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19 愛しい肌と夜の事情(1)

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 長い長いキスのあと、千影の唇は夕美の頬に押し付けられ、耳たぶに移動した。

「あ……」

 彼がそこを甘噛みする。そして耳の周辺も何度かキスされた。千影の息が耳に入り込むたびにぞくりと夕美の肌が粟立ち、体が震えてしまう。
 夕美の両手首は彼に掴まれてシーツに押しつけられているため、身動きが上手く取れなかった。

「あ、あの……」

「ん?」

「キ、キスするだけって、千影さん」

 夕美の耳元から顔を離した千影が、こちらを見下ろした。

「うん、キスしてるだけだよ? 問題ないよね?」

「そ、そうだけど、なんか」

 千影の瞳を見つめて訴えるが、彼は優しい笑みを見せるだけだ。
 そして彼は戸惑う夕美の首筋に顔を埋めた。

「んん……っ!」

 ちゅっとキスされて、思わず声が漏れ出てしまう。味わったことのない感覚がそこから広がり、下腹がきゅんと甘くわなないた。

 千影は夕美の手を離し、首筋にキスを落としながら、浴衣の合わせを引いた。あらわになった鎖骨も唇で探り始める。

「えっ、そこ、そんな……、あっ」

 千影は何度もキスをし、夕美の肌を舐めている。ちゅっちゅという音が卑猥なものに聞こえ、恥ずかしさに耐えきれなくなった夕美は、解放された手で自分の顔を覆った。

 首と鎖骨を愛撫されているだけなのに、体の奥が疼いて仕方がない。
 夕美は足をもぞもぞさせて自分をごまかそうとしたが、脚の間が濡れ始めているのを確認できただけだった。

(どうしてこんなに感じちゃうの。このままじゃ私……。千影さんは私のために今夜はしないって言ってくれたのに……、その気持ちを大切にしたいのに……、私のほうが我慢できるか、自信がない……)

 高まる興奮を抑えるように何度も息を吐き、どうにか耐え続ける。頭がクラクラして、体が熱くてたまらない。

「後ろから抱きしめたいから、横向きになろうか」

「……あ、うん」

 これでキスは終わりだと思うと、ホッとしたような、まだ続けて欲しいような、複雑な気持ちを隠しながら、彼の指示に従った。

 キスだけなのに体の力が抜けてしまった夕美は、のろのろとどうにか横向きになる。

「じゃあ今度はここにキスするね」

「え……っ!」

 浴衣の肩をするりと剥かれてしまい、驚いて声を上げた。抱き合っているうちに帯が緩んでいたのか、いとも簡単に肌が露出する。

 夕美の髪をかき分けた千影は、背中に唇を押しつけた。

「あぁっ」

 思わぬ快感に声が飛び出してしまう。
 彼は夕美に構わず、そこからゆっくり背骨に沿って唇を滑らせた。千影の感触が伝わるたびに、夕美の体がぴくんと震える。

「あ……あ、ダメ」

「どうしてダメなの?」

「ひう……っ!」

 囁く彼の吐息が背中にかかり、またもビクビクと体が反応した。
 そんな夕美の後ろから千影の手が伸び、下腹に回される。ちょうど子宮がある場所だ。

「変な声、出ちゃうから、もう……」

「全然変じゃないよ。夕美の可愛い声、もっと聞きたい」

「体が変、なの……っ、だからダメ……」

 涙目で訴えるが、後ろにいる彼には夕美の顔が見えない。体をよじろうとすると、千影の手が夕美の腰を捉えた。

「ねえ、夕美。……これ、わかる?」

 お尻に何か、固いものが当たる。押しつけられたソレを理解した瞬間、かぁっと夕美の顔が熱くなった。

「……千影さん、の?」

 確かめるように呟くと、さらに彼のモノをグッと押しつけられる。

「そう。夕美が可愛くてこんなに興奮してるんだよ。だから、夕美と同じ。恥ずかしがらなくていい」

「で、でも……」

「じゃあ、どうしてほしいか言ってみようか。素直になってくれたほうが嬉しいから」

「あっ、んんっ」

 またも背中に彼の唇が触れる。今度は何度も強く押しつけ、移動しながら大きな音を立てた。

 千影が触れている下腹が、やるせなさに甘く疼く。

「……っ、触って」

 体が欲するままに、夕美の唇から言葉がこぼれた。

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