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片思いの騎士様が面会謝絶。と言われても心配なので、ちょっと様子を見に行きます。
夢から醒めて待っていたのは――甘い、生活。
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「ベルンハルトさ、ま……?」
「エミリア、良かった……生きていた……!!」
エミリアは、これは夢だと思った。
自分はもう死ぬ直前に見る夢を見ているのだと。
夢でもいい……。
ベルンハルトにもう一度会えた。
エミリアは、震えた腕でベルンハルトに弱々しく抱きついた。
……あたたかい。
「ベルンハルト様……良かった、私、魔族に汚される前に……死ねたのですね……」
「死ねた……? 何を言ってるんだエミリア?」
エミリアは、ベルンハルトを見て微笑んだ。
夢なら言ってもいいだろう。
「……あなたが好きです。このキャンプに参加したのも、あなたに会いたくて探しに……きました。学生の頃からずっと、好きでした……っ」
ベルンハルトの胸に顔を埋める。
最後の夢なら消えるまえに思い切り甘えたい。
「――」
「だから、あなたと身体を重ねてしまったこと、あなたの名誉を汚してしまったというのに、私は本当に嬉しかった。とても良い思い出に……なりました。一生忘れません……」
彼女はいま、朦朧(もうろう)としている。だが、自分を慕っている、というその言葉は本当だろう。
ベルンハルトは、そこで数時間前に自分がした発言が彼女を傷つけたのだと気づいた。
ベルンハルトが、あの時、責任をとるために結婚しよう、と言ってしまったことは、彼女にとってはショックな事だったのだと。
――そうだ、愛という言葉なくして、結婚しようなどと。オレは、なんて事を。
「エミリア、オレは何度君にすまないと謝ればいいのか……。責任をとる、などと言うべきではなかった。オレも、エミリア、君が好きだ。愛している……。君とずっといたい。だから、結婚して欲しい」
そして、壊れ物を扱うかのように、エミリアを優しく抱きしめなおした。
エミリアは、なんというステキな夢なのかと思った。
望んではいけないと思いつつも、望んでいた言葉を今、囁(ささや)かれている。
涙があふれる。
今日はいっぱい泣いたが、最後の涙は嬉し涙だった。
「はい……。うれしいです。ベルンハルト様……ずっとお傍においてほしいです」
夢ならば、プロポーズを受けてもいいだろう。
……眠くなってきた。
そろそろ夢が終わるのかもしれない。
ベルンハルトの唇が、エミリアの唇に重なるのを感じた。
「夢なら……さめないで……」
そうつぶやくと、エミリアは意識を失った。
★
その後、エミリアを連れてキャンプに戻ったベルンハルトは、エミリアを自分のテントに住まわせ療養させた。
エミリアがスライムに攫われた、と言えば、騎士たちはエミリアが、どういう目にあったか簡単に想像がついてしまう。
そんな事は話せない。
よって、高熱を出して、ベルンハルトのテントで倒れたという事にし、実は婚約者だからベルンハルトが面倒を見ると周囲には話した。
一部の騎士や看護師長・ヒーラーはベルンハルトが卑猥な状態異常で引きこもっていたのを知っていたので、ひっかかるところがあるようだったが、エミリアが婚約者だ、と言われるのは違和感がなかった。
実はそう思われるほど、彼らは周りに仲睦まじく見られていたのだ。
婚約者ならば、あの状態異常でもテントを訪ねても問題はないのだろう、と別の方面でちょっと何かを想像されたようだが。
エミリアは、ベルンハルトに助け出されてから一日以上眠り続けていた。
ベルンハルトのベッドで目を覚ましたら、婚約者になっていた件。……について、エミリアは。
「目が冷めたら外堀が埋まってる!?」
そう叫んだ。
「なんだ、外堀を埋めたなど、酷い言い方じゃないか。婚約者殿」
ベッドに腰掛けたベルンハルトに額をツン、とされる。
「え……というか。話を聞くに、まだ婚約者じゃないですよね!?」
「傍において欲しいと言ったじゃないか。好きとか愛してくれるって言ってくれたのは嘘だったのか?」
「う、嘘ではないですが、あの、夢だと思っていたので……。私なんかが、ベルンハルト様の婚約者だなんて、恐れ多いです!!」
「エミリア。オレはおまえに責任をとるから結婚してくれ……と言ってしまった事を非常に悔やんでいる。だからおまえも身分を理由にそんな事をいうのはやめてほしい」
「……あ」
そうだった、愛している、という気持ち以外での、そういうやり取りに傷ついたのはエミリアが先だった。
「……そうですね、よくありませんでした。……わかりました、私も勇気を出します。改めて言います。――あなたが好きです。ベルンハルト様」
「ああ、エミリア。オレもお前を愛している。これからは何度だって言う」
そう言ってベルンハルトはエミリアの頬に、そっとキスをした。
「……うれしいです。夢だと思ってそれでも幸せでしたが……やっぱり夢じゃなくて、よかった」
エミリアもベルンハルトの頬にキスを返した。
その後、キャンプの作戦が終了するまでエミリアはベルンハルトのテントに住んだ。
――婚約者、として。
★
「――あっ……」
ベルンハルトのテントの中。
リップ音とエミリアの心地よさそうな甘い声が響く。
「本当に……大丈夫か?」
「やだ、何回聞くのですか? ……大丈夫です」
そう言うと、エミリアはベルンハルトの唇に自分の唇を重ねた。
エミリアが、心身ともに回復した頃、恋人になって初めて、身体を求め合う夜が訪れた。
手をつなぎ指を絡ませると、ベルンハルトの強い力でギュッと握り返され、それだけで幸せいっぱいになる。
見上げると、優しい瞳。
「幸せです……」
「エミリア、オレもだ」
唇を何度も重ね、彼の身体に抱きついて、その大きな背中に手を回す。
その逞しい胸板にうっとりする。
「抱きつくの好きだな」
「大好きです。あなたに包まれている気がして、とても安心できて……」
「安心してもらっちゃ困るんだけどな」
ベルンハルトはそう言うと、舌を絡ませ、エミリアの乳房に優しく触れる。
「ん……ん……や、くすぐったいです」
身体中に吸い付く唇も、秘部に差し入れられる指も、あの狂った夜とは違い、とても優しく甘い。
「や……あつい、……あ……そこだめ……っ」
「駄目って言われると、もっと触れたくなるな……」
「意地悪しないでください……そ、そんな事言うなら、もう、私だって、触りますよ……」
エミリアはゴソゴソと移動して、ベルンハルトのモノを咥えた。
「あ、こら。お前どこでそんな事覚えた。……あ、おい」
「ん……」
ペロペロとなめ上げ、キスをし、小さな手で擦りあげ、大きく育て上げる。
「く……、おまえ……、このあとどうなるか、わかってるだろうな」
しかし、ちょっとしたイタズラのつもりだったのに、予想以上に育ってしまった。
「あ、あう……。ど、どうなるんでしょう……」
エミリアはしまった……、という顔をする。
「覚悟しろ」
「あっ……、ごめんなさい、ちょっと……やっ」
押し倒され、ゆっくり焦らすように挿入される。
「や、そんな……、あ……んっ! ああっ」
「お仕置きだ」
「ああん、そこは……ずっとは、だめぇ……っ」
膣壁を擦り上げられ、執拗に奥を突かれる。
ベッドもギシギシと音をあげる。
「や、吸っちゃいや、あ……んっ」
乳首を吸われて、快感が走り涙がでる。
「いやか……?」
「や、じゃないですけど……あ、やめないで……」
「どっちなんだ、こいつ」
ひたいとひたいをコツン、と合わせたあと、またベルンハルトは腰を動かし口づけする。
「ん……あ……好き、ベルンハルト様、大好き……」
「エミリア……愛している……」
エミリアはベルンハルトに溺愛され、また自分も精一杯の愛情を返し続け、キャンプ地では甘く優しい夜が続いた。
――数カ月後。キャンプの作戦が無事終了し、王都へ帰ったあと。
二人の愛に特に障害はなく、わりとすんなり結婚した。
結婚後はすぐ、エミリアに子供が宿っていることが発覚した。
それにより、ベルンハルトはさらに甘くなり、屋敷の中を歩くだけだというのに横抱きにして運ばれるほど甘々だった。
二人の甘々で幸せな結婚生活は――まだ、始まったばかり。
『おわり』
「エミリア、良かった……生きていた……!!」
エミリアは、これは夢だと思った。
自分はもう死ぬ直前に見る夢を見ているのだと。
夢でもいい……。
ベルンハルトにもう一度会えた。
エミリアは、震えた腕でベルンハルトに弱々しく抱きついた。
……あたたかい。
「ベルンハルト様……良かった、私、魔族に汚される前に……死ねたのですね……」
「死ねた……? 何を言ってるんだエミリア?」
エミリアは、ベルンハルトを見て微笑んだ。
夢なら言ってもいいだろう。
「……あなたが好きです。このキャンプに参加したのも、あなたに会いたくて探しに……きました。学生の頃からずっと、好きでした……っ」
ベルンハルトの胸に顔を埋める。
最後の夢なら消えるまえに思い切り甘えたい。
「――」
「だから、あなたと身体を重ねてしまったこと、あなたの名誉を汚してしまったというのに、私は本当に嬉しかった。とても良い思い出に……なりました。一生忘れません……」
彼女はいま、朦朧(もうろう)としている。だが、自分を慕っている、というその言葉は本当だろう。
ベルンハルトは、そこで数時間前に自分がした発言が彼女を傷つけたのだと気づいた。
ベルンハルトが、あの時、責任をとるために結婚しよう、と言ってしまったことは、彼女にとってはショックな事だったのだと。
――そうだ、愛という言葉なくして、結婚しようなどと。オレは、なんて事を。
「エミリア、オレは何度君にすまないと謝ればいいのか……。責任をとる、などと言うべきではなかった。オレも、エミリア、君が好きだ。愛している……。君とずっといたい。だから、結婚して欲しい」
そして、壊れ物を扱うかのように、エミリアを優しく抱きしめなおした。
エミリアは、なんというステキな夢なのかと思った。
望んではいけないと思いつつも、望んでいた言葉を今、囁(ささや)かれている。
涙があふれる。
今日はいっぱい泣いたが、最後の涙は嬉し涙だった。
「はい……。うれしいです。ベルンハルト様……ずっとお傍においてほしいです」
夢ならば、プロポーズを受けてもいいだろう。
……眠くなってきた。
そろそろ夢が終わるのかもしれない。
ベルンハルトの唇が、エミリアの唇に重なるのを感じた。
「夢なら……さめないで……」
そうつぶやくと、エミリアは意識を失った。
★
その後、エミリアを連れてキャンプに戻ったベルンハルトは、エミリアを自分のテントに住まわせ療養させた。
エミリアがスライムに攫われた、と言えば、騎士たちはエミリアが、どういう目にあったか簡単に想像がついてしまう。
そんな事は話せない。
よって、高熱を出して、ベルンハルトのテントで倒れたという事にし、実は婚約者だからベルンハルトが面倒を見ると周囲には話した。
一部の騎士や看護師長・ヒーラーはベルンハルトが卑猥な状態異常で引きこもっていたのを知っていたので、ひっかかるところがあるようだったが、エミリアが婚約者だ、と言われるのは違和感がなかった。
実はそう思われるほど、彼らは周りに仲睦まじく見られていたのだ。
婚約者ならば、あの状態異常でもテントを訪ねても問題はないのだろう、と別の方面でちょっと何かを想像されたようだが。
エミリアは、ベルンハルトに助け出されてから一日以上眠り続けていた。
ベルンハルトのベッドで目を覚ましたら、婚約者になっていた件。……について、エミリアは。
「目が冷めたら外堀が埋まってる!?」
そう叫んだ。
「なんだ、外堀を埋めたなど、酷い言い方じゃないか。婚約者殿」
ベッドに腰掛けたベルンハルトに額をツン、とされる。
「え……というか。話を聞くに、まだ婚約者じゃないですよね!?」
「傍において欲しいと言ったじゃないか。好きとか愛してくれるって言ってくれたのは嘘だったのか?」
「う、嘘ではないですが、あの、夢だと思っていたので……。私なんかが、ベルンハルト様の婚約者だなんて、恐れ多いです!!」
「エミリア。オレはおまえに責任をとるから結婚してくれ……と言ってしまった事を非常に悔やんでいる。だからおまえも身分を理由にそんな事をいうのはやめてほしい」
「……あ」
そうだった、愛している、という気持ち以外での、そういうやり取りに傷ついたのはエミリアが先だった。
「……そうですね、よくありませんでした。……わかりました、私も勇気を出します。改めて言います。――あなたが好きです。ベルンハルト様」
「ああ、エミリア。オレもお前を愛している。これからは何度だって言う」
そう言ってベルンハルトはエミリアの頬に、そっとキスをした。
「……うれしいです。夢だと思ってそれでも幸せでしたが……やっぱり夢じゃなくて、よかった」
エミリアもベルンハルトの頬にキスを返した。
その後、キャンプの作戦が終了するまでエミリアはベルンハルトのテントに住んだ。
――婚約者、として。
★
「――あっ……」
ベルンハルトのテントの中。
リップ音とエミリアの心地よさそうな甘い声が響く。
「本当に……大丈夫か?」
「やだ、何回聞くのですか? ……大丈夫です」
そう言うと、エミリアはベルンハルトの唇に自分の唇を重ねた。
エミリアが、心身ともに回復した頃、恋人になって初めて、身体を求め合う夜が訪れた。
手をつなぎ指を絡ませると、ベルンハルトの強い力でギュッと握り返され、それだけで幸せいっぱいになる。
見上げると、優しい瞳。
「幸せです……」
「エミリア、オレもだ」
唇を何度も重ね、彼の身体に抱きついて、その大きな背中に手を回す。
その逞しい胸板にうっとりする。
「抱きつくの好きだな」
「大好きです。あなたに包まれている気がして、とても安心できて……」
「安心してもらっちゃ困るんだけどな」
ベルンハルトはそう言うと、舌を絡ませ、エミリアの乳房に優しく触れる。
「ん……ん……や、くすぐったいです」
身体中に吸い付く唇も、秘部に差し入れられる指も、あの狂った夜とは違い、とても優しく甘い。
「や……あつい、……あ……そこだめ……っ」
「駄目って言われると、もっと触れたくなるな……」
「意地悪しないでください……そ、そんな事言うなら、もう、私だって、触りますよ……」
エミリアはゴソゴソと移動して、ベルンハルトのモノを咥えた。
「あ、こら。お前どこでそんな事覚えた。……あ、おい」
「ん……」
ペロペロとなめ上げ、キスをし、小さな手で擦りあげ、大きく育て上げる。
「く……、おまえ……、このあとどうなるか、わかってるだろうな」
しかし、ちょっとしたイタズラのつもりだったのに、予想以上に育ってしまった。
「あ、あう……。ど、どうなるんでしょう……」
エミリアはしまった……、という顔をする。
「覚悟しろ」
「あっ……、ごめんなさい、ちょっと……やっ」
押し倒され、ゆっくり焦らすように挿入される。
「や、そんな……、あ……んっ! ああっ」
「お仕置きだ」
「ああん、そこは……ずっとは、だめぇ……っ」
膣壁を擦り上げられ、執拗に奥を突かれる。
ベッドもギシギシと音をあげる。
「や、吸っちゃいや、あ……んっ」
乳首を吸われて、快感が走り涙がでる。
「いやか……?」
「や、じゃないですけど……あ、やめないで……」
「どっちなんだ、こいつ」
ひたいとひたいをコツン、と合わせたあと、またベルンハルトは腰を動かし口づけする。
「ん……あ……好き、ベルンハルト様、大好き……」
「エミリア……愛している……」
エミリアはベルンハルトに溺愛され、また自分も精一杯の愛情を返し続け、キャンプ地では甘く優しい夜が続いた。
――数カ月後。キャンプの作戦が無事終了し、王都へ帰ったあと。
二人の愛に特に障害はなく、わりとすんなり結婚した。
結婚後はすぐ、エミリアに子供が宿っていることが発覚した。
それにより、ベルンハルトはさらに甘くなり、屋敷の中を歩くだけだというのに横抱きにして運ばれるほど甘々だった。
二人の甘々で幸せな結婚生活は――まだ、始まったばかり。
『おわり』
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