48 / 88
第48話 皇宮は大騒ぎ
しおりを挟む
「ブラントーのお爺ちゃま、こんにちは~」
皇宮に入って豪華な廊下を、アゼスフォート伯爵を先頭に歩いていると、可愛い幼女がテクテクと歩いてきた。
「ノーラちゃん、ママはいるかい?」
「ママぁ~? ママはあそんでくれないからきら~い。お姉ちゃまならいるよ~」
「そうか、そうか」
ちっちゃな幼女の頭を撫でるアゼスフォート伯爵。
「こっちだよ~」
幼女がテケテケと廊下を走り奥へと向かう。可愛い!
「アゼスフォート伯爵、あの子は皇女様ですか?」
「ノーラちゃんは第二皇女じゃ。いつ見ても可愛いの~」
鼻の下を伸ばしてニヘラと笑う剣聖アゼスフォート伯爵。大丈夫か!?
◆
ノーラ第二皇女の後に続いてやって来たのは、謁見の間だった。豪華な扉を開けると真っ赤な絨毯が上座まで続いている。
謁見の間には誰もおらず、緊張していたせいか、ホッと息を吐いた。
ノーラ様が更にテケテケと赤い絨毯の上を走り、玉座の上にピョコンと座った。可愛い!
「どれ、皇帝が来るまで待っておるかの」
アゼスフォート伯爵は部屋の真ん中辺りまで行くと、ドカっと座りあぐらをかいた。
「ほれ、ここに来て座った、座った」
俺はルミアーナ様の顔を伺ってみたが、ルミアーナ様もさすがに困った顔をしていた。
「ボォーと待ってるんなら、手合わせしようぜ、です」
「お~、そうじゃな」
「「えっ!?」」
まさかまさかの剣聖と剣王のチャンバラが、大帝国の謁見の間で始まってしまった。
「と、止めて下さい、トーマ様」
「お、俺が? む、無理ですよね」
「さ、さすがに不味いですわ」
「し、しかし、剣聖と剣王ですよ! 死にますって!」
しかし、本当に不味いような気がする。
ドカーンッと音がして見てみれば、大理石の柱が砕け散っている。
「クスノハァァァッ! ストップゥゥゥッ!」
大声を上げてみるが、クスノハ様もアゼスフォート伯爵も全く聞こえていない。
更に三本の柱が破壊され、廊下の向こうから兵士たちが駆け付けて来ている。先頭を走る、銀髪のポニーテールが揺れる少女に目が止まる。
「何事よ!」
俺とルミアーナ様を押しのけて、謁見の間に入っていく。
「せ、先生! 曲者かッ! 加勢します!」
銀髪の女の子は問答無用でクスノハ様に、剣を抜いて斬りかかる。
クスノハ様は近付く銀髪の女の子に気が付き、銀髪の女の子の初撃を躱し、更にもう一本の剣を抜き、二刀を持って剣聖と銀髪の女の子に相対する。
剣聖には右手の剣で、フェイントを入れながら、直撃をされないように裁く。
銀髪の女の子には左手の剣で強撃を加え、それを受けた女の子は動きを鈍らせたスキに、剣聖に対して有利な体制を作る。
更に三人による激しい戦闘が続き、豪華な赤い絨毯はボロボロになり、大理石の壁や柱は崩れ落ちていく。
銀髪の女の子に付いてきた兵士たちも、三人の激しい戦闘に踏み込む勇気がなく、俺たちと並んで入口にたたずんでいる。
「ト、トーマ様~」
「お、おう……」
酷い惨状にオドオドするルミアーナ様。さすがにこれ以上は謁見の間が崩れ落ちてしまう。俺は異世界収納からダイヤモンドを取り出した。
「スキルメイク、重力魔法!」
ダイヤモンドを糧にして覚えた重力魔法を使う。
「グラビティバインダーッ!」
シルフィが使っていた重力魔法を唱える。
「「「ぐおわぁぁぁぁぁぁぁッ!」」」
重力の網に縛られてクスノハ様、アゼスフォート伯爵、銀髪の女の子は床に突っ伏す。
「ふぅ~」
なんとか暴風のような三人の暴れん坊を抑えつける事ができた。
「何事ですかッ!」
玉座の奥から三人の女性騎士を引き連れて出てきた女性。
「マ゛マ゛ぁ~~~」
玉座に座っていた第二皇女のノーラ様が泣きながら、その女性に抱きついた。
うんうん、怖かったんだね。
そして、その女性はノーラ様の手を取り玉座に座った。
この女性こそが、グレートファング帝国の皇帝エルフリーデ・クラウゼ・ファングその人であった。
皇宮に入って豪華な廊下を、アゼスフォート伯爵を先頭に歩いていると、可愛い幼女がテクテクと歩いてきた。
「ノーラちゃん、ママはいるかい?」
「ママぁ~? ママはあそんでくれないからきら~い。お姉ちゃまならいるよ~」
「そうか、そうか」
ちっちゃな幼女の頭を撫でるアゼスフォート伯爵。
「こっちだよ~」
幼女がテケテケと廊下を走り奥へと向かう。可愛い!
「アゼスフォート伯爵、あの子は皇女様ですか?」
「ノーラちゃんは第二皇女じゃ。いつ見ても可愛いの~」
鼻の下を伸ばしてニヘラと笑う剣聖アゼスフォート伯爵。大丈夫か!?
◆
ノーラ第二皇女の後に続いてやって来たのは、謁見の間だった。豪華な扉を開けると真っ赤な絨毯が上座まで続いている。
謁見の間には誰もおらず、緊張していたせいか、ホッと息を吐いた。
ノーラ様が更にテケテケと赤い絨毯の上を走り、玉座の上にピョコンと座った。可愛い!
「どれ、皇帝が来るまで待っておるかの」
アゼスフォート伯爵は部屋の真ん中辺りまで行くと、ドカっと座りあぐらをかいた。
「ほれ、ここに来て座った、座った」
俺はルミアーナ様の顔を伺ってみたが、ルミアーナ様もさすがに困った顔をしていた。
「ボォーと待ってるんなら、手合わせしようぜ、です」
「お~、そうじゃな」
「「えっ!?」」
まさかまさかの剣聖と剣王のチャンバラが、大帝国の謁見の間で始まってしまった。
「と、止めて下さい、トーマ様」
「お、俺が? む、無理ですよね」
「さ、さすがに不味いですわ」
「し、しかし、剣聖と剣王ですよ! 死にますって!」
しかし、本当に不味いような気がする。
ドカーンッと音がして見てみれば、大理石の柱が砕け散っている。
「クスノハァァァッ! ストップゥゥゥッ!」
大声を上げてみるが、クスノハ様もアゼスフォート伯爵も全く聞こえていない。
更に三本の柱が破壊され、廊下の向こうから兵士たちが駆け付けて来ている。先頭を走る、銀髪のポニーテールが揺れる少女に目が止まる。
「何事よ!」
俺とルミアーナ様を押しのけて、謁見の間に入っていく。
「せ、先生! 曲者かッ! 加勢します!」
銀髪の女の子は問答無用でクスノハ様に、剣を抜いて斬りかかる。
クスノハ様は近付く銀髪の女の子に気が付き、銀髪の女の子の初撃を躱し、更にもう一本の剣を抜き、二刀を持って剣聖と銀髪の女の子に相対する。
剣聖には右手の剣で、フェイントを入れながら、直撃をされないように裁く。
銀髪の女の子には左手の剣で強撃を加え、それを受けた女の子は動きを鈍らせたスキに、剣聖に対して有利な体制を作る。
更に三人による激しい戦闘が続き、豪華な赤い絨毯はボロボロになり、大理石の壁や柱は崩れ落ちていく。
銀髪の女の子に付いてきた兵士たちも、三人の激しい戦闘に踏み込む勇気がなく、俺たちと並んで入口にたたずんでいる。
「ト、トーマ様~」
「お、おう……」
酷い惨状にオドオドするルミアーナ様。さすがにこれ以上は謁見の間が崩れ落ちてしまう。俺は異世界収納からダイヤモンドを取り出した。
「スキルメイク、重力魔法!」
ダイヤモンドを糧にして覚えた重力魔法を使う。
「グラビティバインダーッ!」
シルフィが使っていた重力魔法を唱える。
「「「ぐおわぁぁぁぁぁぁぁッ!」」」
重力の網に縛られてクスノハ様、アゼスフォート伯爵、銀髪の女の子は床に突っ伏す。
「ふぅ~」
なんとか暴風のような三人の暴れん坊を抑えつける事ができた。
「何事ですかッ!」
玉座の奥から三人の女性騎士を引き連れて出てきた女性。
「マ゛マ゛ぁ~~~」
玉座に座っていた第二皇女のノーラ様が泣きながら、その女性に抱きついた。
うんうん、怖かったんだね。
そして、その女性はノーラ様の手を取り玉座に座った。
この女性こそが、グレートファング帝国の皇帝エルフリーデ・クラウゼ・ファングその人であった。
10
お気に入りに追加
433
あなたにおすすめの小説

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました
向原 行人
ファンタジー
僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。
実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。
そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。
なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!
そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。
だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。
どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。
一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!
僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!
それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?
待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

10秒先が見えるだけの普通で不遇な付与術士だった僕は、死の宣告が出来るギルド職員になりました
まったりー
ファンタジー
普通の付与魔法士だった主人公は勇者PTで強くなり、ある日スキルが進化して未来が見える様になりました。
スキルを使い勇者PTを強くしていきましたが、未来を見た時自分が追放されることを知り、その未来を避ける為に未来予知のスキルを使いましたが、どんなに繰り返してもその未来は変わる事はありませんでした。
そして、勇者PTにいる情熱が無くなり、他の道を歩むことに決めた主人公は冒険者ギルドの職員になり、死なない様助言をするようになりました。
異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~
WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
1~8巻好評発売中です!
※2022年7月12日に本編は完結しました。
◇ ◇ ◇
ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。
ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。
晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。
しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。
胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。
そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──
ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?
前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる