上 下
1 / 15

第1話 ぱんぱかぱんぱーん

しおりを挟む

僕はもう、何もかもが嫌だった。

こんな世界、さっさと見切りをつけてやる。

そう決意したはいいけれど、すんでのところでやっぱり怖いからやーめた、なんてことになるんじゃないかと危惧してもいた。

だけどそれは杞憂ですんだみたいだ。

僕は人生の最後の最後に登場した、その自分の勇気だけは褒めてあげたいと思った。

喉に食い込んだ縄がぎりっと音を立てる。
意識が白っぽくなって薄れていく。

さよ、なら…。もう…二度と…。



「ぱんぱかぱんぱーん」

僕は地べたに座り込んだまま、何が何やら分からず目をぱちくりさせた。

「もーう、しけた顔してんじゃないわよォ」

僕の顔の前で水色の髪が揺れた。髪の主は僕の顔をのぞきこみながら楽しそうに指を振っている。

「は、誰?」

僕はあっけにとられたまま、目の前で白い顔をにこにこさせている水色の髪の女の人を眺めた。

うわ、よく見るとすごい美人だ。

現実ばなれした髪の色とあいまって、もう、なんか人形というか、作り物というか、この世のものじゃないみたいな…

「そう、その通り! 私はこの世のものじゃありません!」

「へあっ?」

心を読まれたような返答のせいで、僕の口から思わず変な声が出た。

僕の疑問をよそに、女の人はゆったりとした白い服をたなびかせながら腰に手を当て、堂々と宣言した。

「そう、私は女神! 

あなたたち人間があの世のものとか何とか言って、崇めたてまつりあげあげする非常にきっちょーな存在よ」

そしてフフフ、と不敵に笑ってから女神さまは言った。

「高見マコト。私の力であなたを生き返らせてあげましょうっ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界転生する事になったけど、必死に努力する自前の精神力しか頼れるものはありませんでした。

SAKI
ファンタジー
修学旅行へ行くバスに乗り込んだ俺達は、連続爆弾魔がバスに設置した爆弾で跡形も無く吹き飛んだ。  死んだ俺達に神様は言った、異世界へ転生してもらうと。  別世界へクラス丸ごと転生する事になった俺達だったが、特に事故で死んだとか同情からの転生では無かった。  ぶっちゃけ、この世界に生まれたのが理由だった。    異世界転生する事になった俺達は、生まれる時代は一緒だが、別々の場所に生まれ育つ事になると伝えられた。  何も無しでは可哀想なので、全員が一つだけ特典を貰う事が出来る事になった。  サイコロを二つ振って、出た目の特典を貰い、転生していくクラスメイト達にワクワクしていた俺だったが、熱気に押されて最後にサイコロを振る事になった。  出た目はピンゾロ....よし!きっと凄いスキルが出るだろうと期待した時に、表示されたのは、【準備時間無制限】だった。  ハズレだった。ノーチートだった......オワタ

俺、貞操逆転世界へイケメン転生

やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。 勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。 ――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。 ――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。 これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。 ######## この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。

あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。

▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ...... どうしようΣ( ̄□ ̄;) とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!! R指定は念のためです。 マイペースに更新していきます。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。

飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。 ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。 そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。 しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。 自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。 アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!

処理中です...