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第三章 続続編 古代魔法陣の罠
18 オズワルドの痛み
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《オズワルド視点》
「シュン……か」
近づいてくる少年を前に、不思議に怒りを覚えなかった。我が息子を奪って行った憎い小僧のはずだった。どのような手管でか、あの堅物の男の心を惑わし篭絡させた少年。
少し前までは考えただけでも腸が煮えくり返るほどの憎悪があった。自らの手で切り殺し、叩き潰したいほどの邪魔な存在だった。
だが、今、その全てが抜け落ちている。ここにあるのは敗北した抜け殻だ。全ての熱も感情も失われていた。息をしているだけの屍。
「オズワルド大将軍とあろう男が。そんな腑抜けとなって、ロワが何と思う?」
私は感情の動きもなくシュンの黒い瞳を見る。
ああ、と納得する。この世に見ることのない黒い瞳は審判を下す者の目だ。
私の罪を問い、断罪する夜の瞳。
自分の感情に負け、大事な息子を放置し孤独のままに親の力で支配してきた。それは許されない仕打ちだったと今更に悟る。
親らしいことを何もしてやらず、後を継ぐ長男として勤める義務を要求するだけだった。優しい言葉の一つも掛けることなく、厳しい叱咤だけを与えて来た。
あの息子の笑顔を見たことがあっただろうか? まだ座ることもできない赤子のあの子を抱いただろうか?
記憶を辿ると、寂しげな表情や怯えた幼い顔が浮かぶ。それが何の感情も浮かべない無表情なものになっていったのはいつの頃からか?
ロワクレスに捨てられて当然なのだ。私が親としての愛を注いでこなかったのだ。あの子にとって、私は父親ですらないのだろう。
ロワクレスが氷鉄の騎士と呼ばれていたのは知っていた。何の感情も見せず、寄る者全てを鋼の冷たさで拒絶する孤高の騎士。
どれほど強くても、どれほど認められても、ロワクレスは幸せではなかったはずだ。全てを拒絶する孤独な魂であっていいはずがない。
息子をそんな人間にしてしまったのは、私なのだ。
そのロワクレスの手を取り、人の感情を蘇らせたのは、夜の瞳のシュンなのだ。哀れな息子を救うために、夜の闇が彼を作り届けてくれた。
私はシュンに感謝しこそすれ、憎むべきではなかったのだ。
全てを悟るにはあまりに遅すぎたが。なんと不甲斐ない親だったのだろう。
「全てを諦めるのか? そんな姿のあなたを見て、ロワが悲しまないとでも? なぜ、ロワが怒りを見せたのか判らないのか? どんなに拒絶しても、あなたはやはりロワにとって唯一の父親であることには変わらないのに」
私はシュンの闇の目を見つめていた。
「ロワがなぜ、騎士を選んだか? なぜ、強さを求め続けてきたか? あなたの息子だからだ。あなたの背中を見てきたから。あなたもそんなロワに誇りを覚えたはず」
私にはシュンに答えるべき言葉をもたなかった。拳を握り締める。
そう思っていた。そうであって欲しいと願っていた。息子を誇らしく思っていた。
「愛しているのに。自慢だったのに。どうして、ロワを避けていたんだ? 父親に背を向けられて、ロワが傷つかないと思っていた? 寂しくないと思っていたか? ヨハネスさんやアニータさんがいれば大丈夫だとでも? でも、彼らはロワの親じゃない! 幼かったロワがずっと求めていたのは彼らじゃない!」
シュンの語調が苛烈さを帯びた。叩きつけるように言葉を継ぐと、しばし息を整えるように沈黙した。シュンの印象がぞろりと変わる。
怒りを表す少年だったものが、別の存在に移る。夜に溶け込む闇のように。闇が深く沈む。その中で、少年の目が光る。
「二親が居て、なぜロワは見捨てられた子供のように孤独でなければならなかったんだ? なぜ、ロワを避けた? なぜ、ロワを一人にした?」
少年の声は低く、心の奥底へと切り裂いていくようだった。
「何を恐れた?」
私の記憶が過去の中から浮上する。忘れたはずだった。封印したはずだった。触れたくない心の痛みが鮮やかに蘇った。
それは幸せの絶頂から奈落へと落とされた苦痛。憧れ、求めたキシリア姫を伴侶に得た喜びをあざ笑うような絶望と憎悪。
幸せな花嫁を屋敷に迎え、整えた部屋へ案内した。花のように愛らしく美しいキシリアは初々しく頬を染め、微笑んでいてくれた。
初夜は確かに彼女も幸せそうだったと思えた。愛する妻を迎えて、私は浮かれていた。この上ない幸せと歓びの中にいた。
それなのに、日々、彼女の笑顔が失われていく。徐々に悲しみと怒りが彼女を彩った。甘やかされてきた驕りが我儘となっていく。
彼女が王宮から連れて来た侍女たちと屋敷の者との折り合いが悪いのは感じていた。屋敷の者は何も言わなかったが、不満を抱えているのは知っていた。
キシリアを取り巻く侍女たちも高慢な態度を隠さず、屋敷の対応に不平をあげつらっていた。
だが、そもそも王宮と一般貴族では勝手が違って当たり前。そのうち、双方で馴染んでいくだろうと思っていた。
だが、舞踏会や夜会、サロンなどがある度ごとに、彼女の態度は頑なになっていく。
それでも私はまだ希望をもっていた。きっと、心が通じるはずだと。結婚式の時は確かに通じていたはずだったと。
それが決定的な絶望に変わったのは、彼女の寝室に強引に入った時だった。いい加減苛々して忍耐が切れた私は、侍女が止めるのも蹴散らして押し入った。
「汚らわしいケダモノ。わたくしに触らないで!」
私を憎悪する目。私を拒絶する手。氷のように冷ややかな眼差し。
どこで私は間違えたのだろう。
なぜ、こうも私を嫌うのだ?
私はキシリアの心を得ることができないのか。
厭い、蔑まれるばかりなのか。
胸を幾千もの剣で刺し貫かれたようだった。どれほどの武勲も勲章も、彼女の拒絶の前では空しいばかりだった。
その絶望のさなかに、キシリアが妊娠していることを知ったのはなんと皮肉なことだろう。
「わたくしの義務として、子供を産みます。ですが、わたくしのところへは一切、おいでにならないでくださいませ」
それ以来、私はキシリアと言葉を交わすことはなくなった。苦しく辛い屋敷には留まりたくなく、遠征を繰り返しては戦に明け暮れ、王都に戻れば妾宅へ通った。だが、妾宅でも私の心は晴れなかった。痛む心を封じた私はいびつに歪んでいくばかりだった。
時が満ちて子供が生まれたと報せがあり、やっと屋敷に戻った私にキシリアは顔も向けずに言ったものだ。
「名前はロワクレスです。王族の血を引く子供。慣例にのって、王族縁の名をわたくしが授けます。妻としての務めは果たしました。わたくしはお屋敷をお暇いたします」
それは前より決めていた。キシリアは出産までは屋敷に留まるが、その後はザフォード家の領地の屋敷に移り、そこで生涯を過ごすこと。それがキシリアの要望だった。
子供が授かれば、彼女の心も変わるのではと期待した一抹の望みも砕かれた。
キシリアは私を捨て、子供を捨て、社交界からも王宮からも身を遠ざけて領地に引き籠った。
二十六年。
思えば長いような短くもあった年月だった。私は五十六を越え、キシリアも四十二を数えるだろう。私の脳裏には翠の眼に憎悪を湛えた十七歳の美しい彼女の姿があるばかりだった。
胸が痛む。この歳になってもまだ、悲しみの血を流している。
なんということか!
私は未だにキシリアを愛し、求めていると言うのか!
だから、ロワクレスを避けた。キシリアに良く似ているから。
だから、ロワクレスの顔を見ることができなかった。キシリアを思い出し胸が切り刻まれるから。
私はなんと情けない男なのか! これほどに、私は女々しい男だったのか!
「やっと真実に辿り着いたんだね」
はっと我に返る。私は今まで何をしていた? まるで、記憶の海の底を遡り彷徨っていたようだった。
何度も瞬きを繰り返す。ずっとシュンの視線に捉われ見つめ続けていたのだと知った。
「将軍。今一度、勇気を出して、キシリア様を訪ねるべきだ。あなたの心にキシリア様への想いが、まだ息づいているのだから。ロワへの固執はあなたのその想いの裏返しだよ」
「今更、どんな顔をして行けと。それに、会ってくれるかさえも判らないのだ」
「それこそ、今更なんだから。堂々と会いに行けばいいよ。二十五年の歳月は人を変える。幼い姫も成長して大人になるには十分な歳月だと思うよ」
シュンがいきなり大人に見えた。弱々しい少年だと思っていたが、その心は多くの苦悩を見つめて来た強さがある。
なぜ自分の心の動きを読んだように知っているのか、その不思議な思いもシュンの闇の瞳を見ていると消えていく。
「将軍、あなたにロワクレスを返してあげることはできない。でも、将軍の幸せはロワクレスにあるんじゃない。将軍の本当の幸せは、きっと別の場所にある。あなたは強い人だ。こんなところでうじうじしているなんて似合わない。雄々しく勇猛、誇り高き『餓狼将軍』の姿をロワクレスに見せてよ」
「ずいぶん昔の呼称を出したものだな」
思わず苦笑が漏れた。
若き頃、今の騎士団長バランたちとともにずいぶん無茶をやった。戦場を我が庭のように縦横無尽に駆け回ったもの。私が通ったあとには屍しか残らないと言われ、付いた通り名は『餓狼将軍』。敵からも味方からさえも恐れられたものだった。
軍を率いる大将軍となって、敵陣営へ馬を駆って突っ込むことはできなくなり、我ながらずいぶん大人しくなった。この異名もとっくに忘れたと思っていた。
シュンの発破はしょぼくれて元気をなくしていた私に、確実に活を入れてくれた。
「シュン……か」
近づいてくる少年を前に、不思議に怒りを覚えなかった。我が息子を奪って行った憎い小僧のはずだった。どのような手管でか、あの堅物の男の心を惑わし篭絡させた少年。
少し前までは考えただけでも腸が煮えくり返るほどの憎悪があった。自らの手で切り殺し、叩き潰したいほどの邪魔な存在だった。
だが、今、その全てが抜け落ちている。ここにあるのは敗北した抜け殻だ。全ての熱も感情も失われていた。息をしているだけの屍。
「オズワルド大将軍とあろう男が。そんな腑抜けとなって、ロワが何と思う?」
私は感情の動きもなくシュンの黒い瞳を見る。
ああ、と納得する。この世に見ることのない黒い瞳は審判を下す者の目だ。
私の罪を問い、断罪する夜の瞳。
自分の感情に負け、大事な息子を放置し孤独のままに親の力で支配してきた。それは許されない仕打ちだったと今更に悟る。
親らしいことを何もしてやらず、後を継ぐ長男として勤める義務を要求するだけだった。優しい言葉の一つも掛けることなく、厳しい叱咤だけを与えて来た。
あの息子の笑顔を見たことがあっただろうか? まだ座ることもできない赤子のあの子を抱いただろうか?
記憶を辿ると、寂しげな表情や怯えた幼い顔が浮かぶ。それが何の感情も浮かべない無表情なものになっていったのはいつの頃からか?
ロワクレスに捨てられて当然なのだ。私が親としての愛を注いでこなかったのだ。あの子にとって、私は父親ですらないのだろう。
ロワクレスが氷鉄の騎士と呼ばれていたのは知っていた。何の感情も見せず、寄る者全てを鋼の冷たさで拒絶する孤高の騎士。
どれほど強くても、どれほど認められても、ロワクレスは幸せではなかったはずだ。全てを拒絶する孤独な魂であっていいはずがない。
息子をそんな人間にしてしまったのは、私なのだ。
そのロワクレスの手を取り、人の感情を蘇らせたのは、夜の瞳のシュンなのだ。哀れな息子を救うために、夜の闇が彼を作り届けてくれた。
私はシュンに感謝しこそすれ、憎むべきではなかったのだ。
全てを悟るにはあまりに遅すぎたが。なんと不甲斐ない親だったのだろう。
「全てを諦めるのか? そんな姿のあなたを見て、ロワが悲しまないとでも? なぜ、ロワが怒りを見せたのか判らないのか? どんなに拒絶しても、あなたはやはりロワにとって唯一の父親であることには変わらないのに」
私はシュンの闇の目を見つめていた。
「ロワがなぜ、騎士を選んだか? なぜ、強さを求め続けてきたか? あなたの息子だからだ。あなたの背中を見てきたから。あなたもそんなロワに誇りを覚えたはず」
私にはシュンに答えるべき言葉をもたなかった。拳を握り締める。
そう思っていた。そうであって欲しいと願っていた。息子を誇らしく思っていた。
「愛しているのに。自慢だったのに。どうして、ロワを避けていたんだ? 父親に背を向けられて、ロワが傷つかないと思っていた? 寂しくないと思っていたか? ヨハネスさんやアニータさんがいれば大丈夫だとでも? でも、彼らはロワの親じゃない! 幼かったロワがずっと求めていたのは彼らじゃない!」
シュンの語調が苛烈さを帯びた。叩きつけるように言葉を継ぐと、しばし息を整えるように沈黙した。シュンの印象がぞろりと変わる。
怒りを表す少年だったものが、別の存在に移る。夜に溶け込む闇のように。闇が深く沈む。その中で、少年の目が光る。
「二親が居て、なぜロワは見捨てられた子供のように孤独でなければならなかったんだ? なぜ、ロワを避けた? なぜ、ロワを一人にした?」
少年の声は低く、心の奥底へと切り裂いていくようだった。
「何を恐れた?」
私の記憶が過去の中から浮上する。忘れたはずだった。封印したはずだった。触れたくない心の痛みが鮮やかに蘇った。
それは幸せの絶頂から奈落へと落とされた苦痛。憧れ、求めたキシリア姫を伴侶に得た喜びをあざ笑うような絶望と憎悪。
幸せな花嫁を屋敷に迎え、整えた部屋へ案内した。花のように愛らしく美しいキシリアは初々しく頬を染め、微笑んでいてくれた。
初夜は確かに彼女も幸せそうだったと思えた。愛する妻を迎えて、私は浮かれていた。この上ない幸せと歓びの中にいた。
それなのに、日々、彼女の笑顔が失われていく。徐々に悲しみと怒りが彼女を彩った。甘やかされてきた驕りが我儘となっていく。
彼女が王宮から連れて来た侍女たちと屋敷の者との折り合いが悪いのは感じていた。屋敷の者は何も言わなかったが、不満を抱えているのは知っていた。
キシリアを取り巻く侍女たちも高慢な態度を隠さず、屋敷の対応に不平をあげつらっていた。
だが、そもそも王宮と一般貴族では勝手が違って当たり前。そのうち、双方で馴染んでいくだろうと思っていた。
だが、舞踏会や夜会、サロンなどがある度ごとに、彼女の態度は頑なになっていく。
それでも私はまだ希望をもっていた。きっと、心が通じるはずだと。結婚式の時は確かに通じていたはずだったと。
それが決定的な絶望に変わったのは、彼女の寝室に強引に入った時だった。いい加減苛々して忍耐が切れた私は、侍女が止めるのも蹴散らして押し入った。
「汚らわしいケダモノ。わたくしに触らないで!」
私を憎悪する目。私を拒絶する手。氷のように冷ややかな眼差し。
どこで私は間違えたのだろう。
なぜ、こうも私を嫌うのだ?
私はキシリアの心を得ることができないのか。
厭い、蔑まれるばかりなのか。
胸を幾千もの剣で刺し貫かれたようだった。どれほどの武勲も勲章も、彼女の拒絶の前では空しいばかりだった。
その絶望のさなかに、キシリアが妊娠していることを知ったのはなんと皮肉なことだろう。
「わたくしの義務として、子供を産みます。ですが、わたくしのところへは一切、おいでにならないでくださいませ」
それ以来、私はキシリアと言葉を交わすことはなくなった。苦しく辛い屋敷には留まりたくなく、遠征を繰り返しては戦に明け暮れ、王都に戻れば妾宅へ通った。だが、妾宅でも私の心は晴れなかった。痛む心を封じた私はいびつに歪んでいくばかりだった。
時が満ちて子供が生まれたと報せがあり、やっと屋敷に戻った私にキシリアは顔も向けずに言ったものだ。
「名前はロワクレスです。王族の血を引く子供。慣例にのって、王族縁の名をわたくしが授けます。妻としての務めは果たしました。わたくしはお屋敷をお暇いたします」
それは前より決めていた。キシリアは出産までは屋敷に留まるが、その後はザフォード家の領地の屋敷に移り、そこで生涯を過ごすこと。それがキシリアの要望だった。
子供が授かれば、彼女の心も変わるのではと期待した一抹の望みも砕かれた。
キシリアは私を捨て、子供を捨て、社交界からも王宮からも身を遠ざけて領地に引き籠った。
二十六年。
思えば長いような短くもあった年月だった。私は五十六を越え、キシリアも四十二を数えるだろう。私の脳裏には翠の眼に憎悪を湛えた十七歳の美しい彼女の姿があるばかりだった。
胸が痛む。この歳になってもまだ、悲しみの血を流している。
なんということか!
私は未だにキシリアを愛し、求めていると言うのか!
だから、ロワクレスを避けた。キシリアに良く似ているから。
だから、ロワクレスの顔を見ることができなかった。キシリアを思い出し胸が切り刻まれるから。
私はなんと情けない男なのか! これほどに、私は女々しい男だったのか!
「やっと真実に辿り着いたんだね」
はっと我に返る。私は今まで何をしていた? まるで、記憶の海の底を遡り彷徨っていたようだった。
何度も瞬きを繰り返す。ずっとシュンの視線に捉われ見つめ続けていたのだと知った。
「将軍。今一度、勇気を出して、キシリア様を訪ねるべきだ。あなたの心にキシリア様への想いが、まだ息づいているのだから。ロワへの固執はあなたのその想いの裏返しだよ」
「今更、どんな顔をして行けと。それに、会ってくれるかさえも判らないのだ」
「それこそ、今更なんだから。堂々と会いに行けばいいよ。二十五年の歳月は人を変える。幼い姫も成長して大人になるには十分な歳月だと思うよ」
シュンがいきなり大人に見えた。弱々しい少年だと思っていたが、その心は多くの苦悩を見つめて来た強さがある。
なぜ自分の心の動きを読んだように知っているのか、その不思議な思いもシュンの闇の瞳を見ていると消えていく。
「将軍、あなたにロワクレスを返してあげることはできない。でも、将軍の幸せはロワクレスにあるんじゃない。将軍の本当の幸せは、きっと別の場所にある。あなたは強い人だ。こんなところでうじうじしているなんて似合わない。雄々しく勇猛、誇り高き『餓狼将軍』の姿をロワクレスに見せてよ」
「ずいぶん昔の呼称を出したものだな」
思わず苦笑が漏れた。
若き頃、今の騎士団長バランたちとともにずいぶん無茶をやった。戦場を我が庭のように縦横無尽に駆け回ったもの。私が通ったあとには屍しか残らないと言われ、付いた通り名は『餓狼将軍』。敵からも味方からさえも恐れられたものだった。
軍を率いる大将軍となって、敵陣営へ馬を駆って突っ込むことはできなくなり、我ながらずいぶん大人しくなった。この異名もとっくに忘れたと思っていた。
シュンの発破はしょぼくれて元気をなくしていた私に、確実に活を入れてくれた。
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