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25 夢が叶うとき(1)

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 ベッドに連れて行かれて横になった瞬間、千影が覆い被さってきた。

「急いでごめん。あとで髪、乾かしてあげるね」

 彼が申し訳なさそうに謝りながら、夕美の髪にそっと触れる。

「謝らないで。それより私も、こうしたかったから」

「夕美……」

 嬉しそうに微笑んだ千影が、顔を近づける。
 バスルームの時の激しさとは違う、優しいキスが繰り返された。
 そして彼の唇が、夕美の耳や首筋、鎖骨、胸元を愛撫する。まるで大切な宝物に触れるように、彼の唇も手も、重なる体も、夕美を気遣っているように感じられた。

「千影、さん」

「ん?」

「ありがとう。優しくしてくれて」

 夕美の言葉に千影が手を止め、驚いた顔でこちらを見下ろす。

「千影さんのおかげで、前みたいには怖くないの。ほら、震えてないでしょう?」

 触ってみて、と彼の前に手を出した。その手を取った千影が、指を絡めながらうなずいた。

「うん、震えてないね」

「千影さんが優しいからなの。だからその、もう……」

 伝えたいのに、ストレートに言葉にするのは恥ずかしくて言葉に詰まる。

「もう十分だって、言いたいのかな?」

 夕美の気持ちを察した千影が、何かを含んだような笑みを浮かべた。

「う、うん」

「嬉しいけど、それはダメ」

「あ……っ!?」

 突然、両胸の先をきゅっとつままれ、電気が走ったような刺激が伝わり、同時に腰がびくんと跳ねた。

「もっと夕美の体を堪能したいから、すぐに終わらせるつもりはないよ」

 ニヤリと笑った千影は夕美の両胸をわし掴み、谷間に顔を埋める。そして柔らかさを堪能しながら言った。

「全部、僕に任せてくれればいいからね。夕美の全部、僕に預けて……」

 なぜか懇願するような声に聞こえて戸惑った時。

「あっ、あ」

 生ぬるさを胸の先に感じた。それはみるみる甘い感覚に変わっていき、夕美の下腹を甘く疼かせる。

「んっ、そこばっかり、あぁっ」

「好きなんだね、ここ」

「んっ……」

 千影の唇と舌が、夕美の乳首を執拗に舐めて吸っていた。そのたびに脚の間がむずむずして耐えられなくなり、腰をよじらせる。

「あっ! ダメッ、やめて……!」

 体を下にずらした千影が、夕美の両膝の裏に手を入れ、濡れている場所に視線を下ろしたのだ。

「信じられないくらい濡れてるね。でも、これだけじゃ物足りなさそうだ」

 意地悪な笑みをこちらに向けた彼と視線が合う。とたんに夕美の顔が羞恥に燃え上がった。
 夕美が返事をする前に、千影がひくついているそこへ、顔を寄せる。

「そこダメッ、恥ずかし……見ないで……っ」

「見て終わると思ったの?」

「え……、んんっ! あっ、あ……っ!」

 包皮を向いた粒を、ちゅぷちゅぷという音を立てて吸い始めた。それを見ることは恥ずかしすぎてできないが、想像するだけで頭がおかしくなりそうだった。
 しかし体は自分の意思とは関係なく、腰を浮かせて彼から与えられる快感を貪ろうとする。

「あっ、も、もう……」

 いよいよ上り詰めそうになったその時、ちゅという音がして、彼の唇が離れてしまった。

「ここでやめるね」

 体を起こした千影が言った。
 だが、その行為があまりにも理不尽に思えて、夕美は泣きそうになりながら尋ねる。

「どうして、やめちゃうの……?」

「やめてって言ってたじゃない」

「い、いまさら意地悪言わないで」

 半泣きで訴える夕美の顔に、千影が迫ってきた。

「じゃあ正直に答えるんだよ。もっと続けて欲しい? それとも僕のが欲しい?」

 見下ろす彼に囚われて、視線が外せない。もう観念する以外に道は残されていなかった。

「千影さんの、欲しい」

 彼のモノを受け入れたら、もっと気持ち良くなれるのではという体の欲求が、そう答えさせる。

「夕美が欲しくてたまらなくなるまで我慢するの、大変だったな」

 満足げに微笑んだ千影は、枕元に置いていた避妊具を手にし、装着した。

 蜜が滴り、迎え入れる準備をしている夕美の入口に、千影が自身を押しつける。夕美の体に緊張が走ったが、それをほぐすように彼が唇を重ねた。
 深いキスをしているうちに、再び体が溶けていく。

「んっ、ん……、千影さ、ん」

 少しずつ挿入ってきた彼のモノに、感じたことのない痛みを覚えたが、堪えながら受け入れる。ただ必死に彼の背中にしがみつきながら。

「……痛む?」

 唇を離した千影が心配そうに尋ねてきた。夕美と同じように、彼は熱い吐息を言葉に混ぜている。

「少し、痛い……けど、大丈夫だから」

 目一杯広がっているひだが痛みを感じているが、そこで止めてほしくなくて、笑みを作った。
 夕美の言葉を受けて一瞬目を見ひらいた千影が、切なげに眉を寄せる。

「ありがとう……、好きだよ」

「あっ」

 千影がグッと腰を進め、夕美の口から声が飛び出す。
 裂けるような痛みと甘い快感が同時に押し寄せる感覚に、夕美の頭が真っ白になった。

 痛みに堪えながら千影の進みに、目をつぶって耐える。しばらくすると彼の動きが止まった。
 彼をすべて受け入れることが出来たのだろうか――。

 静かにまぶたを開けると、こちらを見下ろす千影と目が合う。

「……ああ、夕美、好きだ、本当に……、幸せすぎる」

 そうつぶやいた彼の目には、涙が浮かんでいるように見えた。

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