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第42話 サディスティア王国の狙い
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ソファーに腰を下ろしたレオノーラ様。彼女からアザトーイ王国の現状が語られる。
国王代理のセバスチャン王子は、サディスティア王国から多額の借金をして毎晩豪華なパーティを開き、後先を考えずに豪遊していた。
そして、借金の返済には毎月の国内税収の半分が当てられていた。そのため、国内に割り当てられている予算は削られ、公共事業は止まり、労働者への賃金も減らされている。
その反面で国民に課す税金は上がり、手取り賃金が減っている。補填的な政策として、減った分に対して労働時間を伸ばす事で穴埋めした。これにより、労働者は長時間労働を課せられ、企業のブラック化が進んでいるとか。
企業に対する税金も上がった事で、利益を求める企業側は賃金の高い労働者を解雇し、賃金の安い労働者や女性労働者を雇い始めた。
更には、外国からの輸入品にかかる関税も上がり、高くなった物資の買い渋りが始まった。
これにより、国内の物資が高騰する。その結果、店先に並ぶ商品が値上がりをし、低賃金の人々は物が買えなくなっていった。
いわゆるスタグフレーションのような、インフレなのに賃金が上がらない状況になってしまったらしい。
これを狙ったかのように、アザトーイ王国内の各地で1〇コインショップの店舗が展開し始めた。
おのずと低賃金の若者や主婦たちは、1〇コインショップでの買い物が増える。人気店となった1〇コインショップは店舗を増やし、どこの店舗も列を作る程の盛況ぶりらしい。
「なるほどな、1〇コインショップか。上手い商売を始めたもんだ。俺がいた世界にも100円ショップってのがあって人気だったよ」
「俺がいた世界……ですか?」
レオノーラ様には俺が異世界人である事は話していないし、話さない方がいいだろう。
「あ、いや、こっちの話です。人々が苦しんでいる事は分かりました。でも、その1〇コインショップで食いつなげているんですよね?」
レオノーラ様の話では1〇コインショップには野菜やパン等の食料品も取り扱っているとの事だ。
「多額の借金や経済政策も問題ですが、その1〇コインショップも大問題なのです」
「1〇コインショップが大問題?」
「1〇コインショップのオーナーはサディスティア王国で、店舗に並ぶ商品はサディスティア王国からの輸入品なのです」
「でも関税が上がっているのならば、国としても税金で儲かっているんだから、いいんじゃないのか?」
「トーマ様、アザトーイ王国では銅貨1〇枚以下の物には全ての税金はかからないのですわ」
「ルミアーナ様が仰る通り、1〇コイン以下の物には購入税も関税も、売上金に対する企業税もかからないのです」
「つまりはサディスティア王国の丸儲けって事か。経済戦争しかけられて、セバスチャン王子がまんまと乗っけられてる感じだな」
要約すればアザトーイ王国の現金がサディスティア王国に流れているって事になる。1〇コインショップが儲かれば儲かるほど、アザトーイ王国は現金を失ってしまう。
「しかしよう、何でサディスティアはそんな回りくどい事をしてんだよ」
「オホホ。帝国に介入させない為ですわね。帝国もアザトーイ王国にお金を貸していますわ。サディスティア王国が武力攻撃しアザトーイ王国を占領した場合、帝国の借金は焦げ付く事になりますわ。そうならない為には帝国も武力介入せざるを得なくなりますわね。そうなれば負けるのはサディスティア王国ですわ」
サディスティア王国はアザトーイ王国を経済戦争で弱体化に成功しつつある。経済戦争の次に来るのは本当の戦争だ。
国力を削がれたアザトーイ王国に対し、帝国が介入する前に戦争を終結させる電撃作戦。アザトーイ王国の外務大臣によって骨抜きにされているセバスチャン王子では、宣戦布告と同時に白旗を上げそうだ。
「問題はそれだけではありません。実は――――」
レオノーラ様が口にした問題はアザトーイ王国の人々の命に関わる大問題だった……。
――――――――――――
【作者より】
お話しに1〇コインショップが出てきます。モデルは百円ショップですが、実際の百円ショップはこのような事にはなっていません。例えばダイ〇ーは日本製の物が多く、海外店舗の方が高いぐらいです。
一応、誤解を招かないためにフォローしておきますね。
引き続き宜しくお願いします。
国王代理のセバスチャン王子は、サディスティア王国から多額の借金をして毎晩豪華なパーティを開き、後先を考えずに豪遊していた。
そして、借金の返済には毎月の国内税収の半分が当てられていた。そのため、国内に割り当てられている予算は削られ、公共事業は止まり、労働者への賃金も減らされている。
その反面で国民に課す税金は上がり、手取り賃金が減っている。補填的な政策として、減った分に対して労働時間を伸ばす事で穴埋めした。これにより、労働者は長時間労働を課せられ、企業のブラック化が進んでいるとか。
企業に対する税金も上がった事で、利益を求める企業側は賃金の高い労働者を解雇し、賃金の安い労働者や女性労働者を雇い始めた。
更には、外国からの輸入品にかかる関税も上がり、高くなった物資の買い渋りが始まった。
これにより、国内の物資が高騰する。その結果、店先に並ぶ商品が値上がりをし、低賃金の人々は物が買えなくなっていった。
いわゆるスタグフレーションのような、インフレなのに賃金が上がらない状況になってしまったらしい。
これを狙ったかのように、アザトーイ王国内の各地で1〇コインショップの店舗が展開し始めた。
おのずと低賃金の若者や主婦たちは、1〇コインショップでの買い物が増える。人気店となった1〇コインショップは店舗を増やし、どこの店舗も列を作る程の盛況ぶりらしい。
「なるほどな、1〇コインショップか。上手い商売を始めたもんだ。俺がいた世界にも100円ショップってのがあって人気だったよ」
「俺がいた世界……ですか?」
レオノーラ様には俺が異世界人である事は話していないし、話さない方がいいだろう。
「あ、いや、こっちの話です。人々が苦しんでいる事は分かりました。でも、その1〇コインショップで食いつなげているんですよね?」
レオノーラ様の話では1〇コインショップには野菜やパン等の食料品も取り扱っているとの事だ。
「多額の借金や経済政策も問題ですが、その1〇コインショップも大問題なのです」
「1〇コインショップが大問題?」
「1〇コインショップのオーナーはサディスティア王国で、店舗に並ぶ商品はサディスティア王国からの輸入品なのです」
「でも関税が上がっているのならば、国としても税金で儲かっているんだから、いいんじゃないのか?」
「トーマ様、アザトーイ王国では銅貨1〇枚以下の物には全ての税金はかからないのですわ」
「ルミアーナ様が仰る通り、1〇コイン以下の物には購入税も関税も、売上金に対する企業税もかからないのです」
「つまりはサディスティア王国の丸儲けって事か。経済戦争しかけられて、セバスチャン王子がまんまと乗っけられてる感じだな」
要約すればアザトーイ王国の現金がサディスティア王国に流れているって事になる。1〇コインショップが儲かれば儲かるほど、アザトーイ王国は現金を失ってしまう。
「しかしよう、何でサディスティアはそんな回りくどい事をしてんだよ」
「オホホ。帝国に介入させない為ですわね。帝国もアザトーイ王国にお金を貸していますわ。サディスティア王国が武力攻撃しアザトーイ王国を占領した場合、帝国の借金は焦げ付く事になりますわ。そうならない為には帝国も武力介入せざるを得なくなりますわね。そうなれば負けるのはサディスティア王国ですわ」
サディスティア王国はアザトーイ王国を経済戦争で弱体化に成功しつつある。経済戦争の次に来るのは本当の戦争だ。
国力を削がれたアザトーイ王国に対し、帝国が介入する前に戦争を終結させる電撃作戦。アザトーイ王国の外務大臣によって骨抜きにされているセバスチャン王子では、宣戦布告と同時に白旗を上げそうだ。
「問題はそれだけではありません。実は――――」
レオノーラ様が口にした問題はアザトーイ王国の人々の命に関わる大問題だった……。
――――――――――――
【作者より】
お話しに1〇コインショップが出てきます。モデルは百円ショップですが、実際の百円ショップはこのような事にはなっていません。例えばダイ〇ーは日本製の物が多く、海外店舗の方が高いぐらいです。
一応、誤解を招かないためにフォローしておきますね。
引き続き宜しくお願いします。
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