病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。

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18.墓参り

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☆セレニティー視点



 フィオナが誘拐されて三年が経った。

 私とキリアンはローレラ伯爵家の墓参りに来ていた。
 フィオナが誘拐され殺害された後、ローレラ伯爵家は違法薬物の売買でお取り潰しになった。
 詳しい内容は公表されていないが、それがかえって様々な憶測を呼んだ。一説には伯爵家の違法薬物で被害にあった人間が腹いせのためにフィオナを誘拐して殺害したのではないかと言われていた。

 真相は誰にも分からない。伯爵家の人間は、姿を消したまま。

 私とキリアンは一年前結婚式を挙げた。

 浮気男と寝取り女という烙印を押された私達には縁談なんて無かったから……。
 誰にも祝福されない結婚式だった。

初夜の閨でキリアンは私に頭を下げて謝った。

「すまない。実はもうレニィを抱けないんだ。」

 キリアンは不能になっていた。もしかして私に対してだけかもしれない。確認しようも無いけど……。

 フィオナを自らの不貞と不甲斐なさで喪ってしまったことへの罪悪感だと彼は言う。私を見ると、フィオナを思い出すんだと……。

 ーーそれは私が願った呪い。

 自らに跳ね返ってきたのだと思った。
 フィオナを見る度、私を思い出せばいいと願った。彼は今、私を見てフィオナを思い出し、罪悪感に苛まれる。

「一緒にゆっくり治療していきましょう。」

 自業自得だと私は知ってるから、キリアンを支える決心をした。

 そして、私達は今も治療を続けている。


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