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蓮は、焦っていた。
先日、祖父に会社に呼び出されて、
『アメリカ本社についてだが、享ひとりでは心許ないから、大学を退学してあいつの側で会社を手伝え』
と言っていきた。一瞬、こいつは何を言い出すのかと思ったが、冷静に
『大学のカリキュラムは、後卒論のみだから、大学卒業の肩書は上に立つ為には必要不可欠で大事な事だと思いますが、それでも退学しても大丈夫ですか?』
と答えた。
『わかった。あっ、お前男と付き合っているのか?』
『いいえ、女は適当に付き合ってますが、男達とは連んでいるだけでそれもここ2、3年はこちらの仕事と大学のカリキュラムを早期に取るのに忙しくてなかなか機会がないんです。陶芸部でも作品を作る時間がないので土を練っているだけです。後輩たちが色々聞いてくるので鬱陶しいですが、可愛いがっています』
『東山敬介は?』
『敬介ですか、あいつは陶芸が好きで、俺が陶芸家の息子と知って色々と質問して来る。それに彼は、俺より安芸島の事が好きなんです。安芸島はノーマルなので振り向いてくれないと相談されたから安芸島に嫉妬させる為に付き合う真似事をした。もうあいつは今、安芸島と付き合ってる』
蓮は、心の中に嵐が湧き起こるがそれを見せないように振る舞った。
『わかった。それなら享の穴をお前が埋めろ』
大学退学は免除するが、仕事はしろって事だろう。蓮はそう思いながらため息を吐いた。
それから、家の仕事に駆り出されることが多くなった。その為に陶芸部には顔を出せなくなった。その代わり、敬介とは週末はマンションで過ごすことが増えた。極力外では会わないようにして、偶然を装って会って陶芸展を覗いて、あれこれとお互いの意見をだす、たまに意見が合わずに言い合いながら過ごす事も2人にとっては楽しい日々であった。
叔父は、アメリカへ移転の下準備は終えて本社機能の本格稼働に向けての長期出張が増えて、その分日本法人の仕事は蓮が肩代わりしなければならない。分からなければ叔父に連絡すれば良かった高校の3年のころとは違い、自分で判断するものも増えつつある。今まで教え方の上手い叔父について様々な事業に携わった経験でどうにかなっている。いつかこんな仕事を辞めて自由になりたいが、今の蓮には何からやれば良いのかつかめなかった。このままでは叔父の二の舞を踏んで会社から逃げれなくなってしまうと感じ始めた。愛する敬介との生活を万全にするためにも慎重に事を進めていかなければならないと思っていた。
敬介2年生の陶芸部の活動初日に新入生達が集まっている。敬介達は、陶芸部の借りている部屋を新入生を待つ準備をしていた。
敬介は去年蓮が座っていた捏ね台の前にで土を捏ねていた。
「敬介君、土練なんだけど後2つお願いできる?」
「良いですよ、ひとりはこれを使ってもらってください」
「ありがとう、助かる」
敬介は徐に捏ね台の前に立ち土練を始めた。新入生達はその所作に目が離せなくなった。部長が話す。
「今回は、二年生の東山さんに土練を依頼しました。土練はコツがわかるまで大変ですが、一年生は土練を覚えないと作品できません。しっかり覚えてください。そして、土練は市民講座や体験講習会などをする時に各主催者から依頼されたりします。それは、陶芸部の活動資金となるので東山さんに任せるのではなく自分達から積極的に頑張ってやってみましょう」
部長が言っている間の15分もかからずに綺麗に菊練りされた土が出来上がった。
敬介は、周りより遅れて始めたが、あっと言うまにコップを作る。それを見て新入生達が周りの先輩達に聞く。
「先輩、アレすごくないですか?」
「敬介君の手捻りはすごいんだよ。手捻りで大抵の物は作ったんだと思う」
「そうなんですね、始めに会った時に不器用だけどって言っていたから」
「うん、敬介君の始めは散々だった。私も始めの作品は割れてしまった。悲しかったし才能なんてないって思って辞めようと思っていたの、だけど、最後まで諦めずにがんばっている敬介君を見ると頑張ろうと思えるんだ。陶芸部の誰もにそう思わせる人だよ、敬介君は凄い人だから」
敬介は、今や陶芸部の中心となっていた。
先日、祖父に会社に呼び出されて、
『アメリカ本社についてだが、享ひとりでは心許ないから、大学を退学してあいつの側で会社を手伝え』
と言っていきた。一瞬、こいつは何を言い出すのかと思ったが、冷静に
『大学のカリキュラムは、後卒論のみだから、大学卒業の肩書は上に立つ為には必要不可欠で大事な事だと思いますが、それでも退学しても大丈夫ですか?』
と答えた。
『わかった。あっ、お前男と付き合っているのか?』
『いいえ、女は適当に付き合ってますが、男達とは連んでいるだけでそれもここ2、3年はこちらの仕事と大学のカリキュラムを早期に取るのに忙しくてなかなか機会がないんです。陶芸部でも作品を作る時間がないので土を練っているだけです。後輩たちが色々聞いてくるので鬱陶しいですが、可愛いがっています』
『東山敬介は?』
『敬介ですか、あいつは陶芸が好きで、俺が陶芸家の息子と知って色々と質問して来る。それに彼は、俺より安芸島の事が好きなんです。安芸島はノーマルなので振り向いてくれないと相談されたから安芸島に嫉妬させる為に付き合う真似事をした。もうあいつは今、安芸島と付き合ってる』
蓮は、心の中に嵐が湧き起こるがそれを見せないように振る舞った。
『わかった。それなら享の穴をお前が埋めろ』
大学退学は免除するが、仕事はしろって事だろう。蓮はそう思いながらため息を吐いた。
それから、家の仕事に駆り出されることが多くなった。その為に陶芸部には顔を出せなくなった。その代わり、敬介とは週末はマンションで過ごすことが増えた。極力外では会わないようにして、偶然を装って会って陶芸展を覗いて、あれこれとお互いの意見をだす、たまに意見が合わずに言い合いながら過ごす事も2人にとっては楽しい日々であった。
叔父は、アメリカへ移転の下準備は終えて本社機能の本格稼働に向けての長期出張が増えて、その分日本法人の仕事は蓮が肩代わりしなければならない。分からなければ叔父に連絡すれば良かった高校の3年のころとは違い、自分で判断するものも増えつつある。今まで教え方の上手い叔父について様々な事業に携わった経験でどうにかなっている。いつかこんな仕事を辞めて自由になりたいが、今の蓮には何からやれば良いのかつかめなかった。このままでは叔父の二の舞を踏んで会社から逃げれなくなってしまうと感じ始めた。愛する敬介との生活を万全にするためにも慎重に事を進めていかなければならないと思っていた。
敬介2年生の陶芸部の活動初日に新入生達が集まっている。敬介達は、陶芸部の借りている部屋を新入生を待つ準備をしていた。
敬介は去年蓮が座っていた捏ね台の前にで土を捏ねていた。
「敬介君、土練なんだけど後2つお願いできる?」
「良いですよ、ひとりはこれを使ってもらってください」
「ありがとう、助かる」
敬介は徐に捏ね台の前に立ち土練を始めた。新入生達はその所作に目が離せなくなった。部長が話す。
「今回は、二年生の東山さんに土練を依頼しました。土練はコツがわかるまで大変ですが、一年生は土練を覚えないと作品できません。しっかり覚えてください。そして、土練は市民講座や体験講習会などをする時に各主催者から依頼されたりします。それは、陶芸部の活動資金となるので東山さんに任せるのではなく自分達から積極的に頑張ってやってみましょう」
部長が言っている間の15分もかからずに綺麗に菊練りされた土が出来上がった。
敬介は、周りより遅れて始めたが、あっと言うまにコップを作る。それを見て新入生達が周りの先輩達に聞く。
「先輩、アレすごくないですか?」
「敬介君の手捻りはすごいんだよ。手捻りで大抵の物は作ったんだと思う」
「そうなんですね、始めに会った時に不器用だけどって言っていたから」
「うん、敬介君の始めは散々だった。私も始めの作品は割れてしまった。悲しかったし才能なんてないって思って辞めようと思っていたの、だけど、最後まで諦めずにがんばっている敬介君を見ると頑張ろうと思えるんだ。陶芸部の誰もにそう思わせる人だよ、敬介君は凄い人だから」
敬介は、今や陶芸部の中心となっていた。
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