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セバスの情報を参考に、お二人に招待状を出した。
イザベル様は受けてくださると思うけど、シャルロッテ様はどうだろう。
なんて不安だったけど、お二人とも快くお受けくださったみたい。
社交シーズンは日本でいう晩春まで続くらしく、今はようやくテラスの花が綺麗に咲き始めたころ。
殿下と交わった日、あの日はまだ花たちは蕾だった。
開花も数日かと思っていたころだ。
暖かな日差しを浴びながら綺麗な花たちに囲まれてのアフタヌーンティー、オシャレである。
OLの私には無縁なものだった。
だからつい、張り切ってしまった。
可愛い女の子とのお茶会、いわば女子会。
異世界知識をフル活用し、新デザートを作りました。
とうとう……念願の生クリーム作成に成功したんです!
皆の協力を得て、根気よく分離した脂肪分を救い上げ、なんとか生クリームの作成に成功。
今はこれを効率よく生産する方法を研究中。
というわけで、アフタヌーンセットを用意。
下段はタマゴサンドとハムとレタスのサンドイッチ。
中段は一口ミートパイと一口ピザタルト。
上段はミニショートケーキ、ミニチーズタルトとフルーツゼリー。
他にも一口スコーンに生クリームとジャム。
おいしい紅茶を用意して、お呼びした可愛い御令嬢も到着。
さあ、お茶会の始まりです。
「な、なんですの……この見た目も美しい食べ物は」
「シャルロッテ様、こちらの原料は牛乳ですからご安心ください。
入っているのはお砂糖だけですわ」
「牛乳が塊に?」
「ええ、イザベル様。
研究を重ね、ようやく完成いたしましたの。
まだ生産段階ではございませんので、今回はぜひお二人にご賞味頂きたく用意しました」
デザートに目が行くのは女子ですな。
シャルロッテ様なんて、マナーを無視してそのままスウィーツにいってしまうんじゃないかというほどの食いつきっぷりだ。
「美味しい……パンがふわふわ。
中の黄色い物は何かしら」
「卵ですわ」
「卵……こんな味わい深くなるのですね」
イザベル様がタマゴサンドに感動しているご様子。
パンも天然酵母作りましたよ。
殿下に好きにされた日の夜、寝付けなかったからリージーのとこに行き、余ったリンゴを見て閃いた。
確家庭科の授業で習った天然酵母の作り方を思い出しながら作ったのがコレ。
リンゴの香りが爽やかなふわふわパンの出来上がり。
「シャルロッテ様、お口に合いまして?」
「はい! ……とても、美味しいです」
あらあらお顔が真っ赤。
シャルロッテ様はイザベル様より2つ年下の16歳。
まだ高校生の可愛い女の子だもの。
美味しいご飯を前に興奮が収まらないのも無理ないわ。
「ふふ、お二人のために沢山練習した甲斐がありました」
「え?」
「こちらのお料理はモリガン様が?」
「勿論料理人と作りましたが、新作を生み出すときは私一人で試行錯誤し作ります。
出来上がったレシピをプロにお任せしているのですよ」
その後、お二人は様々な質問をしながら食事を進めていき、ショートケーキを口にした途端、顔を赤らめ目をキラキラさせて綻んだ。
うんうん、ケーキ美味しいよね。
定期的に貰えないかと言われたが、まだ僅かしか摂れないとお断りしたら、それはもうガックリと肩を落とした。
お二人の侍女が辛い顔をしているが、こればかりは仕方ないのです。
「こうやって、婚約者であるお二人とご一緒にお話ししたかったので、いらして頂けて嬉しいです」
「私とシャルロッテ様は何度もお顔を会わせ、殿下のお側におりますから幼馴染みに近いですわね」
「そうですわね。式典や社交など殿下が出席される会には必ずと言っていいほどご一緒しますから」
なるほど、お二人はお互いの事をよく知っているわけですね。
家柄で婚約を決められるのは幼心にどう感じるのだろう。
「私は王妃教育を受けておりますので、ルードルフ様の婚約者になると言い聞かされて参りましたので、特に思う所はありませんわ」
歳の差も大きいからかルードルフ様は紳士でお優しいとのこと。
とはいえ、フリードリヒ様とシャルロッテ様も同じく6つ離れている。
ちらりとシャルロッテ様を見れば、下を向き落ち込んだ様子。
「先日はご無礼を致しました……」
「何のこと? 覚えてないわ。
それより、シャルロッテ様はどう?」
イザベル様の前で不利なことを話すのは得策ではないよ。
私は話を逸らし、シャルロッテ様にウィンク。
それに気付いたシャルロッテ様は瞳に涙を滲ませ小さな声でありがとうと呟いた。
「……モリガン様のお優しいお心に感謝なさい」
長い付き合いのあるイザベル様は言わなくても分かるのだろう。
紅茶を口にし、ふわりと私に向かって微笑んだ。
「フリードリヒ様は……マクシミリアン様が健康になられてから人が変わってしまいましたわ」
マクシミリアン様がまだ病に伏せていた頃、王になる兄を支える宰相になるんだと懸命に学ばれていたフリードリヒ様。
剣の腕も立つことから、護衛としてもお役に立てると嬉しそうに話していた。
小さい頃から宰相の伴侶になると言い聞かされていたシャルロッテ様もその教育を受けていた。
ところが、マクシミリアン様が健康になり、いままで発揮できなかった魔力が溢れ出した。
元々魔力の才は兄弟内で一番だったマクシミリアン様。
だが、寝たきりのため戦力外。
聡明な頭を持つことから、国政の手伝いをし、寝ながらでも国に関わることを望んだ美しく儚い彼をハプスブルの天使と呼んだ。
王になるために教育を受けてきた兄弟一聡明かつ物腰の柔らかいルードルフ様。
宰相になるべく日々研鑽するフリードリヒ様。
兄達の力になりたいと床に伏せながらも国政を支えるマクシミリアン様。
それかまさかのどんでん返し。
「マクシミリアン様が健康になられてから、陛下が決めた継承権に不満を抱かれていたわね」
「ええ……。今までの努力はなんだったのかと絶望されたあの方を見るのは辛かったですわ……」
なるほど、そういうことだったのか。
なんとしても王になりたい貪欲な男かと思えばそれは違うらしい。
今までの努力を認めて貰えなかった悔しさがフリードリヒ様を変えてしまったのだろう。
「ルードルフ様は」
「ルードルフ様は至って冷静です。
マクシミリアン様が王位継承を辞退する運びとなることも予想し、今まで通り教育を受けながら陛下と並び務めを果たしておられるわ。
私からしたら、フリードリヒ様の軌道修正を早々に行うべきではと感じておりましてよ」
捉え方の違いなのか、それとも自信や心の強さなのか。
王位継承順位の大番狂わせを冷静に判断しているルードルフ様は、やはり次期王の座に相応しい冷静さを持っているのだろう。
「マクシミリアン様にはお辛い思いをさせてしまいましたわ……」
以前マクシミリアン様が言っていた虐め行為は全てフリードリヒ様によるものらしい。
ルードルフ様は陛下と同じで特に関わらず。
兄弟喧嘩に過ぎないと、イザベル様にはお話ししていたそうだ。
「……確かに、マクシミリアン様は拗ねておられたわ」
「拗ねて……ですか?」
「あの温和なお方が?」
イザベル様、決してマクシミリアン様は温和ではございません。
私に対して幾度となく怒り、お仕置きしてきますから……。
病弱時代、お二人はマクシミリアン様にあまり関わりを持てなかったそうだ。
苦しそうに寝ている殿下の傍にいられたのはセバスのみだったとか。
国政の仕事もセバスが必ず付き添い、財務担当が殿下のお部屋に行き、お仕事をしていたらしい。
お二人からしたら、儚いハプスブルの天使は見た目の美しさ通り、いつもニコニコ温和な人と思っているようだ。
「ところで皆さん、マクシミリアン様の婚約者候補は他にいらっしゃるかご存じで?」
さて、今日最大の情報収集はこちら。
殿下に私以外の婚約者がいるかいないかだ。
これによって、新魔王討伐後殿下が王になった時、王妃になるのは誰だ問題をハッキリさせておかねばなるまい。
もしほかに婚約者候補がいるならば、ぜひその方とお話をして……
「いませんわ」
「聞いたことがありません」
はい撃沈。
王に伸し上げ計画は開始前から無理そうだ。
「マクシミリアン様の場合、どちらのご令嬢を選ばれるか誰も予想がつきませんでしたの」
「ご健康になられたのはここ最近ですから、もう若い令嬢には婚約者がいますし」
良い物件は既に売約済みというわけか。
かと言って、王妃候補となれば違うのでは?
「民も貴族も王位継承は兄二人のどちらかだと思っておられますわ。
マクシミリアン様においては、王族に関わる術の一つ……と判断されておられるかもしれません。
失礼な話ですが」
イザベル様の悲しげな顔。
貴族の汚さを理解しているからこその発言だろう。
「マクシミリアン様はモリガン様以外婚約される気は毛頭ないと思われますわ。
いざとなった時、あのお方を止められるほどの実力者でなければ伴侶は務まらないかと」
え? あの底知れぬ魔力を止める?
そんなの私でも無理ですよ。
「そ、うですか……。
それは困りましたね」
「帰るための準備ですか?」
イザベル様の発言に、私とシャルロッテ様は驚いた。
クスッと笑い、扇子を広げたイザベル様はにこにこ可愛い笑顔を見せる。
「わたくしは王妃教育を受ける身です。
気になったことはとことん調べますの」
おおう、頭の良いイザベル様には全てお見通しかしら。
「ご理解頂けてるなら直球に。
私が帰省した後、殿下の伴侶をどうするか悩んでます。
何かいい案はないかしら?」
私の発言に顔を見合わせたお二人。
次に口を開いたとき、私は唖然としてしまった。
イザベル様は受けてくださると思うけど、シャルロッテ様はどうだろう。
なんて不安だったけど、お二人とも快くお受けくださったみたい。
社交シーズンは日本でいう晩春まで続くらしく、今はようやくテラスの花が綺麗に咲き始めたころ。
殿下と交わった日、あの日はまだ花たちは蕾だった。
開花も数日かと思っていたころだ。
暖かな日差しを浴びながら綺麗な花たちに囲まれてのアフタヌーンティー、オシャレである。
OLの私には無縁なものだった。
だからつい、張り切ってしまった。
可愛い女の子とのお茶会、いわば女子会。
異世界知識をフル活用し、新デザートを作りました。
とうとう……念願の生クリーム作成に成功したんです!
皆の協力を得て、根気よく分離した脂肪分を救い上げ、なんとか生クリームの作成に成功。
今はこれを効率よく生産する方法を研究中。
というわけで、アフタヌーンセットを用意。
下段はタマゴサンドとハムとレタスのサンドイッチ。
中段は一口ミートパイと一口ピザタルト。
上段はミニショートケーキ、ミニチーズタルトとフルーツゼリー。
他にも一口スコーンに生クリームとジャム。
おいしい紅茶を用意して、お呼びした可愛い御令嬢も到着。
さあ、お茶会の始まりです。
「な、なんですの……この見た目も美しい食べ物は」
「シャルロッテ様、こちらの原料は牛乳ですからご安心ください。
入っているのはお砂糖だけですわ」
「牛乳が塊に?」
「ええ、イザベル様。
研究を重ね、ようやく完成いたしましたの。
まだ生産段階ではございませんので、今回はぜひお二人にご賞味頂きたく用意しました」
デザートに目が行くのは女子ですな。
シャルロッテ様なんて、マナーを無視してそのままスウィーツにいってしまうんじゃないかというほどの食いつきっぷりだ。
「美味しい……パンがふわふわ。
中の黄色い物は何かしら」
「卵ですわ」
「卵……こんな味わい深くなるのですね」
イザベル様がタマゴサンドに感動しているご様子。
パンも天然酵母作りましたよ。
殿下に好きにされた日の夜、寝付けなかったからリージーのとこに行き、余ったリンゴを見て閃いた。
確家庭科の授業で習った天然酵母の作り方を思い出しながら作ったのがコレ。
リンゴの香りが爽やかなふわふわパンの出来上がり。
「シャルロッテ様、お口に合いまして?」
「はい! ……とても、美味しいです」
あらあらお顔が真っ赤。
シャルロッテ様はイザベル様より2つ年下の16歳。
まだ高校生の可愛い女の子だもの。
美味しいご飯を前に興奮が収まらないのも無理ないわ。
「ふふ、お二人のために沢山練習した甲斐がありました」
「え?」
「こちらのお料理はモリガン様が?」
「勿論料理人と作りましたが、新作を生み出すときは私一人で試行錯誤し作ります。
出来上がったレシピをプロにお任せしているのですよ」
その後、お二人は様々な質問をしながら食事を進めていき、ショートケーキを口にした途端、顔を赤らめ目をキラキラさせて綻んだ。
うんうん、ケーキ美味しいよね。
定期的に貰えないかと言われたが、まだ僅かしか摂れないとお断りしたら、それはもうガックリと肩を落とした。
お二人の侍女が辛い顔をしているが、こればかりは仕方ないのです。
「こうやって、婚約者であるお二人とご一緒にお話ししたかったので、いらして頂けて嬉しいです」
「私とシャルロッテ様は何度もお顔を会わせ、殿下のお側におりますから幼馴染みに近いですわね」
「そうですわね。式典や社交など殿下が出席される会には必ずと言っていいほどご一緒しますから」
なるほど、お二人はお互いの事をよく知っているわけですね。
家柄で婚約を決められるのは幼心にどう感じるのだろう。
「私は王妃教育を受けておりますので、ルードルフ様の婚約者になると言い聞かされて参りましたので、特に思う所はありませんわ」
歳の差も大きいからかルードルフ様は紳士でお優しいとのこと。
とはいえ、フリードリヒ様とシャルロッテ様も同じく6つ離れている。
ちらりとシャルロッテ様を見れば、下を向き落ち込んだ様子。
「先日はご無礼を致しました……」
「何のこと? 覚えてないわ。
それより、シャルロッテ様はどう?」
イザベル様の前で不利なことを話すのは得策ではないよ。
私は話を逸らし、シャルロッテ様にウィンク。
それに気付いたシャルロッテ様は瞳に涙を滲ませ小さな声でありがとうと呟いた。
「……モリガン様のお優しいお心に感謝なさい」
長い付き合いのあるイザベル様は言わなくても分かるのだろう。
紅茶を口にし、ふわりと私に向かって微笑んだ。
「フリードリヒ様は……マクシミリアン様が健康になられてから人が変わってしまいましたわ」
マクシミリアン様がまだ病に伏せていた頃、王になる兄を支える宰相になるんだと懸命に学ばれていたフリードリヒ様。
剣の腕も立つことから、護衛としてもお役に立てると嬉しそうに話していた。
小さい頃から宰相の伴侶になると言い聞かされていたシャルロッテ様もその教育を受けていた。
ところが、マクシミリアン様が健康になり、いままで発揮できなかった魔力が溢れ出した。
元々魔力の才は兄弟内で一番だったマクシミリアン様。
だが、寝たきりのため戦力外。
聡明な頭を持つことから、国政の手伝いをし、寝ながらでも国に関わることを望んだ美しく儚い彼をハプスブルの天使と呼んだ。
王になるために教育を受けてきた兄弟一聡明かつ物腰の柔らかいルードルフ様。
宰相になるべく日々研鑽するフリードリヒ様。
兄達の力になりたいと床に伏せながらも国政を支えるマクシミリアン様。
それかまさかのどんでん返し。
「マクシミリアン様が健康になられてから、陛下が決めた継承権に不満を抱かれていたわね」
「ええ……。今までの努力はなんだったのかと絶望されたあの方を見るのは辛かったですわ……」
なるほど、そういうことだったのか。
なんとしても王になりたい貪欲な男かと思えばそれは違うらしい。
今までの努力を認めて貰えなかった悔しさがフリードリヒ様を変えてしまったのだろう。
「ルードルフ様は」
「ルードルフ様は至って冷静です。
マクシミリアン様が王位継承を辞退する運びとなることも予想し、今まで通り教育を受けながら陛下と並び務めを果たしておられるわ。
私からしたら、フリードリヒ様の軌道修正を早々に行うべきではと感じておりましてよ」
捉え方の違いなのか、それとも自信や心の強さなのか。
王位継承順位の大番狂わせを冷静に判断しているルードルフ様は、やはり次期王の座に相応しい冷静さを持っているのだろう。
「マクシミリアン様にはお辛い思いをさせてしまいましたわ……」
以前マクシミリアン様が言っていた虐め行為は全てフリードリヒ様によるものらしい。
ルードルフ様は陛下と同じで特に関わらず。
兄弟喧嘩に過ぎないと、イザベル様にはお話ししていたそうだ。
「……確かに、マクシミリアン様は拗ねておられたわ」
「拗ねて……ですか?」
「あの温和なお方が?」
イザベル様、決してマクシミリアン様は温和ではございません。
私に対して幾度となく怒り、お仕置きしてきますから……。
病弱時代、お二人はマクシミリアン様にあまり関わりを持てなかったそうだ。
苦しそうに寝ている殿下の傍にいられたのはセバスのみだったとか。
国政の仕事もセバスが必ず付き添い、財務担当が殿下のお部屋に行き、お仕事をしていたらしい。
お二人からしたら、儚いハプスブルの天使は見た目の美しさ通り、いつもニコニコ温和な人と思っているようだ。
「ところで皆さん、マクシミリアン様の婚約者候補は他にいらっしゃるかご存じで?」
さて、今日最大の情報収集はこちら。
殿下に私以外の婚約者がいるかいないかだ。
これによって、新魔王討伐後殿下が王になった時、王妃になるのは誰だ問題をハッキリさせておかねばなるまい。
もしほかに婚約者候補がいるならば、ぜひその方とお話をして……
「いませんわ」
「聞いたことがありません」
はい撃沈。
王に伸し上げ計画は開始前から無理そうだ。
「マクシミリアン様の場合、どちらのご令嬢を選ばれるか誰も予想がつきませんでしたの」
「ご健康になられたのはここ最近ですから、もう若い令嬢には婚約者がいますし」
良い物件は既に売約済みというわけか。
かと言って、王妃候補となれば違うのでは?
「民も貴族も王位継承は兄二人のどちらかだと思っておられますわ。
マクシミリアン様においては、王族に関わる術の一つ……と判断されておられるかもしれません。
失礼な話ですが」
イザベル様の悲しげな顔。
貴族の汚さを理解しているからこその発言だろう。
「マクシミリアン様はモリガン様以外婚約される気は毛頭ないと思われますわ。
いざとなった時、あのお方を止められるほどの実力者でなければ伴侶は務まらないかと」
え? あの底知れぬ魔力を止める?
そんなの私でも無理ですよ。
「そ、うですか……。
それは困りましたね」
「帰るための準備ですか?」
イザベル様の発言に、私とシャルロッテ様は驚いた。
クスッと笑い、扇子を広げたイザベル様はにこにこ可愛い笑顔を見せる。
「わたくしは王妃教育を受ける身です。
気になったことはとことん調べますの」
おおう、頭の良いイザベル様には全てお見通しかしら。
「ご理解頂けてるなら直球に。
私が帰省した後、殿下の伴侶をどうするか悩んでます。
何かいい案はないかしら?」
私の発言に顔を見合わせたお二人。
次に口を開いたとき、私は唖然としてしまった。
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