出島で番士をしている俺が、遊女殺害の罪を着せられたら、おせっかいな美男通詞がぐいぐい来た。

「大丈夫。俺は、お前の身の潔白を、信じている。それに、eb je geen paard, gebruik dan een ezel.『馬がなければロバを使えばいい』。鉄杖、お前の嫌疑を晴らす方法は、いくらでもある」

***********************

【苦労人&不愛想だが屈強な男】×【超自信家&寂しがり屋だけど弁の立つ美男】
屈強出島番士・鉄杖と、美男オランダ通詞・藤馬のバディ。

***********************

 出島の番士として、長崎で暮らす鉄杖は、持ち前の面倒見の良さで、悪いこともしていないのに、面倒ごとを押し付けられてばかり。
 ある日、出島から遊女が失踪した。出島の門番を務める鉄杖は、監督不行き届きを理由に、蟄居を命じられてしまう。
 蟄居で家に籠っていた鉄杖の下に、あまり話したこともない、阿蘭陀通事の藤馬がやって来て、言う。
 「大丈夫。俺は、お前の身の潔白を、信じている。それに、eb je geen paard, gebruik dan een ezel.『馬がなければロバを使えばいい』。お前の嫌疑を晴らす方法は、いくらでもある」
 鉄杖は、藤馬を怪しいと思いながらも、共に犯人を捜し始める。そこに、長崎の船競争、ペーロンも絡んできて――。

【キャラクター】

●鉄杖(てつじょう)

「だが、悪い奴ではない。確かに、少し考えの足りぬところはあるが」

 出島で番士を勤める、二十三歳。背が高く、がっしりしている、無表情な男。幼少時の病気により、体や顔に痣がある。
 やめればいいのに、何でもしょい込んでしまう、苦労人気質。

●藤馬(とうま)

「今日はなんだか、いつもと雰囲気が違うと思ってな」
「当たり前だ。寝巻だからな」

「いや、お前は役に立ってくれたぞ。頑強な人物が傍にいると、遺体から発せられる邪気を跳ね返してくれるような気がするしな」
「俺は、お守りか何かか? そんな効力はないぞ」

 阿蘭陀通詞。二十二歳。垂れ目、釣り眉の美男。高飛車そうに見えるが、意外と気安い、と言われる。弁が立つ。
24h.ポイント 242pt
0
小説 5,829 位 / 192,422件 歴史・時代 28 位 / 2,383件

あなたにおすすめの小説

貞宗を佩く白猿

糺ノ杜 胡瓜堂
歴史・時代
 曲亭馬琴他 編「兎園小説」第十一集「白猿賊をなす事」より(全五話)  江戸時代後期に催された、世の中の珍談・奇談を収集する会「兎園会」  「南総里見八犬伝」等で有名な曲亭馬琴、著述家の山崎美成らが発起人となって開催された「兎園会」で披露された世の珍談・奇談等を編纂したのが「兎園小説」  あの有名な「けんどん争い」(「けんどん」の語源をめぐる論争)で、馬琴と山崎美成が大喧嘩をして、兎園会自体は自然消滅してしまいましたが、馬琴はその後も、個人的に収集した珍談・奇談を「兎園小説 余録」「兎園小説 拾遺」等々で記録し続けます・・・もう殆ど記録マニアと言っていいでしょう。  そんな「兎園小説」ですが、本集の第十一集に掲載されている「白猿賊をなす事」という短い話を元に短編の伝奇小説風にしてみました。  このお話は、文政八(1825)年、十月二十三日に、海棠庵(関 思亮・書家)宅で開催された兎園会の席上で、「文宝堂」の号で亀屋久右衛門(当時62歳)という飯田町で薬種を扱う商人が披露したものと記録されています。  この人は、天明期を代表する文人・太田南畝の号である「蜀山人」を継いで二代目・蜀山人となったということです。  【あらすじ】  佐竹候の領国、羽州(出羽国)に「山役所」という里があり、そこは大山十郎という人が治めていました。  ある日、大山家に先祖代々伝わる家宝を虫干ししていると、一匹の白猿が現れ家宝の名刀「貞宗」を盗んで逃げてゆきます・・・。 【登場人物】  ●大山十郎(23歳)  出羽の国、山役所の若い領主  ●猟師・源兵衛(五十代)  領主である大山家に代々出入りしている猟師。若い頃に白猿を目撃したことがある。  ●猴神直実(猴神氏)  かつてこの地を治めていた豪族。大山氏により滅ぼされた。

ロクスタ〜ネロの愛した毒使い〜

称好軒梅庵
歴史・時代
ローマ帝国初期の時代。 毒に魅入られたガリア人の少女ロクスタは、時の皇后アグリッピーナに見出され、その息子ネロと出会う。 暴君と呼ばれた皇帝ネロと、稀代の暗殺者である毒使いロクスタの奇妙な関係を描く歴史小説。

大晦日はあはぬ算用(おおつごもりは合わぬ算用) ~「西鶴諸国ばなし」より

糺ノ杜 胡瓜堂
歴史・時代
    江戸時代の作家「井原西鶴」が、貞享2(1685)年に出版した「西鶴諸国ばなし」  笑い話から、不思議な話、ちょっと感動のストーリーまで、様々なお話が掲載されている非常に面白い本です。  その中から、武士の「義」と咄嗟の機転についてのお話をひとつ!  巻の一に収録されている「大晦日(おおつごもり)はあはぬ算用 江戸の品川にありし事」というお話です。  万年貧乏浪人の原田内助・・・この年も越せそうになく義兄に金の無心をすると、義兄からは十両の小判が届けられます。  思いがけない幸運に、昔からの親友の浪人仲間を招いて酒宴を催す内助でしたが、その席で小判が一両紛失してしまいます・・・。  事の顛末は・・・ちょっといい話です。  全二話、約4千文字。

浪漫的女英雄三国志

はぎわら歓
歴史・時代
女性の身でありながら天下泰平を志す劉備玄徳は、関羽、張飛、趙雲、諸葛亮を得て、宿敵の女王、曹操孟徳と戦う。 184年黄巾の乱がおこり、義勇軍として劉備玄徳は立ち上がる。宦官の孫である曹操孟徳も挙兵し、名を上げる。 二人の英雄は火花を散らしながら、それぞれの国を建国していく。その二国の均衡を保つのが孫権の呉である。 222年に三国が鼎立し、曹操孟徳、劉備玄徳がなくなった後、呉の孫権仲謀の妹、孫仁尚香が三国の行く末を見守る。 玄徳と曹操は女性です。 他は三国志演義と性別は一緒の予定です。

腑抜けは要らない ~異国の美女と恋に落ち、腑抜けた皇子との縁を断ち切ることに成功した媛は、別の皇子と幸せを掴む~

夏笆(なつは)
歴史・時代
 |今皇《いますめらぎ》の皇子である若竹と婚姻の約束をしていた|白朝《しろあさ》は、難破船に乗っていた異国の美女、|美鈴《みれい》に心奪われた挙句、白朝の父が白朝の為に建てた|花館《はなやかた》を勝手に美鈴に授けた若竹に見切りを付けるべく、父への直談判に臨む。  思いがけず、父だけでなく国の主要人物が揃う場で訴えることになり、青くなるも、白朝は無事、若竹との破談を勝ち取った。  しかしそこで言い渡されたのは、もうひとりの皇子である|石工《いしく》との婚姻。  石工に余り好かれていない自覚のある白朝は、その嫌がる顔を想像して慄くも、意外や意外、石工は白朝との縁談をすんなりと受け入れる。  その後も順調に石工との仲を育む白朝だが、若竹や美鈴に絡まれ、窃盗されと迷惑を被りながらも幸せになって行く。

吉原お嬢

あさのりんご
歴史・時代
 鈴子は、15歳で借金を返す為に遊郭に身売りされています。けれど、ひょんな事から、伯爵令嬢に転身。社交界デビューするが…… 

鬼面の忍者 R15版

九情承太郎
歴史・時代
陽花「ヤングでムッツリな服部半蔵が主人公の戦国コメディ。始まるざますよ!」 更紗「読むでがんす!」 夏美「ふんがー!」 月乃「まともに始めなさいよ!」 服部半蔵&四人の忍者嫁部隊が、徳川軍団の快進撃に貢献するチープでファンキーな歴史ライトノベルだぜ、ベイベー! ※本作品は、2016年3月10日に公開された「鬼面の忍者」を再編集し、お色気シーンを強化したイヤんバカン版です。 ※カクヨムでの重複投稿をしています。 表紙は、画像生成AIで出力したイラストです。

浅井長政は織田信長に忠誠を誓う

ピコサイクス
歴史・時代
1570年5月24日、織田信長は朝倉義景を攻めるため越後に侵攻した。その時浅井長政は婚姻関係の織田家か古くから関係ある朝倉家どちらの味方をするか迷っていた。

処理中です...