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第35話 奇跡の温泉
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結局なにも出来ずに迎えた朝、俺の左手がうずいていた。ムラムラしてうずいている訳ではない。いや、ムラムラはしているが、そうじゃない。左手の平に刻まれた紋様がうずいているのだ。
「トーマ様、聖紋が」
「ルミアーナ様もですか」
どうやらルミアーナ様の聖紋もうずいているみたいだ。ってさあ、モゾモゾしないでください! 双丘が、双丘があ!
◆
古来、日本の温泉伝説には神様にまつわる温泉が多数ある。有名な道後温泉の大己貴命や少名毘古神、別府温泉など薬師如来を祀る温泉も多々存在する。
「サセタ神様のお導きでしょうか、ルミアーナ様?」
「……奇跡とはこのような事を言うのですわね」
今朝からの聖紋のうずきは、まさにサセタ神様が導いた奇跡の証しと言って過言ではない。
清らかな空気に導かれて、やって来たのはダイヤモンドを発掘した温泉掘削場。
俺たちの目の前には、超巨大ダイヤモンドさえも霞む、奇跡の緑色の温泉が湧き出ていた。
鑑定による温泉の名前は【エリクサイトの湯】。
効能は肩こり、腰痛、二日酔い、虚弱体質、月経不順、冷え性、便秘、眼精疲労、病後治療、滋養強壮、妊娠・授乳中の栄養補給、美肌、美髪、美髭、育毛……。
更には、完全体力回復、完全魔力回復、完全浄化、完全治癒、完全解毒、完全異常状態解除……。
そして、部位欠損完全再生(直ちに処置した場合)、寿命以外の蘇生(直ちに処置した場合)、微若返り(寿命は変わらない)。
「……………………」
ダイヤモンド鉱床だけでもヤバいのに、もっと、かなり、途轍もなくヤバいものが湧き出ている。題してエリクサイトの湯……つまり……。
「……お兄様、これってもしかして」
「エリクサーの温泉……だな」
エリクサーとは奇跡の霊薬と言われ、現代にいた頃にはゲームや小説などで、度々登場していた最上位ポーションなのだが……。
「シルフィ、こっちの世界じゃエリクサーって普通に有るのか?」
「そ、そんなはず無いでしょッ! バカじゃないの! 伝説よ、伝説、あれは伝説にしか存在しないわよ! エリクサーは【賢者の石】を溶かして作られるの。でも、その【賢者の石】が幻の石だからエリクサーも存在しないのよ」
「賢者の石か……。待てよ、エリクサイト……」
「そうよ、お兄様! エリクサイトが賢者の石よ!」
「エリクサイトは空気に触れると、その成分が空気に溶けてしまう」
「だからエリクサイト、つまり賢者の石が見つかる事がないんだわ……ウッ……」
「ど、どうしたシルフィ!」
シルフィの右手の甲が光り輝いている。これは、俺の時と似ている。
光が収まるとシルフィの右手の甲に紋様が刻まれていた。
「聖紋……じゃないな?」
俺の左手の平にある聖紋とは少しデザインが違う。
「や、や、や……やった」
シルフィがその紋を見ては、顔を引き攣らせて笑っている。
「やった、やった、やったぁぁぁ!」
シルフィが飛び跳ねて喜んでいる。いったいあの紋様は何なんだ?
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「トーマ様、聖紋が」
「ルミアーナ様もですか」
どうやらルミアーナ様の聖紋もうずいているみたいだ。ってさあ、モゾモゾしないでください! 双丘が、双丘があ!
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古来、日本の温泉伝説には神様にまつわる温泉が多数ある。有名な道後温泉の大己貴命や少名毘古神、別府温泉など薬師如来を祀る温泉も多々存在する。
「サセタ神様のお導きでしょうか、ルミアーナ様?」
「……奇跡とはこのような事を言うのですわね」
今朝からの聖紋のうずきは、まさにサセタ神様が導いた奇跡の証しと言って過言ではない。
清らかな空気に導かれて、やって来たのはダイヤモンドを発掘した温泉掘削場。
俺たちの目の前には、超巨大ダイヤモンドさえも霞む、奇跡の緑色の温泉が湧き出ていた。
鑑定による温泉の名前は【エリクサイトの湯】。
効能は肩こり、腰痛、二日酔い、虚弱体質、月経不順、冷え性、便秘、眼精疲労、病後治療、滋養強壮、妊娠・授乳中の栄養補給、美肌、美髪、美髭、育毛……。
更には、完全体力回復、完全魔力回復、完全浄化、完全治癒、完全解毒、完全異常状態解除……。
そして、部位欠損完全再生(直ちに処置した場合)、寿命以外の蘇生(直ちに処置した場合)、微若返り(寿命は変わらない)。
「……………………」
ダイヤモンド鉱床だけでもヤバいのに、もっと、かなり、途轍もなくヤバいものが湧き出ている。題してエリクサイトの湯……つまり……。
「……お兄様、これってもしかして」
「エリクサーの温泉……だな」
エリクサーとは奇跡の霊薬と言われ、現代にいた頃にはゲームや小説などで、度々登場していた最上位ポーションなのだが……。
「シルフィ、こっちの世界じゃエリクサーって普通に有るのか?」
「そ、そんなはず無いでしょッ! バカじゃないの! 伝説よ、伝説、あれは伝説にしか存在しないわよ! エリクサーは【賢者の石】を溶かして作られるの。でも、その【賢者の石】が幻の石だからエリクサーも存在しないのよ」
「賢者の石か……。待てよ、エリクサイト……」
「そうよ、お兄様! エリクサイトが賢者の石よ!」
「エリクサイトは空気に触れると、その成分が空気に溶けてしまう」
「だからエリクサイト、つまり賢者の石が見つかる事がないんだわ……ウッ……」
「ど、どうしたシルフィ!」
シルフィの右手の甲が光り輝いている。これは、俺の時と似ている。
光が収まるとシルフィの右手の甲に紋様が刻まれていた。
「聖紋……じゃないな?」
俺の左手の平にある聖紋とは少しデザインが違う。
「や、や、や……やった」
シルフィがその紋を見ては、顔を引き攣らせて笑っている。
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シルフィが飛び跳ねて喜んでいる。いったいあの紋様は何なんだ?
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