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HappyValentine
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街もデパートもコンビニですらハートとチョコで染っている。今日はカップル達が浮かれるバレンタインだ。休日だからより人が多い。
昨日のメッセージで3人が集まることになっていた。1番に着いたのは夏目。時間を持て余して居たためネタ集めも兼ねてふらふらしていた。
(それにしてもはやく着いてしまった)
そんなことを考えぼーっとしていると暖かい風が髪を揺らす。
(あぁ春も近ずいているのか、また何も変わらず1年過ぎてしまったな)
そんなことを考えていると少し奥にある木の根元に目がいった。
「おや」
びっしりと咲いているクローバーを見つけ近づく。どうせ暇なのだと四葉を探し始めた。
それに、夏目の心の中ではクローバーを渡す相手は既に決まっていた。
(意外とないものだ…幸せはそう簡単に手に入らない。ということかな?)
なんとなくはじめたことが、だんだんと楽しくなり夢中で探していた。
隣に座られても気づかないほどの集中力で。
「随分と可愛いことするんだな」
声の先には千春が立っていた。
(もうそんなに時間が経っていたのか…)
挨拶をし、話し込んでいると千春の足元にあるモノを見つけた。
「先輩動かないで、」
踏まないように一言伝えそっと摘む。
「お!良かったな、見つかって」
珍しいな!と満面の笑みでクローバーを見ている千春に差し出した。
「良かったら受け取ってくれませんか?」
律と一緒に買いに行ったチョコと一緒にクローバーを添え渡した。
最初はすごく驚いた様子で戸惑っていたが受け取ってくれた。
「ありがとう、でもクローバーまで良いのか?そんなつもりで言ったわけじゃ…」
「はい、元から渡したい人は決まっていたので」
嬉しさと恥ずかしさで胸がいっぱいになる。
「このチョコ、俺のために選んでくれたのか?」
答えは薄々分かっていた。ただ夏目の口から聞きたかった。
「はい、昨日律先輩に手伝ってもらいながら選びました。…ご迷惑でしたか?」
いつもと同じで反応を見て面白がってるのかもしれない。思わせぶりな態度をとられてるだけかもしれない。だけど信じたいと思った。思ってしまった。
「迷惑じゃない。すごく嬉しい、ありがとう。あっ!でも貰えるとは考えてなくて今手元にチョコ無いんだ。絶対ホワイトデーにお返しするから!」
ころころ表情が変わっていく千春を見て自然と笑ってしまった。
「見返りなんて求めてないです。受け取ってくれただけで嬉しいんです。」
「ダメだ、そういうことはしっかりしたい!それに、俺だって夏目に伝えたいことが…」
「やっほー!って、おやおや~?良い雰囲気ですなぁ」
ニヤニヤしながらからかってくる律を見て千春がテンパる。
たまにはこんな浮ついた行事も良いかもしれない。そんなことを考えなながら2人を止めに夏目はゆっくり歩き出した。
~余談~
律が2人を呼び出したのは日頃の感謝を込めてチョコを渡したかったから。
料理や家事が苦手な律にとって手作りチョコは大掛かりの作業だったが、何とかお母さんに手伝ってもらいながら完成したのはフロランタン。
実はちゃんと意味があった。
フロランタンは簡単に言えばナッツとキャラメルを固めて作ったもの、律としてはキャラメルを渡す意味で考えていた。
意味は『安心する存在』
本当に自分を受け入れてくれたり、女の子として接してくれる2人に感謝している。
素の自分で居られる環境を与えてくれたからフロランタンを選んだ。
意味を理解しているかは分からないが2人とも喜んでくれた。
律はもう少し料理をやってみようと思ったのであった。
~もうひとつ余談~
⚠️バレンタイン前日 を先に読むのをおすすめします。
その時、律だけを本屋に行かせたのは律用のチョコを買うためだった。
千春のチョコと比べすぐに決められた律のチョコ。喫茶店で抹茶が好きだと話していたのでどれを渡すか決めていたから。
人の反応をうかがったり、人間観察をするのが夏目の特技でもあった。サプライズが好きな彼にとっては子ども心がくすぐられるイベントのひとつ、バレンタインであった。
昨日のメッセージで3人が集まることになっていた。1番に着いたのは夏目。時間を持て余して居たためネタ集めも兼ねてふらふらしていた。
(それにしてもはやく着いてしまった)
そんなことを考えぼーっとしていると暖かい風が髪を揺らす。
(あぁ春も近ずいているのか、また何も変わらず1年過ぎてしまったな)
そんなことを考えていると少し奥にある木の根元に目がいった。
「おや」
びっしりと咲いているクローバーを見つけ近づく。どうせ暇なのだと四葉を探し始めた。
それに、夏目の心の中ではクローバーを渡す相手は既に決まっていた。
(意外とないものだ…幸せはそう簡単に手に入らない。ということかな?)
なんとなくはじめたことが、だんだんと楽しくなり夢中で探していた。
隣に座られても気づかないほどの集中力で。
「随分と可愛いことするんだな」
声の先には千春が立っていた。
(もうそんなに時間が経っていたのか…)
挨拶をし、話し込んでいると千春の足元にあるモノを見つけた。
「先輩動かないで、」
踏まないように一言伝えそっと摘む。
「お!良かったな、見つかって」
珍しいな!と満面の笑みでクローバーを見ている千春に差し出した。
「良かったら受け取ってくれませんか?」
律と一緒に買いに行ったチョコと一緒にクローバーを添え渡した。
最初はすごく驚いた様子で戸惑っていたが受け取ってくれた。
「ありがとう、でもクローバーまで良いのか?そんなつもりで言ったわけじゃ…」
「はい、元から渡したい人は決まっていたので」
嬉しさと恥ずかしさで胸がいっぱいになる。
「このチョコ、俺のために選んでくれたのか?」
答えは薄々分かっていた。ただ夏目の口から聞きたかった。
「はい、昨日律先輩に手伝ってもらいながら選びました。…ご迷惑でしたか?」
いつもと同じで反応を見て面白がってるのかもしれない。思わせぶりな態度をとられてるだけかもしれない。だけど信じたいと思った。思ってしまった。
「迷惑じゃない。すごく嬉しい、ありがとう。あっ!でも貰えるとは考えてなくて今手元にチョコ無いんだ。絶対ホワイトデーにお返しするから!」
ころころ表情が変わっていく千春を見て自然と笑ってしまった。
「見返りなんて求めてないです。受け取ってくれただけで嬉しいんです。」
「ダメだ、そういうことはしっかりしたい!それに、俺だって夏目に伝えたいことが…」
「やっほー!って、おやおや~?良い雰囲気ですなぁ」
ニヤニヤしながらからかってくる律を見て千春がテンパる。
たまにはこんな浮ついた行事も良いかもしれない。そんなことを考えなながら2人を止めに夏目はゆっくり歩き出した。
~余談~
律が2人を呼び出したのは日頃の感謝を込めてチョコを渡したかったから。
料理や家事が苦手な律にとって手作りチョコは大掛かりの作業だったが、何とかお母さんに手伝ってもらいながら完成したのはフロランタン。
実はちゃんと意味があった。
フロランタンは簡単に言えばナッツとキャラメルを固めて作ったもの、律としてはキャラメルを渡す意味で考えていた。
意味は『安心する存在』
本当に自分を受け入れてくれたり、女の子として接してくれる2人に感謝している。
素の自分で居られる環境を与えてくれたからフロランタンを選んだ。
意味を理解しているかは分からないが2人とも喜んでくれた。
律はもう少し料理をやってみようと思ったのであった。
~もうひとつ余談~
⚠️バレンタイン前日 を先に読むのをおすすめします。
その時、律だけを本屋に行かせたのは律用のチョコを買うためだった。
千春のチョコと比べすぐに決められた律のチョコ。喫茶店で抹茶が好きだと話していたのでどれを渡すか決めていたから。
人の反応をうかがったり、人間観察をするのが夏目の特技でもあった。サプライズが好きな彼にとっては子ども心がくすぐられるイベントのひとつ、バレンタインであった。
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