐらいだろうか。いや、10歳は超えていたか? とドーヴィは以前に聞いた話と整合性を考える。つまり、どちらにしても大人の男になるにしては、早い年齢だろうことは想像がついた。
そして、この先にグレンの口が重くなるだろう展開があるだろうことも。
「姉上が王都に臨時領主就任の手続きに向かった際に、僕も兄から僕へ『血統登録』を変更する為に一緒に王都へ行ったんだ」
「……その『血統登録』というやつは何なんだ?」
「各貴族家の血統を保証する制度だ。この登録が更新されなくなったタイミングで、その家は血が途絶えたとして貴族位を失う」
「なるほどね」
遺伝性の魔力を重視しつつ、同性結婚が認められているからこその制度なのだろう。この世界の文明で遺伝と言う仕組みがどこまで解明されているかは謎であるし、そもそもドーヴィが知っている遺伝子の話がこの世界の人間に適用されるかも謎だ。だとしても、この国は男の種を重要視していたのだろう。
「クランストン辺境家を守るために……僕は。今思えば、あれは嫌がらせだったのだと思うのだが」
グレンの肩を抱き、ドーヴィは優しく「それで?」と話の続きを促した。きっと、グレンは思い出したくもないし、誰にも話したくはない……と同時に、誰かに聞いてもらいたかったのだろう、内に抱えた苦しみを。
「立ち会った公爵に『精液が無ければ登録は認められん』と言われて」
「あー……」
「それで、僕は……僕は、裸で椅子に縛り付けられて、よくわからない変な薬をたくさん飲まされて……無理矢理」
「グレン」
だんだんと涙声になってきたグレンの口元を、ドーヴィは優しく撫でる。グレンは目を伏せた後、もう一度開いて、絞り出すように続けた。
「いろんな人が、僕を見て、『ガキ』とか『チビ』とか、笑ってた。その前で、変なぬるぬるしたもので、僕の…性器を包んで、扱くみたいにして。全然、気持ちよくなかった、すごく痛かった。変な薬、まずかったし、気持ち悪かった」
「そうか」
「痛くて、暴れたら、頬を叩かれて、手首とか足首にも縛られてたところの傷がついちゃって。泣いたら泣いたで『貴族の男が泣くな』ってまた怒られて……」
「辛かったな」
「……うん。それで、白いのが出て……そしたら、すごい指笛とかで囃し立てられて、ものすごく、恥ずかしかった。いや、出て良かったと、思うべきだって言われたから、僕はそうなんだって思い込んでたんだけど」
本当は、全部嫌だった、とグレンはドーヴィの胸に顔を埋めて、過去の告白を終えた。
そして、最後まで聞いたドーヴィも、グレンを強く抱きしめる。小さく震えている可愛らしい契約主の凄惨な過去に触れ、誰も見えぬ空間でドーヴィは思わず極悪な顔をしてしまう。今日の夜は、王城に血の雨でも降らそうか。
「……だから、僕は自慰もしたことがないし……あの時に薬で無理やり出したから、今はもう出ないのかなって」
「かもなあ」
ドーヴィは般若のごとき顔を引っ込め、優しい声でグレンの考えを肯定した。グレンの片目に滲んでいた涙を指さきで拭い、宥めるように頭を撫でる。
「そりゃあ普通の男だって、そういうことされたら下半身も不健康になるわ」
「……そうなのか?」
「そうだろうよ。本来は、体の成長と共に自然と出てくるモンなんだ。それを薬だのなんだので無理に出したとなりゃあ……まあ、体に良くはないわな」
「そうか……やはり、あれは、悪い事だったんだな」
どこかほっとしたように、グレンは小さく呟いた。家のため、と言われ、「貴族の男なら当然のこと」と騙され、ずっと無意識に引っ掛かっていたのだろう。だが、そのことを誰に相談することも聞くこともできず。
それが今、ドーヴィにはっきりと「悪い事」「辛い事」と肯定して貰えて……あの時泣いた幼きグレンの苦しみが、少しでも救われたようだった。
グレンの安堵を見抜いたドーヴィは、酷い事しか知らないグレンの股間に手を伸ばす。
「グレン、さっき俺に触られた時は気持ち悪かったか?」
「……ううん、どちらかと言えば……気持ち、良かった」
「ハハハ、それなら良かった。本来は、ここを触れば男は気持ちよくなるモンなんだよ」
性的快楽を至上とするインキュバスにとって、それを奪う行為は実に許しがたき悪だ。ドーヴィは優しくグレンの股間を撫で回す。
「ん……ドーヴィなら気持ち悪くないし……痛く、ない」
「そうか。……後で俺がちゃんとした自慰と射精を教えてやる」
本来であれば言葉責めの一環にでもなりそうなものなのだが、どうしても普通の性教育の一環になってしまいそうで。ドーヴィはこりゃあ『子守』が消えるのはまだまだ先かね、と嘆息する。
が、それでも、涙を引っ込めてどこか恥ずかしさと嬉しさをない交ぜにした笑顔で「楽しみにしている」とグレンに言われてしまえば、それもまた一興か、と思い直せてしまうのだ。
グレンが過去を語っている間に、ずいぶんと時間は経っていた。さすがに、今から性教育ほ施す時間はない。
「グレン、そろそろ着くぞ」
「! ああ、わかった」
ドーヴィの言葉に、グレンは膝の上から降り、ドーヴィは元の席へと戻る。そしてお互いに衣服の乱れをきっちりと直せば、宰相と護衛の完成だ。
グレンは小さく頬を張り自身に喝を入れている。できれば、領地に到着後の晩餐も問題なく終えて今日の夜はしっぽりと性教育に勤しみたいものだ、とドーヴィはきりっとした顔に戻ったグレンを見ながら思った。
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※昔話のグレンの年齢設定、作者がガバガバすぎて時系列整頓できてないので矛盾あるかもしれません。すみません
時間があればヤバ性癖で語りますが、あれでしてね、「ピュアな青少年が大人チxコに触れてドキドキしちゃう」っていうシチュエーションが大好きでしてね……
年内の更新はここまでです。
みなさん良いお年を!!!
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ドーヴィの膝上に座ったまま、グレンは視線を下ろした。その視線の先には、先ほど問題になった自分の下半身と、問題にならなかったドーヴィの下半身がある。
少し見比べて……グレンは首を捻った。
「ドーヴィも反応が鈍い、のではないか?」
興味本位でグレンはそうっとドーヴィの股間に手を伸ばす。ドーヴィは男らしく両足を開いて座席にどっかりと座っており、グレンはその片膝にちょこんと座っているだけだ。
……ドーヴィは吠えそうになるのをぐっと耐えて、グレンの動きを見守っている。
なんだ、この可愛くてエロい生き物は。歴代の契約主と言えば、ドーヴィのイチモツを見るだけでよだれを垂らして手を伸ばして頬ずりすらしてきたというのに。ドーヴィのそれに愛して貰おうと、服の上からいやらしく愛撫して必死に誘っていたと言うのに。
今の契約主であるグレンは……ドーヴィの股間を、さわさわと撫でている。それは到底、性的な愛撫とは言えず。純粋に、興味を持った子供が恐れ知らずに触っているようなものだ。
しかし。それでいながら、グレンの頬はわずかながらに桃色に染まっており。自分が触っているモノが何なのかは、しっかりと認識していた。
(そういうギャップがあぶねえんだよマジで)
子供と大人の狭間という生き物は、こうまでドーヴィを楽しませてくれるものなのか。
「……あのな、俺はインキュバスだから」
「?」
「そういうのは、自分の意思にで簡単に操作できんだよ」
そう言ってドーヴィはグレンの手を上から押さえつけ離せないようにしてから、グッと力を入れた。グッと。
それだけでドーヴィの股間はあっという間に固くなり、歴代契約主が大満足してくれた大きさへと成長する。
「わっ!」
グレンは小さく驚きの声をあげ、手を引こうとしてドーヴィに妨げられた。触っている箇所が、信じられないほどに固く、厚みを持ち、そして熱くなっている。
……男のアレが、こうなることをグレンは知らなかった。初めて目の当たりにし、体の内からドキドキとした感情が膨れ上がってくる。
「触ってみろ」
目が離せなくなっているグレンにドーヴィは内心で苦笑しながら囁いた。グレンはこっくりと頷くと、おずおずと手を伸ばす。
「か、固い……!」
「だろ? 普通の……健康的な男だったら、こうなるはずなんだ」
そう言って逆にドーヴィはグレンの股間に手を伸ばす。そこはやはり、ドーヴィのモノとは違って柔らかみを残したままで。それもまた、可愛いものかとドーヴィが思い直すほどには到底、「大人の」とは言えない様子だ。
「大きくて熱いし……僕のと、全然違う……」
どこか恍惚とした色を含ませながら、グレンが呟いた。相変わらず、さわさわと撫でる手はあまりにも力なく。それじゃあ出るモンも出ねえぞ、とドーヴィは思いながらも、黙っていた。それはそのうち、またいつか。
「……っていうか、なんで俺が性教育してんだよ! これだから『子守の悪魔』になっちまうんだって!」
ぐあ! とドーヴィは天を仰いだ。『性』を取り戻す前に『子守』の定着度がますます高まりそうで……。
それを聞いたグレンがへんにゃりと眉を下げる。
「う、すまない、閨教育は本で読んだきりで……」
あくまでもグレンの性知識は閨教育の教科書を読んだきり。実物は見たことも触ったこともない。それどころか、速やかに子作りを終えるための男女の営みと、結婚の契りの証としての同性同士の営みしか知らないのだ。あとはせいぜいが健康維持のための自慰のやり方程度。それ以外の、娯楽としての性行為については何一つ知らない。
「いやまあ、そりゃあ環境が許さなかったとは思うんだけどな……精通した時は、それなりに気持ち良かったんじゃないのか」
ドーヴィの指摘に、グレンはぱたりと手を止めた。そして、ドーヴィの胸に顔を埋める。
「お? どうした?」
「……精通、した時のことを、聞いてくれるか」
「……ああ」
何だか風向きがおかしいぞ、と気づいたドーヴィは、グレンの体を抱え直して悪夢に震える幼子をあやすように背中をぽんぽんと叩いた。グレンはしばらく、口を噤んで気持ちを整えている様だった。
「……兄上が亡くなって、クランストン辺境家の男子が僕しかいなくなってしまった頃」
「おう」
「僕はまだ精通していなくて……だけど、クランストン一族の血を守るためには、僕の……その、種が必要で」
一生懸命に話すグレンの肩が小さく震えている。グレンの兄が戦死した頃と言えば、グレン本人はまだ10歳になるかならないか、ぐらいだろうか。いや、10歳は超えていたか? とドーヴィは以前に聞いた話と整合性を考える。つまり、どちらにしても大人の男になるにしては、早い年齢だろうことは想像がついた。
そして、この先にグレンの口が重くなるだろう展開があるだろうことも。
「姉上が王都に臨時領主就任の手続きに向かった際に、僕も兄から僕へ『血統登録』を変更する為に一緒に王都へ行ったんだ」
「……その『血統登録』というやつは何なんだ?」
「各貴族家の血統を保証する制度だ。この登録が更新されなくなったタイミングで、その家は血が途絶えたとして貴族位を失う」
「なるほどね」
遺伝性の魔力を重視しつつ、同性結婚が認められているからこその制度なのだろう。この世界の文明で遺伝と言う仕組みがどこまで解明されているかは謎であるし、そもそもドーヴィが知っている遺伝子の話がこの世界の人間に適用されるかも謎だ。だとしても、この国は男の種を重要視していたのだろう。
「クランストン辺境家を守るために……僕は。今思えば、あれは嫌がらせだったのだと思うのだが」
グレンの肩を抱き、ドーヴィは優しく「それで?」と話の続きを促した。きっと、グレンは思い出したくもないし、誰にも話したくはない……と同時に、誰かに聞いてもらいたかったのだろう、内に抱えた苦しみを。
「立ち会った公爵に『精液が無ければ登録は認められん』と言われて」
「あー……」
「それで、僕は……僕は、裸で椅子に縛り付けられて、よくわからない変な薬をたくさん飲まされて……無理矢理」
「グレン」
だんだんと涙声になってきたグレンの口元を、ドーヴィは優しく撫でる。グレンは目を伏せた後、もう一度開いて、絞り出すように続けた。
「いろんな人が、僕を見て、『ガキ』とか『チビ』とか、笑ってた。その前で、変なぬるぬるしたもので、僕の…性器を包んで、扱くみたいにして。全然、気持ちよくなかった、すごく痛かった。変な薬、まずかったし、気持ち悪かった」
「そうか」
「痛くて、暴れたら、頬を叩かれて、手首とか足首にも縛られてたところの傷がついちゃって。泣いたら泣いたで『貴族の男が泣くな』ってまた怒られて……」
「辛かったな」
「……うん。それで、白いのが出て……そしたら、すごい指笛とかで囃し立てられて、ものすごく、恥ずかしかった。いや、出て良かったと、思うべきだって言われたから、僕はそうなんだって思い込んでたんだけど」
本当は、全部嫌だった、とグレンはドーヴィの胸に顔を埋めて、過去の告白を終えた。
そして、最後まで聞いたドーヴィも、グレンを強く抱きしめる。小さく震えている可愛らしい契約主の凄惨な過去に触れ、誰も見えぬ空間でドーヴィは思わず極悪な顔をしてしまう。今日の夜は、王城に血の雨でも降らそうか。
「……だから、僕は自慰もしたことがないし……あの時に薬で無理やり出したから、今はもう出ないのかなって」
「かもなあ」
ドーヴィは般若のごとき顔を引っ込め、優しい声でグレンの考えを肯定した。グレンの片目に滲んでいた涙を指さきで拭い、宥めるように頭を撫でる。
「そりゃあ普通の男だって、そういうことされたら下半身も不健康になるわ」
「……そうなのか?」
「そうだろうよ。本来は、体の成長と共に自然と出てくるモンなんだ。それを薬だのなんだので無理に出したとなりゃあ……まあ、体に良くはないわな」
「そうか……やはり、あれは、悪い事だったんだな」
どこかほっとしたように、グレンは小さく呟いた。家のため、と言われ、「貴族の男なら当然のこと」と騙され、ずっと無意識に引っ掛かっていたのだろう。だが、そのことを誰に相談することも聞くこともできず。
それが今、ドーヴィにはっきりと「悪い事」「辛い事」と肯定して貰えて……あの時泣いた幼きグレンの苦しみが、少しでも救われたようだった。
グレンの安堵を見抜いたドーヴィは、酷い事しか知らないグレンの股間に手を伸ばす。
「グレン、さっき俺に触られた時は気持ち悪かったか?」
「……ううん、どちらかと言えば……気持ち、良かった」
「ハハハ、それなら良かった。本来は、ここを触れば男は気持ちよくなるモンなんだよ」
性的快楽を至上とするインキュバスにとって、それを奪う行為は実に許しがたき悪だ。ドーヴィは優しくグレンの股間を撫で回す。
「ん……ドーヴィなら気持ち悪くないし……痛く、ない」
「そうか。……後で俺がちゃんとした自慰と射精を教えてやる」
本来であれば言葉責めの一環にでもなりそうなものなのだが、どうしても普通の性教育の一環になってしまいそうで。ドーヴィはこりゃあ『子守』が消えるのはまだまだ先かね、と嘆息する。
が、それでも、涙を引っ込めてどこか恥ずかしさと嬉しさをない交ぜにした笑顔で「楽しみにしている」とグレンに言われてしまえば、それもまた一興か、と思い直せてしまうのだ。
グレンが過去を語っている間に、ずいぶんと時間は経っていた。さすがに、今から性教育ほ施す時間はない。
「グレン、そろそろ着くぞ」
「! ああ、わかった」
ドーヴィの言葉に、グレンは膝の上から降り、ドーヴィは元の席へと戻る。そしてお互いに衣服の乱れをきっちりと直せば、宰相と護衛の完成だ。
グレンは小さく頬を張り自身に喝を入れている。できれば、領地に到着後の晩餐も問題なく終えて今日の夜はしっぽりと性教育に勤しみたいものだ、とドーヴィはきりっとした顔に戻ったグレンを見ながら思った。
---
※昔話のグレンの年齢設定、作者がガバガバすぎて時系列整頓できてないので矛盾あるかもしれません。すみません
時間があればヤバ性癖で語りますが、あれでしてね、「ピュアな青少年が大人チxコに触れてドキドキしちゃう」っていうシチュエーションが大好きでしてね……
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