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婚約者

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 トントン。扉を叩く音を聞き読書をする手を止めた。
「はい。」
「キルトリア様。公爵様が呼ばれています。」
「.........お父様が?」
 本当はクライマックスになる本を読みたかったが諦めて父の執務室にむかう。
 トントン。
「お父様。キルトリアです。」
「入れ。」
 父と向かい側にあるソファーに腰を下ろし父が話し出すのを待つ。
「お前に...第2王子からの婚約打診が来ている」
「!?」
 お父様は深刻そうな顔をして話を続ける。
「お前が嫌と言うならばこの婚約は何としても断ってみせる。」
 お父様がここまで言うのにはわけがある。それは第2王子が少々…ふくよかな見た目をしているため“豚王子”と社交界で囁かれているためである。
「お前はこの国1番の美人と称されるΩだ。
 嫌なら断ってもいいぞ。」
 そう、そしてこの僕は恥ずかしながらこの国1番の美人と言われてるΩなのだ。
 Ωというのはこの世界の第2の性だ。第1の性である男女の他に‪、割合が少なく優秀な‪α、一般的で大多数を占めるβ、そして最も少なく3ヶ月に1度発情期があるΩ。‪αとΩは番というものがあり、Ωの発情期は‪αを誘惑するもの。そしてなんと言ってもΩは男女共に妊娠可能なのだ!!!!
「いいえ!その婚約絶対受けてください!!!!第2王子殿下は‪αで僕はΩ…なんの問題もないはずです!!」
 僕はいきよいよく言った。父上には言ってないが僕は昔から王子に思いを寄せている。このチャンスは逃せない。フフフフ。
 こうして僕と第2王子の間に婚約がなされた。嬉しすぎる。フフフフ。  
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