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第三章 続続編 古代魔法陣の罠

37 仁義なきバトル R18

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*R18表現が入ります。お気を付けください。



 《シュン視点》

 嬉しい。
 ロワクレスのこんなに幸せそうな笑顔が嬉しい。

 きっとロワクレスは人生で初めて家族を得たのだ。お父さんとお母さんの優しい愛に初めて触れたんだ。
 そうだよな。子供を可愛いと思わない親なんて、普通いないよな。



 俺の異能を知られ収容にきた当局に対して、俺の母さんは激しく抵抗していたっけ。父さんは俺に怯え、化け物を見るような目で見ていたけど。母さんはずっと俺を大事にしてくれた。

 俺が四歳の時だった。

『あれは化け物だ。諦めろ! 諦めるんだ!』
『あたしの子を返して! 返して! 連れて行かないで!』

 父さんは背後から母さんを押さえて何度も叫んでいた。それでも、母さんは何とか腕を振り解こうともがいていた。

『俊! しゅーん!』

 今でも泣きながら俺の名を呼ぶ母さんの声が耳に残っている。

 母さん、幸せに暮らしているかな? 幸せだったらいいな。
 もう、逢えないけど……。




 ロワクレスとご両親を見てたら、思い出さなくていいことまで思い出してしまった。ちょっとセンチになったんで、気分を切り替えよう。

「ロワのお母様。シュン・カスガです。初めまして」

 まずは挨拶からだよな。男の俺を受け入れてもらえるかどうかは、また、別の話だ。


「あなたがシュンなのね? ロワクレスが伴侶と選んだ子なのね?」

 キシリア様は涙を絹のハンカチで拭うと、しっかりと俺の顔を見つめてきた。それは母親の顔だった。
 彼女の美しい面に嫌悪は現れていない。背後に立つオズワルド将軍の微妙な表情とは対照的だった。

「まあ、良く顔を見せてくださいな。あなたがオズワルドをしょげさせたのね?」

 お母様が俺の両手を手に取って、まじまじと顔を覗き込んでくる。その視線の強さに、俺はちょっと当惑気味だ。

「なんて愛らしいこと! でも、少し、幼さ過ぎるんじゃなくて? あなた、ロワクレスに騙されているんじゃないの?」

 そして、ロワクレスに厳しい目を向けた。

「ロワクレス! 年端も行かない子供に手を出したりしてないでしょうね? これは犯罪よ!」

 うん、やっぱりお母さんだ。自分にどんな負い目があったって、子供を叱る時はきちんと叱らなきゃいけないよな。

 思わぬ叱責にロワクレスの眼が丸くなって焦っている。あ、可愛い。

 可愛いロワクレスをもっと見ていたいけれど、これって俺にも痛いんで、早急にお母さんの誤解を解くことにした。

「お母様、俺……私は十九歳です。子供ではありません。ただ、身長が足りないだけなんです」

 うう……、自分で言いながら、地味に自分で傷ついている。

「ええ? 嘘でしょ? どう見ても、あなた、十三歳くらいよ?」
「私の種族はあなた方ほど、背が高くならないんです。私は、その中でも、若干小さいほうで、しかも、童顔なので……その……伸び悩んではいますが、これでも、その……この世界ではちゃんと成人している年齢で、あの……」

 驚くキシリアお母様に説明しながら悲しくなってきた。泣いていいかな? でも、泣いたらますます子供に見えちゃうよな。

「母上、ご安心ください。シュンは成人しておりますし、私も非道なことはしておりません。シュンは私の唯一無二なのです」

 ロワクレスが俺の腰に手を回してきっぱりと宣言した。
 うん、ロワクレスは非道なことはしてない。ただ、ちょっと絶倫で熱烈で鬼畜なだけだよな。



 そのあと、ヨハネスさんが淹れてくれるお茶とアニータがさん焼いてくれたお菓子で一家団欒した。オズワルド将軍は無口でとうとう微妙な表情だったけれど。

 それでも、もう俺たちのことを否定したり拒絶したりはしなかった。多分、まだ将軍の中では認めがたいものがあって、葛藤はしているんだろうなとは思う。
 俺としては、もうそれで十分だった。オズワルド将軍には感謝の気持ちしかないよ。


 ウルノスが操る馬車で屋敷へと帰って行く二人を家の前で見送る。
 ウルノスは今、元補佐のワッギムを鍛え直しているところらしい。キシリア奥様が屋敷に戻っているので、今のワッギムでは任せられないと責任を感じているとか。

 なので、ウルノスは屋敷とこの家を毎日往復している。きっと、ウルノスは厳しい教師なんだろうな。
 ワッギム、頑張れ。



 ***

「きれいなお母様だね」

 大きくて頑丈な寝台の中で、ロワクレスの顔を見上げた。
 ロワクレスはお母様似なんだな。金色の髪や面差しがそのまんまだ。優美な眉もすっきりと形のいい鼻も口も輪郭の線も。キシリア様を男にしたらこんな感じになるだろうって顔貌かおかたちだ。
 それでも女顔の印象じゃなくて惚れ惚れとかっこいいなんて反則だ。

 繊細さよりも男らしさを感じる唇が俺の口に降りた。俺も両腕をロワの首に回して、もっと深いキスをねだる。

 こうして互いに求めるまま抱き合うのは久しぶりだ。魔界ではとうとうそんなことはできなかったから。
 ヨハネスさんの言う通りだとしたら、ゆうに三週間ぶりになるわけだ。

 唇を離して俺を見つめるロワの眼はお父様似だ。蒼い眼は切れ長で、ぞくぞくするほどの厳しさがある。
 みんなは怖いと恐れているけれど、俺にはその鋭さも含めてひどく魅力的に思う。氷鉄の冷たさで睨まれたら恍惚としてしまうだろう。――俺って、Mっ気があるのかな?

 その眼が男臭さを増し、俺への欲情にぎらぎらと熱を孕んで見つめてきたら、俺はそれだけで身体が熱く痺れてくる。
 求められるのが嬉しい。なんとでも好きにしてくれって気になってしまう。やっぱり、俺、マゾっ気が少々あるのかもしれない。


 キスをしながらお互いのパジャマのボタンを外し合う。ロワは俺の裸を見たがるけれど、俺だってロワの裸体を見たいんだ。逞しい胸にぺたりと手を当てて感触を味わう。割れている腹筋も、バランスのいい逞しい腕も肩も足も大好きだ。

「大好きだ、ロワ」

 胸にずりずりと頬擦りして、ついでに乳首に吸い付いたら、呻いて、

「シュン……」

 と、焦った声を出した。
 久しぶりだから、溜まっていて余裕がないのかもしれない。ロワが腰を揺らし、俺の太ももに硬くなったそれが当たった。

 ふと、触手の森でのことが脳裏に蘇った。
 あの時、俺、怒張したロワのを見て舐めたいって思ったんだよな。

 あの時は届かなかったけど、今ならば……。
 ロワのパジャマのズボンと下着を一気に引き下げた。
 ロワがはっと息を飲んだ隙に、元気に飛び出したそれをぱくりと咥える。

「シュン、止めろ! 煽るな!」

 止めに入ったロワの抗議には、てっぺんをぺろぺろと舐めて応えとした。握った手の中で、さらに膨らんだのがわかる。
 不味いはずの先走りが嫌じゃない。むしろ美味しいって思うって、俺も随分だな。ただし、これはロワ限定だ。他の野郎のなんか触るどころか、見たくもないぞ。

 そうしたら俺は握ったままひっくり返されて、ロワが上になった俺の股間を責め始めた。いわゆるシックスナインの形だ。

 ロワと三十センチ以上の身長差があるのに、これができちゃうってどうなんだろう? と、考えちゃいけないことに気が付いてしまった。それって、つまり……だめだ! 考えるな! みじめになる! 全ては日本人体型が悪いんだ! ううう……。

 さすがにやり辛かったのか、直にロワは俺自身を口でいたぶるのはやめたけど。その代りに、指で後孔との併せ技で責めてくるのは卑怯だと思う!

 ロワと始めたシックスナインは男同士のせいか、なぜかバトルになった。どちらが先に落とすかの仁義なき戦いにシフトする。

「ひっ! くう!」

 俺は思わず声を上げた。

「や、やめ! ロワ! それ、いやだ!」

 俺の尻を掴んで割り開くや慎ましい俺の後孔を舐め始め、あろうことか強引に舌を突き入れて来る。なぜか、ロワはそこを平気で舐めたがるんだ。だが、俺はいつまでも慣れることができない。

 いくら浄化魔法できれいにできるからと言ったって、場所が場所だ。不衛生だろ! 汚いよ! 
 だけれど、ロワは止めてくれない。
 ロワの馬鹿―!

 あんたは犬か! 獣か!

 奴は舌で後ろを責めながら、俺自身をも指で擦り上げる複合技を駆使してきた。しかも、わざと舌で濡れた音を立てて、俺の耳まで犯してくる。
 敵はなかなか手強い。
 どうしたらいいか途方に暮れていた初々しいあの頃が懐かしいな。

 いつの間にそんな熟練者になったんだ? 誰で練習したんだよ?
 あ、俺か。

 あ、あ、あ……。気持ちいい! やばっ!

 背筋から全身へと、ブルブルと快感が走り抜けて震えた。

「ほら、いけ! シュン」

 くそ! 負けてたまるか! 今回はロワが長期間溜めてる分、俺の方に分があるんだ。

 なるべくロワの愛撫からくる愉悦から気を逸らし、咥えたそれに集中しようと努力した。
 嘗め回し、吸い付き、手の平や指全部使って扱き上げる。
 顎の関節が外れそうになろうと、顎がだるくなろうと、嘔吐いて涙目になろうと、涎を盛大に零しながら、俺は必死で頑張った。

 いったい、俺、何やってるんだろ?
 これって、こんなに必死こいてやるものか?

 でも、意地になった俺は勝負を投げたくなかった。
 止めません! 勝つまでは!


「う、シュン、あ、くそっ! シュン!」

 ロワクレスが呻きだした。
 おい、くそって言ったぞ。やっぱり、負けたくないって思ってたんだな。

 指の動きが鈍くなり、尻たぶを両手でぎゅっと掴んできた。腰の揺れが大きくなる。
 よし、もう一押しだ。

 これ以上ないくらいかちんかちんに固くなっている大きなそれを容赦なく擦り上げて、てっぺんの穴を尖らせた舌で突いて、きゅーって吸って。

「あ、あ、う、むう……、くっ! うおおお!」

 どぴゅっ! どぴゅっ! と弾け溢れた。
 すごく濃い。おまけに量が半端ない。何度も吹き上げてくるので、俺は飲み切れず溺れそうになった。

 か、勝った……。
 勝ったけれど、不毛な勝利な気がする。
 これ、普通に中で堪能したかったかも……。

 荒い息を継ぎながら解放感にくったりしているロワの上にぺちょっと崩れ落ちた。
 俺も、疲れた。

 ふうっと息を吐きながらだるさを満喫していると、天地が引っ繰り返る。
 見上げると、すっごくいい笑顔をしたロワが俺を見下ろしていた。
 ぞくぞくぞくー! 
 危機感に背筋が震える。

「やってくれたな? シュン。覚悟はいいだろうな?」

 ふるふるふると首を横に振る。そんな俺のささやかな抵抗なんか簡単に蹴飛ばされた。

「ああああ! ロワ! やああ! ごめん! ごめんなさい! ああああん!」

  俺って馬鹿? やっぱり、馬鹿?
 一晩中泣かされたのは、もはやお約束コースだった。
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