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第4章
「月の中にすべて答えがある、ということです。」と女性は説明してくれる。
しおりを挟む月を読むとはどういうことやろ、とうちが考えてると、白い女性は立ち上がった。
「月の中にすべて答えがある、ということです。」と女性は説明してくれる。
「答え。」とうちはそれを反芻するように繰り返す。
「そう。特に過去との関係。」と女性は言って、うちの肩に手を置いた。
「過去。」うちは下から女性を見上げながら言う。
「ええ。」と彼女は言って、うちの手を取る。彼女と一緒に立ち上がって、うちは祭壇のようなところに連れて行かれる。そこではすでに先ほどの巫女さんが、何やら用意をしてはる。
「横たわってください。」と女性が言うので、うちはそれに従う。そういやお金とか払ってへんけどええんかな、とかいう雑念を払いながら。
「冷たい。」うちは思わず口走る。床暖房が効いてるわけなく、夜の山は思った以上に寒い。
「少し我慢して下さい。」と女性は言って、祈とうを始める。白い棒みたいなのを振って。うちは床に寝ころびながら、じっとしている。すると先ほどの巫女さんが、祭壇の上にするりと上がった。横目でそれを見ながら、うちは何をするんやろうと考える。そしたら巫女さんは、白い袴をごく自然に下に落とした。薄暗い中、月の光ではっきりと彼女の裸体が浮かぶ。そう、巫女さんは下に何も着てへん。つまりすっぽんぽんや。えーと内心ではすごく驚きながら、横では女性が祈とうしてはるし、何も言えへん。巫女さんはその祈とうに合わせるように、裸で踊り出した。結構寒いんちゃうの、とかうちは余計な心配をする。それよりその女性は細くてスリムで、うちが羨む美しい体をしてはる。胸はそんなにないけど、それがまた踊りをするには最適な体やったりする。普段から鍛えてはるんやろうなーとか考えていると、手元のリスが動き出した。
「あ、ちょっと。」と小声で言ったけど、リスはするするとうちの手を抜け出した。そして巫女さんの踊ってる祭壇のほうに行ってしまう。わーまずい。うちはどうかしようと思ったけど、動くわけにはいかへん。というより、動けへん。動こうにも。まるで金縛りにあったみたいに動けへんねん。ただ見ることはできる。リスは祭壇に上がると、巫女さんの踊る足元へと行った。どうなるんやろ、とうちが見てると、巫女さんはリスを手に取った。そしてリスを持ったまま、より激しく踊り出した。まるで夢みたいやとうちは思う。これは全部夢なんちゃうやろか。五右衛門もリスも、巫女さんも侍たちも、全部夢にちがいない。それやったらすべて説明がつく。夢オチや、そうに違いない。
「夢ではありません。」と突然、低い声で女性神主さんが言った。
「え?」と思わずうちは聞き返す。
「あのリスが、すべてを呼び込んでいます。」と女性はつぶやいた。
「リスが?」うちは動けないまま、向こうで裸の巫女さんに抱かれているリスを見る。
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