【本編完結】優しい気持ちが灯るまで~君と見た月に(改稿終了)

Rei0【風鈴】

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初めて*

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 蓮は、『陶芸を続けたい、敬介の横に立ち切磋琢磨しながら陶器を作り、焼き物を焼きたい』と切に祈る。
 敬介ほど無遠慮に蓮の中に入ってきた人間はいない。いつも、大企業の後継者と言う蓮に遠慮するか、追随する者たちが多い。敬介は、俺の気持ちを察する言葉をかけた。それだけでどれほど嬉しくてたまらなかったか、敬介の優しい心に触れて優しい気持ちになる。素直になれる人間に戻れた事に蓮は、敬介に感謝している。
「敬介は優しい良いやつだな。他人に対して自分の事のように心配する人間を俺は、あの日久しぶりに見たんだよ。敬介が、俺の家に初めて来た時に俺があの広い家にひとりでいる俺の気持ちを素直に寂しくはないかと尋ねてくれた時から俺は、お前の事が好きだよ」
「俺は、先輩の土練をしている姿もろくろを挽く姿も陶芸について話ている真剣な目も全て見ているとドキドキして胸がムズムズとするんですよ。だけどこれが好きと言う事だと言うなら好きです蓮先輩、僕もあなたも男なのに本当はダメなのかもしれませんが止められない」
 2人は見つめ合う。照れて俯く敬介の顎の下に蓮の右手が添えられて自然と敬介の瞳は閉じられて、唇は塞がれた。
 お互いの身体を寄せ合い口づけは深く長く合わさっていく。2人が顔を見つめて再び口づけを始めた時に電気がついた。2人はお互いの顔を見て笑い、蓮が言う
「俺もお前を見ている時にムズムズするよ。初めて見た時に男に可愛いと思った自分の事が不思議すぎで、暴言が止まらなくなったんだ。ごめんな、お前が言った初めてのキスは偶然じゃない、俺が、寝ている敬介の顔を見てキスしたいと思ったからしてしまった。そんな思いを男で会ってすぐのお前に持ってしまった事に自己嫌悪してしまった。同じベッドに寝れないと思った。お前をベッドに置いて、俺はソファで寝たんだ。それからもうどうして良いかわからなかった。自分の気持ちに自分のアイデンティティが追いつかないほどだった」
「あぁ~」
 蓮は、敬介の頬を優しく包んでキスをした。
「好きだよ、敬介」
「好きです。蓮先輩」
 2人は、再びキスを重ねて、奥の布団上で2人は深い深いキスをしながらお互い服を脱いでいく。蓮は、敬介の身体と反応を確かめるように少しずつ下に鎖骨、顎の下、胸に向かってキスをする。敬介は、もう喘ぐしかできなかった。
「あー、なんで、あー」
 蓮は胸の果実を手で摘み、舌で転がせながら、敬介の反応を楽しんでいた。2人の自身はすっかり立ち上がり敬介は今まで自分いで感じられない程の気持ち良さに腰が自然に動いていた。敬介の反応に微笑みながら
 蓮は敬介の自身を掴んで優しく触ると敬介は
「あー、うーんあぁ」
 気持ちよさそうな声を出すが、それがとてもかわいくていとおしくてたまらなかった。蓮は自分と敬介の者を掴んで合わせてしごき始めた。
「気持ち、よ、いいく、あーぁいくどうして」
「敬介、かわいいよ、俺もいきそうだ、一緒に」
 2人は果てていく。蓮はあまりに気持ちよさに敬介を抱きしめた。敬介は。初めての事にパニック状態になって気を失った。
 蓮はその様子を見て敬介が気持ち良くなってくれたことにほっとしながら彼の身体を熱めのお湯に浸しタオルで拭いてシーツに包んで横にした。自分もタオルで体を拭いて囲炉裏の火が消えないように薪をくべながら、彼の事を好きだと思った時の事を考えていた。
 あれは、彼の植木鉢がやっと本焼きを終えてできたと言って見せてくれた時だった。出会った時から敬介は、熱心な可愛い後輩だと考えれば考えるほど何かざわつかせる存在だった。はにかみながら作品を差し出す彼にドキッとして胸のざわつきにの意味を自覚した。『好き』そんな言葉が頭に響きまともに俺は彼の顔をまともに見れなかった。
 彼が一生懸命にコップを作ろうと試行錯誤している様子や下級生の仕事でもあまりやりたがらない土練りの仕事を嫌がらず俺の横で楽しくする様子を見ると、今まで暗く冷たい自分の心の中に温かい明かりが灯るのを感じるのだ。それは、登り窯が火を入れられて一瞬窯の中が明るくなってこれから火に挑む作品が見えるように俺の心の全てに火が灯る様な感じだった。
 安芸島や世田が敬介に構うのが腹立たしいとも思った。あの時に敬介は俺のものだと強く感じて、宣言しそうだった。
 だから、あいつらに負けたくない、敬介に褒められる作品を作りたいと思った。そして、あいつが、作品を作るエネルギーに負けないようにする為に無に等しい俺のエネルギーを搾り出すのは結構大変だったが、鼓舞し作り続けると火口ひぐちの木々が燃える様にエネルギーが自分に漲ってきた。あの作品で満足してはダメだ。老職人のタケさんが言っていた。『生涯修行と精進を重ねていくからより良い物が生まれていく。何事も同じですよ、蓮坊ちゃん』
 止まれない。今しかないなら今燃え尽くしたい。
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