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第33話 ブレードガーディアンズ

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「トーマ様、しばらくわたくし達だけでお話させて下さい」


 シルフィが啜り泣くなか、ルミアーナ様からそう言われ、何故シルフィが泣き出したのか分からない俺は、この場をルミアーナ様に託してリビングを後にした。





 困った。

 現代でも女の子と付き合った事がない俺は、女心が分かっていない。ただ、シルフィの鳴き声が悲しみのこもった声だったのは俺にも分かった。

 なぜ悲しいんだ? それが俺には分からない。……困った。


「「「イッテラッシャイませ」」」


 自動人形オートマターのアルファ、ベータ、ガンマ、デルタに見送られて、俺は困りながら日が沈んで間もない、薄暗い屋外へと出た。

 しばらく時間が掛かるかなと思い、大聖堂の方へ足を運ぶ。

 大聖堂の周囲には先ほど作った十体の自動人形ブレードガーディアンズが、ダイヤを奪いにくる魔物が来ないか厳重警戒中だ。

 この土地は高い土壁に囲まれているとはいえ、大聖堂の中には白金貨七五三万枚の価値がある巨大ダイヤモンドがある。無警戒で放置できる代物ではない。

 ブレードガーディアンは両手がブレードになっている戦闘特化型の自動人形オートマターで、スリムなボディに、全身がステンレスで出来ている。強さもオーク程度であれば余裕で勝てるぐらいには強い。

 更に明日になれば空から来る魔物に対しての対策として、屋根の上に待機させてあるドローンが、浮遊警戒をする予定だ。

 ドローンは太陽光パネルによる発電を利用して、イオンクラフトで浮遊できる半永久浮遊ユニットで、プロペラが刃先となっている。ドラゴンは流石に無理だが、ハーピー程度であれば撃退できる筈だ。

 俺は無口なブレードガーディアンを横目に見ながら大聖堂の扉を開けた。奥の祭壇に祀られているサセタ神様の元へ歩き、膝をついて祈りを捧げる。

 祈りのは勿論、俺たち四人の幸ある未来だ。シルフィがなぜ泣いたのか分からない。だから俺は皆んなと、楽しく、明るく、ずっと四人で幸せに暮らせるようにと、深く頭を垂れて祈りを捧げた。

 どれほどの時間が経ったのだろうか。十分か、三十分か分からない。静かな大聖堂にギィーっと扉が開く音が響いた。


「……お兄様」


 扉を開けて大聖堂に入ってきたのはシルフィだった。
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