【短編集】②

【短編集】②

【君が為】

みたくなければ目を塞げば良い
聴きたくないなら耳を
話したくないなら代わりに

息は1人じゃできないね
酸素を頂戴、頂戴と藻搔いて足掻く
君は1人じゃ生きられない
1人にならないよ?何度でも
名前も存在も抱きしめて呼んであげる
喚んで上げられるのは僕だけだ



【君の側】

息が苦しいの
息を吐く事ばかりで
酸素［息］の吸い方を
忘れてしまいそうなら、
僕が君の隣で一緒にゆっくり
君と息【生き】をしよう

大丈夫、もう大丈夫
大丈夫だよ、君の隣にいるから
ゆっくり、一緒にいるからね



【愛しい君へ】

また手を離されちゃった
大丈夫だよ
離された手を僕が掴んであげるから

また腕を切ったの
大丈夫責めたりしない痛かったね
切らなきゃ生き【息】すら
できなかったんだね

また傷が増えた
大丈夫だよ治るまで直るまで
君の隣りで側に
独りになんてしないから



【寂しい怪物】

ずっと篭りたい。
ひとりぼっちになるなら
何で輪に入ったんだろ

自分から行かないからひとりぼっち
嫉妬の魔物は翠の目



【大丈夫を君に】

頑張りすぎたね
少し休憩しよう

頑張りすぎてしまうと
辛さがわからなくなる
泣きたい時に泣き方がわからなくなる

寝るだけでいい、なにもしなくていい
僕が肯定し続けるから
ゆっくり、ゆったり
息の吐き方吸い方がわからなくなる前に
ゆっくり体と心を休めよ

いい子いい子　なでなでだ



【藤園へ】
藤が広がる園の中、滴る
君の身体を抱いて
二人溶け合うことができたなら



【淋しさに木霊】

一人って寂しすぎるね
夜の闇の中雨がまだ降り止まない
淋しい寂しい　泣き木霊