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第二章

兎42羽 ラビリンスの主は見たくないらしい

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 その日の夜遅くに僕達は街の宿屋に帰って来ていた。僕達の部屋で赤と青と白の3羽の兎がぴょんぴょん跳ね回っている。


 あれからラビリンスを出ると外は薄暗い夕方だった。月兎を装着していた僕達はウサ耳カチューシャに内蔵されているバイザーを使用した。
 昼間と変わらない視界に驚きながらも、イオンクラフト、反重力磁場、慣性制御を駆使して飛行を行う。キョウカさんとマリヤさんは初めてで、浮いてからのバランス取りで大分あわあわしていた。

 何とかバランスを取れる様になり昨夜のキャンプ地を目指す。思いのほか早く付き、其れならばとそのまま空を飛び街迄戻る事にした。


「兎さん達は餌とか要らないのかしら?」

 月兎を脱装すると兎になった?赤い兎には青い宝石の首輪が有り、青い兎には赤い宝石、白い兎にはピンクの宝石の首輪が着いている。

ぴょんぴょん、ぴょんぴょん

「「「可愛い~~~」」」



 マリヤさん、キョウカさん、僕の順でお風呂に入る。勿論覗きなんてしないよ?キョウカさんは勿論見れないし、マリヤさんは見るべきモノも無ガハァァァーッ!お風呂上がりでソファで横になっていると、ベッドからマリヤさんが枕を投げてきた。

「天罰ですから!」

 何故?

 時間も遅いし、過酷なクエストをこなした事もあって、マリヤさんは僕達の部屋で寝る事になった。
 死が間近に近づいた戦闘を僕達は経験した……。マリヤさんを一人にするのは良くない……。だからベッドにはキョウカさんとマリヤさんが寝ているって言うか女子トークをしていて楽しそうだ。

 僕は飛んできた枕をマリヤさんにポイと投げ返してソファに横になる。昨夜は狭いテントで両サイドに美少女が眠るという男子高校生的に寝れないシチュエーションだった。

 今日はゆっくりと一人で寝れる。……寂しくないよ。などと思っていたら赤い兎が僕の毛布の中に入ってきた。モフモフで暖かい。「お前も一緒に寝るか」。そう言って僕は毛布を被った。





 翌朝、僕達は冒険者ギルドに向かった。3羽の兎もぴょんぴょんと付いていて来る。

 ギルド内は朝から人が多い。他のクエストを受けていた冒険者達は、帰って来て早々に新たに特別召集でラビリンス強制クエストに参加していた。

 僕達は各自の兎を抱っこしてカウンターに行く。今日もいつもの受付お姉さんだ。

「あれ?ソウマ達?何でいるの?」

「手前のラビリンスは攻略して来ました」

「は、早いわね……」

「迷宮主の正体が分かりました。ノーライフエンペラーです」

「えっ」

 マジ顔で吃驚顔のお姉さん。騒がしかったギルド内も静まり返る。

「う、嘘でしょ…………(汗)」

「いえ、間違いありません」

 そしてギルド内が騒然となった。

「あ、あり得ないだろ!」「この街が滅びるぞ!」「向かった冒険者は全滅するんじゃないか」「このクエスト降りてー!」「俺まだ死にたくないよ!」「王都から増援来てもヤバいんじゃないか?」「S級冒険者呼んで来てくれ~」

「ソ、ソウマ……何でノーライフエンペラーだと分かったの……?」

 脅えた顔で、真剣な顔でお姉さんが僕に聞いてくる。

「ちょっと戦闘になっちゃいまして……」

「ちょっとって、ちょっとちょっとじゃないでしょ!ちょっとでも無理よ!」

「はい。1μmの傷も付けられませんでした」

「生きてるのが奇跡よ!それでノーライフエンペラーは何処にいるのかしら?」

「ここです」

 僕は空間収納袋(小)を取り出してお姉さんの前に出した。

「…………言ってる事……分からないんだけど???」

「ノーライフエンペラーは倒せなかったのでこの中に捕まえて来ました」

「「「何ーーーーーーーーーーーッ!!?」」」

 お姉さんだけではなく、周りの冒険者さん達もハモって驚く。だって危うく千年戦争になる所だったのだから、捕獲出来たのはラッキーだったよね?

「見ます?」

「「「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!絶対見ない!!!」」」

全員一致で否決されました。

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