1 / 1
【吸血鬼の花嫁様】碧薔薇の儚い執事
しおりを挟む
【吸血鬼の花嫁様】
碧薔薇の執事の叶わぬ約束
あの日のことは今でも覚えている
美しくまるで…女神の様な美しさを
其の華奢な御身体に秘めた花嫁様
花嫁に触れる事は叶わない
我が主人の愛しい姫なのだから
そう自分の心に杭を差し込むように
何度も何度も言い聞かせてきた
花嫁は美しく嫋やかに淑やかに
僕にも其の美しい微笑みで
微笑い掛けてくれる…。
僕は叶わない、叶えてはいけない
其の熱く自分自身すら焼き尽くさんばかりの
想いに身を焦がされて
今日も貴方の御側で、
貴方の事を思い続けているのだ
赫薔薇の王に命じられ僕は
花嫁の側近の執事長になった。
今日のお茶菓子は?紅茶はなぁに?
そんな可愛らしい貴方の笑顔と
無邪気で無垢な振る舞いに
まるで蜜に酔わされ
蜘蛛の糸に絡め取られる
蝶々のように、僕は日を増すごとに
貴方と言う蜜に溺れていった
美しい貴方に口付けたい
貴方の瞳に映るのが僕であったなら
どれ程幸福なのだろうか
そんな思考に感情が乱され
甘い甘い蜜に溺れていく僕を他所に
貴方は今日も
彼の赫薔薇の王を待ち続ける
僕はその姿に胸が締め付けられる
抉られるような…そんな傷みを
覚え続ける
今宵も貴方は薔薇園で
赫薔薇の王を待ち憂いを帯びながら
テラスの薔薇の装飾が施された
椅子に腰掛け
月時雨が貴方を彩るように
柔らかな宵闇の風に綺麗な
貴方の髪が揺れる
薔薇の花弁も、風に誘われるように
舞い踊るように
ひらひらと、舞い散る
『今日も此処にいらしたのですね…。
我が君…。
今日も月に照らされて一段と
碧薔薇が綺麗に咲いておりますね
幸せ者ですね…此の碧薔薇達は…。』
何故か…純真な貴方は僕の瞳を
その美しい緋色の瞳で覗き込む
僕は唯、微笑んで貴方に応える
『此の碧薔薇達は、いずれ枯れゆく定め
…ですが、貴方に見てもらえる
貴方を彩る美しい徒花となる
唯、誰にも見られる事もなく
愛してもらえない…そんな華じゃない
最期は美しく舞い踊り散りゆく
貴方の瞳に映る
貴方を彩る花弁となる
これ程までに幸せな事はきっと無い
例え、散りゆくとも、朽ゆくとも
貴方と言う美しい蝶と踊り果てる
そんな幸せ者ですから…。』
貴方は僕に手を伸ばし
僕の頬を撫でる
僕はその華奢で今にも壊れそうな
貴方の白く美しい手に触れる
冷たく儚い、美しい貴方の手
『僕は…貴方を御慕い申し上げております
貴方を…初めて見たあの日から
貴方を…貴方だけを…。
叶わないとわかっています
赦されない事だと判っております
…それでも、せめて…。
お願いです…今宵だけでいい
ただの夢だと、惨めで醜い僕を
救って下さい…貴方の、感覚を
一度でいいから…。
僕に、感じさせて…下さい。』
涙が、ほろほろと零れ落ちる
貴方を愛している
貴方を御慕いし、赦されないと判っていても
貴方だけを見つめ続けている
涙を流し続ける僕に
貴方は優しく頬を撫で
抱きしめてくれる
ドレスをはだけさせ
白く美しく
甘美で妖美な貴方の血が通う
美しい首筋を…。
貴方は酷な人
僕の想いに気付いているから
僕を愛すことができないから
罪滅ぼしをするかの様に
僕を誘う甘い香りの気高い蝶々
いや…僕は貴方という
美しい蜜に絡め取られている…
貴方は妖美な蜘蛛…でしょうか
…其れでも今はいい。
一時でいい
ほんの少しの偽りの甘い夢でいい
愛している貴方を此の手に抱きしめ
その甘い血を此の身に流し込み
貴方と溶け合いたい
僕は、貴方の首筋に牙を立てる
『ん…ふっ…ちゅ…。
…貴方は…ちゅっ…、
酷な人です…断る事も拒絶もできた
貴方を…僕が如何想っているか…
ふっ…ん…ちゅっ…。
判っているはずなのに…』
血を吸い、貴方の血が口の中に
僕の身体を巡るのを感じながら
貴方は僕に口付けをする
貴方にも僕の血を…。
2人で溶け合い混じり合う
貴方を愛してやまない
僕と混じり合う口付け
涙が止まらないけれど
此の儚い幸せな夢を
あともう少しだけ…
見させて下さい…。
碧薔薇の執事の叶わぬ約束
あの日のことは今でも覚えている
美しくまるで…女神の様な美しさを
其の華奢な御身体に秘めた花嫁様
花嫁に触れる事は叶わない
我が主人の愛しい姫なのだから
そう自分の心に杭を差し込むように
何度も何度も言い聞かせてきた
花嫁は美しく嫋やかに淑やかに
僕にも其の美しい微笑みで
微笑い掛けてくれる…。
僕は叶わない、叶えてはいけない
其の熱く自分自身すら焼き尽くさんばかりの
想いに身を焦がされて
今日も貴方の御側で、
貴方の事を思い続けているのだ
赫薔薇の王に命じられ僕は
花嫁の側近の執事長になった。
今日のお茶菓子は?紅茶はなぁに?
そんな可愛らしい貴方の笑顔と
無邪気で無垢な振る舞いに
まるで蜜に酔わされ
蜘蛛の糸に絡め取られる
蝶々のように、僕は日を増すごとに
貴方と言う蜜に溺れていった
美しい貴方に口付けたい
貴方の瞳に映るのが僕であったなら
どれ程幸福なのだろうか
そんな思考に感情が乱され
甘い甘い蜜に溺れていく僕を他所に
貴方は今日も
彼の赫薔薇の王を待ち続ける
僕はその姿に胸が締め付けられる
抉られるような…そんな傷みを
覚え続ける
今宵も貴方は薔薇園で
赫薔薇の王を待ち憂いを帯びながら
テラスの薔薇の装飾が施された
椅子に腰掛け
月時雨が貴方を彩るように
柔らかな宵闇の風に綺麗な
貴方の髪が揺れる
薔薇の花弁も、風に誘われるように
舞い踊るように
ひらひらと、舞い散る
『今日も此処にいらしたのですね…。
我が君…。
今日も月に照らされて一段と
碧薔薇が綺麗に咲いておりますね
幸せ者ですね…此の碧薔薇達は…。』
何故か…純真な貴方は僕の瞳を
その美しい緋色の瞳で覗き込む
僕は唯、微笑んで貴方に応える
『此の碧薔薇達は、いずれ枯れゆく定め
…ですが、貴方に見てもらえる
貴方を彩る美しい徒花となる
唯、誰にも見られる事もなく
愛してもらえない…そんな華じゃない
最期は美しく舞い踊り散りゆく
貴方の瞳に映る
貴方を彩る花弁となる
これ程までに幸せな事はきっと無い
例え、散りゆくとも、朽ゆくとも
貴方と言う美しい蝶と踊り果てる
そんな幸せ者ですから…。』
貴方は僕に手を伸ばし
僕の頬を撫でる
僕はその華奢で今にも壊れそうな
貴方の白く美しい手に触れる
冷たく儚い、美しい貴方の手
『僕は…貴方を御慕い申し上げております
貴方を…初めて見たあの日から
貴方を…貴方だけを…。
叶わないとわかっています
赦されない事だと判っております
…それでも、せめて…。
お願いです…今宵だけでいい
ただの夢だと、惨めで醜い僕を
救って下さい…貴方の、感覚を
一度でいいから…。
僕に、感じさせて…下さい。』
涙が、ほろほろと零れ落ちる
貴方を愛している
貴方を御慕いし、赦されないと判っていても
貴方だけを見つめ続けている
涙を流し続ける僕に
貴方は優しく頬を撫で
抱きしめてくれる
ドレスをはだけさせ
白く美しく
甘美で妖美な貴方の血が通う
美しい首筋を…。
貴方は酷な人
僕の想いに気付いているから
僕を愛すことができないから
罪滅ぼしをするかの様に
僕を誘う甘い香りの気高い蝶々
いや…僕は貴方という
美しい蜜に絡め取られている…
貴方は妖美な蜘蛛…でしょうか
…其れでも今はいい。
一時でいい
ほんの少しの偽りの甘い夢でいい
愛している貴方を此の手に抱きしめ
その甘い血を此の身に流し込み
貴方と溶け合いたい
僕は、貴方の首筋に牙を立てる
『ん…ふっ…ちゅ…。
…貴方は…ちゅっ…、
酷な人です…断る事も拒絶もできた
貴方を…僕が如何想っているか…
ふっ…ん…ちゅっ…。
判っているはずなのに…』
血を吸い、貴方の血が口の中に
僕の身体を巡るのを感じながら
貴方は僕に口付けをする
貴方にも僕の血を…。
2人で溶け合い混じり合う
貴方を愛してやまない
僕と混じり合う口付け
涙が止まらないけれど
此の儚い幸せな夢を
あともう少しだけ…
見させて下さい…。
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【ヤンデレ八尺様に心底惚れ込まれた貴方は、どうやら逃げ道がないようです】
一ノ瀬 瞬
恋愛
それは夜遅く…あたりの街灯がパチパチと
不気味な音を立て恐怖を煽る時間
貴方は恐怖心を抑え帰路につこうとするが…?
【ヤンデレ神父(シスター)様は、異形の貴方を永遠に手放してくれません。】
一ノ瀬 瞬
恋愛
何気ない夜のこと、ステンドグラスが美しく輝く教会内
キラリと月光に反射する無機質な十字架を持つ1人の神父(シスター)は、異形の貴方に柔らかく微笑みかけー…
【ヤンデレお狐様は 貴方の親だと洗脳し続け 永遠に可愛がるようです】
一ノ瀬 瞬
恋愛
立派な社のある神社、そこにはとても優しいお狐様がおりました。
お狐様には、何よりも大事で大切な貴方(娘or息子)がおりましたが……
これは、そんな人間の貴方と
血のつながらないお狐様のお話し
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる