思い出のカタチ

ちちまる

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メロンソーダの夏

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夏の始まりを告げるかのように、街はじわじわと熱を帯びていった。高校生のハルとアキは、この季節が来るのを心待ちにしていた。二人にとって、夏は自由と冒険の季節だった。そして、その夏の冒険はいつも同じ場所、小さな喫茶店「タイムカプセル」から始まる。

「タイムカプセル」は、レトロな雰囲気が漂う隠れ家のような店で、ハルとアキはここのメロンソーダが大好きだった。その日も、二人は熱い外気から逃れるように店に駆け込み、冷たいメロンソーダを注文した。

「今年の夏は何する?」アキが聞くと、ハルはいつものように夢中でメロンソーダを飲みながら、「海に行って、花火を見て、このメロンソーダを飲む!」と答えた。二人の夏は、そんな単純で小さな楽しみに満ちていた。

しかし、この夏は少し違っていた。ハルには、アキに言えない秘密があった。彼は家族の都合で、夏が終わると遠くの街へ引っ越さなければならなかったのだ。その事実を知ってから、ハルはいつもメロンソーダを飲むたびに、この味とこの瞬間をどうにかして永遠に保存したいと願っていた。

夏が深まり、引っ越しの日が近づくにつれ、ハルはとうとうアキに真実を告げた。涙を隠しながらも、アキは強くハルを抱きしめ、「どこに行っても、僕たちの夏は消えない。またここでメロンソーダを飲もう」と約束した。

引っ越し後も、二人の間には手紙が行き交い、夏の終わりごとに「タイムカプセル」で会う約束を守り続けた。年月が流れ、二人が大人になっても、その喫茶店でのメロンソーダは変わらず、二人の友情を象徴するものとなっていた。

そして、ある夏の日、久しぶりに再会したハルとアキは、かつてのようにメロンソーダを前にして、昔話に花を咲かせた。時間がたつのは早いもので、二人にとって、メロンソーダはもうただの飲み物ではなく、永遠の夏と、変わらぬ絆を象徴する特別なものになっていたのだった。
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