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ハンバーグという名の約束
しおりを挟む大学時代からの友人であるナオとユミは、卒業後、それぞれ別の街で生活を始めたが、二人にはある約束があった。毎月第一土曜日には、大学時代に通っていた思い出のハンバーグ店で再会し、お互いの近況を報告し合うというものだ。この店のハンバーグは、外はしっかりと焼かれていて、中はふっくらジューシー、まさに彼らの友情のように時間が経っても変わらない美味しさを保っていた。
ナオは食品会社でマーケターとして働き、ユミは小学校の教師になった。忙しい日々を送る中でも、この月イチのデートは二人にとって大切なリフレッシュの時間となっていた。
ある日、ナオはユミに少し違った提案をした。「ユミ、次はここでハンバーグを一緒に作って食べないか?」
ユミは驚いたが、興味津々でその提案を受け入れた。そして次の月、二人は店の厨房を借り、店主の特別レシピで自分たちのハンバーグを作り始めた。肉の配合から、パン粉の加減、調味料の選択まで、すべてにおいて二人で協力し合いながら、それぞれのハンバーグを形成していった。
その過程で、ナオは自分がユミのことをどれだけ思っているかを改めて感じていた。彼女が笑う顔、集中する眉間のしわ、ふと見せる優しさ。すべてが彼の心を打ち、この感情がただの友情以上のものであることを自覚した。
ユミもまた、ナオがいつも自分を支えてくれること、そして何気ない瞬間に見せる温かい眼差しに心を動かされていた。彼と一緒にいると安心でき、何でも話せる特別な存在だと改めて感じていた。
ハンバーグが焼けるのを待つ間、ナオは勇気を出してユミに気持ちを伝えた。「ユミ、実はずっと前から君のことが好きだったんだ。今日こうして一緒にハンバーグを作って、その気持ちが確信に変わった。」
ユミは少し驚いたが、すぐに嬉しそうな笑顔を見せた。「ナオ、私も同じよ。今まで言えなくてごめんね。」
二人のハンバーグが完成した時、それはただの食事以上の意味を持っていた。共に作ったハンバーグを食べながら、ナオとユミはこれから始まる新しい関係について話し合った。それは、過去の共有から未来へと続く、新たな約束と希望を育む瞬間だった。
以後、ハンバーグは二人にとって特別な象徴となり、彼らの関係が深まるたびにその味を共に確かめ合うことが、愛を再確認する行事となった。そして、時間が経つごとに、そのハンバーグは二人の愛情を映し出す鏡となり、彼らの生活に欠かせない一部となっていった。
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