92 / 116
あきらの彼女30
しおりを挟む
会いたくないと思っても、時間が過ぎないでって願っても、どうしても来てしまったあきらとの約束の日。
重い足取りであきらの最寄り駅に向かう。
最寄り駅に着くといつもより控えめに手を振る大好きな人。
会いたくて会いたくて仕方なかったけど会いたくなかった人。
豪快に手を振ってくれるあきらが大好きだったのに、今日は少しだけ笑って少しだけ手を上げて私を迎えてくれた。
「みゆ、久しぶり!」
「うん。久しぶり。」
初デートのカップルよりぎこちない挨拶。
あきらの家に向かうんだけど、なぜか手を繋がれた。
私が振りほどくこともなくそのまま家まで手を繋いで歩く。
「入って?」
「お邪魔します。」
超久しぶりって訳ではないけど、すごく久しぶりに来た気分だった。
ソファーに座るとお茶とケーキが出てきた。
「みゆが好きそうだったから買っておいたんだ!」
あれ?今から別れ話されるんじゃないの?
ケーキを出してくれたからって期待する気持ちは出てこなかったけど、あきらの考えてることが全然分からない。
ケーキを食べて落ち着いた所であきらが話し始める。
「俺さ、みゆのこと好き。好きなんだけど、最近自分の気持ちが分からなくなっちゃった。みゆは俺のこと好き?」
「好きだよ。」
「そっか。ありがとう。」
なぜか少し嬉しそうな顔をしたあきら。
本当に考えてることが分からない。
「みゆのこと好きなんだけど、、だけど、、最近気になる人ができた。」
「後輩の子でしょ?」
「よく分かったね。」
当たり前でしょ!と心の中で突っ込んだ。笑
「みゆがゼミで忙しそうにしてる頃からちょくちょく連絡取るようになってさ。」
「うん。」
「最初は恋愛感情とかなくて、本当に後輩って感じで、周りの奴らが仲良かったから俺もついでって感じだったんだけどさ。」
「うん。」
「いつの間にか色んな相談受けるようになって。」
「相談?」
「バイトのこととか勉強のこととか、他にも色々。」
全部あきらにわざわざ個別で相談するような内容じゃなかった。ただの口実。
最初からあきらを狙ってたんだなって思った。
最初の飲み会で終電逃したのもやっぱり確信犯だったんだね。
「みゆのゼミ邪魔しちゃ悪いかな?って思ってあんまり連絡もできなかったし。でもやっぱりどっかに寂しい気持ちはあって。」
「寂しい思いさせたのは本当にごめん。なんでその時に言ってくれなかったの?」
「言えないよ。そしたら無理してでも俺との時間作るでしょ?」
「確かにそうかも。でもそれで他の女の子の所にいくなら私にちゃんと言って欲しかった。」
「ごめん。でもみゆのこと応援したかった気持ちもあって。でも寂しくて。そんなときに連絡くれてたから、俺すごい救われてたんだ。」
すごくショックだった。
ゼミの研究が忙しい間、会う頻度も連絡も少なくなっていたことは本当に申し訳ない気持ちでいっぱいで、そこに関しては何も反論できない。
でも、頑張ってたときにあきらは他の女の子と楽しく連絡取ってたんだって思うと悲しい。
ゼミの合間にあきらと連絡取ったり会ったりできたことが、私にとってすごくリフレッシュできて癒された時間だったのに、あきらはもっと複雑な気持ちを抱えてたんだ。
「でも本当に浮気はしてない。これだけは信じて?」
「・・・・。」
合宿のことがあって、その後すごく優しくなったのにすぐに冷たくされて。放置されて。信じたいけど100%信じることが出来なかった。
「みゆのこと好きだけどその子のことも頭にあって。」
「私どうすればいいの?」
「・・分からない。みゆはどうしたい?」
「私はあきらと一緒にいたいよ。でも他の子のことも気になりながら一緒にいるのは辛い。」
「そうだよね。ごめん。」
「俺、みゆが初めてちゃんと付き合った人だったからさ。本当に全部が特別だったんだ。一目惚れして、デートして、告白して、付き合って、色んな思い出があるから。」
「そうだね。」
「みゆはいつ見ても可愛いし、性格も良いし、優しくて一緒にいると楽しくて。みゆのあったかい性格にいつも癒されてた。」
「ありがとう。」
「でもあの時本当に寂しかったって気持ちだけがどうしても俺の中にあるんだよね。」
「あの時寂しい思いさせたのは本当にごめんね。私もっとちゃんと自分の気持ち伝えるべきだったね。」
「俺もちゃんと言うべきだった。」
長い沈黙が続いたあとにあきらの一言。
「・・みゆ、俺たち別れよう。」
今日ここに来る前から覚悟してた言葉。
もう受け入れるしか選択肢がないよ。
あきらは本当に正直に全部話してくれたんだと思う。
今も私を好きって気持ちも本当なんだろうな。
あきらの目を見れば分かる気がした。
後輩の子のことは、まだ好きってより気になるっていうのも本当だと思う。
好きなのは私で気になるのは後輩。
関係を続けたらまた私だけを見てくれるのかもしれないけど、、
こんな寂しい気持ちで付き合い続けることは私にはできない。
それに、この話してる時点で気になる方に気持ちが向いてるんだよね?
あきらの正直な性格を考えると浮気は本当にしてないのかもしれない。
でも世間一般的に考えたらこの展開は完全にアウトでしょ。
良いように丸め込まれてるって感じ。
99.999%信じてるけど、今100%信じれないってことはこれから先も100%は信じれないと思う。
しばらくの沈黙を経て、頭の中で色々考えての私の返事。
「分かった。別れよう。」
一瞬あきらが驚く表情をした。
こんなにすぐ決断すると思わなかったのかな?
なんせあきらもまだ気持ちがハッキリしてないんだもんね。笑
私はここに来るまでに何度も自分の気持ちと向きあってきた。
本当は別れたくないに決まってるけど絶対に言わない。
このまま付き合ってても惨めになるだけ。
今すぐ泣きたいけどあきらの前では絶対泣かないって決めてた。
なのにあきらの方が泣きそうになっててびっくりした。
「みゆ、本当に今までありがとう。別れるって決めたのに変だけど、みゆのこと大好き。」
「あきらありがとう。私も大好きだよ。」
駅まで送ると言ってくれたけど断って、初めて1人で駅まで向かった。
2人で歩くとあっという間なのに1人だとすごく遠い。
駅に向かう途中に泣きながらナツキに電話した。
「みゆどうしたの!!?」
「あきらと別れてきた。」
「みゆ、あんた今どこにいるの?」
「あきらの駅に向かってるところ。」
「ちょっと電車乗らないで駅にいて!」
「なんでよー。嫌だよー。涙」
「今から迎えに行くからそこにいて!」
「ナツキーーーありがとううう。涙」
私は本当に友達に恵まれている。
あきらとナツキの家は車で20分位の距離。
駅で待ってると見慣れたナツキの車。
「みゆすごい酷い顔!それじゃ誰からもナンパされないね笑」
実はあきらの最寄り駅はナンパスポットになっていた。
あきらの迎えが間に合わなくて駅で待ってるときはナンパがすごくて嫌な思い出がある。
でも今日は誰からも声を掛けられなかった。笑
「早く乗って!」
運転席から手を伸ばして助手席を開けてくれる。
「ナツキありがとう。」
本当に本当にナツキがいてくれて良かった。
重い足取りであきらの最寄り駅に向かう。
最寄り駅に着くといつもより控えめに手を振る大好きな人。
会いたくて会いたくて仕方なかったけど会いたくなかった人。
豪快に手を振ってくれるあきらが大好きだったのに、今日は少しだけ笑って少しだけ手を上げて私を迎えてくれた。
「みゆ、久しぶり!」
「うん。久しぶり。」
初デートのカップルよりぎこちない挨拶。
あきらの家に向かうんだけど、なぜか手を繋がれた。
私が振りほどくこともなくそのまま家まで手を繋いで歩く。
「入って?」
「お邪魔します。」
超久しぶりって訳ではないけど、すごく久しぶりに来た気分だった。
ソファーに座るとお茶とケーキが出てきた。
「みゆが好きそうだったから買っておいたんだ!」
あれ?今から別れ話されるんじゃないの?
ケーキを出してくれたからって期待する気持ちは出てこなかったけど、あきらの考えてることが全然分からない。
ケーキを食べて落ち着いた所であきらが話し始める。
「俺さ、みゆのこと好き。好きなんだけど、最近自分の気持ちが分からなくなっちゃった。みゆは俺のこと好き?」
「好きだよ。」
「そっか。ありがとう。」
なぜか少し嬉しそうな顔をしたあきら。
本当に考えてることが分からない。
「みゆのこと好きなんだけど、、だけど、、最近気になる人ができた。」
「後輩の子でしょ?」
「よく分かったね。」
当たり前でしょ!と心の中で突っ込んだ。笑
「みゆがゼミで忙しそうにしてる頃からちょくちょく連絡取るようになってさ。」
「うん。」
「最初は恋愛感情とかなくて、本当に後輩って感じで、周りの奴らが仲良かったから俺もついでって感じだったんだけどさ。」
「うん。」
「いつの間にか色んな相談受けるようになって。」
「相談?」
「バイトのこととか勉強のこととか、他にも色々。」
全部あきらにわざわざ個別で相談するような内容じゃなかった。ただの口実。
最初からあきらを狙ってたんだなって思った。
最初の飲み会で終電逃したのもやっぱり確信犯だったんだね。
「みゆのゼミ邪魔しちゃ悪いかな?って思ってあんまり連絡もできなかったし。でもやっぱりどっかに寂しい気持ちはあって。」
「寂しい思いさせたのは本当にごめん。なんでその時に言ってくれなかったの?」
「言えないよ。そしたら無理してでも俺との時間作るでしょ?」
「確かにそうかも。でもそれで他の女の子の所にいくなら私にちゃんと言って欲しかった。」
「ごめん。でもみゆのこと応援したかった気持ちもあって。でも寂しくて。そんなときに連絡くれてたから、俺すごい救われてたんだ。」
すごくショックだった。
ゼミの研究が忙しい間、会う頻度も連絡も少なくなっていたことは本当に申し訳ない気持ちでいっぱいで、そこに関しては何も反論できない。
でも、頑張ってたときにあきらは他の女の子と楽しく連絡取ってたんだって思うと悲しい。
ゼミの合間にあきらと連絡取ったり会ったりできたことが、私にとってすごくリフレッシュできて癒された時間だったのに、あきらはもっと複雑な気持ちを抱えてたんだ。
「でも本当に浮気はしてない。これだけは信じて?」
「・・・・。」
合宿のことがあって、その後すごく優しくなったのにすぐに冷たくされて。放置されて。信じたいけど100%信じることが出来なかった。
「みゆのこと好きだけどその子のことも頭にあって。」
「私どうすればいいの?」
「・・分からない。みゆはどうしたい?」
「私はあきらと一緒にいたいよ。でも他の子のことも気になりながら一緒にいるのは辛い。」
「そうだよね。ごめん。」
「俺、みゆが初めてちゃんと付き合った人だったからさ。本当に全部が特別だったんだ。一目惚れして、デートして、告白して、付き合って、色んな思い出があるから。」
「そうだね。」
「みゆはいつ見ても可愛いし、性格も良いし、優しくて一緒にいると楽しくて。みゆのあったかい性格にいつも癒されてた。」
「ありがとう。」
「でもあの時本当に寂しかったって気持ちだけがどうしても俺の中にあるんだよね。」
「あの時寂しい思いさせたのは本当にごめんね。私もっとちゃんと自分の気持ち伝えるべきだったね。」
「俺もちゃんと言うべきだった。」
長い沈黙が続いたあとにあきらの一言。
「・・みゆ、俺たち別れよう。」
今日ここに来る前から覚悟してた言葉。
もう受け入れるしか選択肢がないよ。
あきらは本当に正直に全部話してくれたんだと思う。
今も私を好きって気持ちも本当なんだろうな。
あきらの目を見れば分かる気がした。
後輩の子のことは、まだ好きってより気になるっていうのも本当だと思う。
好きなのは私で気になるのは後輩。
関係を続けたらまた私だけを見てくれるのかもしれないけど、、
こんな寂しい気持ちで付き合い続けることは私にはできない。
それに、この話してる時点で気になる方に気持ちが向いてるんだよね?
あきらの正直な性格を考えると浮気は本当にしてないのかもしれない。
でも世間一般的に考えたらこの展開は完全にアウトでしょ。
良いように丸め込まれてるって感じ。
99.999%信じてるけど、今100%信じれないってことはこれから先も100%は信じれないと思う。
しばらくの沈黙を経て、頭の中で色々考えての私の返事。
「分かった。別れよう。」
一瞬あきらが驚く表情をした。
こんなにすぐ決断すると思わなかったのかな?
なんせあきらもまだ気持ちがハッキリしてないんだもんね。笑
私はここに来るまでに何度も自分の気持ちと向きあってきた。
本当は別れたくないに決まってるけど絶対に言わない。
このまま付き合ってても惨めになるだけ。
今すぐ泣きたいけどあきらの前では絶対泣かないって決めてた。
なのにあきらの方が泣きそうになっててびっくりした。
「みゆ、本当に今までありがとう。別れるって決めたのに変だけど、みゆのこと大好き。」
「あきらありがとう。私も大好きだよ。」
駅まで送ると言ってくれたけど断って、初めて1人で駅まで向かった。
2人で歩くとあっという間なのに1人だとすごく遠い。
駅に向かう途中に泣きながらナツキに電話した。
「みゆどうしたの!!?」
「あきらと別れてきた。」
「みゆ、あんた今どこにいるの?」
「あきらの駅に向かってるところ。」
「ちょっと電車乗らないで駅にいて!」
「なんでよー。嫌だよー。涙」
「今から迎えに行くからそこにいて!」
「ナツキーーーありがとううう。涙」
私は本当に友達に恵まれている。
あきらとナツキの家は車で20分位の距離。
駅で待ってると見慣れたナツキの車。
「みゆすごい酷い顔!それじゃ誰からもナンパされないね笑」
実はあきらの最寄り駅はナンパスポットになっていた。
あきらの迎えが間に合わなくて駅で待ってるときはナンパがすごくて嫌な思い出がある。
でも今日は誰からも声を掛けられなかった。笑
「早く乗って!」
運転席から手を伸ばして助手席を開けてくれる。
「ナツキありがとう。」
本当に本当にナツキがいてくれて良かった。
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
社長の奴隷
星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!
お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?
さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。
私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。
見た目は、まあ正直、好みなんだけど……
「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」
そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。
「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」
はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。
こんなんじゃ絶対にフラれる!
仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの!
実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる