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第5話 発注ミス
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耳寄りな情報。そんなこと聞く気もないのに、女神さまが嬉しそうに耳打ちする。
「ここだけの話、このまま生き返ってくれたら追加でぎょーさん運を添加できるんですわぁ」
なんだこの急な関西弁。っていうか言ってる意味が分からない。
僕の心の声を聴いたのか、女神さまが焦ったように僕の袖を引っ張りながら続ける。
「いやだからね、本当にお得なのよ。
実は今、運の在庫がだぶついてるの。
あんたの魂作る時に使い損ねた分はもちろんだけど、それだけじゃなくて、今こっそり消費しちゃわなきゃいけない運がダダ余りしてるのよ。
生き返ってくれるなら、その在庫を出血大サービスでぜーんぶあんたに添加してあげようと思ってさ」
「…なんで運が余ってるんですか?」
「くっ、察しのいいガキね」
女神さまは心の底から悔しそうに歯がみした後、小さな声で白状した。
「…発注ミス、です」
なんというかこの人、本当に女神なんだろうか。
そんなことを思っていたら、今度は急に女神さまが猫みたいにしなだれかかってきた。
「おわっ」
「ねー、いいじゃない。本当に全部の運くっつけたら、普通の人の1000倍は行くわよ? それって『天運』レベルよ?」
女神さまの絹糸みたいな髪から甘い匂いがただよう。服ごしに、押し付けられた体のやわらかさが分かる。
綺麗に並んだ睫毛の中で、大きな瞳が僕を見上げていた。
この人、本当は自分の美しさを分かってるんじゃなかろうか。
言葉に詰まりかけたけど、僕は自分に喝をいれてもう一度首を振った。
「嫌なものはイ」
ばちん、と両頬に衝撃が走った。
女神さまが僕の頬を両手で勢いよく挟んだ音だった。
「へ?」
さっきまでのコミカルな様子とは違い、女神さまの目は真剣だった。
「お前」
「あ、はい」
「もしかしてまだ自分に拒否権があるとでも思ってるんじゃないかね?」
「ここだけの話、このまま生き返ってくれたら追加でぎょーさん運を添加できるんですわぁ」
なんだこの急な関西弁。っていうか言ってる意味が分からない。
僕の心の声を聴いたのか、女神さまが焦ったように僕の袖を引っ張りながら続ける。
「いやだからね、本当にお得なのよ。
実は今、運の在庫がだぶついてるの。
あんたの魂作る時に使い損ねた分はもちろんだけど、それだけじゃなくて、今こっそり消費しちゃわなきゃいけない運がダダ余りしてるのよ。
生き返ってくれるなら、その在庫を出血大サービスでぜーんぶあんたに添加してあげようと思ってさ」
「…なんで運が余ってるんですか?」
「くっ、察しのいいガキね」
女神さまは心の底から悔しそうに歯がみした後、小さな声で白状した。
「…発注ミス、です」
なんというかこの人、本当に女神なんだろうか。
そんなことを思っていたら、今度は急に女神さまが猫みたいにしなだれかかってきた。
「おわっ」
「ねー、いいじゃない。本当に全部の運くっつけたら、普通の人の1000倍は行くわよ? それって『天運』レベルよ?」
女神さまの絹糸みたいな髪から甘い匂いがただよう。服ごしに、押し付けられた体のやわらかさが分かる。
綺麗に並んだ睫毛の中で、大きな瞳が僕を見上げていた。
この人、本当は自分の美しさを分かってるんじゃなかろうか。
言葉に詰まりかけたけど、僕は自分に喝をいれてもう一度首を振った。
「嫌なものはイ」
ばちん、と両頬に衝撃が走った。
女神さまが僕の頬を両手で勢いよく挟んだ音だった。
「へ?」
さっきまでのコミカルな様子とは違い、女神さまの目は真剣だった。
「お前」
「あ、はい」
「もしかしてまだ自分に拒否権があるとでも思ってるんじゃないかね?」
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