77 / 455
はじまりはじまり。小さな冒険?
77、今後のお話。
しおりを挟む「まずは全員魔力持ちと言うことなので、この後すぐに属性検査をさせてもらうよ」
待ってました!
そういえば、どうやって属性検査するんだろう?
前前世は、属性を測るための石板があったんだよなぁ
相性が1から10までの評価で数値化されるの。
(今考えると、RPGとかファンタジー系のゲームっぽいよね)
同時に魔力も測れるんだけどね、認識が少し違う。
ゲームだと魔力や精神力っていうパラメーターが威力として、MPとかSPみたいな項目は、その魔法の使用回数として。
こっちの世界での概念としてはそうだなぁ……最大MPがそのまま魔力の強さという認識になってる。
魔法の使用時に、自分の持っている魔力をどれくらい込めれるかで、威力が変わるから。
だから、こちらではMPに相当するものの最大値が高い人ほど「魔力が高い」と言われる。
「本来であれば王子達の魔法のお勉強開始は、4歳、つまりレオンハルト王子が開始するところなのだけど、今回はシュトレイユ王子も同時に開始とします」
「わぁ!いいの?!」
ぱぁっと花が咲いたように、可愛らしい笑みを浮かべて目をきらきらと輝かせているシュトレイユ王子。
王族って3歳まではほぼ軟禁状態みたいだから。
王子を守るためなんだけどね。
レオンハルト王子が4歳になって、魔力測定会に始まって王家の参加する行事などにも参加をし始めるのを見ていて羨ましかったんだろうなぁ。
「……非常事態と言うことで特例だけどね。その代わり、シュトレイユ王子はお勉強の時間が増えるから、頑張るんだよ?」
「……はい」
3歳までは王族としてのお勉強がいっぱいあるみたいだから、それと同時進行で魔法も習うってのは大変だと思うんだけどね。頑張れ!シュトレイユ王子!
「エルネスト君、君は4歳でレオンハルト王子と同じ歳だから、学園入学までは魔法の勉強を一緒に受けてもらう。その間の衣食住の保証は……本当は安全確保のために王宮にいて欲しいのだけれど……国として個人を援助する、という動きができないんだ。なので、ガレット公爵家が君の保証そして後見人となる」
「頑張ります」
エルネストが真剣な面持ちで返事をする。
あぁ、だからガレット公爵家に一緒に帰れるって、言ってたのか。
歳の近いお兄ちゃんができたようなものだね!楽しみ。
「ユージア君もガレット公爵家が後見人として申し出ているんだが……スルーズヴァン辺境伯の子息なんだから「嫌です、ガレット公爵家でお願いします」」
「絶対にスルーズヴァン辺境伯には戻りません。ガレット公爵家でお願いします」
守護龍の声に被せるように、必須にガレット公爵家に来ることを主張してる。
王都に帰ってきてから、ずっとこんな調子なんだけど……ハンスイェルク、ユージアに何したのよ……。
「……好きにすれば良い。ただ一つだけ。ユージアは…一応長男ではあるが、スルーズヴァン辺境伯を……継ぐ事はできない、という事だけは、伝えておく。名乗る事は構わない。現在の当主もそれは了承済みだ」
「それは、どういう意味……?」
勘当とか、そういう類のものなのかしら?
ユージア自身もびっくりした顔をしているので、不安になって、ハンスイェルクを見る。
ハンスイェルクは何かを否定するように首を横に軽く振ると、説明を続ける。
「エルフは長寿だからね。スルーズヴァン辺境伯の当主はすでにユージアの姪孫が継いでいる。……それだけ長く、教会に囚われていたという事だ」
(姪孫って……えっと、自分の兄弟の子供が『姪っ子、甥っ子』で、その『姪や甥の子供』が姪孫だった気がする)
ん?待てよ?ユージアが教会に捕まったのが3歳くらいで、その兄弟が成人が15歳、こちらの世界では20歳くらいには子供がいることが多いから、20歳の時の子と考えて……。
兄弟が成人し、20歳で子供(甥、姪)が生まれたとして。
その甥、姪がさらに20歳で子供(姪孫)が生まれたとする。
その姪孫が15歳で成人して、家を継いだ。
軽く50年以上教会に……って事だよね。
あれ……エルフの50歳って…もう大人だよね?あれ?
「ユージアってお爺ちゃんなんだね」
「まだ若いからねっ!?そんな言ったら、そこの僕の父親なんか…ば…って!痛いよ!」
こつ、と音が、と思ったら、ユージアのおでこに角砂糖がいくつか衝突していた。
ハンスイェルクの席にあった角砂糖が、ユージアに向かって飛んできていた。
その様子を思いっきり目撃してしまったのか、レオンハルト王子が紅茶を吹きかけ、激しくむせて、顔を真っ赤にしているのが見えた。可愛い。
「現在の当主は私の曾孫……ということになるね。エルフとして生を受けたのはユージアだけだったんだ」
ハンスイェルクは、何事もなかったかのように、しれっと説明を続けている。
そうそう、遺伝の不思議ってやつだね。
エルフと人間の混血は、いろいろ混じった特性の子供が生まれるのではなくて、両親のどちらかの種族として…人間かエルフ、ハーフエルフという、種族の特徴をはっきりと持って生まれてくるんだって。
他の種族とでもそうらしいんだけど、つまり、ユージアのお母さんは人間だったって事だね。
「……では、ユージア君もガレット公爵家が後見人ということで。早速だけど、明日の朝から予定通りに養成所へ通うように」
「養成所?」
王家や公爵家のような貴族の中でも上位にあたる家へ、花嫁修行の一環で使用人として雇われる、という事もあるんだけど、一般人からのメイドや各種スタッフも普通にいる。
そういう人たちは、貴族と街の人たちとの生活の違い、習慣や……もちろん言葉もだけど、そういうのを最低限のレベルまで上げる学校である。
養成所を修了しているという証書があれば、スタッフとして雇われやすいし、雇う貴族側からしても、安心できるんだよね。
「使用人としての一般的な仕事内容や最低限のマナーを習う学校だよ。修了後はガレット公爵家の…セシリア嬢付きの執事になってもらうと聞いている。それとともに、戻り次第、ユージア君も魔法の勉強に参加してもらう」
「頑張ります」
ユージアは守護龍に向き直り、軽く会釈で返事をする。
おでこが……四角く赤くなっていた。
ハンスイェルク……もう少し手加減してあげて!
0
お気に入りに追加
626
あなたにおすすめの小説
【完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です
ボンクラ王子の側近を任されました
里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」
王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。
人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。
そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。
義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。
王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?
みんなで転生〜チートな従魔と普通の私でほのぼの異世界生活〜
ノデミチ
ファンタジー
西門 愛衣楽、19歳。花の短大生。
年明けの誕生日も近いのに、未だ就活中。
そんな彼女の癒しは3匹のペット達。
シベリアンハスキーのコロ。
カナリアのカナ。
キバラガメのキィ。
犬と小鳥は、元は父のペットだったけど、母が出て行ってから父は変わってしまった…。
ペットの世話もせず、それどころか働く意欲も失い酒に溺れて…。
挙句に無理心中しようとして家に火を付けて焼け死んで。
アイラもペット達も焼け死んでしまう。
それを不憫に思った異世界の神が、自らの世界へ招き入れる。せっかくだからとペット達も一緒に。
何故かペット達がチートな力を持って…。
アイラは只の幼女になって…。
そんな彼女達のほのぼの異世界生活。
テイマー物 第3弾。
カクヨムでも公開中。
若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双
たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。
ゲームの知識を活かして成り上がります。
圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。
美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる