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第2章

なぜかおじさんはいない。

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 霧がどこまでも濃くなってくもんやから、小さいうちの目にもそれは明らかで怖くなってくる。うちは横にいるおじさんの手を握ろうとしたけど、なぜかおじさんはいない。
「え?」とうちが思ってキョロキョロしていると、すぐ横にあったはずの茶屋もなくなっている。
「どうしたん。」とうちは細々とした声を口から出してみる。恐怖が背中のほうに貼りついて、うちは動くことができへん。
「何か来る。」とうちは言う。そう、霞がかった目の前の道から、ドシンドシンという音がするのだ。うちは思わず逃げたくなるのに、足が一歩も動かへん。
「静?」ちゃう、静なわけあらへん。こんな足音させるのは大魔神か悪魔かに違いない。どうしよう殺される、とうちは一瞬思う。それで余計に怖くなってしまう。
「お母さん。」とうちは口に出している。足音が徐々に近くなってくる。すぐ目の前まで霧に覆われてて、うちは気を失ってしまう。うちは誰かにどこかに連れ去られてしまう。
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