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第三章 Eduardo's Suffering
11話
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11
前半も、二十分が経過した。スコアは、〇対〇だった。
エースのマルセロは持ち前のスピードとパワーを発揮して、何度もゴールを脅かしていた。しかし、二人のマークを付けた結果、辛くも失点は免れていた。
ホワイトフォードも、良い形で攻められてはいた。だがそのほとんどを、エドが台無しにしていた。
タックルを貰った場面から、エドの調子はおかしかった。いつも以上にオフサイドに掛かるだけでなく、ボールのトンネルや、足を縺れさせての転倒まであった。
センター・サークルの付近で、ボールを受けたブラムがターンした。首を振っての周囲の確認の後、右斜め前のエドにパスを転がす。
エドはボールに右足を合わせにいくが、トラップはうまくいかずボールが小バウンドする。
エドは慌てた様子で、左足の裏で押さえた。すぐさままっすぐにドリブルを開始する。
3番は足を出し、エドの無策なドリブルは、あっさりと阻止された。
顔を上げた3番は、前線で待ち受けるマルセロに大きくキックする。
「良いねぇ良いねぇ。そんな風にびしっと守ってくれりゃあ、こっちもテンションうなぎ上りってもんだよ。そんじゃあそろそろ、清の皇帝も真っ青、最強の眠れる獅子のお目覚めターイム、だな」
愉快さと強い野心を感じさせる口調で、マルセロが独り言ちた。背筋の伸びた力強いダッシュで、ボールを追い掛けて行く。
マルセロは右足の外側で、すっとボールを止めた。
ホワイトフォードの2番が、マルセロと対峙する。右半身を微妙に後ろに遣った2番は、厳しい表情だった。
(こりゃあ、超特大のピンチだな。ノリノリのマルセロの前に、うちの奴は一人しかいねえ。エドもなんでかすっかすかだし、先制点は、絶対にやりたくねえんだが)
桐畑が焦燥感を深めていると、マルセロは、どんっと左足をボールの前に踏み込んだ。
マルセロはすぐさま、右足の甲をボールの後ろへと持っていった。前後の足でボールを挟み上げて、左の踵で、とんっと蹴る。
(ここで、ヒール・キックが飛び出すかよ。ゴリゴリ系かと思ったら、テクでも魅せてくれやがるぜ)
感嘆の思いとライバル心を同時に抱いて、桐畑は顔を歪めた。
2番の頭上を、ふわりとボールが通過した。マルセロの身体で、2番の視界は制限されていた。
2番は、慌てて動き始めた。しかしマルセロの爆発的な加速に、為す術もなく置いていかれる。
四歩前進したマルセロは、落下の直前を左足の甲で捉えた。とてつもない縦回転のシュートが、ゴールに飛んで行く。
キーパーは、大きく跳躍。右手を伸ばすが、ボールはぎりぎり手の上を行く。
ぐんっと落ちたドライブ・シュートが、ゴールのテープのすぐ下を通った。腰に手を当てた桐畑は、小さく息を吐く。
〇対一。痛恨の失点だった。
前半も、二十分が経過した。スコアは、〇対〇だった。
エースのマルセロは持ち前のスピードとパワーを発揮して、何度もゴールを脅かしていた。しかし、二人のマークを付けた結果、辛くも失点は免れていた。
ホワイトフォードも、良い形で攻められてはいた。だがそのほとんどを、エドが台無しにしていた。
タックルを貰った場面から、エドの調子はおかしかった。いつも以上にオフサイドに掛かるだけでなく、ボールのトンネルや、足を縺れさせての転倒まであった。
センター・サークルの付近で、ボールを受けたブラムがターンした。首を振っての周囲の確認の後、右斜め前のエドにパスを転がす。
エドはボールに右足を合わせにいくが、トラップはうまくいかずボールが小バウンドする。
エドは慌てた様子で、左足の裏で押さえた。すぐさままっすぐにドリブルを開始する。
3番は足を出し、エドの無策なドリブルは、あっさりと阻止された。
顔を上げた3番は、前線で待ち受けるマルセロに大きくキックする。
「良いねぇ良いねぇ。そんな風にびしっと守ってくれりゃあ、こっちもテンションうなぎ上りってもんだよ。そんじゃあそろそろ、清の皇帝も真っ青、最強の眠れる獅子のお目覚めターイム、だな」
愉快さと強い野心を感じさせる口調で、マルセロが独り言ちた。背筋の伸びた力強いダッシュで、ボールを追い掛けて行く。
マルセロは右足の外側で、すっとボールを止めた。
ホワイトフォードの2番が、マルセロと対峙する。右半身を微妙に後ろに遣った2番は、厳しい表情だった。
(こりゃあ、超特大のピンチだな。ノリノリのマルセロの前に、うちの奴は一人しかいねえ。エドもなんでかすっかすかだし、先制点は、絶対にやりたくねえんだが)
桐畑が焦燥感を深めていると、マルセロは、どんっと左足をボールの前に踏み込んだ。
マルセロはすぐさま、右足の甲をボールの後ろへと持っていった。前後の足でボールを挟み上げて、左の踵で、とんっと蹴る。
(ここで、ヒール・キックが飛び出すかよ。ゴリゴリ系かと思ったら、テクでも魅せてくれやがるぜ)
感嘆の思いとライバル心を同時に抱いて、桐畑は顔を歪めた。
2番の頭上を、ふわりとボールが通過した。マルセロの身体で、2番の視界は制限されていた。
2番は、慌てて動き始めた。しかしマルセロの爆発的な加速に、為す術もなく置いていかれる。
四歩前進したマルセロは、落下の直前を左足の甲で捉えた。とてつもない縦回転のシュートが、ゴールに飛んで行く。
キーパーは、大きく跳躍。右手を伸ばすが、ボールはぎりぎり手の上を行く。
ぐんっと落ちたドライブ・シュートが、ゴールのテープのすぐ下を通った。腰に手を当てた桐畑は、小さく息を吐く。
〇対一。痛恨の失点だった。
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