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第七章
第百六話 口不調法
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「ツカサ……おまえはこの世界と元居た世界、どちらを救うんだ?」
「……」
答えが出せず、沈黙してしまう。
元の世界は当然大事だ。両親や親せきなどはいないが少しは友達もいる。それに大勢の人が生活しているのだ。見捨てることはできない。
こっちの世界も同じだ。過ごした時間は短いけど濃い毎日だった。知り合いの数だけならこっちの世界のほうが多いくらいだ。どちらかを選ぶことなんて、できるわけがなかった。
静寂が続く。
口を開くことができない。
魔王さんは無言で俺を見つめている。
やがて遠くから爆発音のようなものが聞こえてきた。
……ロイドさんたちかな。俺も行かなきゃ……でも、片方だけなんて……
「……選べません」
自分でも驚くほど、小さく絞り出すような声だった。
「選べ。望んではいなかったかもしれんが、勇者なのだろう? 自分で選択し、世界の一つぐらいは救ってみせろ」
「でも! それじゃ選ばなかったほうの世界が!! 片方の世界を見捨てるなんてできません」
「……ん? 見捨てないぞ?」
…………え?
「え、だって、どっちを救うんだって……」
「もともと俺たちだけでもこの世界は救うつもりだった。今聞いていたのは、ツカサが来たことで生まれた新しい可能性、その結果としてどちらを救うかということだ」
……たしかに魔王さんたちは世界を救うために動いていた。つまり世界を救う手段があるのだろう。ただ、”この世界は”って言葉から考えると片方だけなのかもしれない。もしかしたら、封印と合わせて二つの世界を救う予定だったのだろうか……
その封印は俺たちがダメにしたけど、新たな可能性として破壊の力で世界を救える。魔王さんは両方の世界を救うために、事前に俺がどちらの世界を救うか聞いておきたかったってこと?
……わ、わかりにくい。いや、待て。この魔王さんのことだ。俺の解釈で合ってる保証はない。ちゃんと聞いてみないと。
「……えっと、つまり……俺が選ばなかったほうは魔王さんが救うってことですか」
「そうだ」
当たっていたらしい。だったら、そこまで悩むことはない。両方救われるならどちらでも……いや、何か落とし穴があるかも。魔王さんが伝えてないことがありそうだ。
「魔王さんたちはどうやって世界を救うつもりだったんですか?」
「俺が……俺たちがやろうとしてたのは単純だ。封印がない現状、元の世界は諦め、こちらの世界はカルミナを倒したあとに俺の力で崩壊を停止させる。それだけだ」
「……もし俺がこっちの世界を救うって言った場合、時間の力は元居た世界にもかけられるんですか?」
「その場合は俺一人では無理だ。ゲイツを起こす必要がある」
……ゲイツ? 誰だろうか? ただ、魔王さんが世界を救うにあたって、元居た世界のほうが難易度が高いというのはわかった。だったら、俺が担当するべきだろう。
「俺が、俺と魔王さんが元居た世界を救います」
「では、こっちの世界は俺が救おう。行くぞ」
魔王さんが微かに微笑んだような気がした。一瞬だったので気のせいかもしれない。ただ、先ほどよりも魔王さん存在が近くに感じられた。
走っている魔王さんの背中を見て、一つ、あることを思い付く。思い付きを相談するために少し速度を上げ、俺は魔王さんの横へと並んだ。
「魔王さん、聞きたいこととお願いあります。もし――」
◆◆◆◆◆◆◆
横なぎに振るわれた剣をくぐり抜けるようにして躱す。そのまま敵の脇を抜け、背後へと回っていく。
敵が振り向く前に膝を蹴り、体勢を崩す。同時に左右の腕を交差し、両の手に持つ短剣で首を狙う。
腕を開くようにして短剣を振り抜くと、敵の頭はクルクルと回転しながら飛んでいった。
「ロイドさん、後ろ!」
その声にロイドはすぐさま前に跳ぶ。受け身をとって背後を見れば、別の敵が背後から斬りつけようとしているところだった。
短剣を構えなおし、敵に走り出そうとする。しかし、それより早く敵の体が真っ二つに分かれていく。
「油断しすぎではないでしょうか? たしかに私は味方ではありますが、魔王様の道を切り開くのが役目。あなたの尻拭いはそう何度も出来ませんよ?」
「ちゃんと避けてただろうが! というか、こいつらはおまえらの手駒じゃねぇのか? 何で襲ってきてんだよ」
「おそらく女神の仕業でしょう。ただ、数は多くないはずです。喋っているよりも、さっさと片付けましょう」
「ああ、それについては同感、だぁ!」
ロイドの振るった短剣が腕を斬り飛ばし、敵がよろめく。その隙をヴァンハルトの赤熱した剣が襲い、首をはねていく。
そんな二人が敵を倒してくようすをフルールとルイは辺りを警戒しながら見守っていた。
「まさかいきなり鉄の騎士に襲われると思わなかったけど、あの二人なら大丈夫そうね。私たちは頭を潰す係りに回りましょうか?」
「……あれは復活しない」
「え? ……そういえば、少し前に女神に変化させられた鉄の騎士と戦ったけど、そいつらも復活しなかったわね」
「……ん、だから、次に警戒」
その言葉のあと、ルイは杖を掲げ、目を閉じて集中しはじめた。フルールとしては”次”の詳細を聞きたかったが、邪魔はしないほうがいいと思い周囲の警戒に専念する。
フルールの目の前の敵、鉄の騎士は瞬く間にその数を減らしていた。奇襲に近い形であったため混乱もあったが、今はもう問題ない。もう一度同じ数が来ても一蹴できる。
そう考えるとルイの言っていた”次”とは鉄の騎士ではないのだろう。そこまで集中して魔力を集める相手ではないからだ。
フルールは戦っている二人よりもさらに奥を意識する。今のところ何も見えないが、警戒するとしたらそこしかなかった。
「おーい、終わったぞ! 先に進もうぜ!」
敵を全て片付けたロイドが手を振り、フルールとルイを呼んでいた。ただ、ルイは動かずに集中したままだ。そのためフルールはさらに神経を尖らせて奥を見ていく。
その結果、フルールは気づくことができた。奥から伸びてくる毒々しい色をした水の槍に。
「伏せて!!」
それはロイド、ヴァンハルト、二人に向かって放った言葉だった。二人はすぐさま転がり、その直後、水の槍が二人がいた場所を通っていく。
ほっと安堵したフルールだが、すぐ気を引き締める。隣からは透きとおるような青の光が輝いていた。
「……くる」
ルイの呟き。その言葉の意味を理解したとき、フルールの視界に巨大な波が出現する。
だがしかし、驚きの声を上げる間もなくルイの掲げた杖からも大量の水、それこそ目の前の波と同等の魔法が放たれた。
二つの波は同じ規模だ。威力も同程度なのだろう。ただ、フルールが気にしてるのはそこではなかった。
「ルイちゃん! あれじゃ二人が!」
フルールの視線の先にはロイド、ヴァンハルトの二人がいる。その位置は迫りくる二つの巨大な波の中間地点であり、逃げ場はない。
「……ヴァンハルトたちならだいじょうぶ。それより、シールドがひつよう」
「その言葉、信じるわよ! あとシールドは任せなさい! 余波が来るってことよね」
「そう。かこんで」
「了解!」
フルールはルイと自身を守るようにシールドの魔法を展開する。
上下左右と前後に黒い壁が現れ、隙間なくフルールたちを囲む。
黒い壁は先を見通せない。しかし、波が衝突する音、凄まじい勢いで流れてくる水の音だけははっきりと聞こえていた。
フルールが防御しているのは魔法の余波である。だがもともとの威力が高いせいか、シールドにひびが入りはじめていた。
「余波だけでも防ぎきれないなんて……」
「……いっぱいながれてきてる。しかたない」
ルイが再び杖を掲げる。すると今度は闇色の光が輝き、フルールのシールドを補強するように黒い壁が作られていく。
「闇属性も持ってたのね。助かるわ」
流された大木でも当たったのか、ときおり衝撃が奔る。だがシールドは揺れるものの、今度はひびが入ることはなかった。
「……もう大丈夫そうね」
「……ん」
周囲から聞こえていた水の音がなくなったところで魔法を解除する。
辺りの木々はなぎ倒されていた。そして波の中心であった場所は周りを押し流していったせいか、何もない広場のようになってしまっている。
広場の中心、濡れた地面が盛り上がる。続いて小さく爆発し、中から人が飛び出してきた。
「あれは……ロイドさんとヴァンハルトさん? なるほど、地中に逃げたのね」
「……たたかいのれんしゅうで、ヴァンハルトはルイの魔法をああやってよける」
「そういうこと。すでに経験済みだったってわけね」
ルイと二人でロイドたちのもとへ駆けだす。敵の予想はついている。力を合わせる必要があった。
「あー、泥まみれだ。でも助かった。ヴァンハルト、ありがとな」
「我々の本番はこれからですからね。あなたのような貴重な戦力を失うわけにはいきません」
フルールたちが近づくとロイドたちは服の汚れを落としながら会話をしていた。ただし、その視線の方向はこちらではない。森の奥だ。
「ルイもお疲れさまでした。あなたの魔法がなければ地面ごと抉られていたかもしれません」
「そうだった。ちっこい嬢ちゃんもありがとな!」
「……ん」
横へと並び、それぞれに声をかけていく。その中でフルールは一人だけ言葉を発さなかった。それは奥の暗闇から人影が見えてきていたからである
「みんな、来たみたいよ」
全員に注意を促したすぐあとに、人影の姿が露わになる。それは全員が予想したとおりの人物。聖カルミナ教会枢機卿、フロンティス・ルールラインの姿がそこにはあった。
「……」
答えが出せず、沈黙してしまう。
元の世界は当然大事だ。両親や親せきなどはいないが少しは友達もいる。それに大勢の人が生活しているのだ。見捨てることはできない。
こっちの世界も同じだ。過ごした時間は短いけど濃い毎日だった。知り合いの数だけならこっちの世界のほうが多いくらいだ。どちらかを選ぶことなんて、できるわけがなかった。
静寂が続く。
口を開くことができない。
魔王さんは無言で俺を見つめている。
やがて遠くから爆発音のようなものが聞こえてきた。
……ロイドさんたちかな。俺も行かなきゃ……でも、片方だけなんて……
「……選べません」
自分でも驚くほど、小さく絞り出すような声だった。
「選べ。望んではいなかったかもしれんが、勇者なのだろう? 自分で選択し、世界の一つぐらいは救ってみせろ」
「でも! それじゃ選ばなかったほうの世界が!! 片方の世界を見捨てるなんてできません」
「……ん? 見捨てないぞ?」
…………え?
「え、だって、どっちを救うんだって……」
「もともと俺たちだけでもこの世界は救うつもりだった。今聞いていたのは、ツカサが来たことで生まれた新しい可能性、その結果としてどちらを救うかということだ」
……たしかに魔王さんたちは世界を救うために動いていた。つまり世界を救う手段があるのだろう。ただ、”この世界は”って言葉から考えると片方だけなのかもしれない。もしかしたら、封印と合わせて二つの世界を救う予定だったのだろうか……
その封印は俺たちがダメにしたけど、新たな可能性として破壊の力で世界を救える。魔王さんは両方の世界を救うために、事前に俺がどちらの世界を救うか聞いておきたかったってこと?
……わ、わかりにくい。いや、待て。この魔王さんのことだ。俺の解釈で合ってる保証はない。ちゃんと聞いてみないと。
「……えっと、つまり……俺が選ばなかったほうは魔王さんが救うってことですか」
「そうだ」
当たっていたらしい。だったら、そこまで悩むことはない。両方救われるならどちらでも……いや、何か落とし穴があるかも。魔王さんが伝えてないことがありそうだ。
「魔王さんたちはどうやって世界を救うつもりだったんですか?」
「俺が……俺たちがやろうとしてたのは単純だ。封印がない現状、元の世界は諦め、こちらの世界はカルミナを倒したあとに俺の力で崩壊を停止させる。それだけだ」
「……もし俺がこっちの世界を救うって言った場合、時間の力は元居た世界にもかけられるんですか?」
「その場合は俺一人では無理だ。ゲイツを起こす必要がある」
……ゲイツ? 誰だろうか? ただ、魔王さんが世界を救うにあたって、元居た世界のほうが難易度が高いというのはわかった。だったら、俺が担当するべきだろう。
「俺が、俺と魔王さんが元居た世界を救います」
「では、こっちの世界は俺が救おう。行くぞ」
魔王さんが微かに微笑んだような気がした。一瞬だったので気のせいかもしれない。ただ、先ほどよりも魔王さん存在が近くに感じられた。
走っている魔王さんの背中を見て、一つ、あることを思い付く。思い付きを相談するために少し速度を上げ、俺は魔王さんの横へと並んだ。
「魔王さん、聞きたいこととお願いあります。もし――」
◆◆◆◆◆◆◆
横なぎに振るわれた剣をくぐり抜けるようにして躱す。そのまま敵の脇を抜け、背後へと回っていく。
敵が振り向く前に膝を蹴り、体勢を崩す。同時に左右の腕を交差し、両の手に持つ短剣で首を狙う。
腕を開くようにして短剣を振り抜くと、敵の頭はクルクルと回転しながら飛んでいった。
「ロイドさん、後ろ!」
その声にロイドはすぐさま前に跳ぶ。受け身をとって背後を見れば、別の敵が背後から斬りつけようとしているところだった。
短剣を構えなおし、敵に走り出そうとする。しかし、それより早く敵の体が真っ二つに分かれていく。
「油断しすぎではないでしょうか? たしかに私は味方ではありますが、魔王様の道を切り開くのが役目。あなたの尻拭いはそう何度も出来ませんよ?」
「ちゃんと避けてただろうが! というか、こいつらはおまえらの手駒じゃねぇのか? 何で襲ってきてんだよ」
「おそらく女神の仕業でしょう。ただ、数は多くないはずです。喋っているよりも、さっさと片付けましょう」
「ああ、それについては同感、だぁ!」
ロイドの振るった短剣が腕を斬り飛ばし、敵がよろめく。その隙をヴァンハルトの赤熱した剣が襲い、首をはねていく。
そんな二人が敵を倒してくようすをフルールとルイは辺りを警戒しながら見守っていた。
「まさかいきなり鉄の騎士に襲われると思わなかったけど、あの二人なら大丈夫そうね。私たちは頭を潰す係りに回りましょうか?」
「……あれは復活しない」
「え? ……そういえば、少し前に女神に変化させられた鉄の騎士と戦ったけど、そいつらも復活しなかったわね」
「……ん、だから、次に警戒」
その言葉のあと、ルイは杖を掲げ、目を閉じて集中しはじめた。フルールとしては”次”の詳細を聞きたかったが、邪魔はしないほうがいいと思い周囲の警戒に専念する。
フルールの目の前の敵、鉄の騎士は瞬く間にその数を減らしていた。奇襲に近い形であったため混乱もあったが、今はもう問題ない。もう一度同じ数が来ても一蹴できる。
そう考えるとルイの言っていた”次”とは鉄の騎士ではないのだろう。そこまで集中して魔力を集める相手ではないからだ。
フルールは戦っている二人よりもさらに奥を意識する。今のところ何も見えないが、警戒するとしたらそこしかなかった。
「おーい、終わったぞ! 先に進もうぜ!」
敵を全て片付けたロイドが手を振り、フルールとルイを呼んでいた。ただ、ルイは動かずに集中したままだ。そのためフルールはさらに神経を尖らせて奥を見ていく。
その結果、フルールは気づくことができた。奥から伸びてくる毒々しい色をした水の槍に。
「伏せて!!」
それはロイド、ヴァンハルト、二人に向かって放った言葉だった。二人はすぐさま転がり、その直後、水の槍が二人がいた場所を通っていく。
ほっと安堵したフルールだが、すぐ気を引き締める。隣からは透きとおるような青の光が輝いていた。
「……くる」
ルイの呟き。その言葉の意味を理解したとき、フルールの視界に巨大な波が出現する。
だがしかし、驚きの声を上げる間もなくルイの掲げた杖からも大量の水、それこそ目の前の波と同等の魔法が放たれた。
二つの波は同じ規模だ。威力も同程度なのだろう。ただ、フルールが気にしてるのはそこではなかった。
「ルイちゃん! あれじゃ二人が!」
フルールの視線の先にはロイド、ヴァンハルトの二人がいる。その位置は迫りくる二つの巨大な波の中間地点であり、逃げ場はない。
「……ヴァンハルトたちならだいじょうぶ。それより、シールドがひつよう」
「その言葉、信じるわよ! あとシールドは任せなさい! 余波が来るってことよね」
「そう。かこんで」
「了解!」
フルールはルイと自身を守るようにシールドの魔法を展開する。
上下左右と前後に黒い壁が現れ、隙間なくフルールたちを囲む。
黒い壁は先を見通せない。しかし、波が衝突する音、凄まじい勢いで流れてくる水の音だけははっきりと聞こえていた。
フルールが防御しているのは魔法の余波である。だがもともとの威力が高いせいか、シールドにひびが入りはじめていた。
「余波だけでも防ぎきれないなんて……」
「……いっぱいながれてきてる。しかたない」
ルイが再び杖を掲げる。すると今度は闇色の光が輝き、フルールのシールドを補強するように黒い壁が作られていく。
「闇属性も持ってたのね。助かるわ」
流された大木でも当たったのか、ときおり衝撃が奔る。だがシールドは揺れるものの、今度はひびが入ることはなかった。
「……もう大丈夫そうね」
「……ん」
周囲から聞こえていた水の音がなくなったところで魔法を解除する。
辺りの木々はなぎ倒されていた。そして波の中心であった場所は周りを押し流していったせいか、何もない広場のようになってしまっている。
広場の中心、濡れた地面が盛り上がる。続いて小さく爆発し、中から人が飛び出してきた。
「あれは……ロイドさんとヴァンハルトさん? なるほど、地中に逃げたのね」
「……たたかいのれんしゅうで、ヴァンハルトはルイの魔法をああやってよける」
「そういうこと。すでに経験済みだったってわけね」
ルイと二人でロイドたちのもとへ駆けだす。敵の予想はついている。力を合わせる必要があった。
「あー、泥まみれだ。でも助かった。ヴァンハルト、ありがとな」
「我々の本番はこれからですからね。あなたのような貴重な戦力を失うわけにはいきません」
フルールたちが近づくとロイドたちは服の汚れを落としながら会話をしていた。ただし、その視線の方向はこちらではない。森の奥だ。
「ルイもお疲れさまでした。あなたの魔法がなければ地面ごと抉られていたかもしれません」
「そうだった。ちっこい嬢ちゃんもありがとな!」
「……ん」
横へと並び、それぞれに声をかけていく。その中でフルールは一人だけ言葉を発さなかった。それは奥の暗闇から人影が見えてきていたからである
「みんな、来たみたいよ」
全員に注意を促したすぐあとに、人影の姿が露わになる。それは全員が予想したとおりの人物。聖カルミナ教会枢機卿、フロンティス・ルールラインの姿がそこにはあった。
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