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第7話 グート叔父さんと対決!

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 俺はグート叔父さんの、「ひのきの棒」の攻撃を、二回も見切ってかわした。

「こ、この! よけやがって!」

 叔父さんはあわてて、今度は斜めから「ひのきの棒」を振り下ろしてきた!

 見える! 見えるぞ!

 俺は、今度は叔父さんの「ひのきの棒」を左にかわした。

 そして!

 カッ

 俺は手刀で、叔父さんの「ひのきの棒」をはね飛ばした。「ひのきの棒」は壁に当たり、床に転がった……。俺もどうしてそんなことができたのか、自分でも分からない。

「は? え?」

 叔父さんは目を丸くしている。

「き、きさまあっ。俺は去年の王国格闘トーナメント、五十歳以上の部の三位だぞ!」

 げ、王国トーナメントの三位か? このおっさん、相当な格闘術の実力者だ!
 すると叔父さんは右のパンチで、俺に襲い掛かってきた。

 ここだ! 

 俺はそのパンチをかわした。──と同時に、俺は右拳を突き出していた。

 グワシイイッ

 その瞬間、すさまじい打撃音がした。

「ぐ、が」

 叔父さんの右頬みぎほおに、俺の右拳が入っていた。相手が向かってきた勢いを利用して、逆に決めるパンチ──右カウンターだ!

 グラリ

 叔父さんは片膝かたひざをついた。

「……なん、だ。おめえ……素人じゃ……ねえな」

 俺は、叔父さんの攻撃をかわしたと同時に、自分の拳を前に突き出しただけだ。しかし、それが完全な、見事なカウンター攻撃になってしまった。
 じ、自分でも、何がどうなっているのか分からない。

 叔父さんは、ほおを押さえて片膝かたひざを床について、俺をにらんでいる。

 俺……どうなったんだ? こんな屈強くっきょうな男を、ダウンさせちまった!

 俺みたいな引きこもりが?

「ひいいいーっ! 怖い!」

 アシュリーがベッドの上で、悲鳴をあげる。まあ、しゃあない。こんな部屋の中で大激闘だ。俺だって驚いている。

 叔父さんはニヤリと笑い、両手をギチッと構えた。

「やる……じゃねえかよ、コ……コソ泥」

 完全に戦闘モードだ。

 やばい。

 叔父さんは素早く、右手で俺のシャツの長袖ながそでつかんだ。

 俺は直感で「このまま背負われたら、投げられる!」と感じた。

 こ、この技は、本で見たことがある投げ技だ。叔父さんは、本格的な「投げ技」で、俺を仕留めにきた!

 結構広い部屋だが、投げられたら壁に叩きつけられるぞ!

「くっ!」

 俺は素早く、叔父さんの手を振りほどいた。しかし、叔父さんも素早い。今度は左手で俺の服をつかみにかかる。

「このコソ泥野郎~!」

 叔父さんは声を上げ、俺の服をつかんだ。だから、誤解だって! しかし、俺はそのスキを見逃さなかった。こういった接近戦の場合は──!

 ガシイイッ

 俺は、叔父さんのほおに、自分の右肘みぎひじを叩き込んでいた。

「ガ、フ」
 
 叔父さんは目を丸くして、よろけた。

「きゃああっ!」

 アシュリーはまたしても声を上げる。

「だ、だまれやっ! ガキが!」

 バキイッ

 グート叔父さんは、アシュリーが座っているベッドを足で思いきり蹴っ飛ばした。アシュリーはまた、「ひいっ!」と声を上げた。

 叔父さんはイライラしているようだ。しかし、ヤツの体力も限界に近づいているはず。
 一方──俺は怒りを感じた。

(この野郎……叔父か何かしらねえが、女の子をいじめるなんてゆるせねえ!)

 俺の体が、またしても勝手に動いた。

 ゆらり。グート叔父さんはフラフラと俺の方に近づく。もう、なりふり構わない、という表情だ。捨て身戦法だろう。こういうのが一番怖い!

「ぶっとばしてやらああ!」

 叔父さんは、最後の力を振り絞って、左の大振りのパンチ──左フックを繰り出してきた。
 こ、拳のひねりも加わった、見事なパンチだ! や、やばい、当たると1メートルは吹っ飛ぶぞ!

 しかし──ここだ!
 
 俺は一歩前に出た。そして──。

 グワッシャアアア!

 もの凄い音がした。

 俺の渾身こんしんの右パンチ。──右ストレートを、グート叔父さんのアゴに叩き込んでいたのだ。

「あ、が、ご」

 叔父さんは今度はついに、床に両ひざをつく。

「お前……何者……グフッ……」

 決着──! 俺の勝利だ!
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