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淫魔様と仲良くなれるおまじない♡④
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「あ、やっと帰ってきた~!」
夕飯を外で済ませた晴翔が玄関を開けると、中から出てきた見知らぬ男に出迎えられた。突然現れた美しい青年に、晴翔は訳が分からず立ち尽くしてしまう。
お腹と太ももと胸元がよく見える扇状的な服を着た青年の背後からは、先端の尖った尻尾のようなものが見え、にっこり笑った口からは鋭い八重歯が覗いていた。
入って入って、と自宅のはずの場所に招かれた晴翔は、未だに状況が飲み込めずされるがままに手を引かれて行った。
「え、え…?いや、え、誰!?」
ようやく晴翔が我に帰った時には、謎の侵入者は2リットルペットボトルの麦茶をラッパ飲みをしながら寛いでいた。
「んー?誰って…酷いなあ、君が呼んだんじゃないか。」
「は…?」
俺が呼んだ?一体いつ?そもそも、知り合いにこんな美青年はいないはずだ。鍵だってセキュリティがばがばの大家が信用できなくて、こっそり自分で取り付けたものだから合鍵などない。まさか、泥棒?いや、それならこんな格好で堂々としている訳ないし…。
怪訝そうな顔をする晴翔に青年はくすりと笑いかけた。
「もう忘れちゃったの?ほら、昨日の夜だよ。僕を呼んだでしょう?わざわざ窓を開けておやつまで用意して。」
そこまで言われて、晴翔はようやく気がついた。
「もしかして…淫魔様?」
そんな馬鹿なと思いながら聞くと、青年、否淫魔はにんまりと笑って頷いた。
「正~解。本当は昨日は様子見だけして帰るつもりだったんだけど、君があまりにも僕の好みだったからさ、今日一日、"見守って"たんだ。」
淫魔は笑みを崩さないまま、晴翔の手を取った。突然の接触に、びくりと体を震わせた晴翔を宥めるように手の甲に頬擦りをする。
「本当に、隅から隅までまで僕好み…ふふ、見てたよ、君って案外ドジっぽいんだね。今日は僕が居て助かったでしょ?契約してくれればこれから毎日そうしてあげる。どう?」
そう耳元で囁かれた晴翔は頭の芯がぼうっとし、体温が上がってきたような気がした。頭が上手く回らず、淫魔の誘惑が非常に魅力的に感じた。
「けい…やく?」
「そう。僕が君を守ってあげる約束。試しに一ヶ月だけでもどうかな?途中で嫌になったらいつでもやめて良いようにしてあげる。ね、悪い話じゃないでしょ?」
淫魔の声が一層甘くなる。
あまりにも、自分にとって美味すぎる話ではないだろうか。
そう考えた晴翔だが、しかし、思考の鈍った頭ではその先までは考えることが出来なかった。それに、この機会を逃してしまうのがとても惜しいような気もした。
一ヶ月だけ。それで、何か変なことがあったらやめれば良い。
晴翔はそう心の中で言い訳をして、正体の分からない大きな不安を先送りにし目の前の人参に手を伸ばすことにした。
「……ます。」
「なあに?はっきり言って。」
「…契約、します。い、一ヶ月だけ…。」
なんだか悪いことをしているような気がして小さい声でぼそぼそ喋る晴翔に淫魔が少しだけ厳しい声で聞き返した。晴翔が少し怯えながら言葉を繰り返すと、淫魔は満足そうに笑う。
「おっけ~。晴翔くんからのしっかりとした意志、受け取ったよ。それが一番大事だからね…うん、これで契約はほとんどお終い。」
あまりに呆気なくすんだことに、晴翔は安堵の息を溢した。
「じゃあ、最後に報酬の話をしておこっか。」
「え…?」
晴翔はいきなり冷や水を浴びせられたようにはっとした。そうだ、無対価の契約などあり得ない。どうして、こんな大事なことは完全に忘れてしまっていたのだろうか。
「といっても、僕らに対する報酬なんて大体決まりきってるけどね。僕らが君たちに求めるのは、淫気だよ。」
慌てる晴翔をよそに淫魔は楽しそうに話し出した。
「淫気…?」
「別に難しく考える必要ないよ。任せてくれれば、僕が勝手に貰うから。ああ、君はもちろん、君の周りにも危害が及ぶようなことはしないって約束するから心配しないで。」
それなら良いか、と一度思考を放棄することを覚えてしまった晴翔の脳は自分に都合の良いように解釈し始めてしまう。
「一日の分を夜にまとめて貰おうかな。晴翔くんもそっちの方がいいでしょ?」
「…はい。」
最早、晴翔は淫魔の言うがままに頷くだけだった。淫魔、つまり悪魔との契約の恐ろしさなどその時の彼には少しも想像がついていなかった。
「じゃあ、契約はこれで本当に終わり!これからよろしくね、晴翔くん。」
「よ、よろしく…お願いします。」
夕飯を外で済ませた晴翔が玄関を開けると、中から出てきた見知らぬ男に出迎えられた。突然現れた美しい青年に、晴翔は訳が分からず立ち尽くしてしまう。
お腹と太ももと胸元がよく見える扇状的な服を着た青年の背後からは、先端の尖った尻尾のようなものが見え、にっこり笑った口からは鋭い八重歯が覗いていた。
入って入って、と自宅のはずの場所に招かれた晴翔は、未だに状況が飲み込めずされるがままに手を引かれて行った。
「え、え…?いや、え、誰!?」
ようやく晴翔が我に帰った時には、謎の侵入者は2リットルペットボトルの麦茶をラッパ飲みをしながら寛いでいた。
「んー?誰って…酷いなあ、君が呼んだんじゃないか。」
「は…?」
俺が呼んだ?一体いつ?そもそも、知り合いにこんな美青年はいないはずだ。鍵だってセキュリティがばがばの大家が信用できなくて、こっそり自分で取り付けたものだから合鍵などない。まさか、泥棒?いや、それならこんな格好で堂々としている訳ないし…。
怪訝そうな顔をする晴翔に青年はくすりと笑いかけた。
「もう忘れちゃったの?ほら、昨日の夜だよ。僕を呼んだでしょう?わざわざ窓を開けておやつまで用意して。」
そこまで言われて、晴翔はようやく気がついた。
「もしかして…淫魔様?」
そんな馬鹿なと思いながら聞くと、青年、否淫魔はにんまりと笑って頷いた。
「正~解。本当は昨日は様子見だけして帰るつもりだったんだけど、君があまりにも僕の好みだったからさ、今日一日、"見守って"たんだ。」
淫魔は笑みを崩さないまま、晴翔の手を取った。突然の接触に、びくりと体を震わせた晴翔を宥めるように手の甲に頬擦りをする。
「本当に、隅から隅までまで僕好み…ふふ、見てたよ、君って案外ドジっぽいんだね。今日は僕が居て助かったでしょ?契約してくれればこれから毎日そうしてあげる。どう?」
そう耳元で囁かれた晴翔は頭の芯がぼうっとし、体温が上がってきたような気がした。頭が上手く回らず、淫魔の誘惑が非常に魅力的に感じた。
「けい…やく?」
「そう。僕が君を守ってあげる約束。試しに一ヶ月だけでもどうかな?途中で嫌になったらいつでもやめて良いようにしてあげる。ね、悪い話じゃないでしょ?」
淫魔の声が一層甘くなる。
あまりにも、自分にとって美味すぎる話ではないだろうか。
そう考えた晴翔だが、しかし、思考の鈍った頭ではその先までは考えることが出来なかった。それに、この機会を逃してしまうのがとても惜しいような気もした。
一ヶ月だけ。それで、何か変なことがあったらやめれば良い。
晴翔はそう心の中で言い訳をして、正体の分からない大きな不安を先送りにし目の前の人参に手を伸ばすことにした。
「……ます。」
「なあに?はっきり言って。」
「…契約、します。い、一ヶ月だけ…。」
なんだか悪いことをしているような気がして小さい声でぼそぼそ喋る晴翔に淫魔が少しだけ厳しい声で聞き返した。晴翔が少し怯えながら言葉を繰り返すと、淫魔は満足そうに笑う。
「おっけ~。晴翔くんからのしっかりとした意志、受け取ったよ。それが一番大事だからね…うん、これで契約はほとんどお終い。」
あまりに呆気なくすんだことに、晴翔は安堵の息を溢した。
「じゃあ、最後に報酬の話をしておこっか。」
「え…?」
晴翔はいきなり冷や水を浴びせられたようにはっとした。そうだ、無対価の契約などあり得ない。どうして、こんな大事なことは完全に忘れてしまっていたのだろうか。
「といっても、僕らに対する報酬なんて大体決まりきってるけどね。僕らが君たちに求めるのは、淫気だよ。」
慌てる晴翔をよそに淫魔は楽しそうに話し出した。
「淫気…?」
「別に難しく考える必要ないよ。任せてくれれば、僕が勝手に貰うから。ああ、君はもちろん、君の周りにも危害が及ぶようなことはしないって約束するから心配しないで。」
それなら良いか、と一度思考を放棄することを覚えてしまった晴翔の脳は自分に都合の良いように解釈し始めてしまう。
「一日の分を夜にまとめて貰おうかな。晴翔くんもそっちの方がいいでしょ?」
「…はい。」
最早、晴翔は淫魔の言うがままに頷くだけだった。淫魔、つまり悪魔との契約の恐ろしさなどその時の彼には少しも想像がついていなかった。
「じゃあ、契約はこれで本当に終わり!これからよろしくね、晴翔くん。」
「よ、よろしく…お願いします。」
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