魔力なしの私と魔術師を目指した少年

文字の大きさ
25 / 28

22.ミネルヴァ視点

しおりを挟む
「もうっ!なによ、あいつら………。コロッと態度をかえてっ!」

祝賀パーティーで私がディアナではないと分かった途端、会場の貴族は手のひらを返した。
私達を見る貴族達の視線を思い出すだけで怒りで身体が震える。

こんなに努力したのに…………。
どうしてみんなディアナ、ディアナ、ディアナ、………………。

小さい頃からそうだった。
ディアナが魔力無しだと判定される前から……。

※※※

「ディアナ、ミネルヴァ、二人に髪飾りを買ってきたのよ。どっちがいい?」
「ミネルヴァが選んで。私はどっちでも良いよ。」
「ディアナは偉いわねぇ!ミネルヴァ、お礼を言いなさい。」

※※※

「フリクル伯爵がディアナの事を随分褒めていた。礼儀正しくて可愛いらしいと。息子の嫁に欲しいそうだ。良かったな。」

「まぁ!フリクル伯爵がっ!良かったわ。年頃になったら会わせましょう。」

フリクル伯爵が来た時、先にディアナが挨拶していた。私は少し遅れただけなのに………。

※※※

「ディアナの髪は綺麗な色ねぇ。おまけに真っ直ぐで。ミネルヴァは少しクセがあるのかしら?」

いつも父も母もディアナ、ミネルヴァと呼ぶ。
私が姉なのに、私の名前はいつも後……。

※※※

折角ディアナは魔力無しで私よりずっと劣っていることが分かったのに………。

バルドルに見初められたせいだっ!
私の方がディアナよりも綺麗なのに。
もう自慢の髪だって黒くなってた。
平民だったアイツは日焼けもしてて、全然綺麗じゃない。

なのにディアナが良いところを全部奪っていく。
憎い、憎い、憎い、





「お父様、ディアナを何とかして!私がバルドルと結婚したいの。そうすればまた皆が私に頭を下げるわ。」

「ミネルヴァ、もう無理だ。陛下にも目を付けられた。何もできん。」
「そうよ。ミネルヴァ、諦めなさい。」

「なによっ!今まで散々ディアナを虐めておいて!お父様とお母様まで手のひらを返すの?いいわよ!もう、頼まない!!」

私が扉を乱暴に締めて家を出ると、弟が追いかけてきた。

「お姉さま、大きい声でどうしたのですか?」

「あんたには関係ないわよっ!」

弟は長男で、みんなに可愛がられてきた。
私の気持ちなんて分かる訳無い。

私は町でナイフを買った。
ディアナを傷付けることしか考えられない。

町に出て人の噂を頼りに、ディアナが働いていると評判になっている店を探しだした。

ーーけれど……

私は結局ディアナを傷付けることが出来なかった。
皆がディアナを庇う………。
私には庇ってくれる人なんていなかったのに……。

バルドルに怒鳴られた。

『お前達をディアナが助けた』
『陛下に嘆願した』

私を庇ってくれるのはディアナだけだったのか……。
私は牢には入らずサナトリウムの閉鎖病棟で療養する事になった。

同じ事を繰り返す毎日。
ここでは誰も自分と人とを比べない。
欲もない、そんな場所。
みんなで毎日花を見て空を眺め美味しい食事を食べる。

「お花ってこんなに可愛らしいのね。空って毎日色が違うの。初めて気が付いたわ。」

隣に居た同じような年頃の少女に話し掛けた。

「ミネルヴァさん、お花を見る余裕も空を見上げる時間も無かったのね。辛かったでしょう?」

……そう、私……辛かったの、ずっと分かって欲しかったの。

ーーディアナだったら私の気持ちを分かってくれたのだろうか?ーー

外に出て人に会うことはないからお洒落をする必要も無い。

「ミネルヴァさん、ここに来て表情が優しくなったわ。きっとこの生活が合うのね。」

私の主治医がそんな事を言っていた。

ここでの療養費はバルドルが出してくれたらしい。


私は穏やかな生活の中で大切にする人を間違えた事に気が付いた。


遅かった。
でも、気付くことが出来た。
しおりを挟む
感想 93

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています

腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。 「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」 そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった! 今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。 冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。 彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――

愛を騙るな

篠月珪霞
恋愛
「王妃よ、そなた一体何が不満だというのだ」 「………」 「贅を尽くした食事、ドレス、宝石、アクセサリー、部屋の調度も最高品質のもの。王妃という地位も用意した。およそ世の女性が望むものすべてを手に入れているというのに、何が不満だというのだ!」 王妃は表情を変えない。何を言っても宥めてもすかしても脅しても変わらない王妃に、苛立った王は声を荒げる。 「何とか言わぬか! 不敬だぞ!」 「……でしたら、牢に入れるなり、処罰するなりお好きに」 「い、いや、それはできぬ」 「何故? 陛下の望むままなさればよろしい」 「余は、そなたを愛しているのだ。愛するものにそのような仕打ち、到底考えられぬ」 途端、王妃の嘲る笑い声が響く。 「畜生にも劣る陛下が、愛を騙るなどおこがましいですわね」

王太子妃専属侍女の結婚事情

蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。 未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。 相手は王太子の側近セドリック。 ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。 そんな二人の行く末は......。 ☆恋愛色は薄めです。 ☆完結、予約投稿済み。 新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。 ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。 そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。 よろしくお願いいたします。

働かないつもりでしたのに、気づけば全部うまくいっていました ――自由に生きる貴族夫人と溺愛旦那様』

鷹 綾
恋愛
前世では、仕事に追われるだけの人生を送り、恋も自由も知らないまま終わった私。 だからこそ転生後に誓った―― 「今度こそ、働かずに優雅に生きる!」 と。 気づけば貴族夫人、しかも結婚相手は冷静沈着な名門貴族リチャード様。 「君は何もしなくていい。自由に過ごしてくれ」 ――理想的すぎる条件に、これは勝ち確人生だと思ったのに。 なぜか気づけば、 ・屋敷の管理を改善して使用人の待遇が激変 ・夫の仕事を手伝ったら経理改革が大成功 ・興味本位で教えた簿記と珠算が商業界に革命を起こす ・商人ギルドの顧問にまで祭り上げられる始末 「あれ? 私、働かない予定でしたよね???」 自分から出世街道を爆走するつもりはなかったはずなのに、 “やりたいことをやっていただけ”で、世界のほうが勝手に変わっていく。 一方、そんな彼女を静かに見守り続けていた夫・リチャードは、 実は昔から彼女を想い続けていた溺愛系旦那様で――。 「君が選ぶなら、私はずっとそばにいる」 働かないつもりだった貴族夫人が、 自由・仕事・愛情のすべてを“自分で選ぶ”人生に辿り着く物語。 これは、 何もしないはずだったのに、幸せだけは全部手に入れてしまった女性の物語。

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

処理中です...