【？】の独白

【？】の独白

ワタシはだぁれ？

アリスに憧れた、水色のドレスにエプロン
好奇心があって、でも臆病綺麗な
プラチナブロンドの髪と
大きなリボンを揺らす【可愛いアリス】
【アリスの作る箱庭に】
【アリスだけの箱庭に】憧れて
作って、造って、創って…。
アリス・リデルみたいに…。

ダイヤを探して、白ウサギを見つけて
追いかけた先の大きな穴に落ちて
目を覚まして、見上げた世界に
不思議な不思議な世界が広がって
チェシャ猫に助けられて
愉快なティーパーティーに向かって……そんな御伽噺

でも現実に引き戻されたら
目の前に広がるのはwonderlandでもなく
裏切りと向けられる負の感情の痛みと棘
苦しみに苛まれた、ドス黒い檻の中
信じて　疑わず　仲良くなって
裏切られて　手に掴んだものは崩れていて
其れでも歩かなくちゃいけなくて

棘に刺されて、刃で切り裂かれた【心】から
溢れ出る血の涙と痛みだけ

それでも歩く度、進む度、頑張ろうとする度
絡まってくる棘と蔦なんて気にせずに
やっと創り上げた箱庭を貴方に見せた
『やっと、やっと手に入れた』
創り上げた箱庭に　チェシャ猫がゆらりと
優しく微笑って来てくれた

でも、【  】は【アリス】にはなれなかった
いや…【アリスに成る事】だけは諦めるしかなかった

だけど……チェシャ猫の隣に居れるなら
…其れでもいいと思ったのに

エンディングなんて、はなから決まっていたんだ
最初から、アリスに成れなかった【    】は
貴方に…【チェシャ猫】に守られる
側にいる事を赦される存在には成れなかった
【チェシャ猫の隣はアリスだけの居場所】

『……あなたを…［チェシャ猫］を
やっと、この箱庭に招けたのに？
やっと、【恐い女王様】から助けてくれる
貴女に出逢えたのに…？いや…いや』

目の前なのに…【愛しいチェシャ猫】に
手が届く距離なのに
成れなかった
【アリス】の隣【アリス】を気に入ってる
チェシャ猫だけのアリスには

自分は、女王様や、芋虫…、偽アリス
アナタ【チェシャ猫】以外の為に
物語を紡がないと怒られちゃう

だから
［助けてほしい］［女王様が怖いんだ］
そう言いたいけれど
【   】にはそんな権利も
アナタの隣にも居る事すら赦されなくて
【悪役】にならなきゃいけなくて
キミ達を貴方を守るタメに
敵にならなくちゃいけなくて

物語を、描いているたび胸が痛い
アリス・リデルはアリスに自分を
重ねていたのだろうか？
箱庭を造って…幸せに成れたんだろうか？
女王様から、助かる事は【この箱庭】では
【   】にはできない様だ

手を動かして、キミ達の望み通りにするよ

ほら、愉しい御茶会にするよ

この箱庭で、【    】は邪魔だから
直ぐにミンナの為に
愉快に滑稽に消えてみせるから

嗚呼ミンナ
アリスを守るばかりだなぁ…
そりゃそうだ【アリス】は【ミンナの希望】
ミンナの主人公…チェシャ猫も
帽子屋も白うさぎも

大丈夫…大丈夫だよ
僕が必ず幸せにしてあげる
望みを叶えるよ…あぁ、あぁ…。
キミ達の望み通りに
この箱庭を創り上げてみせるから

どうか…怒らないで
怖いな…たすけて…助けてよ
ボクは…僕は、ワタシは、私は
女王様から逃げられない？
女王様が怖いんだ助けてよ
いや、せめて…こっちをみてよ

あぁ、夢も希望もない
どこまでも怖くて暗い闇だけが広がる
絶望みたいな箱庭の中で

また、 【    】死を選ばなきゃ
物語が進まないなんて
【     】の箱庭…？箱庭は…狂ってる