魔法犯罪の真実

水山 蓮司

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第1章 始まりの壁

エピローグ

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 歩果の自己紹介の後、鉄茂はやるべきことがあると言って会議室を後にして残されたメンバーはレクリエーションをした。
 メンバーたちと馴染めるように学生時代で面白かったことや趣味の話で盛り上がった。
 意外だったのが怜司と遠戚関係だったことである。
「怜司クンとは何処で知り合ったの?」
 舞香の質問に少し恥ずかしがるように頬を染めて答える。
「私たちがまだ20歳になる前に互いのいとこ同士での結婚式の時に知り合いました。そこから話が合って親しくさせていただいていますよ」
「そうだったんだ」
 真奈が少し羨ましそうに言ってみせる。
「普段レイちゃんは総監の任務であまり顔を見せないし」
「そういえばそうかも」
 志穂と美穂がそれぞれ思ったことを口にすると歩果が包み込むように答える。
「任務という理由もそうですが、実はあれで恥ずかしがり屋さんと気分屋と両局面の性格だから理解いただけると助かります」
「言われてみれば確かに」
「うん。それは言えているね」
 時光と修助が納得して頷く。
「総監の任務に行かれていることは存じていますが、歩果さんはその内容をご存じですか?」
 恵がそれとなく尋ねてみると歩乃果は首を横に振って答える。
「いいえ、詳細については何も。ただ皆さんの想像されている以上に危険な任務だということは本人からチラッと聞いたことがあるだけですね。お役に立てなくてすいません」
「こちらこそ答えづらい質問して失礼しました」
 歩果が申し訳なさそうに言うと、恵は慌てて頭を下げる。
「まあまあ、その怜司ちゃんも今後は私たちと合流して捜査することになっているから気になることがあれば本人に聞いてみるといいかもね」
「私もお伺いしたいことがあるのですがよろしいですか?」
「うん、もちろん」
 歩果が尋ねると時光が返答する。
「皆さんが普段集まっている本部の全システムが停止していますが、復旧するまでどれくらいかかるかご存じですか?」
 その質問に真奈が苦い顔をして答える。
「そのことに関して総監から話を受けていないから何とも言えないわね。ただ私個人の見立てだと早くても2カ月半から3カ月かかると見ているけど、何か気になることでもあるの?」
 真奈の問いに歩果は頷いて答える。
「そのことでたった今、怜さんからメッセージが届いたのでそれをお伝えしようと思っているのですがよろしいですか?」
「ええお願い」
 真奈の二つ返事に歩果がメンバー全員のスマホに怜司からのメッセージを転送した。
 その内容というのが次の通りである。

――皆、今回の権藤さんの捕獲に関して本当にお疲れ様でした。
 それと同時に若弥が私たちの敵に回って、今後刺客を仕掛けて本部を潰しにかかることを把握している前提で簡単に話をするよ。
 まず私個人の基本的なスタンスに変わりはないが、少しずつ皆を支援する形をとって若弥が企てている計画を崩しにいこうかと考えている。
 刺客によって仕掛けて来る隙を突いて若弥が皆の命を脅かそうとするものなら私が状況に応じて対峙するから皆は確実に刺客に専念してもらえると助かるよ。
 それから若弥によって本部の全システムが停止されたことに関しては私の方から可能な限り最短かつ従来よりも強力なプロテクトを施すように魔導修繕士まどうしゅうぜんしに依頼をかけたのでそのご報告を。
 そして最後に近日に時間が空いているようであれば会議に参加する予定でいるのでお願いします――

 メッセージを読み終えた時光が今か今かと楽しみを待ちわびるように口にする。
「とうとうこの時がきたか」
 その様子を見た恵がつられて嬉しそうに言う。
「先輩、楽しみですね」
 その言葉に続けて舞香と修助からも、
「怜司クンが参戦してくれれば若弥クンの襲撃も凌げるね」
「その1人の力がとてつもなく大きいね」
 更に続けて真奈と綾菜からも、
「相変わらず抜け目なくやってくれて頭痛薬要らずだわ」
「本当だね。これで怜司ちゃんまで敵に回っていたら太刀打ち出来ないからね」
 そんな明るい雰囲気が漂う中、志穂と美穂が思ったことを口にする。
「ねえホノカちゃん、レイちゃんってどれくらい強いの?」
「それ私も思った。実際のところどうなの?」
 その問いに歩果はニコッと微笑み返答する。
「百聞は一見にしかずですね。私が今ここで説明するよりその時がくればきっとわかりますよ。楽しみにお待ちください」
 こうして若弥の脱退により歩果が加わったことで新態勢が整えられた。

 森園時光
 倉ノ葉志穂
 倉ノ葉美穂
 氷山怜司
 下鶴舞香
 池波修助
 夕里真奈
 中野院恵
 松法綾菜
 三重月歩果

 仕掛けられる刺客や日々起きる犯罪に立ち向かうのである。
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