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翌週末、陶芸部の新歓コンパは大学の近くの居酒屋チェーン店だったが、1年生は校門前で集められて連れて行かれた。席順はくじを引く。俺の1、2年生が固まらないようの配慮だったが、俺の横は空席だった。
「はじめまして、俺は理工学部の二年生の世田康平です」
「はじめまして、俺は理工学部の一年生の太田健太です」
「はじめまして、俺は法学部の一年生の東山敬介です」
自己紹介から始まり、年は2歳上の世田先輩は綺麗な人で、髪も長くしていて敬介の周りにはいない感じの人だった。だけど、話すとすごくフレンドリーでホッとした。
年は1歳上の太田君は、実家がアメリカに転勤したのをきっかけに1年間語学留学していたと聞いた。世田先輩とは高校時代の先輩後輩で、世田先輩を追っかけてH大学に入ってきたと言っていた。背が高くてがっしりしていた。アメリカでの留学話しなどで盛り上がった。
部長の安芸島や3年生はあっちこっちと各テーブルをまわって盛り上げていた。横に誰か来る事も気にせず楽しんでいた時に、ろくろの彼が来た。
「安芸島、タダでろくろを挽かせて神技を見せてやったんだ、バイト代をよこせ取りに来たぞ」
「蓮、来たのか?遅かったなぁ」
「早くバイト代だ」
「何言っている、あれはお前が俺との賭けに負けたからだろ、バイト代なんてないよ」
「お前、いい加減にしろ」
と大声で怒り始めた。
「大きな声はやめろ。今日は、可愛い新一年生もいるからその話は後にしよう。あ、そうだ、今日はタダで良いから飲んでいけよ、俺がお前の分も出すからさ、蓮の席は何処?」
「安芸島先輩ここですよ」
世田が叫ぶ。
僕の横にあのろくろの先輩がどかっと座った。
「蓮さん、こちら法学部1年生の東山敬介君」
「こちら経済学部の3年生の城島蓮さん」
「東山敬介です。よろしくお願いします」
蓮は、すーっと敬介を見て頷く。
「それとこっちは覚えているだろ、理工学部一年生の太田健太だ」
「太田?あぁ、世田の金魚の糞か」
「蓮先輩は相変わらずのご機嫌ですね。お久しぶりです」
敬介は、思い切って蓮に尋ねた。それを聞いて、前で世田が上を見て、太田は俯いた。
「先輩ってろくろを回していた方ですよね。あのお皿ってあの後焼いたりするのですか?」
「あれか、あれはただのパフォーマンスで、終わればまた土に戻るだけだ、あんな面白くもない事を見たんだ。あれを見て自分もって思ったんだろ、おめでたいやつだな」
「蓮さん辞めてください、東山君この人の毒舌はいつものことだから気にせずに」
と世田は優しく言ってくれた。
「おい、蓮、また後輩をからかっているのか?辞めてやれよ」
隣のテーブルにいた別の先輩も言う。
「ろくろを回せるなんて謳い文句で騙されて来たくちだろ、陶芸はそんな奥が浅くもないのにお前みたいなど素人が」
と苦々しく蓮が言うと
「僕が陶芸をするきっかけはあなたにとってはパフォーマンスかも知れませんが、僕にとっては神技に思えたから感動したんです。それが悪い事ですか?」
いつも穏やかで有名な敬介がそう言うとテーブルの上のコップを飲み干したのだ。
「アレ、これ僕のじゃ、な、ぃ」
そう言って敬介は気を失った。
周りがわーわー言っていたが、それから後の敬介の記憶はない。
「おい、どうするだー」
「絶対、蓮が悪い」
「自分で間違えて飲んだんだろ、俺は悪くない」
「急性アルコール中毒って事にはならないだろ」
「医者ならお前の叔父さんが良いじゃないか?」
「あの人は今学会でジュネーブだ」
「放っておけ無いから、誰かの家?」
「原因は蓮だ、蓮の家に運ぼう、ここからも近い」
などと周りが右往左往した事を知らず敬介はそのままだった。
「はじめまして、俺は理工学部の二年生の世田康平です」
「はじめまして、俺は理工学部の一年生の太田健太です」
「はじめまして、俺は法学部の一年生の東山敬介です」
自己紹介から始まり、年は2歳上の世田先輩は綺麗な人で、髪も長くしていて敬介の周りにはいない感じの人だった。だけど、話すとすごくフレンドリーでホッとした。
年は1歳上の太田君は、実家がアメリカに転勤したのをきっかけに1年間語学留学していたと聞いた。世田先輩とは高校時代の先輩後輩で、世田先輩を追っかけてH大学に入ってきたと言っていた。背が高くてがっしりしていた。アメリカでの留学話しなどで盛り上がった。
部長の安芸島や3年生はあっちこっちと各テーブルをまわって盛り上げていた。横に誰か来る事も気にせず楽しんでいた時に、ろくろの彼が来た。
「安芸島、タダでろくろを挽かせて神技を見せてやったんだ、バイト代をよこせ取りに来たぞ」
「蓮、来たのか?遅かったなぁ」
「早くバイト代だ」
「何言っている、あれはお前が俺との賭けに負けたからだろ、バイト代なんてないよ」
「お前、いい加減にしろ」
と大声で怒り始めた。
「大きな声はやめろ。今日は、可愛い新一年生もいるからその話は後にしよう。あ、そうだ、今日はタダで良いから飲んでいけよ、俺がお前の分も出すからさ、蓮の席は何処?」
「安芸島先輩ここですよ」
世田が叫ぶ。
僕の横にあのろくろの先輩がどかっと座った。
「蓮さん、こちら法学部1年生の東山敬介君」
「こちら経済学部の3年生の城島蓮さん」
「東山敬介です。よろしくお願いします」
蓮は、すーっと敬介を見て頷く。
「それとこっちは覚えているだろ、理工学部一年生の太田健太だ」
「太田?あぁ、世田の金魚の糞か」
「蓮先輩は相変わらずのご機嫌ですね。お久しぶりです」
敬介は、思い切って蓮に尋ねた。それを聞いて、前で世田が上を見て、太田は俯いた。
「先輩ってろくろを回していた方ですよね。あのお皿ってあの後焼いたりするのですか?」
「あれか、あれはただのパフォーマンスで、終わればまた土に戻るだけだ、あんな面白くもない事を見たんだ。あれを見て自分もって思ったんだろ、おめでたいやつだな」
「蓮さん辞めてください、東山君この人の毒舌はいつものことだから気にせずに」
と世田は優しく言ってくれた。
「おい、蓮、また後輩をからかっているのか?辞めてやれよ」
隣のテーブルにいた別の先輩も言う。
「ろくろを回せるなんて謳い文句で騙されて来たくちだろ、陶芸はそんな奥が浅くもないのにお前みたいなど素人が」
と苦々しく蓮が言うと
「僕が陶芸をするきっかけはあなたにとってはパフォーマンスかも知れませんが、僕にとっては神技に思えたから感動したんです。それが悪い事ですか?」
いつも穏やかで有名な敬介がそう言うとテーブルの上のコップを飲み干したのだ。
「アレ、これ僕のじゃ、な、ぃ」
そう言って敬介は気を失った。
周りがわーわー言っていたが、それから後の敬介の記憶はない。
「おい、どうするだー」
「絶対、蓮が悪い」
「自分で間違えて飲んだんだろ、俺は悪くない」
「急性アルコール中毒って事にはならないだろ」
「医者ならお前の叔父さんが良いじゃないか?」
「あの人は今学会でジュネーブだ」
「放っておけ無いから、誰かの家?」
「原因は蓮だ、蓮の家に運ぼう、ここからも近い」
などと周りが右往左往した事を知らず敬介はそのままだった。
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