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「殿下が私を……」

「召喚魔術は超位魔術だ。
この国では私以外使いこなせる者はいないだろう? 君を除いてね」

「ですが殿下は……お体が」

「さあ考えてごらん」

「ッあ! なら、止まってくださ……ン!」

「私はなんだよ?
君ばかり何度も気持ちよくなってズルいではないか」

「アッ、は……やぁ」

さっきの感覚が残っているのに、また奥まで突かれいいところを刺激される。
涙が流れ、頬を伝い落ちて床を濡らした。

「この間たっぷり注いだのに孕まなかったから、今度は奥の奥まで出してあげよう」

「ふ、あっだめ、そんな……とこぉ」

「ッ。ほらモリガン。受け止めて」

「やっ、だめ……あかちゃ、ん……できちゃう……できちゃうぅ」


お腹の中に熱いものが注がれる感覚。
ナカから自分とは違う粘り気のある液体が出口を求めて溢れていく。

「ッ、まだ足りないだろう?
もっと注ぐから、子を成してくれ」

「ンッ……」

国の王子様がこんな部屋で私を犯す。
天使と詠われる美しい男が額に汗をかきながら、私なんかを求める。

なんて優越感。

だめ。そんなこと考えちゃ。


「もう一つヒントをあげよう。
私が君を召喚した理由はね、なんだ」

「もう、胸だめ……ッ」

「彼は言った。
“私を愉しませてみせよ。さすれば汝は救われる”とね」

プファル団長が召喚したことに見せかけ、死を覚悟で異世界人を召喚した。
召喚術式も彼から教わったものを用いた。
父上は勇ましく強き男の召喚を求めただろう。
だが、私が召喚したのは彼の指示通り女性だ。
殿下は胸を弄りながら話を続けた。
もちろん、殿下とは繋がったままで。


「君が選ばれたのは彼が欲したからだろう。
それ以外の理由は分からん」

「彼……って」

「今はこの世に存在せぬ。
君の運命の相手であり、宿命の相手」

「まさか……魔王」

「正解だ」

魔王が私を呼び寄せた?
しかも殿下を使って?

バラバラになったピースが繋がっていく。
私が帰れない理由、それはもしかして……。

「理解したようだね」

「う、そですよね……マクシミリアン様……あなた……」

「ふふ、の申し出は実に面白く奇妙なものだったよ」

「ひあっ! あ、やだ! 抜いて!」

「何を言う。
先程まで潮を吹くほど喜び飲み込んでいたではないか。
私のに気付いた途端拒否するなど、冷たい妻だね?」

「んっ! あ! いやっ、やめて……ぁ」

「ほら、身体はこんなにも私を欲している。
……逃げるなんて許さない」

「ふあぁ……奥、ふか……い」

混乱する頭を無理やり落ち着かせるように呼吸しようにも、殿下が私を快楽で追い詰めてくる。
拒む力はもう残っていない。
突っぱねても強い力でねじ伏せられ、腰を持たれて打ち付けられる。

部屋の外にはプファル団長がいるというのに……。

「プファル……だ、んちょう……はなぜ」

「彼は私の魔力に惚れてね。私の配下に就くと誓った」

「んあ!」

「勘違いしてはいけないよ。
私は魔王ではない。
魔王のだ。
なぁ? ハインリヒ」

「え」

殿下の投げ掛けと同時に扉が開き、入室してきたのはハインリヒ・ヴァレンロードだった。
ヴァレンロードの名において、真実を知っていたのならどうして……。

「なんて美しいお姿でしょうか。
実にいやらしい」

「ハイン……あなた、気付いて……っ」

「私だけじゃない。上層部の者は皆知っています。
勿論、陛下と第一王子も。
第二王子はご存じないでしょうが」

やはりここでも省かれるのかフリードリヒ殿下。
さすがの私も同情する。

「私が殿下の真実を教えていただいたのは、モリガン様の愛人志願に伺った時です」

「教えてなどいない。
自分で気づいただろう? 気付かれたのは君が初めてだったから驚いた」

「光栄です。
あれから私の人生は変わった。
いえ、変えていただいたのです。
誰よりも輝き意味のある生に。
それはモリガン様、貴女がいてこそ……」

「ンッ……やだ!何してるの……」

殿下の上に座らされ、背面座位をした私の足先を舐めては愛おしそうにキスをする。
跪いて足を舐める様は服従の証だ。

「そう、ハインリヒの言う通り。
この国、この世界は君が私の隣に寄り添い続けることで成り立っている」

「どういうことですか……」

はね、私と共存することで君との共生を望んだ。
一度死んだこの体を彼が魔力供給することで復活し、病を消し去った。
彼はね……モリガンを愛しているのだよ」

愛しているからこそ共に生きたい。
同じ生物になり、同じ時を過ごし、共に朽ちたい。
そう望んだ魔王は、私と取引をした。
何故私なのかと問えば、便だからだそうだ。
だが私もこれは好機だと考えた。
そう言いながら、殿下は私にキスをした。
絡めとられる舌が殿下に吸われ、気持ちよくなってしまう。
戸惑う心とは反対に身体はいつもの快楽に酔いしれているようだ。

「父上は笑っていたよ。
“まさか魔王が息子になるとは”とね。
だが、私が私である以上、魔物と平和条約が結ばれたに等しい。
私はマクシミリアン・ハプスブルだ。
中に魔王を飼い、共に君を愛する男。
魔王の自我は私の中で生きているから、魔王が消えたわけではない。
消えてしまえば私は死ぬからね」

魔力供給が止まれば、殿下は死んでしまう。
いや、元に戻ってしまうということか。
溢れる魔力も強すぎる魔術も全ては魔王の力。

私が倒すべき相手……。


「モリガン様、そう深く考えてはいけません」

「え……ひっあンッ!」

「貴女はただひたすら殿下に愛されていれば良い。
そうすればこの世界は生き続けられるのですから」

「ぁ、ハイン……止め、てぇ」

「ふふ、二人に弄られ悦ぶなんてだね? カオリ」

「あぁっ!」

なんでそんな言葉を知っているの?
魔王が殿下に教えているの?
初めて殿下に日本名を呼ばれて、感じて喘いでしまった。

ハインが足から舐め上がってきて、蕾の突起を舐め始めた瞬間、電気が走ったように痺れた。
蕾は喜び収縮し殿下に気持ち良いと伝える。
それに機嫌を良くした殿下が胸の突起を弄り始めた。

「貴女が魔王討伐をしたのは間違いありません。
ですが、魔王は討伐されるために力を弱めたそうです。
そして殿下の中へ。
先日貴女が討伐したのは新魔王ではありません。
の魔王であり抜け殻です」

「ひあっ、もう舐めな……で」

つまり、私が帰るための条件を満たすには殿下を殺さなければいけなかったということか。
プファル団長の曖昧な発言の理由がこれで繋がった。
ヴァレンロード家の人間は上層部に所属する者のみ知っているのだろう。
だからあのとき、当主はあんなことを言っていたのか。

徐々に点と点がつながっていく。

「モリガン様を……カオリを愛する許可を貰い、忠義を誓う。
それは他ならぬ殿下のが許してくださったのです。
許されたのは私一人。
これがどれだけ誇らしいことか」

「も、やっ……ふたりとも、やめ……」

「ナカが締まってるよ。嘘はいけないね?」

「んあっ!」

では一年という猶予を与えたのは何故か。
それはではなく、殿下のお気持ちだった。
生贄にも近い状況の中、全ての真実に気付き殿下を殺すのであればそれは仕方ないことだと心に決めていたらしい。
だが、国のためにもそう簡単にヤられるわけにはいかない。
なにより、魔王の恋焦がれる気持ちがダイレクトに伝わり、殿下自身までも私に恋してしまったそうだ。

ハインが許されたのは、彼が唯一殿下の違和感に気付いたからだという。
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