どうか俺の居ないところで笑って暮らせますように

亜桜黄身

文字の大きさ
上 下
2 / 2

2(完結)

しおりを挟む
翌日からジョージも参加した。


レコードから楽譜を起こす作業から開始する。元々楽譜もあるのだがアレンジもしたい。全部の楽器用の楽譜が揃ったら合わせて調整をしていく。

楽器は音出しから入る。声楽は発声から。

キャサリンは元々の声が良いから発声をもっとやった方が良いな。

身体が楽器の私達はストレッチなども行う。

「王子、発声練習お願いしまーす」

ドレミの音階を1音ずつ上げて声を出す基本練習

「キャサリン喉開いて」

まだ硬いなあ。

「ちょっと失礼」

キャサリンのお腹に手を当てる。腹筋はぼちぼちだな。

クライスとカインが羨ましそうに見るのでサービスでガン飛ばしといた。嬉しそうなのが気持ち悪い。


「王子、ロングトーンもお願いしやーす」

「はいはい」

王子嬉しそうだなあ。


なるほどファからソ辺りがブレるね。丁度裏声との境目なんだな。

「キャサリンはファからソ辺りを家で自主発声ね。アルトはその辺の音階多いから」

「解ったわ!歌うの楽しい!」

嬉しそうで良かった。アルトはこのくらいの年齢ではなかなか大人っぽい声がいない。キャサリンは良い声だ。


「それから!カイン!クライス!何時に起きた?」

不服そうな顔をするとすまなさそうな顔をしながらも嬉しそう。

「声が起きてない」

睨むとやはり嬉しそう。キャサリンは横で苦笑している。

「やっぱドMって本当なのね」

と耳打ちして来た。私は困り顔で頷いた。


エミリアは出だしが他の管楽器が居ないのでほぼソロに近い。一生懸命練習している。上手いよなあ。


一方でジョージとルイスの弦楽器コンビ!上手い!

攻略対象者ハイスペック。ピアノ以外も行けるのか。

眺めて居るとルイスが不快そうにガン飛ばして来た。此奴は庶民が嫌いなんだろうか?私もついつい睨み返してしまう。


火花散りそうなのでこの辺で止めとこう。


今日の練習は1回合わせて終わった。何だかんだで途中休憩もしたけど6時間くらい学校に居た。

前世はアレだっただけど今世の歌を歌う生活も楽しい


帰りはお金持ち達はクラシックカー(この時代のこの世界では最先端)で御帰宅だ。

お迎えが来ている。

ルイスがふらっと車と逆方向へ歩いて行った。

ん?!んんんんん!!?

「単車だぁ!!」

テンションが一気に駆け上がる


「凄い凄い凄い!」

ルイスの方へ猛ダッシュ!

皆もどうした?と着いて来ている


「ルイス、買ったんだ?」

クライスが珍しそうにモーターサイクル(日本語ではオートバイ)を眺めている。

「乗りたい!乗りたい!お願いしやす!」

私はルイスに頭を下げる


「流石に女性には危ないですよ」

カインが宥めてくる。いやいや乗れるんだよ!


「ルナリー、これ高いですわよ」

キャサリンは気持ちは解ってくれているのだろうが確かに高いんだよなあ


「因みにおいくらくらい?」

単車をペタペタ触りながらルイスの方を見ると少し嫌そうな顔をしていた。

「ウェールズ家の年収くらい?か、それ以上?」

さらっと言いやがる。クソ!買えねえ!


「お願いします。乗せて下さい。ルイス様」

懇願してみる。


「乗せてあげれば?」

王子がルイスに声をかける。


「後ろになら。事故起こされても困るから」

ルイスは不服そうに言った。

「いいの?!それでも嬉しい!」

「学校の周り1周だけな」


ヘルメットをポンと渡される。この世界で乗れると思わなかったなあ。単車ぁぁ!

ルイスの後ろに乗る。テンションが上がり過ぎる。ワクワク。

エンジンがかかるとこの感覚!懐かしい!

「しっかり捕まってろ!」

ルイスに言われて、慌てて腰に手を回す。


風が気持ち良い!この流れる感覚!

「ひゃっほー」

声が漏れる!

「たーのしーい!」

身体が覚えてるなあ。カーブ曲がる感触。


「お前さあ!、、、」

ルイスが何か言った

「何ー?聞こえない!」

大声で叫ぶ

結局、何を言ったか解らず学校1周はあっという間に終わってしまう。

ルイスの背中が何だか懐かしい感じがした。

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

英雄の帰還。その後に

亜桜黄身
BL
声はどこか聞き覚えがあった。記憶にあるのは今よりもっと少年らしい若々しさの残る声だったはずだが。 低くなった声がもう一度俺の名を呼ぶ。 「久し振りだ、ヨハネス。綺麗になったな」 5年振りに再会した従兄弟である男は、そう言って俺を抱き締めた。 ── 相手が大切だから自分抜きで幸せになってほしい受けと受けの居ない世界では生きていけない攻めの受けが攻めから逃げようとする話。 押しが強めで人の心をあまり理解しないタイプの攻めと攻めより精神的に大人なせいでわがままが言えなくなった美人受け。 舞台はファンタジーですが魔王を倒した後の話なので剣や魔法は出てきません。

真っ黒でごめんなさい。

香野ジャスミン
BL
僕を優先して。 その一言が言えたら、こんな真っ黒な感情はなかったんだろう。 ※ムーンライトノベルズ、エブリスタでも同時公開。

モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた

マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。 主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。 しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。 平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。 タイトルを変えました。 前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。 急に変えてしまい、すみません。  

BL団地妻on vacation

夕凪
BL
BL団地妻第二弾。 団地妻の芦屋夫夫が団地を飛び出し、南の島でチョメチョメしてるお話です。 頭を空っぽにして薄目で読むぐらいがちょうどいいお話だと思います。 なんでも許せる人向けです。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

ハルに全てを奪われた

和泉奏
BL
「好きなヤツを手にいれるためなら、俺は何でもできるんだぜ」

同室者の怖い彼と、僕は恋人同士になりました

すいかちゃん
BL
高校に入学した有村浩也は、強面の猪熊健吾と寮の同室になる。見た目の怖さにビクビクしていた浩也だが、健吾の意外な一面を知る。 だが、いきなり健吾にキスをされ・・・?

処理中です...