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第43話 食の安全
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「1〇コインショップの野菜を食べて、腹痛や吐き気を訴える人が増えています。教会のお布施代も倍以上に値が上がり、治癒魔法を受けられない人も増えています」
「野菜はアザトーイ王国の野菜じゃないんですか?」
「はい。野菜もサディスティア王国の野菜が販売されています」
「でも野菜の多くは日持ちしませんよね?」
「1〇コインショップの野菜は一ヶ月は保存が効くそうです」
マジか?
「……アウトだな」
「お兄様、アウトってどういう事?」
「シルフィ、食材を保存する魔法は有るか?」
「……異空間収納ぐらいかな」
「だろ。ならば他の方法としてなら薬が手っ取り早い。例えば木材に塗る防腐剤を野菜に塗ったら、幾らかは腐食を遅らせらるかもしれない」
「あれは食べられる様なものじゃないわよ」
シルフィの言うことは最もだが、現代においても、防腐剤や防かび剤は食料品に使用されている。
基本的には健康に問題ないレベルで使用されているが、昔は色々と健康問題があったらしいし、今でも百パーセント安全かと言えば怪しいものだ。
例えば、海外輸入のレモン等は、皮を使用しない事が前提での濃度だったり、それを知らない消費者に対する注意喚起はされていない。
輸入果物等は、防かび剤や防虫剤をワックスで表面にコーティングしてあるから、水洗いでは落ちない。皮を食用に使用する場合は、お湯やアルコール等で皮を拭けば大丈夫らしいが、一般的には知られていない。
また、海外輸入品は収穫後農薬が使用される場合もあり、吐き気や手足の痺れ、更には発ガン性もあったりする。
これらの使用濃度は決められていて、検査もされているから基本的には安全ではあるが、検査は抜き打ちで一割程度しか実施されていないとかの話もあるし、一日平均接種量をもとにした使用濃度は、個人差や年齢差もあるから、データ自身が信用できない。どうせなら5歳児の一日平均接種量とかならまだ信用出来るのだが……。
とある論文ではチリ産養殖シャケの幼児の接種量は年間六回だとか……。
何にせよ、この世界での薬に対する知識レベルは低い。
「サディスティア王国から見たら、戦争を吹っ掛けようとしている国の国民の健康等は知った事ではないだろう」
「ひっでえ話しだな。直ぐに助けに行こうぜ!」
サディスティア王国のやり方が許せないクスノハ様がソファーから立ち上がるが、ルミアーナ様がそこは待ったをかけた。
「悔しいですが、今はまだ動けませんわ。王都に住む一万人の市民でさえも救えるだけの力が、今の私たちには有りませんわ」
「しかしよぉ、皆んなが苦しんでんだぜ」
クスノハ様の言葉に、いつも余裕の笑みを見せているルミアーナ様も、唇を噛み締めている。見れば握り締めた手には爪が食い込み血が流れ出ていた。
「……トーマ様、シルフィさん、お願いがございますわ。お二人に――――」
――――――――
【作者より】
本文の食品の安全については【輸入食品は食べても本当に大丈夫? 目黒区消費者友の会】様の記事より参照させて頂きました。
食品の安全については賛否両論あるお話しですので、誤解されぬよう、宜しくお願いします。
「野菜はアザトーイ王国の野菜じゃないんですか?」
「はい。野菜もサディスティア王国の野菜が販売されています」
「でも野菜の多くは日持ちしませんよね?」
「1〇コインショップの野菜は一ヶ月は保存が効くそうです」
マジか?
「……アウトだな」
「お兄様、アウトってどういう事?」
「シルフィ、食材を保存する魔法は有るか?」
「……異空間収納ぐらいかな」
「だろ。ならば他の方法としてなら薬が手っ取り早い。例えば木材に塗る防腐剤を野菜に塗ったら、幾らかは腐食を遅らせらるかもしれない」
「あれは食べられる様なものじゃないわよ」
シルフィの言うことは最もだが、現代においても、防腐剤や防かび剤は食料品に使用されている。
基本的には健康に問題ないレベルで使用されているが、昔は色々と健康問題があったらしいし、今でも百パーセント安全かと言えば怪しいものだ。
例えば、海外輸入のレモン等は、皮を使用しない事が前提での濃度だったり、それを知らない消費者に対する注意喚起はされていない。
輸入果物等は、防かび剤や防虫剤をワックスで表面にコーティングしてあるから、水洗いでは落ちない。皮を食用に使用する場合は、お湯やアルコール等で皮を拭けば大丈夫らしいが、一般的には知られていない。
また、海外輸入品は収穫後農薬が使用される場合もあり、吐き気や手足の痺れ、更には発ガン性もあったりする。
これらの使用濃度は決められていて、検査もされているから基本的には安全ではあるが、検査は抜き打ちで一割程度しか実施されていないとかの話もあるし、一日平均接種量をもとにした使用濃度は、個人差や年齢差もあるから、データ自身が信用できない。どうせなら5歳児の一日平均接種量とかならまだ信用出来るのだが……。
とある論文ではチリ産養殖シャケの幼児の接種量は年間六回だとか……。
何にせよ、この世界での薬に対する知識レベルは低い。
「サディスティア王国から見たら、戦争を吹っ掛けようとしている国の国民の健康等は知った事ではないだろう」
「ひっでえ話しだな。直ぐに助けに行こうぜ!」
サディスティア王国のやり方が許せないクスノハ様がソファーから立ち上がるが、ルミアーナ様がそこは待ったをかけた。
「悔しいですが、今はまだ動けませんわ。王都に住む一万人の市民でさえも救えるだけの力が、今の私たちには有りませんわ」
「しかしよぉ、皆んなが苦しんでんだぜ」
クスノハ様の言葉に、いつも余裕の笑みを見せているルミアーナ様も、唇を噛み締めている。見れば握り締めた手には爪が食い込み血が流れ出ていた。
「……トーマ様、シルフィさん、お願いがございますわ。お二人に――――」
――――――――
【作者より】
本文の食品の安全については【輸入食品は食べても本当に大丈夫? 目黒区消費者友の会】様の記事より参照させて頂きました。
食品の安全については賛否両論あるお話しですので、誤解されぬよう、宜しくお願いします。
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