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第一
視察へ
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「陛下!ミナホ様!」
城下に出るとそこでは民たちがミナホ様の下にあつまってきていた。
「落ち着け、一人ずつ話を聞く」
ため息をつき馬を降りれば一人ずつ話を聞いていっている、その姿に思わず顔が綻んでしまった。本当に僕の中の彼とおり心優しい方なのだ。
馬を下りてその後ろ姿を眺めていると親子が僕に気がついた。
「あの方はもしかして…」
「ミナホ様のお嫁さんっ!?」
小さな男のこはきらきらした目で僕を見る。
「え、えっとこんにちわ」
笑ってそう挨拶をすると男の子は僕の元に駆け寄る。
「こんにちわ!僕ね!僕ね!」
男の子ははっふはっふと興奮気味で僕に話しかける。僕もそんな男の子の姿がとてもかわいくて目線を合わせて話をきく。
男の子は今度、妹ができるらしくそれを嬉しそうに話し、ミナホ様のようなかっこいい兄になるという。きっとこの子ならできるだろう。
「そう、応援しているね」
優しくそのやわらかい髪をなでる。嬉しそうにえへへと笑うその子がきゅーんっと胸が締め付けられる。走ってお腹の大きい母親の元へと戻っていった。
ふと顔を上げるとそこにはこちらを見ているミナホ様の姿があった。目があうとそれはすぐにはずされてしまう。なんだかもうそれも慣れてきている気がした。
少しだけ諦めた気持ちで立ち上がると酷い胸騒ぎを感じた。なんだろう?ざわざわと騒がしい気持ちでいっぱいになってミナホ様へと視線を向けたときだった。
淡いピンク色の花吹雪が人の波を掻き分けて僕の元にきた。
それは瞬く間に僕をつつむように僕を取り囲みはじめる。
「ユマっ」
ミナホ様のあせった様な声と姿だけが一瞬見えて、すぐに視界はいっぱいに花びらになった。
むせ返るような花の甘い匂い。グラッと歪む世界はすぐに暗転した...
城下に出るとそこでは民たちがミナホ様の下にあつまってきていた。
「落ち着け、一人ずつ話を聞く」
ため息をつき馬を降りれば一人ずつ話を聞いていっている、その姿に思わず顔が綻んでしまった。本当に僕の中の彼とおり心優しい方なのだ。
馬を下りてその後ろ姿を眺めていると親子が僕に気がついた。
「あの方はもしかして…」
「ミナホ様のお嫁さんっ!?」
小さな男のこはきらきらした目で僕を見る。
「え、えっとこんにちわ」
笑ってそう挨拶をすると男の子は僕の元に駆け寄る。
「こんにちわ!僕ね!僕ね!」
男の子ははっふはっふと興奮気味で僕に話しかける。僕もそんな男の子の姿がとてもかわいくて目線を合わせて話をきく。
男の子は今度、妹ができるらしくそれを嬉しそうに話し、ミナホ様のようなかっこいい兄になるという。きっとこの子ならできるだろう。
「そう、応援しているね」
優しくそのやわらかい髪をなでる。嬉しそうにえへへと笑うその子がきゅーんっと胸が締め付けられる。走ってお腹の大きい母親の元へと戻っていった。
ふと顔を上げるとそこにはこちらを見ているミナホ様の姿があった。目があうとそれはすぐにはずされてしまう。なんだかもうそれも慣れてきている気がした。
少しだけ諦めた気持ちで立ち上がると酷い胸騒ぎを感じた。なんだろう?ざわざわと騒がしい気持ちでいっぱいになってミナホ様へと視線を向けたときだった。
淡いピンク色の花吹雪が人の波を掻き分けて僕の元にきた。
それは瞬く間に僕をつつむように僕を取り囲みはじめる。
「ユマっ」
ミナホ様のあせった様な声と姿だけが一瞬見えて、すぐに視界はいっぱいに花びらになった。
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