【冬に咲く花】

一ノ瀬 瞬

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【冬に咲く花】

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【冬に咲く花】
【※一人称 二人称変更可】

夜遅く眠れない俺のスマホに着信音が鳴り
君からのメッセージが表示される

『一緒に花火を観に行かない?』
こんな時間……もう0時も過ぎてる
しかも冬に花火なんて…そんな俺の手元に

年越し花火大会のチラシ
毎年大晦日前の日に行われる珍しい花火大会

「…これ…」
恋人同士や好きな相手に想いを告げる為に
自分から誘い花火を観に行くと
そんな話を聞いた事があった

期待をしても良いって事なのか…?
俺が君を好きだと話した事も?
君は、その上で…?

俺はコートを羽織ってスマホを持つ
考え込むよりも先に体は動いて
早く早くと鼓動が急かすように君の元へと
俺を走らせる

外は冬の寒空、白く染め上がった息が
ふわふわと浮かぶ
息を切らしながら走る俺に、ふと…光と共に
轟く音色が聞こえる

「始まったのか…間に合うといい……って
…はぁ…何言ってんだ俺。
【間に合わせるんだろ】!」

息は上がって頬は真っ赤に染まってる
多分すごいカッコ悪いんだろうな
それでも…君が呼んだ理由が
俺の気持ちと……同じなら

『間に合ったみたいだね』
そう笑う君の頬も赤く紅潮している

煌めき火の粉を散らせ光る花火が
君の顔を照らす

たった2文字……。胸が痛いほど高鳴る

「俺…ずっと前から」

夜空を咲く花がパラパラと散る今日
やっと俺は

【俺たち】になれるんだ
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