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英雄になれない
しおりを挟むエリスの目の前には一人の男の背中があった。
「どうしてアレクがここにいるのよ・・・」
その声はいつもの強みのある元気な声ではなく、消えてしまいそうなとても弱い声音だった。
エリスは助けにきてくれても嬉しくはなかった。
アレクはエリスより弱い。
どう考えてもドラゴンと戦っても勝てるはずがない。
「お願いだから逃げて、アンタが敵うはずがないんだから」
その声は今にも泣きそうな声だった。
エリスはアレクに生きていて欲しい
その時、フードを被った男が右手を前に出した。
それは再び、爆炎の業火を出す合図だった。
ドラゴンの口には炎が集まり、それは一つの火球を成していた。
「アレク!・・・・」
叫んだエリスは立ち上がれない。
もはやエリスには戦う心が折れていた。
業火が二人を飲み込んだ。
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